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第八夜 事件考察
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「緒方さんに会うのは、半年ぶりくらいでしょうか。久しぶりですね」
バーのテーブル席で、誘がカクテルから口を離して言った。こういう場へ来るためか、彼女はいつものセーラー服ではなく、黒のブラウスに白いロングスカートという出で立ちをしている。服装のせいか普段よりも大人びており、可愛らしさよりも美しさが際立って見えた。
「お前が宗谷に会うのもこれで三度目。うちに来てからもう一年経つのか」
「結構経ちましたね。というか一年。一条さんに依頼をしてから一年も経ったんですか。……まるで進展がありませんね。そこのところ、どう思ってるんですか、一条さん? わたし、依頼人じゃなくて、従業員になってしまったんですけど」
誘の呆れるような眼差しから眼を逸らし、一条はウイスキーを呑んだ。
紫堂家の事件解決が一向に進まないことは申し訳なく思うが、灯籠堂の従業員になったことについては完全に誘の意志なので、その点について心は痛まない。
早く宗谷来ないかなぁと思いながら酒を呑んでいると、テーブルへ近づく足音が聞こえた。
全身黒のスーツに縁なしの眼鏡をした男が、テーブルの椅子に手をかけた。
緒方宗谷。神祇省外法対策局の局員にして、かつて一条の同僚だった男だ。
「久しぶりだな、一条。仕事の方は順調か?」
宗谷は椅子に座ると、ネクタイを少し緩めた。鋭い眼差しのためか、こんな場所でもこの男は怜悧な印象を与える。
「全然順調じゃありませんよ。わたしの依頼、一年も経ってるのに進展ないんですよ」
「首狩り事件は、局の方でも中々捜査が進んでないからね。やはり、修祓社だけで解決するのは、中々難しいんじゃないか、一条」
「ノーコメントで」一条は誤摩化すようにウイスキーを一口啜った。
すでに一年経ってる上、もうほぼ身内同然とはいえ、依頼人の前で悪いコメントは控えたい。
首狩り事件は、一条が誘と出逢うきっかけになった事件だ。
二年前、神田川の河川敷で首のない二つの遺体が見つかった。
検死の結果、その遺体の身元が明らかとなり、呪術社会に関わる人間は皆驚愕した。
死体は紫堂公彦と紫堂秋水、誘の実家の当主と、その次期当主のものだったからだ。
紫堂公彦は、日本全土を怪異から守る五法曼荼羅の製作を中心的に指導していた男だ。
呪術と怪異を秘匿するための五つの曼荼羅のうち、ひとつはこの男が作ったと言っても良い代物だ。現在の呪術社会の基盤を築いた人物とも言えるため、彼の死を惜しむ人間も多かった。
そうした影響力のある人物であったため、対策局もかなりの人員を割いて、事件の捜査を行った。だが半年以上が経過しても、捜査はまるで進展しなかった。
なくなった首は何処を捜しても見つからず、殺害現場である台東区のマンションまで辿るも、現場には公彦と秋水の二人しかいなかったと証明されるだけ。
時間だけが過ぎ、捜査は徐々に縮小していった。
そんな事件に一条が一枚嚙むことになったのは、公彦ではなく、次期当主である紫堂秋水と関わりがあったからだ。彼は一条の大教院時代の学友で、友人といえる関係でこそなかったが、互いに正反対の人間性であったため意識はしていた。
そのため一条は首狩り事件に興味を持ち、個人で調査を始めることにしたのだ。灯籠堂を興してからまだそれほど経っていない、仕事が少ない時期だったからこそ出来たことだった。
その過程で、秋水の実家である紫堂家の屋敷を訪れた。山奥のさびれた村に佇む屋敷で、その屋敷が管理する祠で、一条は紫堂誘と出逢ったのだ。
正確には、彼女の元となった存在に。
注文したカクテルを一口呑むと、宗谷は言った。
「けど、まさか依頼をしてそのまま事務所に居着くとはな。なんでそんなことになったんだ」
