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019 カレブ、テンション高め
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ドア側に居たラドゥが先に降りて、それに続いてリギアが下りようとすると、目の前に二本の腕が差し出されて、リギアはきょとんとした。
ラドゥのみならずカレブまでもリギアに手を差し出していた。お互いにそれを見て何やら言い合いを初めてしまう二人。
「ちょっと、副団長。エスコートは婚約者の僕の役目です」
「は? 婚約しているとはいえまだ嫁入り前の娘を父親がエスコートして何が悪い。なあリギア」
「うん、ちょっと何言ってるかわかんない」
「わかれよ、純情な男親心をよ」
「なんだそれ」
「副団長、痛々しいです」
「うるせえ。ほら、どっちを選ぶんだリギア?」
「ん~」
「ちょ、なんでそこで悩むのリギア。こういう時は婚約者優先でしょ」
「だあああ何言ってる、父親が優先だろ!」
「駄々こねるとか子供ですか副団長。そんなわけないでしょう」
「あるわ。ラドゥ卿はずっとリギアを独占してたんだろ、今日ぐらい譲ってくれてもいいじゃねえか」
「そういう問題じゃありません!」
小競り合いを始める婿舅――の予定――を白けた顔で眺めてから、リギアは意を決してその手を取った。両方。
「とうっ」
普通は片手でエスコートする者の手を取り、もう片方の手でドレスの裾を踏まぬように少し持ち上げて馬車から降りるのが淑女だが、両手がふさがったのでリギアはタラップを踏まずにジャンプして降りた。じゃじゃーんという効果音を自分で言いながらヒールが痛まないように膝を曲げて着地する。
淑女の降り方では全くないが、はしたないと言われても目の前でエスコート権を争う男もはしたないので文句は言わせない。
「うん。問題解決した」
「……そうだけどさ、もうちょっとこう……はあ、もういいよ」
ラドゥが呆れ気味でこめかみに手を押さえている。その横を見上げるとカレブが目を見張ってこちらを見ていた。
リギアはまずは正式に挨拶をと、ドレスのスカートをつまんで淑女の礼をする。
「お招きいただきありがとうございます。アルシャイン子爵」
「……」
一応、ラドゥのついでにという体でのお呼ばれなので、そのことはきっちり挨拶しないといけない。
顔を上げて態勢を戻すと、その一連の流れをカレブは呆けたように見ていた。
お嬢様ごっこな挨拶で呆れたのだろうか。すぐにお嬢様ぶるのをやめてカレブを覗き込むリギア。
「何、パパ」
「……いや、改めて見ると、お前化けたな……いや、当たり前か、もともとミルファさんにそっくりだもんな……見違えた」
カレブは馬車からの出方はともかく、ドレスアップして髪も化粧も施したリギアのすっかり垢抜けた姿に言葉を無くしていた。
先日寄宿学校の制服のプリーツスカートを翻し、無表情で爆走していたチーターみたいな姿からは想像もできない淑女がそこにいた。その艶姿はまるで十七年前にステージでメロウなブルースを歌う歌姫ミラだったミルファを思い出す。
しげしげと眺められて少し気恥ずかしくなったリギアは、ふいと顔を背けて目だけカレブを見る。
「……そっちこそ、お貴族様みたいなカッコしちゃって」
「お貴族様だからな。てか、そのネックレスとイヤリング、つけてくれたんだな」
「ここで付けないとかないでしょ」
さすがにここでカレブの贈り物を身に着けないでいたら、何故何故何故と質問攻めにされそうだった。
「彼女はエメラルドも似合うと思いますけどね。そのドレスにも映えるでしょうし」
ラドゥがまだ言っている。
「リギアはまだ誰にも染まらない純白の真珠だよな。今のお前にぴったりで似合ってるぞリギア」
「どうもどうも」
「今にエメラルドが似合うようになりますけどね」
意地の張り合いが止まらないカレブとラドゥに呆れながら溜め息を吐いていると、執事らしき男性が折り目正しく一礼をしてカレブに声をかけた。
「旦那様。そろそろ邸にお入りになられませんか」
「うっ、そうだな……リギア、今度こそ俺がエスコートを」
「だからそれは僕の役目ですってば、副団長」
「もう、三人で行こうよ。お腹空いた」
