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020.キャルアは純粋です。
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「ほんと、ありがとうです。でも、怪我したらムサシにおんぶしてもらえるなら、また怪我するくらい頑張るのです」
「や、やめてよ。結構、おも……大変だったんだから。それに、キャルアが怪我してるとこ見たくないよ」
はにかみながら宿屋のベッドに座り、言ってきたキャルアだったが、流石にその言葉には許容できないものがある。
女の子が怪我をしているとこなんて見たくないのだ。
(重いって言葉は女性には絶対言っちゃ駄目って本で読んだことがある。危ない危ない、真綿で自分の首を絞めるところだ)
そう思いつつ、やはりというか自分の感情が変化していることに再度気付く。
(以前なら、怪我してるとこなんて見たくないとは思ってなかったかな)
現在は二つあるベッドのもう一方に腰を下ろし、その膝の上ではピュイが丸まっている。
けれど、離れてしまったとはいえ、キャルアをおぶってきたときの温もりと良い匂いが頭に残って離れなかった。
「そうですね。ご迷惑をかけしてしまいましたから」
シュンと肩を落とし項垂れる。
「あ、いや、ちがうよ。迷惑なんかじゃないよ。迷惑なんかじゃない、ん、だ、けどさ。キャルアが傷ついているとこを単純に見たくないというか、なんというか、その……」
口にすると顔が僅かに熱を帯びたような気がした。
キャルアの顔もほんのりと赤く染まっていて……。
なんとなくこそばゆくて、照れくさくて、恥ずかしかった。
「ま、まあいいよ。うん。キャルアが頑張ってくれるのは嬉しいからさ。けど、あまり無理しないでねってこと」
「分かりましたです。無理しないように無理するのです」
ま、それでいいか、と思いつつ話題を変えることにした。
「そういえば、荷物重くない? 僕が持っといてあげようか? それとも、すぐ売りに行っちゃう?」
キャルアが背中に背負うカバンは入手した素材でパンパンになりかけている。
勿論、というか大猪の毛皮といったところでその体積分の毛皮があるわけではない。
そんなもの簡単に持てるはずがない。
50センチ四方程の毛皮。肉も一キロほどの塊だ。
カバンの中でどうしまっているかは知らないが、肉の汁が出たり、スライムゼリーで濡れたりしている様子はない。
モンスター産のアイテムは、表面を魔法のような物で包まれているらしく、アクティブ化しないとその効果を発揮しないようだ。
荷物をキャルアに持たせたままだったのにも理由はある。
それは、キャルアが自分で倒し入手したものだから。
いくらアイテムボックスがあるからと言って、まだ出会って間もない相手に渡すのは嫌な気持ちを持たせてしまうのではないかと考えたのだ。
(まだまだ僕も心を許せているわけではないってことかな)
そう思うと若干寂しさを感じるが、急激に人は変われない。
それでも、一歩ずつ前には進んでいる。そんな気は確かにしている。
「ムサシ荷物持って重くないです? もし重くないなら持って欲しいです。もう次が持てなくなってしまったのです」
「重くないよ、全く重くない。売ってお金に変わったらキャルアに返すから」
「別にいらないのです。ここのお金もムサシに出してもらいましたです。キャルアは必要な分だけ頂けたらそれでいいです」
「え、そ、それは……」
キャルアの言葉をそのまま捉えれば、僕にとって都合がよすぎる言葉。
お金の切れ目は縁の切れ目って言葉があるけれど、それを最初から取り払ってしまおうという事に等しい。
キャルアの本当の気持ちも考えも分からないけれど、悪感情を持たれていたり、策謀が裏にあるとしたらそれはダンジョンコンソールで分かっていたこと。
つまり、キャルアは本心からこの言葉を言っている。
あまりに都合がいいこの言葉に断る理由はない。
あるとするならばそれは、
(もしかして……責任をとるようなことに……)
