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第15話 小悪魔系
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俺の心の臓が拡縮を繰り返す。
頭がまるでショートしたかのように弾け、何も考えることができぬまま、思わずディアが飲み込まれた閃光に向かって駆け出していた。
やはりというか災禍の爪痕が途切れていた場所で、エネルギーの塊は爆散し無数の光芒を辺りにまき散らす。
だが、そんなことは全く関係がない。
ディアは明らかにその手前で飲み込まれたのだから。
「ディアーーーーー!!」
今まで生きてきた中で最も大きな声が喉から飛び出したと思う。
まるで俺の生命力を音に変えたようなそんな大声。
モンスターに聞こえるかもしれないなんて考えは、まるで頭をよぎらなかった。
凶悪な球体により巨大なクレーターを作り出し大量の砂煙が巻き上げられている。
先ほどの煙爆弾の罠の土バージョン、いや、それよりもさらに膨大な量の砂塵風だ。
俺の目に砂埃が入ってくるが、それとは別の理由で俺の目からは涙が溢れていた。
短い時間。
会ったばかりの正直得体がしれないと思っていた少女。
それでも俺はディアに恋していたんだと思う。
一目惚れ、というやつとは違う。
可愛いとは思うがタイプとは少し違った。
だが、そんなことは全く関係ない。
一緒にいて守りたいと感じていた。
一緒に同じ時間を共有したいと感じていた。
その先にどんな困難が待ち受けていようとも、異世界に来た以上それが俺の使命であり生きる理由なんだと理解していた。
それがもう終わってしまった?
こんなにも呆気なく?
なら、ディアじゃなくて俺が代わりになればよかったのに!
そんな思いを抱きながら、砂埃の中モンスターのいた場所を睨みつけるように目を向ける。
俺が死んだとしても、あいつだけは絶対殺してやる。
俺の胸中を殺意が埋め尽くす。
しかしその時。
砂埃が少しずつ薄れゆく中、俺の目に理解できない光景が飛び込んできた。
おそらくはディアがいた場所に、漆黒で光を全く通さない完全な球体が存在していたのだ。
理解できないがなんとなくわかる。中にディアがいるのだと。
俺の心に期待と歓喜が満ちる。
だが、まだ分からない。中にいるであろうディアが本当に無事なのかは、まだ……。
そう思った時その漆黒が見覚えのある何かと重なった気がした。
そう。確かディアが着ていた服がこんな光を全く通さない漆黒をしていたのだ。
闇夜のような一切合切を吸い込んでしまいそうな黒の服。
服が守ってくれたのだろうか、と思いながら駆けつけると徐々に漆黒の球体はその姿を薄れさせていく。
「レン、ジュ……。びっくり、した……。大きな声で呼ぶから……」
怪我一つない無事な姿。ディアが俺の事を驚いた様子で見つめていた。
俺は安堵から思わずディアの体を抱きしめる。
柔らかな細い体が俺に生きている温かみと脈動を伝えてくれた。
「レンジュ……?」
「うぅ。よかった、よかったよ! 俺、もう駄目かと思って…………」
ディアの腕がゆっくりと俺の背中に回る。拍動がさらに高まっていく。
穏やかなディアの声が俺の身に染みわたる。
「だい、じょーぶ……。だから、泣かないで……」
ごし、と目を擦ると腕についていた砂埃が目に入ったが、そんなことは気にならなかった。
抱きしめていた手を放し、改めてディアの無事な姿を確認したい。
そう思いながら視線を向けると、今までまるで気が付いていなかったが、ディアは漆黒の下着だけの姿に変わり果てていた。
長い髪の毛はアニメのようにうまく体を隠していたりはしない。
もっとも下着だけは上も下もしっかりつけている状態だが。
そんなディアを抱きしめていたかと思うと、耳まで熱が上り詰める。
「ご、ごめん、えと、どうして……」
「レンジュ、えっち……。みちゃ、だめ……」
ディアもそれに気付いたのか小さな手で体を隠そうとするが、まるで意味をなしていない。
「す、すまん! …………これを着てくれ!」
後ろを向くと、俺の着ていた服を脱ぎ手渡した。
上半身裸になってしまうがディアが下着姿のままよりは余程いい。
細い体はウエストも腰回りも細いのだが、胸だけはしっかり主張していてやたらと扇情的なのだ。
後ろを振り向き待つ事一分。
「もう、いいよ……。こっち、向いても……」
その言葉に振り向くとディアはまだ着替えなど全くしておらず、胸の前で俺の服を吊るしていた。
「うそだよ……。レンジュの、えっち……」
「うぉーい!」
俺は大慌てで背中を向ける。心臓が破裂するかのように高鳴る。
騙されてしまったがディアの細いウエストラインとか見えて心臓が高鳴る。
一体どういうつもりなのかは分からないが……やばい、俺、幸せだと感じている?
