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Mission:白の慟哭
第157話:未練 ~公務員は副業できない~
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「警察官だと!?」
ポスターの中で微笑む男、こいつはただのモデルとしての仕事の可能性もあるが、春日弟の職業が副業できない公務員となれば話は変わる。公務員がモデルの仕事をするのはあり得ない。
そうなると、確実にこの男は警察官だ。
澤田の顔色が目に見えて変わった。
瞬間、澤田に合わせるかのように取り巻く女たちが醸し出す空気も一変した。
「このタイミングでの新規客が警察官か……」
いくら有名人である春日英一の弟だからといって、そう簡単に油断をする澤田ではない。以前には家宅捜索もされているし、先日には寵愛していた東が逮捕されている。警察の差し金だと疑わない方がどうかしていた。
これで澤田にもう少し知識があれば、県警が警視庁管轄の案件に口を出すことはないから、と油断しそうなものだが、澤田にはそこまでの発想はなかった。自然、警察の捜査を強く疑っていた。
「明らかに怪しい男だから切ってもいいが……」
今ここで連絡を絶てば、春日英一の弟、もとい警察官の可能性が高い男がこちらに接触することはない。絶対的にローリスクだ。
だが、春日を切り捨てるという決断がすぐにはできなかった。
理由は一つ、澤田の手元に東がいないからだった。
器量が良く、自分の言うことを聞き、そしてそれなりに売れている。
澤田は東を利用してSOxを売り出すこともあったし、営業先の開拓にも利用した。面倒な仕事ばかりで多忙である彼も、覚醒剤があればすぐに黙る。
売れっ子の東は澤田にとって便利で貴重な存在だった。それだけに、突然の逮捕は大きな痛手だった。
春日をこのまま東の代わりにできないか。澤田はそう考えていた。
SOxが売れつつあるおかげで、自分も春日弟をデビューさせようと思えばデビューさせられるだけの地位になった。人気俳優・春日英一の弟として売り出せば、すぐにある程度のメディア露出は稼げるだろうし、外見は兄に並ぶレベルだ。
ひとつ気になるところがあるとするなら、公務員は副業できないということか。それは、春日弟が芸能活動に見切りをつけたということを示している。
だが道はある。春日兄弟は元子役、つまり、人生の半分以上を芸能活動と共に生きてきた人間だ。そんな人間が、そう簡単に夢を諦められるわけがない。しかも兄は売れっ子俳優、身近にアメリカンドリームを掴んだ人間がいる。
現にこうして、警察官募集ポスターのモデルなどというチンケな仕事を引き受けているじゃないか。公務員のくせに、芸能界に見切りをつけられていない春日の未練がビシビシと伝わってくる。
何より、もしこの男が警察の手先だったとした場合、澤田側に引き入れることができたら、警察の情報はこちらに筒抜けとなって、永遠に警察から逃げることができる。
「アヤナ、よくやったな。良い情報だ」
澤田は胸ポケットから白い粉が入ったビニール袋を手渡す。彼女は大喜びで袋を鞄にしまう。澤田はこのように、小分けにした覚醒剤でメンバーの身も心も支配していた。
「こいつを次のパーティに呼べ。何が何でもこいつにミントを打つ」
ポスターの中の春日の微笑が、どこか妖艶に見えた。リスクを冒してでも欲しい、と思わせる外見が春日にはあった。それが情報課の人間の底力なのだと、澤田はまだ知らない。
そして、春日もまた、自分が警察官だと相手方に割れていることを知らない。
ポスターの中で微笑む男、こいつはただのモデルとしての仕事の可能性もあるが、春日弟の職業が副業できない公務員となれば話は変わる。公務員がモデルの仕事をするのはあり得ない。
そうなると、確実にこの男は警察官だ。
澤田の顔色が目に見えて変わった。
瞬間、澤田に合わせるかのように取り巻く女たちが醸し出す空気も一変した。
「このタイミングでの新規客が警察官か……」
いくら有名人である春日英一の弟だからといって、そう簡単に油断をする澤田ではない。以前には家宅捜索もされているし、先日には寵愛していた東が逮捕されている。警察の差し金だと疑わない方がどうかしていた。
これで澤田にもう少し知識があれば、県警が警視庁管轄の案件に口を出すことはないから、と油断しそうなものだが、澤田にはそこまでの発想はなかった。自然、警察の捜査を強く疑っていた。
「明らかに怪しい男だから切ってもいいが……」
今ここで連絡を絶てば、春日英一の弟、もとい警察官の可能性が高い男がこちらに接触することはない。絶対的にローリスクだ。
だが、春日を切り捨てるという決断がすぐにはできなかった。
理由は一つ、澤田の手元に東がいないからだった。
器量が良く、自分の言うことを聞き、そしてそれなりに売れている。
澤田は東を利用してSOxを売り出すこともあったし、営業先の開拓にも利用した。面倒な仕事ばかりで多忙である彼も、覚醒剤があればすぐに黙る。
売れっ子の東は澤田にとって便利で貴重な存在だった。それだけに、突然の逮捕は大きな痛手だった。
春日をこのまま東の代わりにできないか。澤田はそう考えていた。
SOxが売れつつあるおかげで、自分も春日弟をデビューさせようと思えばデビューさせられるだけの地位になった。人気俳優・春日英一の弟として売り出せば、すぐにある程度のメディア露出は稼げるだろうし、外見は兄に並ぶレベルだ。
ひとつ気になるところがあるとするなら、公務員は副業できないということか。それは、春日弟が芸能活動に見切りをつけたということを示している。
だが道はある。春日兄弟は元子役、つまり、人生の半分以上を芸能活動と共に生きてきた人間だ。そんな人間が、そう簡単に夢を諦められるわけがない。しかも兄は売れっ子俳優、身近にアメリカンドリームを掴んだ人間がいる。
現にこうして、警察官募集ポスターのモデルなどというチンケな仕事を引き受けているじゃないか。公務員のくせに、芸能界に見切りをつけられていない春日の未練がビシビシと伝わってくる。
何より、もしこの男が警察の手先だったとした場合、澤田側に引き入れることができたら、警察の情報はこちらに筒抜けとなって、永遠に警察から逃げることができる。
「アヤナ、よくやったな。良い情報だ」
澤田は胸ポケットから白い粉が入ったビニール袋を手渡す。彼女は大喜びで袋を鞄にしまう。澤田はこのように、小分けにした覚醒剤でメンバーの身も心も支配していた。
「こいつを次のパーティに呼べ。何が何でもこいつにミントを打つ」
ポスターの中の春日の微笑が、どこか妖艶に見えた。リスクを冒してでも欲しい、と思わせる外見が春日にはあった。それが情報課の人間の底力なのだと、澤田はまだ知らない。
そして、春日もまた、自分が警察官だと相手方に割れていることを知らない。
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