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第3章 校外学習で色々稼ごう

29.今日はどうする?

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 チャリ、チャリ、チャリン

「みんな、結構お金溜まったんじゃないかな?折角今日、休みだしさーこのダンジョンの周りのどこで遊ぼうよ」

 カリスがお金の入った袋を振りながら言う。
 そんな持ち方してたら、盗まれるかもしれないぞと注意したいところだが、カリスの強さならそうそう、奪われそうも無いし、そのお金は全体の一部でしか無いのでまあ、放置しておくか。

「ボクは楽しそうだし、賛成だぞ」

「私は、みなさんが行くなら勿論ついていきます」

「あ、ボクも賛成だ。で、どこに行くか決まっているのか?」

 まさか、ダンジョンにまた行くとは言わないだろうな。休みの日でも別に禁止されているわけでは無いから行けないことはないが、折角の休みもダンジョンで過ごすのはちょっと、ね。

「決まって無いよ。だってみんなで決めないと面白くないでしょ?」

 正論を言われてしまった。……みんなで決めるか。
 こんなに楽しみなときが来るようになるとは、俺、改めてこの世界に来れてよかったかもしれない。

「候補とかはあるのか?」

「ショッピングか遊園地みたいなところで遊ぶかどっちか、かな?」

 随分大雑把だな。

「みんなは先ず、この二つでどっちがいいんだ?ショッピングをしたい人は右手を挙げて、遊園地で遊びたい人は左手を挙げる。せーの」

 みんな、右手を挙げている。
 女子は、やっぱりショッピングが好きなのかな?俺も嫌いというわけではないから全然いいんだけど。でも、遊園地とか行って自撮りしたものをSNSにアップしたり、映えるとか言っていろんな写真を撮ったりして盛り上がっているというイメージもあるがそうでもないのかな?こっちでは。

「そうと決まったら、早速商店街に向かうよー!」

 買い物に行くことに決まるとカリスは凄い勢いで外へ飛び出してしまった。

「遅くない?早く、早くー」

 戻って来たようで部屋のドアからヒョコっと顔を出して急かしてくる。
 そっちが早すぎるだけだよとツッコミたくなるが、それを言っても状況は変わる兆しは見えそうにもないので、俺達はカリスの後を追いかけるような形で商店街に向かうのであった。

 ◇

 この世界で、所謂今日は日曜日で多くの人が休みだ。
 通りはいつもより普段は学校に通っている子供たちが遊んでいたり、家族みんなでお出掛けをしたりと様々な人たちで賑わっている。

「最初はどの店に行く?」

 先頭を歩いていたカリスが振り返り尋ねてくる

「私は装備を強化したいです。だから、鍛冶屋というのはどうでしょうか?自分の身を守る大切なものなので、出来る限り万全にしておきたいですからね」

「ボクもティアナに賛成だぞ。痛いのは、嫌いだから防具も買いたいと言いたいところなんだが、なんかボクに似合わなそうだし、魔法を強化して防具の代わりにできるくらい頑張るぞ!そのための杖を買って、少し楽もしたいかもしれない……後、ポーションも欲しいかもしれないぞ」

「私としては便利な魔道具を最初は買いたかったけど、装備を買うのも賛成だね」

「知識をつけたいからボクは魔導書でも買おうと思っていたが、装備を買うというのも悪くないな」


「纏めると、装備はみなさん買いたいということですね。先ずは、鍛冶屋に行って装備を各々買うとしましょう。そして、その後は買いたいと思うものがそれぞれあると思うので、その後は別行動で買って来るということでいいですか?」

 みんなティアナの意見に対して頷いていた。

「ティアナは他に買いたいものはあったのか?」

 エンセリアがティアナに他に買いたいものを言っていなかったので、1人だけなにも買うものが無いという事態を避けるため訊いていた。

「そうですね。買い物では無いんですが、温泉に行きたいです。ただ、温泉に浸かるだけなので、すぐに戻って来られると思います。セシリアさんから教えてもらった知識や魔法もありますから転移魔法で一瞬で行くこともできますよ」

「えー!いいなー、温泉。……でも今は温泉よりも魔道具の方が買いたい……だけどやっぱり温泉も―――」

 カリスの1人で葛藤し始めているが無視して話を進める。

「では、みなさん鍛冶屋に行って、その後別行動でそれぞれ買いたいものなどを買って来るということで。集合場所はどこにしましょうか?」

「その後、特にやることも無いんだしそのまま宿で待ち合わせでいいんじゃないか?」

 みんなに訊いてみると、どうやら賛同してくれているようだ。

 話も纏まった俺達は、ここ周辺で1番大きな鍛冶屋へと向かっていくのであった。

 ◇

「2階に別れている鍛冶屋なんですねー。これなら、なんでも置いていそうです」

 一階だけだったとしても普通の店の5倍はあるであろう、面積を持つ店が更に2階まで作るととてつもなく、大きな店となる。
 ここの世界では通常、一階建ての店となる。そう考えるとこの店は、世界でも指折りの広さを誇るのでは無いかと思う。

「1階は防具で、2階は武器を売ってるみたいだよ!広いからここでも別々で買い物しないと今日中に買いきれないかもしれないね」

「では、買い物は各自ですることとして、買い物が終わったらここで待ち合わせで、ということでいいですか?」

「いいよ」
「うん」

 みんな、納得したようだ。これ、みんなで来る必要あったのかな?移動以外全部別行動じゃん。

 それぞれ、2階に行ったり店の商品を見始めていた。

 俺も、武器を買うことにする。
 この今使ってる大剣は悪くないけど、この剣は無理矢理硬度を上げていて、付与魔法マジック・エンチャントも若干許容範囲をオーバーしかけようとしてて、これをずっと使っていると、戦闘中に弾けていきなり剣が木端微塵という事態が起こる可能性がある。