「そこはまぁ流れと良いますか。やっぱり公彦たちの問題は解決したいですし、それにこんな機会、早々ないですからね」誘は楽しげにカクテルを呑んだ。
「それより宗谷、頼んだものは持ってきたのか。昔話も良いが、そっちの方が重要だ」
「そうだったな」宗谷は鞄からA4サイズの封筒を出し、そのなかから数枚の写真をテーブルの上に置いた。「これが頼まれた資料だ」
写真に写っているのは、鼠や蛇といった様々な形の動物だ。どの写真にも共通しているのは、被写体がすべて肉を固めて造られたような不出来な肉人形ということだ。蓮司を追っていた怪異と写真の被写体は酷く似通っていた。
一条が宗谷にこの資料を頼んだのは、過去にこの獣の話を耳にしたことがあったからだ。
「怪異の発生は二年ほど前。面倒なことに全国各地に出没してるんだが、驚いたことに実際の被害はないに等しい」
「ないって、実体を持つほどの怪異なのにか」
一条は純粋に驚いた。普通、実体のある怪異は、霊体の怪異よりも多くのエネルギーを使うため、ものによっては人間を補食することさえあるからだ。
「発生範囲が全国でってのも、どう考えても異常だろ。二年も前に発生してるのに、神祇省は何の対策もしてないのか?」
「調査も駆除もしてるさ。だが、根本となる発生原因が未判明なせいで、対処しきれてないのが現状だ。実際に表に出て来てる怪異は、恐らく樹の枝みたいなものだ。大元を処理しない限りいつまでも発生する」
「二年も経ってるんだ。少しはコイツの正体もわかってるんだろ」
「そうだな。はっきりとわかってるのは、この怪異を形作る素材が、鼠や鴉といった動物の死骸だということ、怪異を形作る法則のなかにの術に近い秩序が見られることだ」
「なら、この怪異は在り方としては屍鬼に近いということですか」誘が表情を強張らせた。
屍鬼とは、生物の死骸を繋ぎ合わせることで造られる式神のことだ。
元々は呪術ではなく、妖術の類いで、鬼たちが身の回りの世話をさせる小間使いを造るために用いていた。術式の成立自体は古く、平安初期の絵巻物語や説話集にもその存在は記されている。
誘が表情を強張らせたのは、彼女の家がこの屍魂の術に深く関わりを持つ家だからだ。
紫堂家は、人間にとっての屍魂の術の開祖ともいえる家だ。彼らの初代当主である呪術師が京都の朱雀門の鬼に弟子入りすることで、その技術が人の世界に広まった。そのせいで、当時の平安には少なくない悪影響があり、初代当主は都を追放されることにもなった。
宗谷は誘の問いに頷くと、続きを口にした。
「怪異の構成秩序に屍魂の術が関わっていることから、便宜上、この怪異は屍獣と呼ばれている。発生が広範囲なこと、怪異を形作る法則に呪術の術式が多少なりとも関わっていることから、怪異調査部の連中は屍獣の発生原因は五法曼荼羅のバグなのではと疑っているんだが……」
「まだ証拠が見つかってないわけだな。霊地計画局は動いてないのか? 曼荼羅の管理は連中の仕事だろ」
「動いてはいるが、後回しにされているのが現状だ。五法曼荼羅は機能が次々に拡張されてるし、管理に費やされる
人材も多い。実害が出ていない以上は優先順位が低いというわけだ」
一条はグラスに口をつけながら、蓮司を襲った屍獣のことを考えた。
神祇省が対処を後回しにするほど害のない怪異。だがその怪異が、昨日、ひとりの少年へ牙を向けた。これまで怪異が自発的に動かなかったことを考えると、それを操る何者かがいたと考える方が順当だろう。
無害とはいえ実体のある怪異。それもそれなりの数を利用出来るとなれば、即席の使い魔としてはこれ以上ないほどに打ってつけだろう。問題はどんな動機で屍獣を利用し、蓮司を襲わせたかだ。彼の家庭がなんらかの怪異に取り憑かれていることも考えると、呪術師が何かの目的のために彼の家に干渉していると考えた方が良いかもしれない。
他の考えも聞きたいと思い、一条は誘に問いかけた。
「誘、何か意見あるか。一応このキモいの、お前の後輩みたいなもんなんだろ」
