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028.どうなるでしょうか。
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(5000は少し高いかな……)
と思ったが、宝箱の中身の価値次第で変わることだろう。
それを知ることは現状ではできない。
当たり外れのあるくじ引き屋。
それがどれだけ人を引き付けるかは言うまでもない話。
(全部当たりなら嬉しいけど、それだとお店は儲からないし、おそらく当たりの物はしょぼくなるはず)
宝箱の内容と確率変数はコンソールを使ってもいじることが出来ないようなので、ズルのし過ぎはできない。
それでも、例えば宝箱を得るだけのダンジョンを作ることも出来るし、モンスターだけのダンジョンにすることも出来る。
(色々考えてるとワクワクするな)
そう思いながらダンジョンを出て、僕は一度キャルアのいる部屋に戻ることにした。
「あ! ムサシ! 戻ってきてくれたんですか! キャルア暇で暇で……、ムサシにずっと会いたかったんです」
ドアを開けた瞬間、大きな猫耳を立てながらの嬉しそうな言葉が僕の胸を揺すった。
多分他意はないのだろうけれど、物凄く直接的な言葉に聞こえてむず痒い。
勿論嬉しい。
自分が必要とされる。
僕にとってそれは、今もっとも手離したくない宝物のような欲求。
それでも僕には恋愛感情というものは、まだ理解の範疇にない。
(もしかしたら、今キャルアを見て感じるドキドキが、それに当たるのかもしれないけど……)
分からない。考えても分からない。
なぜなら今までにそう言った経験が一度もないから。
誰かを本気で好きになったことなんて一度もなかったから。
「薬買ってきたよ。僕もキャルアの元気そうな顔見てホッとしたよ」
薬を取り出してキャルアの足に貼ってやった。
僅かに青みがかってほんのり熱を帯びたその足首に。
「ひぅ。冷たいです。けど……なんだかじんわり芯があったまるような感じがするです」
「そうなんだ? 効きそうかな? 雑貨屋ではこれ貼って一晩寝れば治ると思うって言われたけどね」
「分からないです。でもでも、ムサシがキャルアのために買ってきてくれたんです。効くに決まってるです」
僕が選んだわけでも、僕が作ったわけでもない。
それでも笑顔を零す煌めかせるキャルアに、不必要なことを口にしないほうがいいのは僕でもわかる。
僕が薬を買ってきた。それを貼ってあげた。キャルアがそれで喜んだ。
これだけで十分な話だ。
「そろそろお腹空いたでしょ? 一緒に食べようと思って色々買ってきたんだ」
キャルアの言葉に笑顔を返し、街で買ってきたカットしたパンや肉、色とりどりの野菜を、これでもかといわんばかりの黄金色の輝きを放つチーズに泳がせた物(300コリア×2)と昨日買った 串焼肉を四本ほど皿に出した。
アイテムボックスに熱々のものを放り込んでいるので、冷めたり劣化することはせず水霧の白煙が立ち昇り、部屋を食欲をそそる香りが覆う。
「わわわ。これ、美味しそうです!」
目をらんらんと輝かせ、はむはむと頬を膨らませる。
女性はチーズと焼き芋に目がないって聞いたことがあったからなんとなく買ってみたけれど、どうやら正解のよう。
カロリーは絶対高いし、ちょっと飽きやすい味に感じたが、たまにならありだろう。
獣人の味覚と食生活は僕には分からない。
けれど、キャルアを見ている感じでは僕たちと差異はないような雰囲気だ。
食文化が同じという事が、僕とキャルアが近しい存在にあたるんだなと考えることができて、また一つ心と心の距離が狭まった気がした。
と思ったが、宝箱の中身の価値次第で変わることだろう。
それを知ることは現状ではできない。
当たり外れのあるくじ引き屋。
それがどれだけ人を引き付けるかは言うまでもない話。
(全部当たりなら嬉しいけど、それだとお店は儲からないし、おそらく当たりの物はしょぼくなるはず)
宝箱の内容と確率変数はコンソールを使ってもいじることが出来ないようなので、ズルのし過ぎはできない。
それでも、例えば宝箱を得るだけのダンジョンを作ることも出来るし、モンスターだけのダンジョンにすることも出来る。
(色々考えてるとワクワクするな)
そう思いながらダンジョンを出て、僕は一度キャルアのいる部屋に戻ることにした。
「あ! ムサシ! 戻ってきてくれたんですか! キャルア暇で暇で……、ムサシにずっと会いたかったんです」
ドアを開けた瞬間、大きな猫耳を立てながらの嬉しそうな言葉が僕の胸を揺すった。
多分他意はないのだろうけれど、物凄く直接的な言葉に聞こえてむず痒い。
勿論嬉しい。
自分が必要とされる。
僕にとってそれは、今もっとも手離したくない宝物のような欲求。
それでも僕には恋愛感情というものは、まだ理解の範疇にない。
(もしかしたら、今キャルアを見て感じるドキドキが、それに当たるのかもしれないけど……)
分からない。考えても分からない。
なぜなら今までにそう言った経験が一度もないから。
誰かを本気で好きになったことなんて一度もなかったから。
「薬買ってきたよ。僕もキャルアの元気そうな顔見てホッとしたよ」
薬を取り出してキャルアの足に貼ってやった。
僅かに青みがかってほんのり熱を帯びたその足首に。
「ひぅ。冷たいです。けど……なんだかじんわり芯があったまるような感じがするです」
「そうなんだ? 効きそうかな? 雑貨屋ではこれ貼って一晩寝れば治ると思うって言われたけどね」
「分からないです。でもでも、ムサシがキャルアのために買ってきてくれたんです。効くに決まってるです」
僕が選んだわけでも、僕が作ったわけでもない。
それでも笑顔を零す煌めかせるキャルアに、不必要なことを口にしないほうがいいのは僕でもわかる。
僕が薬を買ってきた。それを貼ってあげた。キャルアがそれで喜んだ。
これだけで十分な話だ。
「そろそろお腹空いたでしょ? 一緒に食べようと思って色々買ってきたんだ」
キャルアの言葉に笑顔を返し、街で買ってきたカットしたパンや肉、色とりどりの野菜を、これでもかといわんばかりの黄金色の輝きを放つチーズに泳がせた物(300コリア×2)と昨日買った 串焼肉を四本ほど皿に出した。
アイテムボックスに熱々のものを放り込んでいるので、冷めたり劣化することはせず水霧の白煙が立ち昇り、部屋を食欲をそそる香りが覆う。
「わわわ。これ、美味しそうです!」
目をらんらんと輝かせ、はむはむと頬を膨らませる。
女性はチーズと焼き芋に目がないって聞いたことがあったからなんとなく買ってみたけれど、どうやら正解のよう。
カロリーは絶対高いし、ちょっと飽きやすい味に感じたが、たまにならありだろう。
獣人の味覚と食生活は僕には分からない。
けれど、キャルアを見ている感じでは僕たちと差異はないような雰囲気だ。
食文化が同じという事が、僕とキャルアが近しい存在にあたるんだなと考えることができて、また一つ心と心の距離が狭まった気がした。
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