ディアのキャラがまるで掴めない。
クスクスと小さな笑い声が背中越しに聞こえる。
まさか小悪魔系?
俺を惚れさせようとしているのなら、効果はてきめん過ぎるほどにてきめんだ。
おかしい。俺はこんな年下に翻弄されるような男じゃなかったというのに。
「ふふ……。もう、いいよ……」
「ほんとにほんとだな? もし着てなかったら襲うからな!」
「だ、じょーぶ……だよ。レンジュかわいい」
俺は女の子に可愛いと言われたことなんてなかったし、可愛いと呼ばれて嬉しがるような趣味もないと思っていた。
けれど、なぜこんなに嬉しい気持ちになるのだろうか?
これが恋だとするのであれば、今まで好きになった女の子に感じていたのはなんだったのだろうか……。
まるで別物。けれど、心の底から望ましい感覚に包まれていた。
ずっとこんなやり取りをしていたい。
そんな気持ちが沸いたが、俺たちは未だ戦場に立っているのだという事実が俺の脳裏を揺らす。
振り向かない俺をもどかしく思ったのか、俺の背筋をつつっと指でなぞられる。
ぞわりと体が震えたが、それすら心地よいと思いつつ振り向くとディアはちゃんと服を着ていた。
安心感から小さく息が漏れる。
ディアの身長は大体150センチ程。
俺と20センチ以上も差がありその大き目の服は、かなりぶかぶかだがそれ故にきっちり太ももまで覆い隠していた。
細くてちっちゃい美少女がぶかぶかの服を着ているのが物凄く可愛い。
二―ハイソックスを履かせれば、純白の絶対領域を作り出し俺は歩行が困難になることうけあいだ。
改めてさっき抱きしめたことを考えるやばいくらいだしな。
「ディアって意外とおちゃめさんなんだな。とりあえず……」
と俺が口にしている最中に、グルルルァ、と聞き覚えのある遠吠えが聞こえてくる。
嫌な予感が再度急速に高まる。
「あ、やべぇ! ディア! こっちだ!」
俺はディアの細い胴を抱えてエネルギー弾を断絶した中に跳び込んだ。
瞬間、三度目となる破壊の閃光が俺たちのいた場所を消し飛ばす。
衝撃や暴風、音の振動すら遮るのか、俺たちのところには何も届いていないが見える光景だけは別。
恐怖を根源から叩き起こすようなそんな白亜の波動が、俺たちの眼前一メートル程の地点に降り注いだのだから。
「こ、こえぇ……。なんだこれ……。あほか……」
大丈夫だと分かっていても俺の心臓の鼓動は荒れ狂う。
けれどそれは次の瞬間に消え去った。
いや、消え去ったとは違う。
別の理由で塗り替えられたと言ったほうがいいだろう。
恐怖と勢いから転げ俺の上に乗っかる様に佇んでいたディアが、俺の唇を塞いできたのだから。
顎を両手で抱えられ唇と唇が触れ合うだけの子供のようなキス。
けれど、それでも、俺にとってはファーストキスだったわけで。
頭の中が破裂しそうになるくらいわけわからなくなったわけで。
「あり、がと……。ごほうび……だよ」
俺の上で穏やかに笑うディアが落ちかけた陽光を背に受けて、まるで天使のように思えた。
頭がまるでショートしたかのように弾け、何も考えることができぬまま、思わずディアが飲み込まれた閃光に向かって駆け出していた。
やはりというか災禍の爪痕が途切れていた場所で、エネルギーの塊は爆散し無数の光芒を辺りにまき散らす。
だが、そんなことは全く関係がない。
ディアは明らかにその手前で飲み込まれたのだから。
「ディアーーーーー!!」
今まで生きてきた中で最も大きな声が喉から飛び出したと思う。
まるで俺の生命力を音に変えたようなそんな大声。
モンスターに聞こえるかもしれないなんて考えは、まるで頭をよぎらなかった。
凶悪な球体により巨大なクレーターを作り出し大量の砂煙が巻き上げられている。
先ほどの煙爆弾の罠の土バージョン、いや、それよりもさらに膨大な量の砂塵風だ。
