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第2部:ゆるふわスローライフに新たな風? ~噂の真相と小さな来訪者たち~
第31話:祝福の一杯と深まる謎。このハーブティー、ありえない程の『祝福』の力なんだが!?
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ルーク少年の無邪気な誘いに、エリオットは少し戸惑いつつも、結局断りきれず、クライネル邸の客間でお茶をご馳走になることになった。
案内された客間は、昨日彼がライオネル子爵とアラン氏に面会した部屋と同じだったが、そこにルークと、彼の腕に抱かれた銀色の小動物――モルがいるだけで、部屋の雰囲気がどこか和やかで、温かいものに感じられるから不思議だ。
「エリオットお兄さん、どうぞ。これ、僕が摘んだハーブで作ったお茶なんだよ」
メイドのマリーがお茶の準備を整えると、ルークは小さな手でティーカップをエリオットの前に差し出した。
カップからは、春の野原を思わせるような、甘く爽やかな香りがふわりと立ち上っている。
見た目は、ごく普通のハーブティーのようだが……。
(この少年が摘んだハーブ……そして、彼が淹れたお茶……何かあるかもしれない……)
エリオットは、先ほどの庭での植物の異常なまでの生命力や、この屋敷全体に漂う清浄な空気を思い出し、警戒心と好奇心が入り混じった気持ちでカップを受け取った。
「ありがとうございます、ルーク様。……良い香りですね」
「えへへ、そうでしょ?飲むとね、なんだか元気が出るんだよ」
ルークは得意そうに胸を張る。
その隣では、モルも「きゅい!」と同意するように鳴いた。
エリオットは、まず香りをじっくりと味わった。
確かに、ただのハーブティーとは思えないほど、複雑で、奥深い芳香がある。
ミントやカモミールのような馴染みのある香りに混じって、何か知らない、しかし心地よい花の蜜のような甘い香りも感じられる。
(これは……私が知らない種類のハーブか?それとも、何か特殊なブレンド技術でも……?)
そして、意を決して一口、その黄金色の液体を口に含んだ。
その瞬間。
エリオットの全身を、今まで経験したことのないような衝撃が駆け巡った。
(なっ……!? こ、これは……!?)
まず、口の中に広がったのは、驚くほど芳醇で、それでいて澄み切った味わいだった。
ハーブの持つ苦味やえぐみは一切感じられず、ただただ純粋な自然の恵みが、舌の上で優しくとろけていく。
そして、飲み込んだ後には、喉の奥からふわりと鼻に抜ける、えもいわれぬ甘い香りが残る。
だが、驚きはそれだけではなかった。
一口飲んだだけなのに、体の中から、まるで温かい光が湧き上がってくるかのような、不思議な感覚に包まれたのだ。
長旅の疲れがすっと消え、頭がクリアになり、全身に活力がみなぎってくる。
それは、どんな高級な回復薬よりも、どんな熟練の治癒魔法よりも、穏やかで、しかし確実に効果のある、『祝福』そのものとしか言いようのない力だった。
「こ、このお茶は……一体……!?」
エリオットは、思わず声を上げた。
目の前のルークは、そんなエリオットの驚きを不思議そうに見つめている。
「どうしたの、お兄さん?美味しくなかった?」
「い、いえ!とんでもない!こんなに素晴らしいお茶は、生まれて初めていただきました……!まるで、飲むだけで心と体が浄化されるようです……!」
エリオットの言葉は、決して大げさではなかった。
アカデミーで様々な魔法薬や秘薬に触れてきた彼でさえ、これほどまでに強力で、かつ副作用の全く感じられない『祝福』の力を秘めた飲み物は、寡聞にして知らなかった。
(このハーブティー……尋常ではない……! これほどの『祝福』の力を飲み物に込めるなど、それこそ古代の神官か、あるいは伝説級の聖女でもなければ不可能だ……! まさか、この少年が……!? いや、しかし、彼はまだ十歳にも満たない子供のはず……)
エリオットは、混乱する頭で必死に考えを巡らせる。
この少年が、無意識のうちにこれほどの魔法を行使しているというのか?
それとも、この土地自体が持つ特別な力が、彼を通じて具現化しているのか?
あるいは、あの銀色の小動物――モルが、何らかの形で関わっているのだろうか?