また意地の張り合いが始まった二人がどっちも引かないため、結局仕方ないので両側から手を引かれて邸内に入った。エスコートというより捕獲された宇宙人みたいだと、リギアは以前読んでいた超常現象系雑誌「ムーチョ」を思い出していた。
「もう一組の客は既に到着してるんだ」
カレブがリギアとラドゥを邸内に案内しながらそう言った。リギアたちの他にも招待客がいるらしい。
「誰だろ?」
「さあ……」
「まあ、会えばわかる」
そう言って、カレブが邸内のリビングルームのドアを開けた。中のソファーセットに座っていたのは一組のカップルだ。
彼らは、リギアたちと案内してきたカレブを見て立ち上がって一礼する。
「友人のランドルフ・グランリッター騎士団長夫妻だ」
そこにいたのは、リギアが早期入団試験の最終試験、面接のときに、会場に面接官としてカレブの横に座っていたお方だった。
大柄でいかつい顔立ちをして、隣に立つ女性より一回りも二回りも大きな見た目をしている。
「え、騎士団長?」
「お、お疲れ様です、騎士団長!」
「やあラドゥ卿。そちらがご婚約者のリギア嬢だね。リギア嬢はひと月前の面接ぶりかな」
「はい、その節はお世話になりました」
「なんのなんの。優秀な人材に出会えて、我が騎士団も充実するだろう。……ああ紹介するよ、こっちは妻のミレーヌだ」
「初めまして、ラドゥ様、リギア様」
ミレーヌ夫人は厳つい大きな体の騎士団長に隠れてしまいそうな細い見た目の清楚な美人だった。
「ランディ、奥方ともども来てくれてありがとうな。まだ幼い子供たちに留守番させちまって可哀そうなことをした。あとでお土産でも持たせるよ」
「いや、大丈夫だ。乳母たちが見てくれているからな」
「ミレーヌ夫人もありがとう。準備にアドバイスくれて助かったよ」
「いいえ、アルシャイン様。大事なお嬢様をお迎えする日ですものね。お役に立てて嬉しいですわ」
騎士団長夫妻を呼びつけてまでの準備って一体何だろうと首を傾げたリギアとラドゥに、カレブが苦笑しながら説明する。
「残念ながら、うちで晩餐会なんぞ開いたことがなくてね。こういう采配は女主人の役目だろうけど、俺はこの通り独り身だからそういう気配りってのがよくわからん。女の使用人に任せて間違いがあってもいかんし……だから友人のランディに頼んで奥方にアドバイスを貰ってたんだ」
カレブがランドルフとミレーヌ夫人を紹介しながら、この晩餐会の裏事情を白状する。
確かにこういうことは女性のほうが細かな気配りができるが、男はなかなかそうはできないことが多い。
だからと言って女使用人に女主人のような真似をさせて増長させたりトラブルが起こってもいけない。特にカレブはその美貌とフェミニストな性格から女性関係でトラブルが絶えなかったので、そこはきちんとわきまえた淑女の協力が必要だったというわけだ。
その点、騎士団長ランドルフ・グランリッターとその子供たちを内助の功で支える良妻賢母なミレーヌ夫人のアドバイスは非常に役立った。
リギアはカレブがそんなにしてまでしっかり準備してくれたのかと思ったらなんだか胸が熱くなる。
「……私の為に色々と準備してくださってありがとうございます」
「とんでもない。夫に聞きましたわよ、リギアお嬢様。お父様の謹慎中に心温まるお手紙を贈られたとか。アルシャイン様がとても喜んでおられましたので、そういうことならぜひお手伝いさせてくださいとこちらからお願いしましたの」
「ええええっふ……!」
「ぐふっ……」
ニコニコしながら突然その話をぶっこんでくるミレーヌ夫人にリギアとラドゥはむせ返った。
その手紙はほぼラドゥが考えてそのままリギアが書き起こしたもので、リギアが最初に書いたのが「いえ~い、謹慎中のパパ見てる~?」だったなんてカレブが知ったらどうしようと冷や汗が流れる。
しかもそれを自慢げに騎士団長夫妻に話したらしいカレブのどや顔を見ると、今更本当のことは言えない。絶対に。
「ほら、見て見ろリギア~。あんまり嬉しくてさ、額縁に入れて飾ったぞ! 我が家の家宝だ!」
カレブがリビングの一番目立つところに飾られた額縁に向かって手を向けた。
そこには見覚えのある可愛らしい猫柄の便せんにちまちました女文字が綴られた手紙が全て、入れてあった封筒までしっかり額装されて飾られていた。
――ぎゃああああああ! なんてものを飾ってやがるんだパパこのやろおおお!
