短編集

えんじぇる

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学校の王子様系DK×ちょっと口悪不良(優しい)なDK 風邪

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朝起きたら、なんか全身がぼーっとして、急にベッドの生ぬるさがむずむずした。窓を開けるといつもより重たく感じて、朝特有の冷たく柔らかな風が気持ちよくて、うっとりと空を眺めていた。

ピーッ

『風邪…まじかよ』

馬鹿は風邪を引かないという噂もだが、風邪を引いたことに気付かないという噂はソースどこだよ、ったく。

それより、さっきからマホがひっきりなしに鳴っているのが気になりすぎる。

てかうるせぇ、誰だよ。こんな朝から迷惑も考えずに連絡してくるやつなんて数えても1人しかいないが、念の為とスマホを開く。

【高橋】

>今日届けたいものがあるんだけど、家行っていいかな? 既読

高橋 奏たかはし かなで。普段なら誰彼構わず勝手に家に入ってくるくせに今日はやけに慎重そうだ。渡したいものってなんだよ、AVか?
てか誰も家いねえんだから好き勝手入れよ今まで通り、きもいな…

バカに磨きがかかった頭で考えをまとめようとするのが愚かなもので、俺の頭は自然と枕の方へ沈んでいく。てか、学校に連絡しねえと。

一人暮らしの弊害がここで出るなんて思ってなかった為、鎧を背負った騎士並に重たくなった身体を踏ん張り、俺は学校の連絡先を見つけに行った。

『熱ってこんなにつれぇのか…』

久々に患ったもので、すっかりこの倦怠感の感触を忘れていた。てか圧倒的に体の弱い妹の面倒をみてることが多かったので、むしろ自分の熱には疎い。どう対処すればいいかなんて知らず、薬と食いもん頼るしかねえ。

『(くっそ…今日スーパー行こうとしてたのに)』

都合悪く、特売の日なのだ今日は。

別に家計が苦しいなんてことはない。むしろ両親が自由にお金を使いまくるので心配になるくらいだ。子供に水のように金を使いやがるから説教してもしたりない。

どうすんだよ、花梨(妹)が金目的で近寄られたら…なんて、兄心をよそに、頭と体は完全に分離していく。

身体は水や固形物を欲し、お腹もぐるぐると言っているのに、今何か食べたら戻す気がしてる。それで食べるのもったいねえよな。

『寝てりゃ治るか』

再びベッドに戻ろうとすると、玄関からカチャリと金属と金属のぶつかる音がした。やっと来たのか、遅ぇ。

てかマスクしなきゃな、移すとわりぃし。

ゆたか!おはよう、調子はどう?って…珍しく着替えてないね、学校お休み?」

『いちいちうるせぇ、頭に響く。』

ギロリと睨んでもあいつが顔をしかめることなく、むしろ喜んだように顔を綻ばせる。まじで狂ってやがるこいつ、5年以上傍にいるくせに全然掴めねぇ。

「もしかして…風邪?」

『だから学校行ってろ』

物は置いてけ、と足で床を指しベッドに戻ろうとした。が、不意に引っ張られ途端にバランスを崩した。

『うぉ、!?』

「だめだよ優、僕を頼んなきゃ。何か買ってくるものは?冷蔵庫見るね」

居座る気なのか、スクバを置いて「移してくれたほうが優は辛くないけど、そんなことしたら怒るだろうからマスクするね」なんて断りを入れてマスクをした。

それでも隠しきれないキラキラオーラが眩しくなって、投げ飛ばしたくなった。薔薇出すなしまえ、俺は学校の女子とちげぇんだぞ。

『なんもねぇよ!てか、お前さっさと学校行け、単位落ちるだろ!!』

「なあに?僕の心配してくれてるのゆーちゃん。大丈夫だよ、普段からサボってないし一日くらい。」

こいつ本当に俺と同じ人種か?宇宙人って言われても信じるくらいには今頭が可笑しいし、こいつの理解能力が心配になっている。

『ちげぇ、だからそういっ…んぐ、』

途端に襲う吐き気と目眩に、俺は一瞬ふらつき目の前にいるこいつにもたれ掛かる。

「ほら、具合悪いでしょ。ベッド戻る?」

『っ…』

やべぇ、もう無理かも。離せって言いたいのに、口からは逆流するものの感触と匂いしかわからず、口が開けない。手で押してもぎゅっと抱き寄せられる。触んじゃねえ。

『んっ…ん゛ーっ、』

「…吐きそう?ゆーちゃん。」

『…』こくり

素直に頷くと、あいつは一瞬考え、制服を脱ぎ始めた。

『???』
 
奇行種だろ最早、てか辛いから早くトイレいかせろ。

「ほら、制服じゃないからここで吐いていいよ。もう多分歩けないでしょ?」


 

『(は?お前馬鹿か?)』


こいつほんとうに馬鹿か?
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