3 / 7
里中教諭
しおりを挟む
授業の終わりを告げる鐘の音が校内に鳴り響く。お昼時で空腹なこともあって、教室内の殆どの生徒がやっと授業終わったかという顔をしている。皆が机を囲って弁当を食べようと動くなか、小太郎は机に伏したままだった。
「小太郎、飯の時間だ。」
伏した小太郎の頭に、風呂敷で包まれた弁当をボンと置く義一。
「ああ、義一。もうお昼?」
「飯時だ。」
「凄いよく寝れたよ。天気が良いからかな。」
「いや、お前雨でも雪でも寝てるだろ。」
小太郎の机を囲って、2人は弁当を開く。
「おにぎり3つにお味噌汁とお茶。やっぱ昼飯はこれじゃないとな。」
「いつもそれで飽きないの?」
「健康極めたメニューだから良いんだよ。小太郎こそ、いつもコンビニのパンばかりじゃないか。」
「寝起きにはこれくらいが最適なんだよね。けど、さっきの時間は本当に眠かったよ。」
「里中もやるせないな。」
里中とは、先刻彼らが受けていた生物の授業を担当する教師である。授業の内容が生徒達の興味を惹かないのか、はたまた里中教諭のど真面目な性格が関係しているのか、授業中大半の生徒は夢の中に落ちている。
「そういえば義一、今日の里中いつもと何か違わなかった?」
「違う? 」
「違和感というか。いや、相変わらず眠くなるような授業してたんだけど。」
「いつも通り淡々とした感じの授業だったが…」
正直な所、義一は里中教諭があまり好きではなかった。彼に限らず、多くの生徒がそうであった。真偽の程を皆が知る所ではないが、里中には"女生徒に手を出した"という噂があった。里中には、普段から本音を上手く表現することが出来ないという一面があり、それ故に誤解を招くことも少なくなかった。それもあってか、多感な時期の高校生にとって里中は良くない意味で話題の中心となっており、いつからか真偽も確かめずに、"里中は女子に手を出した"という噂が流れていた。しかし、小太郎含め殆どの生徒が知らない中、この噂の真相を知る者達も少なからず居る。義一もその1人であった。
「小太郎、飯の時間だ。」
伏した小太郎の頭に、風呂敷で包まれた弁当をボンと置く義一。
「ああ、義一。もうお昼?」
「飯時だ。」
「凄いよく寝れたよ。天気が良いからかな。」
「いや、お前雨でも雪でも寝てるだろ。」
小太郎の机を囲って、2人は弁当を開く。
「おにぎり3つにお味噌汁とお茶。やっぱ昼飯はこれじゃないとな。」
「いつもそれで飽きないの?」
「健康極めたメニューだから良いんだよ。小太郎こそ、いつもコンビニのパンばかりじゃないか。」
「寝起きにはこれくらいが最適なんだよね。けど、さっきの時間は本当に眠かったよ。」
「里中もやるせないな。」
里中とは、先刻彼らが受けていた生物の授業を担当する教師である。授業の内容が生徒達の興味を惹かないのか、はたまた里中教諭のど真面目な性格が関係しているのか、授業中大半の生徒は夢の中に落ちている。
「そういえば義一、今日の里中いつもと何か違わなかった?」
「違う? 」
「違和感というか。いや、相変わらず眠くなるような授業してたんだけど。」
「いつも通り淡々とした感じの授業だったが…」
正直な所、義一は里中教諭があまり好きではなかった。彼に限らず、多くの生徒がそうであった。真偽の程を皆が知る所ではないが、里中には"女生徒に手を出した"という噂があった。里中には、普段から本音を上手く表現することが出来ないという一面があり、それ故に誤解を招くことも少なくなかった。それもあってか、多感な時期の高校生にとって里中は良くない意味で話題の中心となっており、いつからか真偽も確かめずに、"里中は女子に手を出した"という噂が流れていた。しかし、小太郎含め殆どの生徒が知らない中、この噂の真相を知る者達も少なからず居る。義一もその1人であった。
0
あなたにおすすめの小説
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる