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第3章
第166話
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オレの【投擲】した鉄球が、敵モンスターを襲う。
取り巻きモンスターの群れに次々と鉄球を投げつけ、魔法がメインのトロルメイジや、リザードマンメイジなどは、その一撃を急所に受けて呆気なく沈む。
残念ながら本命の相手にはそれほど当たらなかったのだが、まぁ……それは仕方ない。
異常なほどの瞬発力と敏捷性、さらには魔法反射能力に特化した相手だ。
いかに不意を突いたとは言え、そう簡単には当たらないだろう。
バンパイア?
ハナから無視だ。
真っ先に排除すべき相手は他にいる。
ミラークラブ……魔法を跳ね返すことに、その存在意義の全てを賭けたモンスターだ。
コイツらを排除しないことには、まともに戦えない。
初見はスタンピード後の第5層の階層ボス戦だったが、あの時は対処方法がすぐには見いだせずに、非常に苦労させられた相手だが……既に攻略方法は発見済みでもある。
鉄球は、もののついでというヤツだ。
オレが先制攻撃に魔法を用いなかったのは、コイツらが居たからで、このミラークラブをバンパイアが配置する可能性を薄々感じていたからこその判断ではある。
攻略法……取り巻きモンスターの中では動きの遅いミスリルゴーレムに駆け寄り、ゴーレムに向けて放った点火(ライターの火をいくらか強くした程度)の魔法なのだが、この場合の効果は抜群だ。
壁役であろう他のミスリルゴーレム、機械の女神、ブレードデビルや天使を、そして何よりバンパイアを、オレの魔法から守るべく配置された筈のミラークラブが、あっという間に点火の魔法に誘き寄せられ、次の瞬間オレの槍に纏めて刺し貫かれていく。
射程の長い魔法ではこうはいかない。
囮に使った点火の魔法は跳ね返って来たが、我慢できないほど熱いわけでも無かった。
いわゆるカタログスペックには記載されていないだろう弱点を晒したミラークラブに、それなりの期待を掛けていただろう吸血鬼は歯噛みして悔しがっているが、そうこうしている間に準備していた魔法が次々と取り巻きモンスターを減らしていく。
特に防御力で機械の女神と双璧を成す存在だろうミスリルゴーレムを、優先して魔法で倒す。
ミスリルゴーレムも魔法への抵抗力はそれなりだが、例えば同じ風の光輪の魔法でも今のオレの魔法行使能力をもってすれば、よほど相性の悪い相手以外ならアッサリと、まるで豆腐のように切り裂いてしまう。
初対戦時には、それぞれ非常に苦労して倒したファハンや天使、ブレードデビルをも、それぞれの属性の初級魔法が悠々と切り裂き、焼き尽くし、圧し潰していく。
あまりと言えばあまりな光景だ。
機械の女神に関してだけは魔法で倒すのに時間が掛かり過ぎるので、不慣れな剣を使って切り刻んでいく。
機械の女神の近接戦闘力は、ここに居る取り巻きモンスターの中では群を抜いているが、初対戦時に既に攻撃パターンは完全に見切っているし、あれから膨大な数のモンスターの存在力を喰らった今のオレとの間に生じた速度差は文字通り圧倒的なものだ。
あっという間に8本の腕を全て失い、立ち尽くす機械の女神を両断して、光に還すことに成功する。
開戦当初……数も質も相当なものを誇っていた取り巻きモンスターは結果だけ見れば、まだ埋めきれていなかったオレと吸血鬼の力の差を急速に埋めていく糧にしかなり得なかった。
もちろん、壁役のモンスターが倒されるのを黙って見ているほど敵も甘くは無かったが、それを跳ねのけて、ついにオレはダンジョン守護者のバンパイアと1対1の勝負に持ち込むことに成功する。
ファハンの投擲や、メイジ種のモンスターの魔法は再三再四オレを窮地に追い込んだし、壁役のモンスターの攻撃も苛烈なものでは有った。
特に吸血鬼の放つ上位の闇魔法は確かに厄介だったし、取り巻きモンスターを倒しきるまでの間にそれなりの傷を負ってもいる。
しかし、なぜか腐れバンパイアは途中からオレの魔力を奪い、自分の魔力に変える魔法をメインに使って来たため、体力的には最小限の消耗に留まる結果に終わった。
考え得る限り最良の状態で吸血鬼と向き合う。
しかし……こうして向き合ってみると、バンパイアから感じる圧力は、いまだにかなりの力の差があるだろうことをオレに教えてくれていた。
【危機察知】の警報はなりやまない。
……?
喰らったモンスターの数に比して、埋まっている筈の力量差が少ないような気がする。
……!
ヤツの狙いはこれか!
【存在強奪】で奪える筈の純粋化された魔力を、オレの身体能力に還元される前に横取りするための魔法だったわけだ。
……やられた。
これまでは間抜けな部分ばかりが目立っていた腐れバンパイアだが、こと魔力についての理解にはヤツに一日の長が有ったということになる。
オレの苦悶を感じ取ったのか、はたまた自らの狙いが成功したことに気付いたのか、厭らしい顔で嗤う吸血鬼……。
どうやら、簡単には勝たせて貰えないようだ。
ならば、もう一度この場を後にするか……?
