のんびりダンジョン経営してたら億万長者になりました。

こたつぬこ

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006.一室の主です。

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 どうやらキャルアは、両親に持たされたお金を使い切ってしまったらしく、結構な崖っぷちに立たされている状況だったらしい。
 勿論、本当ならだけれど、それを判断する術を僕は持っていない。

 お金がないから頼れる人を探していたのかな、と思ったが、困っている人がいるなら僕は助けたいと感じている。

 ピュイは街の様子なんかも詳しいらしく、今夜の宿を決め今はそこに向かって歩いているところだ。

 ダンジョンの入口を閉じればスライムを枕にして寝れそうだけど、下が岩だし布団もない。
 僕はそれでも大丈夫だけれど、流石に女の子はそういうわけにはいかないだろう。

「ピュイはしっしと言いましたですけど、ちょうど良かったかもしれないのです!」

 無骨な鎧を着こんだ偉丈夫や、精彩な軽装鎧を着こなした女性に、異世界感を感じていると腕の中からピュイが小声で話しかけてきた。

「ちょうど良かったって、キャルアのこと?」

「はい、そうなのです! ご主人様はダンジョンと共に成長していくのです! それにはダンジョンを体験して貰う人が必要なのです!」

「仲間が必要ってこと? 一般の人じゃ駄目なの?」

「どちらも必要なのです! 一般の人は大まかな意見しか分からないのです! でも、仲間なら本気で考えてくれるのです!」

 今までの人生で仲間と呼べる人とは巡り合ったことはない。
 友達も僕がいじめられていると知ったら、距離を置いて離れていった。

 正直言って人は怖い。

 怖くないと思えるのは動物だけ。
 だから、ピュイが付いてきてくれるのが凄く嬉しかったし、ありがたかった。
 もし、僕一人でここに叩き込まれていたら、暗い穴蔵の中で震えたまま果てていたかもしれない。

 キャルアも獣人とはいえ正直な話怖い。
 いつ裏切られるんじゃないかと思うだけで心の臓の鼓動が速くなる。

 けれど、それでも、困っている人は見捨てることはしたくなかった。
 それをすると、僕がいじめられているのを周りで見ていた傍観者と同じになってしまうから。

「キャルアって、剣振ったりとか戦ったりってできるの?」

「あ、えとえと、一応少しならできるです」

 自信なさげに目線をさまよわせたが、まるきり腰の剣は飾りという事ではないよう。

(ま、出来なくても一緒に成長すればいいよね)

 自分もまだまだずぶの素人。
 ダンジョンマスターといっても、一部屋にスライムが三匹湧き続けるだけのダンジョンの主。
 一国一城の主って言葉があるけれど、これじゃ一室の主。
 本当にただの引きこもりだ。

(部屋からはちゃんと出てきたけどね)

 そんな風に考える小さく笑いが零れ、ピュイとキャルアが訝しむような眼を向けてくる。

「ごめん、何でもないよ」

 それだけいうとピュイは目を瞑り、キャルアは視線を前に向けた。
 いつも孤独だなと感じていたけれど、これが仲間というものなのかなと思って、少しだけ心の隙間が埋まったような気がした。
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