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第3部:ゆるふわスローライフは守られるべき! ~ちょっぴり騒がしい、お客様と秘密のお手紙~
第47話:『妖精の秘薬』と噂が独り歩き!? 無自覚チートのハーブティー、ついに領外へ…次の来訪者は誰だ!?
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エリオットお兄さん特製の『春の癒やしティー』がクライネル家でブームになってから数日後。
僕はいつものように、お気に入りの庭の木陰でモルと『ゆるふわ』な時間を過ごしていた。
すると、どこからともなく小さな影がひらりと舞い降りてきた。
「ぷっぷる~♪ きらきら~っ☆」
僕の秘密の友達、ピクシーの『ティンク』が、キラキラした粉を振りまきながら、楽しそうに僕の肩に舞い降りてきた。今日もご機嫌みたいだ。
「ティンク、こんにちは。今日も遊びに来てくれたんだね」
僕がそう言うと、ティンクは嬉しそうに僕の頬に小さな頭をこすりつけ、「ぷっぷっぷー!(もちろん!ルークのところは楽しいもん!美味しいものもいっぱいだし!)」とでも言いたげに、ぶんぶんと羽を震わせた。
その仕草で、僕はティンクがいつもの『おやつ』を期待していることをすぐに理解した。
「ちょうど良かった。この前淹れた新しいハーブティー、ティンクも飲んでみる?」
僕がそう言って水筒を取り出すと、ティンクは「ぴぴーっ!(飲む飲む!)」とでも言うように、僕の指先でぴょんぴょんと跳ねた。
小さなお花のお皿に『春の癒やしティー』を少しだけ注いでティンクに差し出す。
ティンクは目を輝かせ、小さな両手で器用にそれを受け取ると、こくこくと夢中になって飲み始めた。
その小さな喉が、こくり、こくりと動くのが可愛らしい。
「ぷはーっ! ぴゅるるる~ん♪(わぁっ! なにこれ、すっごく美味しい! しかも、なんだか身体がぽかぽかして、羽が軽くなったみたい!)」
飲み終えたティンクは、満足そうに一声鳴くと、その場でくるくると嬉しそうに舞ってみせる。
そして、お礼にと、どこからか持ってきた、ほんのり明るく光る不思議な苔を僕にプレゼントしてくれた。それは、夜になると優しい光を放つ、とても綺麗な苔だった。
(わーい、光る苔だ。ティンク、ありがとう! 夜になったらモルの寝床のそばに置いてあげようかな)
そんな穏やかな交流があった日の午後。
アスターテ領の市場は、春の訪れと共に活気づいていた。
クライネル家にも出入りしている行商人の一人が、たまたま屋敷を訪れた際に、メイドのマリーから例のハーブティーをご馳走になる機会があった。
「こ、これは……!? なんという芳醇な香りと、深みのある味わい……! 飲んだだけで、長旅の疲れが霧散していくようだ……!」
商人はその味と効果にいたく感動し、マリーに「これは一体どのようなお茶なのですか?」と食い気味に尋ねた。
「ふふっ、これはエリオット様から頂いた珍しいハーブを、うちのルーク坊ちゃまが特別に淹れてくださった『春の癒やしティー』なんですよ。坊ちゃまが淹れると、どんなお茶も魔法のように美味しくなるんです」
マリーは誇らしげにそう答えた。
商人はその言葉を胸に刻み、アスターテ領を後にした。
そして、次の街で。
彼は酒場や宿屋で、旅の仲間たちにこう語って聞かせた。
「おい、聞いたか? あの辺境のアスターテ領では、とんでもなく美味しい『秘伝のハーブティー』が飲めるらしいぜ。なんでも、一口飲めばどんな疲れも吹き飛んで、まるで若返ったような気分になるって話だ。クライネル子爵家の坊っちゃまが淹れる、特別な『魔法のお茶』……いや、あれはもはや『妖精の秘薬』と呼んでもいいかもしれん……」
その噂は、尾ひれがつきながらも、人々の間で少しずつ広まっていく。
そして、偶然にもその街に視察で滞在していた、王都のさる貴族家の若者や、野心的な魔法研究者の卵たちの耳にも、その興味深い噂は届くことになった。
「ほう、アスターテ領に『妖精の秘薬』とな……? それは聞き捨てならんな」
「疲れが吹き飛ぶハーブティーか。もし本当なら、研究の価値がありそうだ」
彼らがその噂の真偽を確かめるためにアスターテ領を訪れるのは、もう少し先の話になるのだが――。
そんなこととは露知らず、アスターテ領のクライネル邸では。
僕、ルーク・クライネルは、庭の木陰でモルと一緒に、すやすやと気持ちよさそうにお昼寝の真っ最中だった。
ふと、僕の腕の中で眠っていたモルが、ぴくんと耳を動かし、何かを感じ取ったかのように遠くの空をほんの一瞬だけ見つめた。そして、またすぐに僕の胸に顔をうずめて、安心したように寝息を立て始める。
(ん……? モル、どうしたのかな……? まあ、いっか。おやすみ、モル)