ということであるが、嬉しそうに耳をヒョコヒョコ動かしながら笑いかけてくるキャルアを見て、それならそれで悪くないかなと感じていた。
「や、やめてよ。結構、おも……大変だったんだから。それに、キャルアが怪我してるとこ見たくないよ」
はにかみながら宿屋のベッドに座り、言ってきたキャルアだったが、流石にその言葉には許容できないものがある。
女の子が怪我をしているとこなんて見たくないのだ。
(重いって言葉は女性には絶対言っちゃ駄目って本で読んだことがある。危ない危ない、真綿で自分の首を絞めるところだ)
そう思いつつ、やはりというか自分の感情が変化していることに再度気付く。
(以前なら、怪我してるとこなんて見たくないとは思ってなかったかな)
現在は二つあるベッドのもう一方に腰を下ろし、その膝の上ではピュイが丸まっている。
けれど、離れてしまったとはいえ、キャルアをおぶってきたときの温もりと良い匂いが頭に残って離れなかった。
「そうですね。ご迷惑をかけしてしまいましたから」
シュンと肩を落とし項垂れる。
「あ、いや、ちがうよ。迷惑なんかじゃないよ。迷惑なんかじゃない、ん、だ、けどさ。キャルアが傷ついているとこを単純に見たくないというか、なんというか、その……」
口にすると顔が僅かに熱を帯びたような気がした。
キャルアの顔もほんのりと赤く染まっていて……。
なんとなくこそばゆくて、照れくさくて、恥ずかしかった。
「ま、まあいいよ。うん。キャルアが頑張ってくれるのは嬉しいからさ。けど、あまり無理しないでねってこと」
「分かりましたです。無理しないように無理するのです」
ま、それでいいか、と思いつつ話題を変えることにした。
「そういえば、荷物重くない? 僕が持っといてあげようか? それとも、すぐ売りに行っちゃう?」
キャルアが背中に背負うカバンは入手した素材でパンパンになりかけている。
勿論、というか大猪の毛皮といったところでその体積分の毛皮があるわけではない。
そんなもの簡単に持てるはずがない。
50センチ四方程の毛皮。肉も一キロほどの塊だ。
カバンの中でどうしまっているかは知らないが、肉の汁が出たり、スライムゼリーで濡れたりしている様子はない。
モンスター産のアイテムは、表面を魔法のような物で包まれているらしく、アクティブ化しないとその効果を発揮しないようだ。
荷物をキャルアに持たせたままだったのにも理由はある。
それは、キャルアが自分で倒し入手したものだから。
いくらアイテムボックスがあるからと言って、まだ出会って間もない相手に渡すのは嫌な気持ちを持たせてしまうのではないかと考えたのだ。
(まだまだ僕も心を許せているわけではないってことかな)
そう思うと若干寂しさを感じるが、急激に人は変われない。
それでも、一歩ずつ前には進んでいる。そんな気は確かにしている。
「ムサシ荷物持って重くないです? もし重くないなら持って欲しいです。もう次が持てなくなってしまったのです」
「重くないよ、全く重くない。売ってお金に変わったらキャルアに返すから」
「別にいらないのです。ここのお金もムサシに出してもらいましたです。キャルアは必要な分だけ頂けたらそれでいいです」
「え、そ、それは……」
キャルアの言葉をそのまま捉えれば、僕にとって都合がよすぎる言葉。
お金の切れ目は縁の切れ目って言葉があるけれど、それを最初から取り払ってしまおうという事に等しい。
キャルアの本当の気持ちも考えも分からないけれど、悪感情を持たれていたり、策謀が裏にあるとしたらそれはダンジョンコンソールで分かっていたこと。
つまり、キャルアは本心からこの言葉を言っている。
あまりに都合がいいこの言葉に断る理由はない。
あるとするならばそれは、
(もしかして……責任をとるようなことに……)
ということであるが、嬉しそうに耳をヒョコヒョコ動かしながら笑いかけてくるキャルアを見て、それならそれで悪くないかなと感じていた。
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