それを見て、リギアは声なき悲鳴を上げて今度こそ白目をむいて魂がぬけそうになっていた。この場で大声を出して卒倒しなかった自分を褒めたい。
ラドゥもまた、いたたまれなさに顔面を覆ってしまった。
執事が晩餐会の用意ができたと呼びにくるまで、カレブによるこの手紙でどれだけ嬉しかったか、そしてこれのおかげでいかにつらい謹慎中を乗り越えられたかと延々と語られた。
テンションアゲアゲで語るカレブ、それを微笑ましそうに聞いている騎士団長夫妻の楽しそうな雰囲気に、聞きながら後ろめたさの生き地獄を味わうリギアとラドゥであった。
ラドゥのみならずカレブまでもリギアに手を差し出していた。お互いにそれを見て何やら言い合いを初めてしまう二人。
「ちょっと、副団長。エスコートは婚約者の僕の役目です」
「は? 婚約しているとはいえまだ嫁入り前の娘を父親がエスコートして何が悪い。なあリギア」
「うん、ちょっと何言ってるかわかんない」
「わかれよ、純情な男親心をよ」
「なんだそれ」
「副団長、痛々しいです」
「うるせえ。ほら、どっちを選ぶんだリギア?」
「ん~」
「ちょ、なんでそこで悩むのリギア。こういう時は婚約者優先でしょ」
「だあああ何言ってる、父親が優先だろ!」
「駄々こねるとか子供ですか副団長。そんなわけないでしょう」
「あるわ。ラドゥ卿はずっとリギアを独占してたんだろ、今日ぐらい譲ってくれてもいいじゃねえか」
「そういう問題じゃありません!」
小競り合いを始める婿舅――の予定――を白けた顔で眺めてから、リギアは意を決してその手を取った。両方。
「とうっ」
普通は片手でエスコートする者の手を取り、もう片方の手でドレスの裾を踏まぬように少し持ち上げて馬車から降りるのが淑女だが、両手がふさがったのでリギアはタラップを踏まずにジャンプして降りた。じゃじゃーんという効果音を自分で言いながらヒールが痛まないように膝を曲げて着地する。
淑女の降り方では全くないが、はしたないと言われても目の前でエスコート権を争う男もはしたないので文句は言わせない。
「うん。問題解決した」
「……そうだけどさ、もうちょっとこう……はあ、もういいよ」
ラドゥが呆れ気味でこめかみに手を押さえている。その横を見上げるとカレブが目を見張ってこちらを見ていた。
リギアはまずは正式に挨拶をと、ドレスのスカートをつまんで淑女の礼をする。
「お招きいただきありがとうございます。アルシャイン子爵」
「……」
一応、ラドゥのついでにという体でのお呼ばれなので、そのことはきっちり挨拶しないといけない。
顔を上げて態勢を戻すと、その一連の流れをカレブは呆けたように見ていた。
お嬢様ごっこな挨拶で呆れたのだろうか。すぐにお嬢様ぶるのをやめてカレブを覗き込むリギア。
「何、パパ」
「……いや、改めて見ると、お前化けたな……いや、当たり前か、もともとミルファさんにそっくりだもんな……見違えた」
カレブは馬車からの出方はともかく、ドレスアップして髪も化粧も施したリギアのすっかり垢抜けた姿に言葉を無くしていた。
先日寄宿学校の制服のプリーツスカートを翻し、無表情で爆走していたチーターみたいな姿からは想像もできない淑女がそこにいた。その艶姿はまるで十七年前にステージでメロウなブルースを歌う歌姫ミラだったミルファを思い出す。
しげしげと眺められて少し気恥ずかしくなったリギアは、ふいと顔を背けて目だけカレブを見る。
「……そっちこそ、お貴族様みたいなカッコしちゃって」
「お貴族様だからな。てか、そのネックレスとイヤリング、つけてくれたんだな」
「ここで付けないとかないでしょ」
さすがにここでカレブの贈り物を身に着けないでいたら、何故何故何故と質問攻めにされそうだった。
「彼女はエメラルドも似合うと思いますけどね。そのドレスにも映えるでしょうし」
ラドゥがまだ言っている。
「リギアはまだ誰にも染まらない純白の真珠だよな。今のお前にぴったりで似合ってるぞリギア」
「どうもどうも」
「今にエメラルドが似合うようになりますけどね」
意地の張り合いが止まらないカレブとラドゥに呆れながら溜め息を吐いていると、執事らしき男性が折り目正しく一礼をしてカレブに声をかけた。
「旦那様。そろそろ邸にお入りになられませんか」
「うっ、そうだな……リギア、今度こそ俺がエスコートを」
「だからそれは僕の役目ですってば、副団長」
「もう、三人で行こうよ。お腹空いた」
また意地の張り合いが始まった二人がどっちも引かないため、結局仕方ないので両側から手を引かれて邸内に入った。エスコートというより捕獲された宇宙人みたいだと、リギアは以前読んでいた超常現象系雑誌「ムーチョ」を思い出していた。
「もう一組の客は既に到着してるんだ」