僕は眠い頭でぼんやりとそんなことを思いながら、再び心地よい眠りの世界へと意識を沈めていくのだった。
穏やかな春の陽光が、僕たちを優しく照らしていた。
そして、遠い王都から、また新たな波が、ほんの少しだけ、このアスターテ領へと近づきつつあることも知らずに――。
僕はいつものように、お気に入りの庭の木陰でモルと『ゆるふわ』な時間を過ごしていた。
すると、どこからともなく小さな影がひらりと舞い降りてきた。
「ぷっぷる~♪ きらきら~っ☆」
僕の秘密の友達、ピクシーの『ティンク』が、キラキラした粉を振りまきながら、楽しそうに僕の肩に舞い降りてきた。今日もご機嫌みたいだ。
「ティンク、こんにちは。今日も遊びに来てくれたんだね」
僕がそう言うと、ティンクは嬉しそうに僕の頬に小さな頭をこすりつけ、「ぷっぷっぷー!(もちろん!ルークのところは楽しいもん!美味しいものもいっぱいだし!)」とでも言いたげに、ぶんぶんと羽を震わせた。
その仕草で、僕はティンクがいつもの『おやつ』を期待していることをすぐに理解した。
「ちょうど良かった。この前淹れた新しいハーブティー、ティンクも飲んでみる?」
僕がそう言って水筒を取り出すと、ティンクは「ぴぴーっ!(飲む飲む!)」とでも言うように、僕の指先でぴょんぴょんと跳ねた。
小さなお花のお皿に『春の癒やしティー』を少しだけ注いでティンクに差し出す。
ティンクは目を輝かせ、小さな両手で器用にそれを受け取ると、こくこくと夢中になって飲み始めた。
その小さな喉が、こくり、こくりと動くのが可愛らしい。
「ぷはーっ! ぴゅるるる~ん♪(わぁっ! なにこれ、すっごく美味しい! しかも、なんだか身体がぽかぽかして、羽が軽くなったみたい!)」
飲み終えたティンクは、満足そうに一声鳴くと、その場でくるくると嬉しそうに舞ってみせる。
そして、お礼にと、どこからか持ってきた、ほんのり明るく光る不思議な苔を僕にプレゼントしてくれた。それは、夜になると優しい光を放つ、とても綺麗な苔だった。
(わーい、光る苔だ。ティンク、ありがとう! 夜になったらモルの寝床のそばに置いてあげようかな)
そんな穏やかな交流があった日の午後。
アスターテ領の市場は、春の訪れと共に活気づいていた。
クライネル家にも出入りしている行商人の一人が、たまたま屋敷を訪れた際に、メイドのマリーから例のハーブティーをご馳走になる機会があった。
「こ、これは……!? なんという芳醇な香りと、深みのある味わい……! 飲んだだけで、長旅の疲れが霧散していくようだ……!」
商人はその味と効果にいたく感動し、マリーに「これは一体どのようなお茶なのですか?」と食い気味に尋ねた。
「ふふっ、これはエリオット様から頂いた珍しいハーブを、うちのルーク坊ちゃまが特別に淹れてくださった『春の癒やしティー』なんですよ。坊ちゃまが淹れると、どんなお茶も魔法のように美味しくなるんです」
マリーは誇らしげにそう答えた。
商人はその言葉を胸に刻み、アスターテ領を後にした。
そして、次の街で。
彼は酒場や宿屋で、旅の仲間たちにこう語って聞かせた。
「おい、聞いたか? あの辺境のアスターテ領では、とんでもなく美味しい『秘伝のハーブティー』が飲めるらしいぜ。なんでも、一口飲めばどんな疲れも吹き飛んで、まるで若返ったような気分になるって話だ。クライネル子爵家の坊っちゃまが淹れる、特別な『魔法のお茶』……いや、あれはもはや『妖精の秘薬』と呼んでもいいかもしれん……」
その噂は、尾ひれがつきながらも、人々の間で少しずつ広まっていく。
そして、偶然にもその街に視察で滞在していた、王都のさる貴族家の若者や、野心的な魔法研究者の卵たちの耳にも、その興味深い噂は届くことになった。
「ほう、アスターテ領に『妖精の秘薬』とな……? それは聞き捨てならんな」
「疲れが吹き飛ぶハーブティーか。もし本当なら、研究の価値がありそうだ」
彼らがその噂の真偽を確かめるためにアスターテ領を訪れるのは、もう少し先の話になるのだが――。
そんなこととは露知らず、アスターテ領のクライネル邸では。
僕、ルーク・クライネルは、庭の木陰でモルと一緒に、すやすやと気持ちよさそうにお昼寝の真っ最中だった。
ふと、僕の腕の中で眠っていたモルが、ぴくんと耳を動かし、何かを感じ取ったかのように遠くの空をほんの一瞬だけ見つめた。そして、またすぐに僕の胸に顔をうずめて、安心したように寝息を立て始める。
(ん……? モル、どうしたのかな……? まあ、いっか。おやすみ、モル)
僕は眠い頭でぼんやりとそんなことを思いながら、再び心地よい眠りの世界へと意識を沈めていくのだった。
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