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第3章 校外学習で色々稼ごう

30.用事は終わり

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 あの後、フードコートで昼食を済ませて今は一旦別れてそれぞれの買い物変わった。どうでもいいかもしれないが、因みに俺はサンドイッチを食べた。スクランブルエッグのようなものが挟んであるものと、豪快に衣を付けて少し揚げたお肉が挟まっているものを食べた。

 今、俺は魔導書がたくさん置いてある、本屋さんに来ている。
 ざっと、1万冊と言ったところか。この世界では紙も発達しているし、印刷技術は魔法でできるらしい。だから、本の価格は然程高くない。一般的な魔導書だと150ゴールドと言ったところか。

 俺の知らない凄い魔法があるか、試し読みなどをして探してみるが、見つからなかった。少し残念だ。
 ほんとにすごい魔法などは、どうせ国家機密とかなんだろう。学院で魔法習ってるし、そういえばわざわざ魔導書を買う必要って……。

 暇になったので、宿に一旦戻り今日買った剣に魔法付与マジック・エンチャントをしていこうと思う。

 ◇

 前回同様、重量操作ウエート・コントロールでこの剣の重さを俺だけに対して0にする。
 そして、材質操作マテリアル・コントロールでアダマンタイト並みの硬度に作り替える。(表面だけをアダマンタイトにする魔法付与マジック・エンチャントが限界だった。全部をアダマンタイト並みにするなら魔法強化マジック・アップで強化する他なくなる)
 前回の最後の自動修復オート・ヒーリングでいつも最高のコンディションの剣を使えるように傷や欠けているところがないようにする。

 ここからが本番となる。

 ティアナの剣を真似て、精神系も追加することにする。その剣の精神侵食は、脳に負荷をかけるというものらしい。それでは、強い魔物には思考を少し妨げるくらいにしかならない。
 だから、俺の剣にはこの世界にこのような概念があるかは分からないがあると仮定しこのようなゲーム時代では名剣と呼ばれる剣には絶対と言っていいほど付与されていたものを付与する。

 それは、という生命を繋ぐために必要とされる所謂、命そのものだ。全ての動植物には必ずあった。しかし、これにダイレクトで干渉することはどんな手を使っても不可能だ。
 これに干渉するにはを破壊する必要がある。これはどういうものかというと特に何もしていない生物なら魂外殻こころと呼ばれるものがある。魂外殻こころが無いとは拡散してしまう。

 魂外殻こころは、先ず第一条件として生命活動をしていることで存在できる。更に、もう1つは全ての生物に於いて基本的にある肉体だ。
 その肉体に特殊な干渉な仕方をすることによって生命活動を停止させるのが困難な敵でも、を破壊し魂を四散させられる。勿論、相手が無抵抗の場合じゃないとこんなに巧くはいかないが。

 長々と説明をしたが、簡潔に言うと即死攻撃だ。
 ちょっと前クソでかいスライムに即死魔法使って倒せないからあまり自信が無いが。確か、スライムは個々がたくさん集まることで1つになると聞いたことがあるがほんとだったら嬉しいが違ったらどうしようか。

 まあ、即死魔法は魔力消費量が多いので出来れば剣に付与したかったのだが前の剣ではそれは無理だったが、やっと今それができるようになった。

 剣に高位即死付与魔法ハイデッドエンチャントをかける。これは何もに対してプロテクトを施していない生物に対して効く最低限の即死魔法の1000倍威力を出せる。凄い、いいですねこれは。

 では、次の付与といきましょうか。後1つでさっきレベルの付与は限界と言ったところか。

 楽しくなってきて自然と笑みを浮かべる。

 最後の付与は魔法を使う魔物が出てきたとき用の対策の付与魔法をかける。
 上位武器破壊無効化ハイブレイクアンチというものだ。

 悪質な魔物は武器を壊そうと必死に武器破壊の魔法やこの世界ではスキルも使えるのかは知らないが兎に角、剣を破壊されると大変だ。
 だから、この魔法付与マジック・エンチャントを施した。

 これにより、武器破壊に対して1250倍は強くなった。これで壊れる心配も要らないな。しかし、物理的にへし折られればそれで終わりだが。

 こんな感じでいいだろう。
 今回は、前回の限界より大分手前で付与を辞めた。暫くは剣を新調する必要はないだろう。

 さてと、剣に魔法付与マジック・エンチャントも完了したことだし集合場所に行くとしようか。

 いきなり、人の前に転移すると危ないので、魔法でその場所の近くの表通りよりも人通りが少ない路地裏を確認して、そして転移魔法を使った。


 ……どうやら、成功のようだ。その足で集合場所まで行く。

 ◇

 あれ、もうみんな集まっていたな。

「すまん、遅れてしまったみたいだな」

「大丈夫だよ、私たちも着いたばかりだから。それより、なに買ったの?見あたらないけど……」

 魔導書結局買わなかったんだ、そういえば。

「いい魔導書が見つからなくて、買うのを辞めたんだ。その代わりに時間があったから剣に魔法を付与していたんだよね。遅れちゃたけど」

「そ、その剣には何の魔法を付与したんですか?」

 ティアナが剣に魔法を付与したということに食い付いてきた。普段の様子からは考えにくいとても興味津々な様子で迫られた。
 物理的にでは無いが。
 やはり、気になるのかな?

