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第3部:ゆるふわスローライフは守られるべき! ~ちょっぴり騒がしい、お客様と秘密のお手紙~
第65話:収穫祭スタート! 『黒銀の仔狼』クロ、まさかの領民人気爆発!? もふもふは正義!
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待ちに待った収穫祭当日。
領都アスターテは、朝からかつてないほどの大賑わいを見せていた。
色とりどりの旗や飾りが街中に掲げられ、広場にはたくさんの露店が立ち並び、領民たちの楽しそうな笑顔と活気に満ち溢れている。
僕も、父様や母様、兄様たち、姉様と一緒に、おめかしして収穫祭へと繰り出した。もちろん、僕の肩にはモルがちょこんと乗り、足元にはクロがしっかりと付き従っている。
アルフレッドさんとレオナルドさんも、珍しく少しお洒落をして(それでもどこか研究者と貴族のオーラは隠しきれていないが)僕たちと一緒だ。彼らにとって、アスターテ領の収穫祭は初めての経験であり、その表情には期待と好奇の色が浮かんでいる。
広場に到着すると、まず僕たちの目に飛び込んできたのは、山のように積まれた新鮮な野菜や果物、そして焼きたてのパンや香ばしいお肉の匂いだった。
領民たちが丹精込めて育てた収穫物が、これでもかとばかりに並べられ、そのどれもが瑞々しく、生命力に満ち溢れている。その鮮やかな色彩と豊かな香りは、まさに五感を刺激する饗宴だ。
「おお、今年も見事な豊作だな! これも皆、神々の恵みと、領民たちの努力の賜物だ!」
父様が、満足そうに頷きながら言う。
その言葉に、周囲の領民たちも「これもクライネル子爵様ご一家のお陰です!」「特に今年は、ルーク様がよくお庭にいらしてたから、作物の育ちが段違いでしたよ!」なんて口々に感謝の言葉を述べてくれる。
(えへへ、僕、何もしてないんだけどなぁ。でも、みんなが笑顔だと、僕も嬉しいよ)
僕がはにかんでいると、ふと、領民たちの視線が僕の足元にいるクロに集まっているのに気づいた。
クロは、少し緊張した様子で僕の足に寄り添っているが、その美しい黒銀の毛並みと、賢そうな金色の瞳は、人々の目を惹きつけずにはいられないようだ。
「あら、あの子狼は……? まるで銀の粉をまぶしたような、綺麗な毛並みねぇ」
「本当だわ。それに、なんて賢そうな顔をしているのかしら。普通の狼とは違うみたい……」
最初は遠巻きに見ていた領民たちも、クロが僕に甘えるようにすり寄ったり、モルとじゃれ合って遊んだりする無邪気な姿を見て、徐々に警戒心を解いていった。
モルはといえば、まるで「うちの弟分、可愛いでしょ?」とでも言いたげに、ルークの肩の上で冷静に(しかしどこか誇らしげに)クロを見守っている。時折、クロがはしゃぎすぎると、小さく「きゅっ」と鳴いて注意する場面も見られた。
特に、子供たちはクロに興味津々だ。
「わぁ! 可愛いワンちゃんだー!」
「ねえ、お名前なんていうの? 触ってもいい?」
一人の小さな女の子が、おそるおそるクロに近づいてきた。
クロは、最初少しだけ身を固くし、僕の顔をじっと見上げた。僕が「だいじょーぶだよぉ、クロ。お友達だよ」と優しく言うと、クロは女の子の前にちょこんと座り、差し出された小さな手をくんくんと嗅いだ。そして、ぺろりとその手を舐めたのだ。その瞬間、女の子の顔がぱあっと明るくなる。
「きゃー! 舐めてくれたー! ふわふわー!」
女の子は大喜び。
それを見た他の子供たちも、次々とクロの周りに集まってきた。
クロは、最初は少し戸惑っていたようだけど、子供たちが優しく頭を撫でたり、持っていたお菓子(もちろん、僕があげてもいいよ、と言ったものだけを、ちゃんと選んで)を差し出すと、嬉しそうに尻尾を振ってそれを受け取ったり、時には小さな前足でちょいちょいとじゃれついたりした。
その姿は、勇猛果敢なシルヴァン・ウルフの末裔とは思えないほど愛嬌があり、しかしどこか気品も感じさせるものだった。
「信じられん……シルヴァン・ウルフが、こんなにも……人間、特に子供に対して心を許すとは……! ルーク様の影響力は、まさに規格外だ……!」
アルフレッドさんは、その光景を目の当たりにして、またしても新たな研究テーマ(とルーク様への畏敬の念)を胸に刻んでいる。
「ふん、まあ、俺ほどではないが、なかなか見どころのある仔狼だな。……おい、そこのチビ、俺にも少し撫でさせろ」
レオナルドさんは、ぶっきらぼうなフリをしながらも、実はクロのことが気になって仕方ない様子で、子供たちに混じってクロを撫でようと手を伸ばしている。クロは、レオナルドさんの手を一瞬だけ警戒するように見たが、僕が大丈夫だよと頷くと、しぶしぶといった感じで頭を撫でさせていた。そのチョロさがまた可愛い。
こうして、アスターテ領に新しくやってきた『黒銀の仔狼』クロは、そのミステリアスな出自とは裏腹に、収穫祭のアイドル(動物枠)として、領民たちの人気をあっという間に集めてしまったのだった。
モルはそんなクロの様子を、少しだけヤキモチを焼きつつも、温かく見守っている。
