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Mission:大地に光を
第54話:崇高 ~修行なんてやりたくない~
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「学歴も高くて、今まではちやほやされたかもしれないけど、ここでは違うよ。社会というものをしっかり学んでもらわなきゃ」
富士は反学歴主義だというのは以前から聞いていた。
三嶋の学歴は高学歴と思われている。三嶋は鼻から長く息を吐き出した。
前期で東大に落ち、後期でなんとか引っかかった大学に進学した三嶋を、三嶋自身は全く高学歴とは思っていなかった。父親には直球で罵られ、自分など眼中にない東大の兄、そしてやたら慰めてくる周囲の中で大学生活を送った三嶋に、もはや学歴面で自尊心はなかった。
さて、富士は果たして自分の発言がばからしい偏見であることも気づかないようなボンクラなのか、いや、わざとにすら思えてきた。それに……。
「君は、どうしてうちの団体に興味を持ってくれたんだい?」
三嶋は軽く一礼して、用意してきた答えをぺらぺらと答える。
「以前まで広告代理店に勤務していたのですが、そこで同僚が若くして突然にガンが見つかり、闘病の末に亡くなったんです。どうしてもそのことが忘れられなくて……。彼女との別れを諦めきれなかったときに、教団の教えに出会いました」
大嘘もいいところである。三嶋は広告代理店の内定は取ったが、就職先は警察なので当然勤務などしていない。同僚という名の恋人を失ったかのように言っているが、実際は既婚者である。
「そうか、大変だったね。人間は生きている間にたくさんの罪を重ね、死ぬことでそれが浄化されるわけだけれど、修行によって徳を積むことで生と死の境目を薄くすることができる。我々と一緒に修行を行おう」
別に死に興味などないのだが、三嶋は目を潤ませて何度も頷き、大きく頭を下げる演技をした。
「彼女が君の世話係だから、分からないことはなんでも聞けばいい」
いつの間にか、富士の話はここでの生活の話になっていた。直前に何か言っていたようだが、悶々としているうちに聞き逃した。失態である。
「ありがとうございます」
恭しく礼をしてごまかす。教祖様に似つかわしくない世話の焼きっぷりだ。
その後、畳にしゃがんでいる三嶋をよそに、富士と辻は何やら専門用語を使って話し込んでいた。幹部補佐と教祖の間の会話だから本当は覚えておきたいところだが、スーツケースを取り上げられて録音機材が失われた今、それは不可能に近いことである。
「実際に幹部候補生として活動してもらうのは少し先になると思うねん。それまでは、私と一緒に慣れていこうな」
富士との話を終え、地上への階段を登りながら辻が優しく声をかけた。
富士は反学歴主義だというのは以前から聞いていた。
三嶋の学歴は高学歴と思われている。三嶋は鼻から長く息を吐き出した。
前期で東大に落ち、後期でなんとか引っかかった大学に進学した三嶋を、三嶋自身は全く高学歴とは思っていなかった。父親には直球で罵られ、自分など眼中にない東大の兄、そしてやたら慰めてくる周囲の中で大学生活を送った三嶋に、もはや学歴面で自尊心はなかった。
さて、富士は果たして自分の発言がばからしい偏見であることも気づかないようなボンクラなのか、いや、わざとにすら思えてきた。それに……。
「君は、どうしてうちの団体に興味を持ってくれたんだい?」
三嶋は軽く一礼して、用意してきた答えをぺらぺらと答える。
「以前まで広告代理店に勤務していたのですが、そこで同僚が若くして突然にガンが見つかり、闘病の末に亡くなったんです。どうしてもそのことが忘れられなくて……。彼女との別れを諦めきれなかったときに、教団の教えに出会いました」
大嘘もいいところである。三嶋は広告代理店の内定は取ったが、就職先は警察なので当然勤務などしていない。同僚という名の恋人を失ったかのように言っているが、実際は既婚者である。
「そうか、大変だったね。人間は生きている間にたくさんの罪を重ね、死ぬことでそれが浄化されるわけだけれど、修行によって徳を積むことで生と死の境目を薄くすることができる。我々と一緒に修行を行おう」
別に死に興味などないのだが、三嶋は目を潤ませて何度も頷き、大きく頭を下げる演技をした。
「彼女が君の世話係だから、分からないことはなんでも聞けばいい」
いつの間にか、富士の話はここでの生活の話になっていた。直前に何か言っていたようだが、悶々としているうちに聞き逃した。失態である。
「ありがとうございます」
恭しく礼をしてごまかす。教祖様に似つかわしくない世話の焼きっぷりだ。
その後、畳にしゃがんでいる三嶋をよそに、富士と辻は何やら専門用語を使って話し込んでいた。幹部補佐と教祖の間の会話だから本当は覚えておきたいところだが、スーツケースを取り上げられて録音機材が失われた今、それは不可能に近いことである。
「実際に幹部候補生として活動してもらうのは少し先になると思うねん。それまでは、私と一緒に慣れていこうな」
富士との話を終え、地上への階段を登りながら辻が優しく声をかけた。
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