「セシリアのことだから、なんか凄そうだぞ」

「特に割と普通の付与を今回は選んだな。それが、凄いと思うか思わないかまではボクには分からないな」

「一体何を付与したのでしょうか?気になります!」

 ティアナが前回よりも大分食い付いてきている気が……。

「1つ目は重量操作ウエート・コントロール。これは、前回にもあった通り剣の重さを0にしてくれる」

 みんな、こっちを興味津々な眼差しを向けてくれているね。地球にいた頃の俺よ、人生はゲームばかりが楽しい訳じゃなかったよ。

「そして材質操作マテリアル・コントロールで表面だけだがアダマンタイト並みの硬度を持たせた」

「ということはやはりアダマンタイトの剣ではなかったのですね?硬度を持たせるということはミスリル……いや、これほど高度な付与をするならオリハルコンでしょうか?」

「そうだ。これは、オリハルコンが20パーセント配合された剣だ」

「セシリアちゃんは相変わらず魔法が好きだねー」

 俺は魔法が好きということになるのか……。うん、たしかに嫌いではないな。

「嫌いではないな」

「素直じゃないな~」

 このままでは話が進まないので、何も無かったかのように再び元の話に戻す。

「続きだが自動修復オート・ヒーリングという自動で剣の切れ味を保ってくれるようにするやつと高位即死付与魔法ハイデッドエンチャント。所謂、即死効果を付与した」

「―――切れ味に即死……セシリア。鍛冶屋開けるんじゃないか?」

 エンセリアがそう言ってきた。折角、異世界に来たのに魔法で戦えないなんて俺はいやだからな。あとの理由は———

「このレベルは1日1本くらいしか魔力を結構使うからできないんだよ」

 ———という事情があり、できない。もともと、ゲームの中では生産系の魔法が制限されていた。そうしないと物流が回らなくなってしまうからなどの理由があるからだろう。そんな訳で俺はあまりその手のことには向かない。

 また、高位の付与魔法はいつものように周りの魔素を採って付与しようが集める魔素の量が半端じゃないから、集めるだけで魔力が尽きかけてしまう。

「もちろん、まだ付与をしたんだな?セシリアは凄いぞ!」

「さっきの即死の付与とこの後言うのが本命と言ったところだ。上位武器破壊無効化ハイブレイクアンチという物理的な強化ではないがスキルや魔法を使って剣を壊そうとしてくる魔物対策だな」

「魔法やスキルを使う魔物ってダンジョンの結構下層の方ですよ?そこでも通用するレベルの剣を作ってしまったのですか」

 いるんだ、やっぱり魔法やスキルを使う魔物が。
 どの程度のスキルや魔法を使うのか気になる。まあ、ここはゲームでは無いんだし、死なない程度のものでお願いしたい。

「俺はこんな感じだったがみんなはどんな感じだったんだ?」

「ボク、この杖買ったんだ!威力を強化してくれる、店のなかでもいいジャンルに分類されるこの杖を使って魔法を放てばどれ程の威力になるか……ふふ。考えただけでも笑いが」

 自慢気に所々に宝石がついている金属のスティックをみせてくる。見た目だけじゃ無いだろうな。大丈夫か心配になった俺は鑑定の魔法で鑑定をしてみたが、予想に反して見た目に比例して効果も威力が3倍に跳ね上がるなかなか優秀なものだった。

「確かに効果はよさそうだ。その金属の杖で魔物を殴り殺すこともできるんじゃないか?」

「い、いやだなー。そんな、使い方したらこの大事な杖が汚れちゃうからやらないぞ」

 汚れるとか……そんなこと言ってて戦闘で使えるのか?ものを大切にするのはいいことだけどさ。

「この魔道具も凄いんだよ!ほら、光る筒と2台同時に声が繋がる箱だよ」

 ライトとトランシーバー的なやつか。この要領なら、スマホとかのシステムとか立ち上げれば……俺の頭では無理か。

 機会があればそういうのも興味があるかもしれない。

「幾らしたんだ?その2つ?」

「この光る筒は500ゴールドで声が繋がる箱は2500ゴールドだよ。結構安くない?」

 微妙な値段。買うか買わないかと言われれば自分でこのくらいなら作れるし正直買わないが。

「それはいい買い物だったな」

 取り敢えず話を合わせておく。

「それで、ティアナは何も買ってないみたいだがどうしたんだ?」

「私は温泉に一緒に行ってきました。しかし、30分も滞在できない超高速の日帰り旅行でした」

 30分以内の日帰り旅行……凄まじい。

「温泉に入れたのはよかったな。今度、時間がある時みんなで折角だから、遠い温泉までゆっくり行こうな」

「やったね!」

「温泉か……楽しみだぞ」

 よかった。みんな楽しみにしてくれているようだ。
 俺も最近は普通にそういうのが大丈夫になってきている反面があるので、地球にいた頃のように温泉を楽しめると思う。今回は、素晴らしいみんなと一緒でより楽しめるだろう。
 しかし、俺は見た目だけではなく中身まで男を辞めてしまうのだろうか。怖い、怖い。そんなことは俺の意識さえあれば大丈夫だ。


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