僕はといえば、「クロ、みんなに好かれてよかったねぇ。もふもふは、やっぱり正義だね!」と、心からご満悦なのだった。
この平和な光景が、ずっと続けばいいな、と願いながら。
領都アスターテは、朝からかつてないほどの大賑わいを見せていた。
色とりどりの旗や飾りが街中に掲げられ、広場にはたくさんの露店が立ち並び、領民たちの楽しそうな笑顔と活気に満ち溢れている。
僕も、父様や母様、兄様たち、姉様と一緒に、おめかしして収穫祭へと繰り出した。もちろん、僕の肩にはモルがちょこんと乗り、足元にはクロがしっかりと付き従っている。
アルフレッドさんとレオナルドさんも、珍しく少しお洒落をして(それでもどこか研究者と貴族のオーラは隠しきれていないが)僕たちと一緒だ。彼らにとって、アスターテ領の収穫祭は初めての経験であり、その表情には期待と好奇の色が浮かんでいる。
広場に到着すると、まず僕たちの目に飛び込んできたのは、山のように積まれた新鮮な野菜や果物、そして焼きたてのパンや香ばしいお肉の匂いだった。
領民たちが丹精込めて育てた収穫物が、これでもかとばかりに並べられ、そのどれもが瑞々しく、生命力に満ち溢れている。その鮮やかな色彩と豊かな香りは、まさに五感を刺激する饗宴だ。
「おお、今年も見事な豊作だな! これも皆、神々の恵みと、領民たちの努力の賜物だ!」
父様が、満足そうに頷きながら言う。
その言葉に、周囲の領民たちも「これもクライネル子爵様ご一家のお陰です!」「特に今年は、ルーク様がよくお庭にいらしてたから、作物の育ちが段違いでしたよ!」なんて口々に感謝の言葉を述べてくれる。
(えへへ、僕、何もしてないんだけどなぁ。でも、みんなが笑顔だと、僕も嬉しいよ)
僕がはにかんでいると、ふと、領民たちの視線が僕の足元にいるクロに集まっているのに気づいた。
クロは、少し緊張した様子で僕の足に寄り添っているが、その美しい黒銀の毛並みと、賢そうな金色の瞳は、人々の目を惹きつけずにはいられないようだ。
「あら、あの子狼は……? まるで銀の粉をまぶしたような、綺麗な毛並みねぇ」
「本当だわ。それに、なんて賢そうな顔をしているのかしら。普通の狼とは違うみたい……」
最初は遠巻きに見ていた領民たちも、クロが僕に甘えるようにすり寄ったり、モルとじゃれ合って遊んだりする無邪気な姿を見て、徐々に警戒心を解いていった。
モルはといえば、まるで「うちの弟分、可愛いでしょ?」とでも言いたげに、ルークの肩の上で冷静に(しかしどこか誇らしげに)クロを見守っている。時折、クロがはしゃぎすぎると、小さく「きゅっ」と鳴いて注意する場面も見られた。
特に、子供たちはクロに興味津々だ。
「わぁ! 可愛いワンちゃんだー!」
「ねえ、お名前なんていうの? 触ってもいい?」
一人の小さな女の子が、おそるおそるクロに近づいてきた。
クロは、最初少しだけ身を固くし、僕の顔をじっと見上げた。僕が「だいじょーぶだよぉ、クロ。お友達だよ」と優しく言うと、クロは女の子の前にちょこんと座り、差し出された小さな手をくんくんと嗅いだ。そして、ぺろりとその手を舐めたのだ。その瞬間、女の子の顔がぱあっと明るくなる。
「きゃー! 舐めてくれたー! ふわふわー!」
女の子は大喜び。
それを見た他の子供たちも、次々とクロの周りに集まってきた。
クロは、最初は少し戸惑っていたようだけど、子供たちが優しく頭を撫でたり、持っていたお菓子(もちろん、僕があげてもいいよ、と言ったものだけを、ちゃんと選んで)を差し出すと、嬉しそうに尻尾を振ってそれを受け取ったり、時には小さな前足でちょいちょいとじゃれついたりした。
その姿は、勇猛果敢なシルヴァン・ウルフの末裔とは思えないほど愛嬌があり、しかしどこか気品も感じさせるものだった。
「信じられん……シルヴァン・ウルフが、こんなにも……人間、特に子供に対して心を許すとは……! ルーク様の影響力は、まさに規格外だ……!」
アルフレッドさんは、その光景を目の当たりにして、またしても新たな研究テーマ(とルーク様への畏敬の念)を胸に刻んでいる。
「ふん、まあ、俺ほどではないが、なかなか見どころのある仔狼だな。……おい、そこのチビ、俺にも少し撫でさせろ」
レオナルドさんは、ぶっきらぼうなフリをしながらも、実はクロのことが気になって仕方ない様子で、子供たちに混じってクロを撫でようと手を伸ばしている。クロは、レオナルドさんの手を一瞬だけ警戒するように見たが、僕が大丈夫だよと頷くと、しぶしぶといった感じで頭を撫でさせていた。そのチョロさがまた可愛い。
こうして、アスターテ領に新しくやってきた『黒銀の仔狼』クロは、そのミステリアスな出自とは裏腹に、収穫祭のアイドル(動物枠)として、領民たちの人気をあっという間に集めてしまったのだった。
モルはそんなクロの様子を、少しだけヤキモチを焼きつつも、温かく見守っている。
僕はといえば、「クロ、みんなに好かれてよかったねぇ。もふもふは、やっぱり正義だね!」と、心からご満悦なのだった。
この平和な光景が、ずっと続けばいいな、と願いながら。
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