「なっ、こんな美感に欠けるものと一緒にしないでください! わたしの体は完璧です! 醜さなんて欠片もない肢体、きめ細やかな絹のような肌、わたしは屍獣と違って、どの角度から照らしても可愛くて美人な乙女なんですからね」
「はいはいわぁーったよ。で、その可愛くて美人な誘さんの意見は」
「そうですね」誘は写真に顔を向けた。「実物を見ないとはっきりとは言えませんが、なんというか、話を聞く限り、都合が良すぎると思うんですよね。人間にとって」
「都合が良い、か。確かにそうだな。人畜無害だが、いざとなれば使い魔として利用しやすく、オマケに数は無尽蔵。筋繊維の集合体みたいなもんだから、体の形も自由自在ときてる」
「なら紫堂さんは、屍獣が自然発生ではなく、人為的に造られた怪異だと思ってるのか」
「そこまではまだ。ただ、そう考える方がわたしにとっては自然かなって」
もし誘の言う通り、この怪異が人為的なものなら、怪異調査部の疑念通り、五法曼荼羅が関わっているだろう。あれは日本全土に敷かれているから、日本中に怪異を発生させようと思うなら、土台として使いやすい曼荼羅を利用した方が時間も資金も短縮出来る。
そうなるとこの怪異を発生させた候補には、霊地計画局の呪術師が真っ先に上がってくる。曼荼羅を管理する立場の彼らは、最もそれに手を加えやすい環境にいる。
そこまで考えていた所で、思考に割り込むようにして綾人の声が響いた。
念話による救援だ。何者かの襲撃を受けているらしい。
灯籠堂の面々は、縁を繋いで、いつでも情報を共有出来るようにしている。霊力消費と互いの思考を阻害しないよう、基本的には携帯で済ませているのだが、緊急時にはこうして頭のなかに直接声がかけられる。
身内の危機を認識した瞬間、一条はすぐに立ち上がり、テーブルに食事代を置いた。
「悪いな。急用が出来た。話の続きはまた今度で良いか?」
「構わない。それより急ぐのは良いが資料を忘れるな。そのために来たんだから」
状況を察してくれたのか、宗谷の対応は早い。
彼から屍獣の資料を受け取ると、一条は誘を連れて、綾人の所へ向かった。
バーのテーブル席で、誘がカクテルから口を離して言った。こういう場へ来るためか、彼女はいつものセーラー服ではなく、黒のブラウスに白いロングスカートという出で立ちをしている。服装のせいか普段よりも大人びており、可愛らしさよりも美しさが際立って見えた。
「お前が宗谷に会うのもこれで三度目。うちに来てからもう一年経つのか」
「結構経ちましたね。というか一年。一条さんに依頼をしてから一年も経ったんですか。……まるで進展がありませんね。そこのところ、どう思ってるんですか、一条さん? わたし、依頼人じゃなくて、従業員になってしまったんですけど」
誘の呆れるような眼差しから眼を逸らし、一条はウイスキーを呑んだ。
紫堂家の事件解決が一向に進まないことは申し訳なく思うが、灯籠堂の従業員になったことについては完全に誘の意志なので、その点について心は痛まない。
早く宗谷来ないかなぁと思いながら酒を呑んでいると、テーブルへ近づく足音が聞こえた。
全身黒のスーツに縁なしの眼鏡をした男が、テーブルの椅子に手をかけた。
緒方宗谷。神祇省外法対策局の局員にして、かつて一条の同僚だった男だ。
「久しぶりだな、一条。仕事の方は順調か?」
宗谷は椅子に座ると、ネクタイを少し緩めた。鋭い眼差しのためか、こんな場所でもこの男は怜悧な印象を与える。
「全然順調じゃありませんよ。わたしの依頼、一年も経ってるのに進展ないんですよ」
「首狩り事件は、局の方でも中々捜査が進んでないからね。やはり、修祓社だけで解決するのは、中々難しいんじゃないか、一条」
「ノーコメントで」一条は誤摩化すようにウイスキーを一口啜った。
すでに一年経ってる上、もうほぼ身内同然とはいえ、依頼人の前で悪いコメントは控えたい。
首狩り事件は、一条が誘と出逢うきっかけになった事件だ。