カレブがリギアとラドゥを邸内に案内しながらそう言った。リギアたちの他にも招待客がいるらしい。
「誰だろ?」
「さあ……」
「まあ、会えばわかる」
そう言って、カレブが邸内のリビングルームのドアを開けた。中のソファーセットに座っていたのは一組のカップルだ。
彼らは、リギアたちと案内してきたカレブを見て立ち上がって一礼する。
「友人のランドルフ・グランリッター騎士団長夫妻だ」
そこにいたのは、リギアが早期入団試験の最終試験、面接のときに、会場に面接官としてカレブの横に座っていたお方だった。
大柄でいかつい顔立ちをして、隣に立つ女性より一回りも二回りも大きな見た目をしている。
「え、騎士団長?」
「お、お疲れ様です、騎士団長!」
「やあラドゥ卿。そちらがご婚約者のリギア嬢だね。リギア嬢はひと月前の面接ぶりかな」
「はい、その節はお世話になりました」
「なんのなんの。優秀な人材に出会えて、我が騎士団も充実するだろう。……ああ紹介するよ、こっちは妻のミレーヌだ」
「初めまして、ラドゥ様、リギア様」
ミレーヌ夫人は厳つい大きな体の騎士団長に隠れてしまいそうな細い見た目の清楚な美人だった。
「ランディ、奥方ともども来てくれてありがとうな。まだ幼い子供たちに留守番させちまって可哀そうなことをした。あとでお土産でも持たせるよ」
「いや、大丈夫だ。乳母たちが見てくれているからな」
「ミレーヌ夫人もありがとう。準備にアドバイスくれて助かったよ」
「いいえ、アルシャイン様。大事なお嬢様をお迎えする日ですものね。お役に立てて嬉しいですわ」
騎士団長夫妻を呼びつけてまでの準備って一体何だろうと首を傾げたリギアとラドゥに、カレブが苦笑しながら説明する。
「残念ながら、うちで晩餐会なんぞ開いたことがなくてね。こういう采配は女主人の役目だろうけど、俺はこの通り独り身だからそういう気配りってのがよくわからん。女の使用人に任せて間違いがあってもいかんし……だから友人のランディに頼んで奥方にアドバイスを貰ってたんだ」
カレブがランドルフとミレーヌ夫人を紹介しながら、この晩餐会の裏事情を白状する。
確かにこういうことは女性のほうが細かな気配りができるが、男はなかなかそうはできないことが多い。
だからと言って女使用人に女主人のような真似をさせて増長させたりトラブルが起こってもいけない。特にカレブはその美貌とフェミニストな性格から女性関係でトラブルが絶えなかったので、そこはきちんとわきまえた淑女の協力が必要だったというわけだ。
その点、騎士団長ランドルフ・グランリッターとその子供たちを内助の功で支える良妻賢母なミレーヌ夫人のアドバイスは非常に役立った。
リギアはカレブがそんなにしてまでしっかり準備してくれたのかと思ったらなんだか胸が熱くなる。
「……私の為に色々と準備してくださってありがとうございます」
「とんでもない。夫に聞きましたわよ、リギアお嬢様。お父様の謹慎中に心温まるお手紙を贈られたとか。アルシャイン様がとても喜んでおられましたので、そういうことならぜひお手伝いさせてくださいとこちらからお願いしましたの」
「ええええっふ……!」
「ぐふっ……」
ニコニコしながら突然その話をぶっこんでくるミレーヌ夫人にリギアとラドゥはむせ返った。
その手紙はほぼラドゥが考えてそのままリギアが書き起こしたもので、リギアが最初に書いたのが「いえ~い、謹慎中のパパ見てる~?」だったなんてカレブが知ったらどうしようと冷や汗が流れる。
しかもそれを自慢げに騎士団長夫妻に話したらしいカレブのどや顔を見ると、今更本当のことは言えない。絶対に。
「ほら、見て見ろリギア~。あんまり嬉しくてさ、額縁に入れて飾ったぞ! 我が家の家宝だ!」
カレブがリビングの一番目立つところに飾られた額縁に向かって手を向けた。
そこには見覚えのある可愛らしい猫柄の便せんにちまちました女文字が綴られた手紙が全て、入れてあった封筒までしっかり額装されて飾られていた。
――ぎゃああああああ! なんてものを飾ってやがるんだパパこのやろおおお!
それを見て、リギアは声なき悲鳴を上げて今度こそ白目をむいて魂がぬけそうになっていた。この場で大声を出して卒倒しなかった自分を褒めたい。
ラドゥもまた、いたたまれなさに顔面を覆ってしまった。
執事が晩餐会の用意ができたと呼びにくるまで、カレブによるこの手紙でどれだけ嬉しかったか、そしてこれのおかげでいかにつらい謹慎中を乗り越えられたかと延々と語られた。
テンションアゲアゲで語るカレブ、それを微笑ましそうに聞いている騎士団長夫妻の楽しそうな雰囲気に、聞きながら後ろめたさの生き地獄を味わうリギアとラドゥであった。
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