いや、ダメだ。
ヤツとて、二度も同じ轍は踏まないだろう。
新たなモンスターを生むのを完全に止め、全ての魔素を自らの強化に充ててオレを待ち構える筈だ。
オレがちんたら他のダンジョンで力を蓄えている間に、バンパイアが手に負えない存在に化けていないとも限らない。
やはり……今、ここで決着をつけるしかないだろう。
取り巻きモンスターの群れに次々と鉄球を投げつけ、魔法がメインのトロルメイジや、リザードマンメイジなどは、その一撃を急所に受けて呆気なく沈む。
残念ながら本命の相手にはそれほど当たらなかったのだが、まぁ……それは仕方ない。
異常なほどの瞬発力と敏捷性、さらには魔法反射能力に特化した相手だ。
いかに不意を突いたとは言え、そう簡単には当たらないだろう。
バンパイア?
ハナから無視だ。
真っ先に排除すべき相手は他にいる。
ミラークラブ……魔法を跳ね返すことに、その存在意義の全てを賭けたモンスターだ。
コイツらを排除しないことには、まともに戦えない。
初見はスタンピード後の第5層の階層ボス戦だったが、あの時は対処方法がすぐには見いだせずに、非常に苦労させられた相手だが……既に攻略方法は発見済みでもある。
鉄球は、もののついでというヤツだ。
オレが先制攻撃に魔法を用いなかったのは、コイツらが居たからで、このミラークラブをバンパイアが配置する可能性を薄々感じていたからこその判断ではある。
攻略法……取り巻きモンスターの中では動きの遅いミスリルゴーレムに駆け寄り、ゴーレムに向けて放った点火(ライターの火をいくらか強くした程度)の魔法なのだが、この場合の効果は抜群だ。
壁役であろう他のミスリルゴーレム、機械の女神、ブレードデビルや天使を、そして何よりバンパイアを、オレの魔法から守るべく配置された筈のミラークラブが、あっという間に点火の魔法に誘き寄せられ、次の瞬間オレの槍に纏めて刺し貫かれていく。
射程の長い魔法ではこうはいかない。
囮に使った点火の魔法は跳ね返って来たが、我慢できないほど熱いわけでも無かった。
いわゆるカタログスペックには記載されていないだろう弱点を晒したミラークラブに、それなりの期待を掛けていただろう吸血鬼は歯噛みして悔しがっているが、そうこうしている間に準備していた魔法が次々と取り巻きモンスターを減らしていく。
特に防御力で機械の女神と双璧を成す存在だろうミスリルゴーレムを、優先して魔法で倒す。
ミスリルゴーレムも魔法への抵抗力はそれなりだが、例えば同じ風の光輪の魔法でも今のオレの魔法行使能力をもってすれば、よほど相性の悪い相手以外ならアッサリと、まるで豆腐のように切り裂いてしまう。
初対戦時には、それぞれ非常に苦労して倒したファハンや天使、ブレードデビルをも、それぞれの属性の初級魔法が悠々と切り裂き、焼き尽くし、圧し潰していく。
あまりと言えばあまりな光景だ。
機械の女神に関してだけは魔法で倒すのに時間が掛かり過ぎるので、不慣れな剣を使って切り刻んでいく。
機械の女神の近接戦闘力は、ここに居る取り巻きモンスターの中では群を抜いているが、初対戦時に既に攻撃パターンは完全に見切っているし、あれから膨大な数のモンスターの存在力を喰らった今のオレとの間に生じた速度差は文字通り圧倒的なものだ。
あっという間に8本の腕を全て失い、立ち尽くす機械の女神を両断して、光に還すことに成功する。
開戦当初……数も質も相当なものを誇っていた取り巻きモンスターは結果だけ見れば、まだ埋めきれていなかったオレと吸血鬼の力の差を急速に埋めていく糧にしかなり得なかった。
もちろん、壁役のモンスターが倒されるのを黙って見ているほど敵も甘くは無かったが、それを跳ねのけて、ついにオレはダンジョン守護者のバンパイアと1対1の勝負に持ち込むことに成功する。
ファハンの投擲や、メイジ種のモンスターの魔法は再三再四オレを窮地に追い込んだし、壁役のモンスターの攻撃も苛烈なものでは有った。
特に吸血鬼の放つ上位の闇魔法は確かに厄介だったし、取り巻きモンスターを倒しきるまでの間にそれなりの傷を負ってもいる。
しかし、なぜか腐れバンパイアは途中からオレの魔力を奪い、自分の魔力に変える魔法をメインに使って来たため、体力的には最小限の消耗に留まる結果に終わった。
考え得る限り最良の状態で吸血鬼と向き合う。
しかし……こうして向き合ってみると、バンパイアから感じる圧力は、いまだにかなりの力の差があるだろうことをオレに教えてくれていた。
【危機察知】の警報はなりやまない。
……?
喰らったモンスターの数に比して、埋まっている筈の力量差が少ないような気がする。
……!
ヤツの狙いはこれか!
【存在強奪】で奪える筈の純粋化された魔力を、オレの身体能力に還元される前に横取りするための魔法だったわけだ。
……やられた。
これまでは間抜けな部分ばかりが目立っていた腐れバンパイアだが、こと魔力についての理解にはヤツに一日の長が有ったということになる。
オレの苦悶を感じ取ったのか、はたまた自らの狙いが成功したことに気付いたのか、厭らしい顔で嗤う吸血鬼……。
どうやら、簡単には勝たせて貰えないようだ。
ならば、もう一度この場を後にするか……?
いや、ダメだ。
ヤツとて、二度も同じ轍は踏まないだろう。
新たなモンスターを生むのを完全に止め、全ての魔素を自らの強化に充ててオレを待ち構える筈だ。
オレがちんたら他のダンジョンで力を蓄えている間に、バンパイアが手に負えない存在に化けていないとも限らない。
やはり……今、ここで決着をつけるしかないだろう。
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