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Mission:インサイダー・パーティー
第41話:陰謀 ~居酒屋でやることじゃない~
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「株価を下げるって、具体的にどうするんですか?」
思わず尋ねた多賀に、いたずらっぽく章が目を細めた。
「タレコミだよ」
「ナオちゃんの?」
眼鏡の下で、納得がいったように目を細めた裕に章が頷いた。
「インフィニティは、ナオを焚きつけてタレコミをさせようとしたんだ。
『インサイダー取引が行われている』ってね。
本当にインサイダーがあるのかどうか、インフィニティ側が知ってたどうかはわからないけど。
けど、それが本当か嘘かは関係ない。噂が流れて一時的に株価が下がればそれでいいわけだ。
なんなら、タレコミなんて回りくどいことしなくたっていいんだよ。株価を下げる方法があれば」
「あ、ナオちゃんを焚きつけた場ってのが……」
「廣田とナオの後輩が見た『ナオの浮気現場』だな」
酒で赤くなった廣田の顔がまた歪む。
「なんでそれ知ってるんだ?」
廣田と同じく酒のせいで顔の赤い章は、けけけと笑うだけで答えなかった。
「とにかく、お前と別れたくないナオの必死の言い訳をきっかけに、お前はインフィニティの陰謀を知ったわけだ。そこでお前が考えたのはインフィニティを踊らせること。違う?」
章は、廣田の答えを待つ前に、息を吸って言葉をつなぐ。
「そうすることで、ナオにタレコミをさせて、ナオを通じて警察の動向を知りつつ、インフィニティの動向を知れる、と僕は察してる」
「もういいだろ」
目を細かく揺れ動かしながら廣田が吐き捨てる。
あ、これは自供しかけだ、と多賀の頬が緩みかけた時、章がさらにたたみかけた。
「よくない。とりあえず一通り言わせて」
廣田の目に絶望が見えたのは多賀の気のせいだろうか。
「ナオからタレコミしたと聞いたインフィニティは、これから株価が落ちるだろうと察して
買収に向けて本格的に動いた。
買収発表後に、インサイダー疑惑が湧いても、インフィニティには大きなダメージはないから今がチャンスと思ったんだろうな。結果、今日発表したわけだ。最悪、買収中止にしてもいい」
「……うちを買ってくれる企業をそんなに悪く言わないでくれる?」
「すまないけど、事実だからなぁ。
とにかく、お前は、アライヴが買収中止にもならず、買い叩かれることもない道を選んだ。
それは、賢い選択だよ。でも、今までやってきた横領と粉飾決算はダメだ」
何も飲んではいないのに、ごくり、と廣田は喉を鳴らした。
「どこから、そんな事情と情報を仕入れてきたんだ?」
「言えない!」
いっそ章は朗らかである。
「……なんか言い忘れてるような気もするけど、まあいい。このあと、どういう対応するかは、廣田に任せる」
「対応?」
「こいつ警察官なんだよね」
章は多賀を指差した。質問に全く答えていない。
「僕が今言ったこと、全部警察に伝わってると思ってね。
それを踏まえて、どういう対応をするか。それは廣田に任せるよ」
伝票を手に取り、すっと立ち上がった章に続いて、裕と多賀が慌てて立ち上がる。
裕は気まずそうに、廣田に小さく手を振った。
「ほんと、章って変なやつだよなぁ」
廣田はどこかおっとりした声で優しく呟く。
彼はタキシードのジャケットを整えた(居酒屋が背景でなければ、本当に決まった姿なのだが)。
大股で伊勢兄弟の横を歩き去る時に章の手から伝票を引き抜いた廣田は、およそ犯罪者とは思えない気品ある笑顔をこちらに向けた。
「またな」
廣田は手早く代金をカードで支払って(居酒屋が背景でなければ、本当に決まった姿なのだが)、もう顔を見せずに駅へと向かった。
思わず尋ねた多賀に、いたずらっぽく章が目を細めた。
「タレコミだよ」
「ナオちゃんの?」
眼鏡の下で、納得がいったように目を細めた裕に章が頷いた。
「インフィニティは、ナオを焚きつけてタレコミをさせようとしたんだ。
『インサイダー取引が行われている』ってね。
本当にインサイダーがあるのかどうか、インフィニティ側が知ってたどうかはわからないけど。
けど、それが本当か嘘かは関係ない。噂が流れて一時的に株価が下がればそれでいいわけだ。
なんなら、タレコミなんて回りくどいことしなくたっていいんだよ。株価を下げる方法があれば」
「あ、ナオちゃんを焚きつけた場ってのが……」
「廣田とナオの後輩が見た『ナオの浮気現場』だな」
酒で赤くなった廣田の顔がまた歪む。
「なんでそれ知ってるんだ?」
廣田と同じく酒のせいで顔の赤い章は、けけけと笑うだけで答えなかった。
「とにかく、お前と別れたくないナオの必死の言い訳をきっかけに、お前はインフィニティの陰謀を知ったわけだ。そこでお前が考えたのはインフィニティを踊らせること。違う?」
章は、廣田の答えを待つ前に、息を吸って言葉をつなぐ。
「そうすることで、ナオにタレコミをさせて、ナオを通じて警察の動向を知りつつ、インフィニティの動向を知れる、と僕は察してる」
「もういいだろ」
目を細かく揺れ動かしながら廣田が吐き捨てる。
あ、これは自供しかけだ、と多賀の頬が緩みかけた時、章がさらにたたみかけた。
「よくない。とりあえず一通り言わせて」
廣田の目に絶望が見えたのは多賀の気のせいだろうか。
「ナオからタレコミしたと聞いたインフィニティは、これから株価が落ちるだろうと察して
買収に向けて本格的に動いた。
買収発表後に、インサイダー疑惑が湧いても、インフィニティには大きなダメージはないから今がチャンスと思ったんだろうな。結果、今日発表したわけだ。最悪、買収中止にしてもいい」
「……うちを買ってくれる企業をそんなに悪く言わないでくれる?」
「すまないけど、事実だからなぁ。
とにかく、お前は、アライヴが買収中止にもならず、買い叩かれることもない道を選んだ。
それは、賢い選択だよ。でも、今までやってきた横領と粉飾決算はダメだ」
何も飲んではいないのに、ごくり、と廣田は喉を鳴らした。
「どこから、そんな事情と情報を仕入れてきたんだ?」
「言えない!」
いっそ章は朗らかである。
「……なんか言い忘れてるような気もするけど、まあいい。このあと、どういう対応するかは、廣田に任せる」
「対応?」
「こいつ警察官なんだよね」
章は多賀を指差した。質問に全く答えていない。
「僕が今言ったこと、全部警察に伝わってると思ってね。
それを踏まえて、どういう対応をするか。それは廣田に任せるよ」
伝票を手に取り、すっと立ち上がった章に続いて、裕と多賀が慌てて立ち上がる。
裕は気まずそうに、廣田に小さく手を振った。
「ほんと、章って変なやつだよなぁ」
廣田はどこかおっとりした声で優しく呟く。
彼はタキシードのジャケットを整えた(居酒屋が背景でなければ、本当に決まった姿なのだが)。
大股で伊勢兄弟の横を歩き去る時に章の手から伝票を引き抜いた廣田は、およそ犯罪者とは思えない気品ある笑顔をこちらに向けた。
「またな」
廣田は手早く代金をカードで支払って(居酒屋が背景でなければ、本当に決まった姿なのだが)、もう顔を見せずに駅へと向かった。
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