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第2部:ゆるふわスローライフに新たな風? ~噂の真相と小さな来訪者たち~
第35話:妖精さん、お友達(仮)になる。キラキラ貢物と秘密のティータイム
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例のいたずら好きのピクシー――俺は心の中で『ティンク』(安直だが)と呼ぶことにした――が、俺の部屋に頻繁に遊びに来るようになってから、数日が過ぎた。
彼女は相変わらず、俺がこっそり用意しておく『魔法のお菓子』(最近はハチミツクッキーがお気に入りらしい)を目当てにやってくるのだが、それ以外にも、色々なものに興味を示すようになっていた。
例えば、俺が読んでいる(ふりをしている)絵本。
ティンクは、俺の肩に止まって、一緒にページをめくるのを眺めている。
文字が読めるのかどうかは分からないが、カラフルな挿絵には興味津々のようだ。
特に、勇者がドラゴンを倒すシーンなどでは、小さな拳を握りしめて「ぷっぷー!」と興奮したような声を上げるので、見ていて飽きない。
モルとも、すっかり打ち解けたようだ。
最初は、お互いに少し距離を置いていたのだが、俺が仲立ちをして一緒におやつを食べたり、追いかけっこ(というより、モルがティンクを追いかけ、ティンクがひらひらと逃げ回るだけだが)をしたりするうちに、いつの間にか仲良しになっていた。
今では、俺が昼寝をしていると、モルとティンクが二人で何かヒソヒソと(ピクシー語とモル語で)お喋りをしているような姿も見かける。何を話しているのかは、さっぱり分からないが。
ある日、ティンクが、どこからか小さな光る苔を持ってきた。
それは、夜になると淡い緑色の光を放つ、とても綺麗な苔だった。
彼女は、その苔を俺の部屋の窓辺に飾り、「これで夜も寂しくないでしょ?」とでも言いたげに、得意満面で胸を張った。
(お、おう……ありがとう……でも、俺、夜は普通にぐっすり寝てるんだけどな……)
そんなツッコミは心の中に仕舞っておき、俺は素直に「ありがとう、ティンク。とっても綺麗だね」とお礼を言った。
すると、ティンクは嬉しそうに宙をくるくると舞い、俺の鼻の頭にちゅっとキスをしてきた。
どうやら、褒められるのが大好きらしい。
そんなティンクとの交流は、俺にとって新しい楽しみの一つになっていた。
だが、一つだけ困ったことがある。
それは、ティンクが時々、俺の部屋から『お持ち帰り』をしてしまうことだ。
といっても、高価なものを盗んでいくわけではない。
彼女が気に入るのは、キラキラ光るボタンだとか、綺麗な色のリボンだとか、そういう些細なものばかりだ。
先日も、俺が大切にしていた(わけではないが、姉のセシルにもらった)ガラス玉の髪飾りが一つなくなっていた。
おそらく、ティンクの仕業だろう。
(まあ、いいか……あの子にとっては、宝物なのかもしれないし……)
俺は、特にそれを咎めようとは思わなかった。
むしろ、ティンクが俺の部屋を自分の『秘密基地』か何かのように思ってくれているのなら、それはそれで面白いかもしれない。
エリオットさんは、相変わらず屋敷に滞在して、何やら熱心に調査を続けているようだが、まだティンクの存在には気づいていないようだ。
まあ、ティンク自身が非常に用心深く、俺とモル以外の人間には姿を見せようとしないので、当然かもしれない。
学者先生のことだから、もしピクシーの存在を知ったら、大興奮して捕獲しようとするかもしれないし……それはちょっと可哀想だ。
だから、ティンクのことは、俺とモルだけの秘密。
小さくて、いたずら好きで、でもどこか憎めない、俺たちの新しいお友達(仮)。
彼女がこの部屋にいるだけで、俺の『ゆるふわニートライフ』は、ほんの少しだけ賑やかで、そしてほんの少しだけ、ファンタジーっぽくなったような気がするのだった。
「ねえ、ティンク。次のおやつは何がいい? 今日は、マーサに頼んで、特別に花の蜜を使ったゼリーを作ってもらったんだけど」