二年前、神田川の河川敷で首のない二つの遺体が見つかった。
検死の結果、その遺体の身元が明らかとなり、呪術社会に関わる人間は皆驚愕した。
死体は紫堂公彦と紫堂秋水、誘の実家の当主と、その次期当主のものだったからだ。
紫堂公彦は、日本全土を怪異から守る五法曼荼羅の製作を中心的に指導していた男だ。
呪術と怪異を秘匿するための五つの曼荼羅のうち、ひとつはこの男が作ったと言っても良い代物だ。現在の呪術社会の基盤を築いた人物とも言えるため、彼の死を惜しむ人間も多かった。
そうした影響力のある人物であったため、対策局もかなりの人員を割いて、事件の捜査を行った。だが半年以上が経過しても、捜査はまるで進展しなかった。
なくなった首は何処を捜しても見つからず、殺害現場である台東区のマンションまで辿るも、現場には公彦と秋水の二人しかいなかったと証明されるだけ。
時間だけが過ぎ、捜査は徐々に縮小していった。
そんな事件に一条が一枚嚙むことになったのは、公彦ではなく、次期当主である紫堂秋水と関わりがあったからだ。彼は一条の大教院時代の学友で、友人といえる関係でこそなかったが、互いに正反対の人間性であったため意識はしていた。
そのため一条は首狩り事件に興味を持ち、個人で調査を始めることにしたのだ。灯籠堂を興してからまだそれほど経っていない、仕事が少ない時期だったからこそ出来たことだった。
その過程で、秋水の実家である紫堂家の屋敷を訪れた。山奥のさびれた村に佇む屋敷で、その屋敷が管理する祠で、一条は紫堂誘と出逢ったのだ。
正確には、彼女の元となった存在に。
注文したカクテルを一口呑むと、宗谷は言った。
「けど、まさか依頼をしてそのまま事務所に居着くとはな。なんでそんなことになったんだ」
「そこはまぁ流れと良いますか。やっぱり公彦たちの問題は解決したいですし、それにこんな機会、早々ないですからね」誘は楽しげにカクテルを呑んだ。
「それより宗谷、頼んだものは持ってきたのか。昔話も良いが、そっちの方が重要だ」
「そうだったな」宗谷は鞄からA4サイズの封筒を出し、そのなかから数枚の写真をテーブルの上に置いた。「これが頼まれた資料だ」
写真に写っているのは、鼠や蛇といった様々な形の動物だ。どの写真にも共通しているのは、被写体がすべて肉を固めて造られたような不出来な肉人形ということだ。蓮司を追っていた怪異と写真の被写体は酷く似通っていた。
一条が宗谷にこの資料を頼んだのは、過去にこの獣の話を耳にしたことがあったからだ。
「怪異の発生は二年ほど前。面倒なことに全国各地に出没してるんだが、驚いたことに実際の被害はないに等しい」
「ないって、実体を持つほどの怪異なのにか」
一条は純粋に驚いた。普通、実体のある怪異は、霊体の怪異よりも多くのエネルギーを使うため、ものによっては人間を補食することさえあるからだ。
「発生範囲が全国でってのも、どう考えても異常だろ。二年も前に発生してるのに、神祇省は何の対策もしてないのか?」
「調査も駆除もしてるさ。だが、根本となる発生原因が未判明なせいで、対処しきれてないのが現状だ。実際に表に出て来てる怪異は、恐らく樹の枝みたいなものだ。大元を処理しない限りいつまでも発生する」
「二年も経ってるんだ。少しはコイツの正体もわかってるんだろ」
「そうだな。はっきりとわかってるのは、この怪異を形作る素材が、鼠や鴉といった動物の死骸だということ、怪異を形作る法則のなかにの術に近い秩序が見られることだ」
「なら、この怪異は在り方としては屍鬼に近いということですか」誘が表情を強張らせた。
屍鬼とは、生物の死骸を繋ぎ合わせることで造られる式神のことだ。
元々は呪術ではなく、妖術の類いで、鬼たちが身の回りの世話をさせる小間使いを造るために用いていた。術式の成立自体は古く、平安初期の絵巻物語や説話集にもその存在は記されている。
誘が表情を強張らせたのは、彼女の家がこの屍魂の術に深く関わりを持つ家だからだ。