謎は深まるばかりだった。
だが、一つだけ確かなことがある。
このアスターテの地、そしてこのルークという少年とモルという生き物は、エリオットが当初想像していた以上に、奥深く、そして計り知れない『何か』を秘めている。
その『何か』の正体を突き止めるまで、ここを離れるわけにはいかない。
エリオットは、目の前の無邪気な笑顔の裏に隠された、途方もない謎を前にして、研究者としての本能がかつてないほどに燃え上がっているのを感じていた。
案内された客間は、昨日彼がライオネル子爵とアラン氏に面会した部屋と同じだったが、そこにルークと、彼の腕に抱かれた銀色の小動物――モルがいるだけで、部屋の雰囲気がどこか和やかで、温かいものに感じられるから不思議だ。
「エリオットお兄さん、どうぞ。これ、僕が摘んだハーブで作ったお茶なんだよ」
メイドのマリーがお茶の準備を整えると、ルークは小さな手でティーカップをエリオットの前に差し出した。
カップからは、春の野原を思わせるような、甘く爽やかな香りがふわりと立ち上っている。
見た目は、ごく普通のハーブティーのようだが……。
(この少年が摘んだハーブ……そして、彼が淹れたお茶……何かあるかもしれない……)
エリオットは、先ほどの庭での植物の異常なまでの生命力や、この屋敷全体に漂う清浄な空気を思い出し、警戒心と好奇心が入り混じった気持ちでカップを受け取った。
「ありがとうございます、ルーク様。……良い香りですね」
「えへへ、そうでしょ?飲むとね、なんだか元気が出るんだよ」
ルークは得意そうに胸を張る。
その隣では、モルも「きゅい!」と同意するように鳴いた。
エリオットは、まず香りをじっくりと味わった。
確かに、ただのハーブティーとは思えないほど、複雑で、奥深い芳香がある。
ミントやカモミールのような馴染みのある香りに混じって、何か知らない、しかし心地よい花の蜜のような甘い香りも感じられる。
(これは……私が知らない種類のハーブか?それとも、何か特殊なブレンド技術でも……?)
そして、意を決して一口、その黄金色の液体を口に含んだ。
その瞬間。
エリオットの全身を、今まで経験したことのないような衝撃が駆け巡った。
(なっ……!? こ、これは……!?)
まず、口の中に広がったのは、驚くほど芳醇で、それでいて澄み切った味わいだった。
ハーブの持つ苦味やえぐみは一切感じられず、ただただ純粋な自然の恵みが、舌の上で優しくとろけていく。
そして、飲み込んだ後には、喉の奥からふわりと鼻に抜ける、えもいわれぬ甘い香りが残る。
だが、驚きはそれだけではなかった。
一口飲んだだけなのに、体の中から、まるで温かい光が湧き上がってくるかのような、不思議な感覚に包まれたのだ。
長旅の疲れがすっと消え、頭がクリアになり、全身に活力がみなぎってくる。
それは、どんな高級な回復薬よりも、どんな熟練の治癒魔法よりも、穏やかで、しかし確実に効果のある、『祝福』そのものとしか言いようのない力だった。
「こ、このお茶は……一体……!?」
エリオットは、思わず声を上げた。
目の前のルークは、そんなエリオットの驚きを不思議そうに見つめている。
「どうしたの、お兄さん?美味しくなかった?」
「い、いえ!とんでもない!こんなに素晴らしいお茶は、生まれて初めていただきました……!まるで、飲むだけで心と体が浄化されるようです……!」
エリオットの言葉は、決して大げさではなかった。
アカデミーで様々な魔法薬や秘薬に触れてきた彼でさえ、これほどまでに強力で、かつ副作用の全く感じられない『祝福』の力を秘めた飲み物は、寡聞にして知らなかった。
(このハーブティー……尋常ではない……! これほどの『祝福』の力を飲み物に込めるなど、それこそ古代の神官か、あるいは伝説級の聖女でもなければ不可能だ……! まさか、この少年が……!? いや、しかし、彼はまだ十歳にも満たない子供のはず……)
エリオットは、混乱する頭で必死に考えを巡らせる。
この少年が、無意識のうちにこれほどの魔法を行使しているというのか?
それとも、この土地自体が持つ特別な力が、彼を通じて具現化しているのか?
あるいは、あの銀色の小動物――モルが、何らかの形で関わっているのだろうか?
謎は深まるばかりだった。
だが、一つだけ確かなことがある。
このアスターテの地、そしてこのルークという少年とモルという生き物は、エリオットが当初想像していた以上に、奥深く、そして計り知れない『何か』を秘めている。
その『何か』の正体を突き止めるまで、ここを離れるわけにはいかない。
エリオットは、目の前の無邪気な笑顔の裏に隠された、途方もない謎を前にして、研究者としての本能がかつてないほどに燃え上がっているのを感じていた。
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