俺がそう言うと、肩に止まっていたティンクは、目をキラキラさせて「ぷっぷい!(それ絶対美味しいやつ!)」と叫び、期待に胸を膨らませて(いるように見えた)ぶんぶんと羽を震わせるのであった。
彼女は相変わらず、俺がこっそり用意しておく『魔法のお菓子』(最近はハチミツクッキーがお気に入りらしい)を目当てにやってくるのだが、それ以外にも、色々なものに興味を示すようになっていた。
例えば、俺が読んでいる(ふりをしている)絵本。
ティンクは、俺の肩に止まって、一緒にページをめくるのを眺めている。
文字が読めるのかどうかは分からないが、カラフルな挿絵には興味津々のようだ。
特に、勇者がドラゴンを倒すシーンなどでは、小さな拳を握りしめて「ぷっぷー!」と興奮したような声を上げるので、見ていて飽きない。
モルとも、すっかり打ち解けたようだ。
最初は、お互いに少し距離を置いていたのだが、俺が仲立ちをして一緒におやつを食べたり、追いかけっこ(というより、モルがティンクを追いかけ、ティンクがひらひらと逃げ回るだけだが)をしたりするうちに、いつの間にか仲良しになっていた。
今では、俺が昼寝をしていると、モルとティンクが二人で何かヒソヒソと(ピクシー語とモル語で)お喋りをしているような姿も見かける。何を話しているのかは、さっぱり分からないが。
ある日、ティンクが、どこからか小さな光る苔を持ってきた。
それは、夜になると淡い緑色の光を放つ、とても綺麗な苔だった。
彼女は、その苔を俺の部屋の窓辺に飾り、「これで夜も寂しくないでしょ?」とでも言いたげに、得意満面で胸を張った。
(お、おう……ありがとう……でも、俺、夜は普通にぐっすり寝てるんだけどな……)
そんなツッコミは心の中に仕舞っておき、俺は素直に「ありがとう、ティンク。とっても綺麗だね」とお礼を言った。
すると、ティンクは嬉しそうに宙をくるくると舞い、俺の鼻の頭にちゅっとキスをしてきた。
どうやら、褒められるのが大好きらしい。
そんなティンクとの交流は、俺にとって新しい楽しみの一つになっていた。
だが、一つだけ困ったことがある。
それは、ティンクが時々、俺の部屋から『お持ち帰り』をしてしまうことだ。
といっても、高価なものを盗んでいくわけではない。
彼女が気に入るのは、キラキラ光るボタンだとか、綺麗な色のリボンだとか、そういう些細なものばかりだ。
先日も、俺が大切にしていた(わけではないが、姉のセシルにもらった)ガラス玉の髪飾りが一つなくなっていた。
おそらく、ティンクの仕業だろう。
(まあ、いいか……あの子にとっては、宝物なのかもしれないし……)
俺は、特にそれを咎めようとは思わなかった。
むしろ、ティンクが俺の部屋を自分の『秘密基地』か何かのように思ってくれているのなら、それはそれで面白いかもしれない。
エリオットさんは、相変わらず屋敷に滞在して、何やら熱心に調査を続けているようだが、まだティンクの存在には気づいていないようだ。
まあ、ティンク自身が非常に用心深く、俺とモル以外の人間には姿を見せようとしないので、当然かもしれない。
学者先生のことだから、もしピクシーの存在を知ったら、大興奮して捕獲しようとするかもしれないし……それはちょっと可哀想だ。
だから、ティンクのことは、俺とモルだけの秘密。
小さくて、いたずら好きで、でもどこか憎めない、俺たちの新しいお友達(仮)。
彼女がこの部屋にいるだけで、俺の『ゆるふわニートライフ』は、ほんの少しだけ賑やかで、そしてほんの少しだけ、ファンタジーっぽくなったような気がするのだった。
「ねえ、ティンク。次のおやつは何がいい? 今日は、マーサに頼んで、特別に花の蜜を使ったゼリーを作ってもらったんだけど」
俺がそう言うと、肩に止まっていたティンクは、目をキラキラさせて「ぷっぷい!(それ絶対美味しいやつ!)」と叫び、期待に胸を膨らませて(いるように見えた)ぶんぶんと羽を震わせるのであった。
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