 そんな訳で今回は、本物のアダマンタイトかミスリル等を使った剣を買いたい。でも、流石に純度がほぼ100パーセントの大剣となると値段は5000万ゴールドはしても可笑しく無いだろう。
 そんなものは買えるわけも無いので、配合されている剣で我慢する。


 大剣がたくさん置いてあるところまで来た。
 今、俺は手元に5万ゴールド持っている。というかこれが俺のほぼ全財産である。この世界どんだけ稼げんだよと最初は思っていたが、冒険者をやっていく上で必要な金の量が尋常ではない。例えば500万円分の5万ゴールドがあっても、アダマンタイト1キロも買えないのに全部吹っ飛ぶ。

 だから、冒険者は稼げるようで稼げない難しい職らしい。

 それは一旦おいておこう。
 それで、今回の予算は3万ゴールドにした。これなら、前回の剣の5倍くらいの硬度の剣を期待できるだろう。

 大剣だけでも、100本は余裕で超えているがこの鍛冶屋は親切で値段別で置いてくれている。更にタグのようなものがあり、簡単な商品紹介までついている。

 俺は3万ゴールドコーナーに行く。この値段の大剣は5本くらいだった。人気のようで、結構剣をたてるスペースが余っている。

 さて、どれにしようか。

 どの剣にしようか?
 一つ一つタグを見ていくか。


 【オリハルコン配合剣】

 この剣はオリハルコンが20パーセント練り込まれています。ミスリルが20パーセント練り込まれている剣よりも魔法を若干通しやすくなっています。魔法を付与して使うことをおすすめします。検定付き。
 価格33,000ゴールド


 【ミスリル配合剣】

 この剣はミスリルが15パーセント練り込まれています。オリハルコンが15パーセント練り込まれている剣よりも魔法を通しにくいですが、剣自体の硬度が20パーセントくらい上です。魔法を付与しながら強度を必要とする場面で使うことをおすすめします。検定付き。
 価格26,000ゴールド


 【アダマンタイト配合剣】

 この剣はアダマンタイトが15パーセント練り込まれています。強度は普通のミスリル、オリハルコン等の特殊な金属を使わないものより100倍程あります。しかし、魔法を殆ど通さ無いので魔法を付与することはあまりおすすめはできません。物理攻撃を必要とするときにおすすめです。検定付き。
 価格31,000ゴールド


 【ミスリル、アダマンタイト配合剣】

 この剣はミスリルが10パーセント、アダマンタイトが5パーセント練り込まれています。強度はミスリルが15パーセント練り込まれている剣よりも15倍あります。しかし、魔法はミスリルが5パーセント練り込まれている剣よりと同じくらいの通しやすさとなってしまいます。ミスリルよりも少し強度が必要となる場面におすすめです。検定付き。
 価格34,000ゴールド


 【アダマンタイト配合剣】

 この剣はアダマンタイトが20パーセント練り込まれています。強度は普通のミスリル、オリハルコン等の特殊な金属を使わないものより175倍程あります。しかし、魔法を殆ど通さ無いので魔法を付与することはあまりおすすめはできません。物理攻撃を必要とするときにおすすめです。ミスリルが1パーセント練り込まれている剣を切断することも実証済み。検定付き。
 価格34,500ゴールド



 なるほどね。ふむふむ。

 なんか、ゲームの頃と違って実際に伝説の素材で作られた剣を目にすると気分が高揚してくるね。

 アダマンタイトは魔法付与マジック・エンチャントができないのではなく、あくまでもということだからできないことは無いけど、それじゃあこの今使ってる剣みたいに多くは魔法付与マジック・エンチャントできないだろう。
 同様に考えていくとミスリルも微妙になってしまうので、やはりここは魔法と相性がいいオリハルコンにしておくべきか。

 俺は1番最初に見たオリハルコン配合剣を手にすると、身体強化ボディー・タフリングで軽く剣を素振りしてみる。とは、言っても素人俺なんか剣のプロから見れば笑われてしまうだろう。
 実はここにも親切があり、剣を振れるくらいに通路が広いスペースになっている。更に見通しもいいので当たる心配も少ない。

 特におかしなところも無かったので、俺は会計をしに入り口付近にまで向かう。


「あ、セシリアさん!お買い物はこれで終わりですか?」

「ああ、そうだな。そっちの2人も終わりということかな?」

 ティアナとエンセリアがレジに並んでいた。

「そうですよ。私たちも1分程前に先程のように会いました。そうするとカリスさんが来るまで待ちま―――」

「き、奇遇だね!はぁ、はぁ………私も丁度終わったんだよね」

 後ろからカリスが俺達を見たからか知らないが走ってきたようだ。何が奇遇だね、だよ。そんなに急ぐ必要もないのにカリスなりのポリシーでも持ってるのかな?
 でも、よく考えたら俺もこういう状況になったら急ぐかもしれないな。人待たせるとか、なんか居心地悪いし。

「腹がそろそろ減ってきたな。この会計でも済ましたら料理屋でも行くか?」

 みんなにお腹が、減ってきたのでこの後料理屋に行くか確認をとってみる。カリスのことは完全にスルーしていく。逆に行かないのならどうするのかって話になるが。

「そういえば、もうそんな時間だね。私は寿司屋に行きたいなー」

「え?昼からですか?私はパンを食べたい気分で―――」



 この後も話は昼のことで盛り上がっていた。女子ってこういうのすごい盛り上がるよね。いつしか、俺が話に入る余地等とうの昔に消えてしまっていたようで結局四人で話は全員が会計をし終わって、鍛冶屋を出る頃には纏まっていたようで、フードコートみたいなところがあるのでそこで食べることとなった。
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