俺の目に砂埃が入ってくるが、それとは別の理由で俺の目からは涙が溢れていた。
短い時間。
会ったばかりの正直得体がしれないと思っていた少女。
それでも俺はディアに恋していたんだと思う。
一目惚れ、というやつとは違う。
可愛いとは思うがタイプとは少し違った。
だが、そんなことは全く関係ない。
一緒にいて守りたいと感じていた。
一緒に同じ時間を共有したいと感じていた。
その先にどんな困難が待ち受けていようとも、異世界に来た以上それが俺の使命であり生きる理由なんだと理解していた。
それがもう終わってしまった?
こんなにも呆気なく?
なら、ディアじゃなくて俺が代わりになればよかったのに!
そんな思いを抱きながら、砂埃の中モンスターのいた場所を睨みつけるように目を向ける。
俺が死んだとしても、あいつだけは絶対殺してやる。
俺の胸中を殺意が埋め尽くす。
しかしその時。
砂埃が少しずつ薄れゆく中、俺の目に理解できない光景が飛び込んできた。
おそらくはディアがいた場所に、漆黒で光を全く通さない完全な球体が存在していたのだ。
理解できないがなんとなくわかる。中にディアがいるのだと。
俺の心に期待と歓喜が満ちる。
だが、まだ分からない。中にいるであろうディアが本当に無事なのかは、まだ……。
そう思った時その漆黒が見覚えのある何かと重なった気がした。
そう。確かディアが着ていた服がこんな光を全く通さない漆黒をしていたのだ。
闇夜のような一切合切を吸い込んでしまいそうな黒の服。
服が守ってくれたのだろうか、と思いながら駆けつけると徐々に漆黒の球体はその姿を薄れさせていく。
「レン、ジュ……。びっくり、した……。大きな声で呼ぶから……」
怪我一つない無事な姿。ディアが俺の事を驚いた様子で見つめていた。
俺は安堵から思わずディアの体を抱きしめる。
柔らかな細い体が俺に生きている温かみと脈動を伝えてくれた。
「レンジュ……?」
「うぅ。よかった、よかったよ! 俺、もう駄目かと思って…………」
ディアの腕がゆっくりと俺の背中に回る。拍動がさらに高まっていく。
穏やかなディアの声が俺の身に染みわたる。
「だい、じょーぶ……。だから、泣かないで……」
ごし、と目を擦ると腕についていた砂埃が目に入ったが、そんなことは気にならなかった。
抱きしめていた手を放し、改めてディアの無事な姿を確認したい。
そう思いながら視線を向けると、今までまるで気が付いていなかったが、ディアは漆黒の下着だけの姿に変わり果てていた。
長い髪の毛はアニメのようにうまく体を隠していたりはしない。
もっとも下着だけは上も下もしっかりつけている状態だが。
そんなディアを抱きしめていたかと思うと、耳まで熱が上り詰める。
「ご、ごめん、えと、どうして……」
「レンジュ、えっち……。みちゃ、だめ……」
ディアもそれに気付いたのか小さな手で体を隠そうとするが、まるで意味をなしていない。
「す、すまん! …………これを着てくれ!」
後ろを向くと、俺の着ていた服を脱ぎ手渡した。
上半身裸になってしまうがディアが下着姿のままよりは余程いい。
細い体はウエストも腰回りも細いのだが、胸だけはしっかり主張していてやたらと扇情的なのだ。
後ろを振り向き待つ事一分。
「もう、いいよ……。こっち、向いても……」
その言葉に振り向くとディアはまだ着替えなど全くしておらず、胸の前で俺の服を吊るしていた。
「うそだよ……。レンジュの、えっち……」
「うぉーい!」
俺は大慌てで背中を向ける。心臓が破裂するかのように高鳴る。
騙されてしまったがディアの細いウエストラインとか見えて心臓が高鳴る。
一体どういうつもりなのかは分からないが……やばい、俺、幸せだと感じている?