紫堂家は、人間にとっての屍魂の術の開祖ともいえる家だ。彼らの初代当主である呪術師が京都の朱雀門の鬼に弟子入りすることで、その技術が人の世界に広まった。そのせいで、当時の平安には少なくない悪影響があり、初代当主は都を追放されることにもなった。
宗谷は誘の問いに頷くと、続きを口にした。
「怪異の構成秩序に屍魂の術が関わっていることから、便宜上、この怪異は屍獣と呼ばれている。発生が広範囲なこと、怪異を形作る法則に呪術の術式が多少なりとも関わっていることから、怪異調査部の連中は屍獣の発生原因は五法曼荼羅のバグなのではと疑っているんだが……」
「まだ証拠が見つかってないわけだな。霊地計画局は動いてないのか? 曼荼羅の管理は連中の仕事だろ」
「動いてはいるが、後回しにされているのが現状だ。五法曼荼羅は機能が次々に拡張されてるし、管理に費やされる
人材も多い。実害が出ていない以上は優先順位が低いというわけだ」
一条はグラスに口をつけながら、蓮司を襲った屍獣のことを考えた。
神祇省が対処を後回しにするほど害のない怪異。だがその怪異が、昨日、ひとりの少年へ牙を向けた。これまで怪異が自発的に動かなかったことを考えると、それを操る何者かがいたと考える方が順当だろう。
無害とはいえ実体のある怪異。それもそれなりの数を利用出来るとなれば、即席の使い魔としてはこれ以上ないほどに打ってつけだろう。問題はどんな動機で屍獣を利用し、蓮司を襲わせたかだ。彼の家庭がなんらかの怪異に取り憑かれていることも考えると、呪術師が何かの目的のために彼の家に干渉していると考えた方が良いかもしれない。
他の考えも聞きたいと思い、一条は誘に問いかけた。
「誘、何か意見あるか。一応このキモいの、お前の後輩みたいなもんなんだろ」
「なっ、こんな美感に欠けるものと一緒にしないでください! わたしの体は完璧です! 醜さなんて欠片もない肢体、きめ細やかな絹のような肌、わたしは屍獣と違って、どの角度から照らしても可愛くて美人な乙女なんですからね」
「はいはいわぁーったよ。で、その可愛くて美人な誘さんの意見は」
「そうですね」誘は写真に顔を向けた。「実物を見ないとはっきりとは言えませんが、なんというか、話を聞く限り、都合が良すぎると思うんですよね。人間にとって」
「都合が良い、か。確かにそうだな。人畜無害だが、いざとなれば使い魔として利用しやすく、オマケに数は無尽蔵。筋繊維の集合体みたいなもんだから、体の形も自由自在ときてる」
「なら紫堂さんは、屍獣が自然発生ではなく、人為的に造られた怪異だと思ってるのか」
「そこまではまだ。ただ、そう考える方がわたしにとっては自然かなって」
もし誘の言う通り、この怪異が人為的なものなら、怪異調査部の疑念通り、五法曼荼羅が関わっているだろう。あれは日本全土に敷かれているから、日本中に怪異を発生させようと思うなら、土台として使いやすい曼荼羅を利用した方が時間も資金も短縮出来る。
そうなるとこの怪異を発生させた候補には、霊地計画局の呪術師が真っ先に上がってくる。曼荼羅を管理する立場の彼らは、最もそれに手を加えやすい環境にいる。
そこまで考えていた所で、思考に割り込むようにして綾人の声が響いた。
念話による救援だ。何者かの襲撃を受けているらしい。
灯籠堂の面々は、縁を繋いで、いつでも情報を共有出来るようにしている。霊力消費と互いの思考を阻害しないよう、基本的には携帯で済ませているのだが、緊急時にはこうして頭のなかに直接声がかけられる。
身内の危機を認識した瞬間、一条はすぐに立ち上がり、テーブルに食事代を置いた。
「悪いな。急用が出来た。話の続きはまた今度で良いか?」
「構わない。それより急ぐのは良いが資料を忘れるな。そのために来たんだから」
状況を察してくれたのか、宗谷の対応は早い。
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