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Mission:白の慟哭
第158話:招待 ~先手が勝つとは限らない~
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澤田との五回目の取引を終えた頃、SOxのメンバーの一人から連絡があった。
実際には相手の素性などわからないが、東に見せたところ、彼は恐らくメンバーだと言う。澤田の元でずっと手駒として動いていた彼が言うのなら、きっとそうなのだろう。
先方からのメールは、いつものような短い文章ではなかった。普段は薬物と金のやりとりの方法を簡潔に記しているだけのメールである。
しかし今回は今までとまるで異なる長文だ。画面をスクロールするなんて初めてだった。日時、場所、内容、注意事項、持ち物、事細かく記されている。
春日は白い歯を見せて静かに微笑んだ。
間違いない。澤田本人が出てくる、覚醒剤パーティーへの招待状だ。
パーティーへの招待は、春日がずっと待ち望んでいたことだった。それは春日が澤田と対面できる、唯一の場所だからでもあり、澤田の懐に入る最大のチャンスだからでもある。
そろそろ覚悟を決める段階に入っている。心が躍る一方でざわつき、足が震えるのを感じた。
客側ではなくミントを売る側だった東曰く、それくらい取引して澤田の信用を掴んでから、ようやくパーティーに招かれるのだという。時期的にも妥当な誘いだ。
澤田の懐に入るには、パーティーへの潜入は必須である。そしてそのリスクは甚大で、リスクを完全に避ける方法はない。章たちに反対されるだけの理由は確かにあった。
目の前の白い粉を見る。買ったところで使うわけがないので、粉は買った分だけそのまま情報課の机の中に仕舞われていた。ある意味最も安全な隠し場所である。
このたった五つの袋に入っている粉の総量は、十グラムにも満たない。しかしこの量の薬でも、澤田は何人もの人生を狂わせることができる。
そしてその対象が自分になるかもしれない。緊張を抱えながら春日はメールボックスを開く。先方からのメールは、内容は真っ黒でも、澤田やSOxという名前は当然のように一言も出てこない。サイバー課に問い合わせてみても、アドレスの発信者は赤の他人の名義を借りていて、とても澤田に辿りつけなかった。
やからこそ面白いんや。
春日は舌なめずりをして返信ボタンを押す。
澤田のドラッグパーティーはなんでもござれだというのが東の話だった。最も即効性があり、効果の高い注射をはじめとし、吸引だの錠剤だの、とにかく覚醒剤を大量に使うパーティーだ。部屋の中には当然覚醒剤の煙が充満し、春日もそれを吸わざるを得ないのは確実だ。
今まで、急性覚醒剤中毒による死者が出なかったのが不思議だ、と春日は東の話を聞きながら思った。実は春日の知らないところで死んでいるのかもしれないが。
直接、覚醒剤の煙を吸うわけではないからダメージは少ないといえど、リスクは否めない。パーティーの実情を章たちに話すと止められるのは確実だ。だから章たちにはパーティーの詳細を隠さねばならない。つまり、情報課のメンバーのサポートは望めない。
金も設備もないぶん、助け合いを是としてきた情報課のメンバーとして状況は絶望的であった。
まあ何とかなるだろう。春日の長所は、章をも上回る楽観的性格である。突っ走ることができるというのは才能だ。それに、春日には隠し玉もある。
パーティーへのご招待、謹んでお受けいたします。
それだけ書いて、春日は送信ボタンを押した。それは澤田への餌でもあり、春日からの宣戦布告でもあった。
実際には相手の素性などわからないが、東に見せたところ、彼は恐らくメンバーだと言う。澤田の元でずっと手駒として動いていた彼が言うのなら、きっとそうなのだろう。
先方からのメールは、いつものような短い文章ではなかった。普段は薬物と金のやりとりの方法を簡潔に記しているだけのメールである。
しかし今回は今までとまるで異なる長文だ。画面をスクロールするなんて初めてだった。日時、場所、内容、注意事項、持ち物、事細かく記されている。
春日は白い歯を見せて静かに微笑んだ。
間違いない。澤田本人が出てくる、覚醒剤パーティーへの招待状だ。
パーティーへの招待は、春日がずっと待ち望んでいたことだった。それは春日が澤田と対面できる、唯一の場所だからでもあり、澤田の懐に入る最大のチャンスだからでもある。
そろそろ覚悟を決める段階に入っている。心が躍る一方でざわつき、足が震えるのを感じた。
客側ではなくミントを売る側だった東曰く、それくらい取引して澤田の信用を掴んでから、ようやくパーティーに招かれるのだという。時期的にも妥当な誘いだ。
澤田の懐に入るには、パーティーへの潜入は必須である。そしてそのリスクは甚大で、リスクを完全に避ける方法はない。章たちに反対されるだけの理由は確かにあった。
目の前の白い粉を見る。買ったところで使うわけがないので、粉は買った分だけそのまま情報課の机の中に仕舞われていた。ある意味最も安全な隠し場所である。
このたった五つの袋に入っている粉の総量は、十グラムにも満たない。しかしこの量の薬でも、澤田は何人もの人生を狂わせることができる。
そしてその対象が自分になるかもしれない。緊張を抱えながら春日はメールボックスを開く。先方からのメールは、内容は真っ黒でも、澤田やSOxという名前は当然のように一言も出てこない。サイバー課に問い合わせてみても、アドレスの発信者は赤の他人の名義を借りていて、とても澤田に辿りつけなかった。
やからこそ面白いんや。
春日は舌なめずりをして返信ボタンを押す。
澤田のドラッグパーティーはなんでもござれだというのが東の話だった。最も即効性があり、効果の高い注射をはじめとし、吸引だの錠剤だの、とにかく覚醒剤を大量に使うパーティーだ。部屋の中には当然覚醒剤の煙が充満し、春日もそれを吸わざるを得ないのは確実だ。
今まで、急性覚醒剤中毒による死者が出なかったのが不思議だ、と春日は東の話を聞きながら思った。実は春日の知らないところで死んでいるのかもしれないが。
直接、覚醒剤の煙を吸うわけではないからダメージは少ないといえど、リスクは否めない。パーティーの実情を章たちに話すと止められるのは確実だ。だから章たちにはパーティーの詳細を隠さねばならない。つまり、情報課のメンバーのサポートは望めない。
金も設備もないぶん、助け合いを是としてきた情報課のメンバーとして状況は絶望的であった。
まあ何とかなるだろう。春日の長所は、章をも上回る楽観的性格である。突っ走ることができるというのは才能だ。それに、春日には隠し玉もある。
パーティーへのご招待、謹んでお受けいたします。
それだけ書いて、春日は送信ボタンを押した。それは澤田への餌でもあり、春日からの宣戦布告でもあった。
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