ディアのキャラがまるで掴めない。
クスクスと小さな笑い声が背中越しに聞こえる。
まさか小悪魔系?
俺を惚れさせようとしているのなら、効果はてきめん過ぎるほどにてきめんだ。
おかしい。俺はこんな年下に翻弄されるような男じゃなかったというのに。
「ふふ……。もう、いいよ……」
「ほんとにほんとだな? もし着てなかったら襲うからな!」
「だ、じょーぶ……だよ。レンジュかわいい」
俺は女の子に可愛いと言われたことなんてなかったし、可愛いと呼ばれて嬉しがるような趣味もないと思っていた。
けれど、なぜこんなに嬉しい気持ちになるのだろうか?
これが恋だとするのであれば、今まで好きになった女の子に感じていたのはなんだったのだろうか……。
まるで別物。けれど、心の底から望ましい感覚に包まれていた。
ずっとこんなやり取りをしていたい。
そんな気持ちが沸いたが、俺たちは未だ戦場に立っているのだという事実が俺の脳裏を揺らす。
振り向かない俺をもどかしく思ったのか、俺の背筋をつつっと指でなぞられる。
ぞわりと体が震えたが、それすら心地よいと思いつつ振り向くとディアはちゃんと服を着ていた。
安心感から小さく息が漏れる。
ディアの身長は大体150センチ程。
俺と20センチ以上も差がありその大き目の服は、かなりぶかぶかだがそれ故にきっちり太ももまで覆い隠していた。
細くてちっちゃい美少女がぶかぶかの服を着ているのが物凄く可愛い。
二―ハイソックスを履かせれば、純白の絶対領域を作り出し俺は歩行が困難になることうけあいだ。
改めてさっき抱きしめたことを考えるやばいくらいだしな。
「ディアって意外とおちゃめさんなんだな。とりあえず……」
と俺が口にしている最中に、グルルルァ、と聞き覚えのある遠吠えが聞こえてくる。
嫌な予感が再度急速に高まる。
「あ、やべぇ! ディア! こっちだ!」
俺はディアの細い胴を抱えてエネルギー弾を断絶した中に跳び込んだ。
瞬間、三度目となる破壊の閃光が俺たちのいた場所を消し飛ばす。
衝撃や暴風、音の振動すら遮るのか、俺たちのところには何も届いていないが見える光景だけは別。
恐怖を根源から叩き起こすようなそんな白亜の波動が、俺たちの眼前一メートル程の地点に降り注いだのだから。
「こ、こえぇ……。なんだこれ……。あほか……」
大丈夫だと分かっていても俺の心臓の鼓動は荒れ狂う。
けれどそれは次の瞬間に消え去った。
いや、消え去ったとは違う。
別の理由で塗り替えられたと言ったほうがいいだろう。
恐怖と勢いから転げ俺の上に乗っかる様に佇んでいたディアが、俺の唇を塞いできたのだから。
顎を両手で抱えられ唇と唇が触れ合うだけの子供のようなキス。
けれど、それでも、俺にとってはファーストキスだったわけで。
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