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「ん?あ、シュウからだ。何だこれ」
僕は通知音で目が覚めた。シュウから画像が3枚送られてきている。
「...御雪様?」
どうやら御雪様はこの辺りで祀られている「変化」の神らしく、この辺りで信仰されているらしい。よく見ると、説明文の「爪」の部分に丸がつけられていた。シュウがペン機能でつけたんだろう。「爪は変化の象徴」であり、御雪様に供えられる物らしい。
ということはあの女は御雪様の変化の象徴である爪を食べていた。...でもなんで?
他の2枚も見てみる。
御苫様もこの辺りの神らしい。だが、「民を変化より隔て給ひし御苫様、その御心のありさまゆゑに、信仰は次第に人々の心より失せたり。」ってことは御苫様はあまり好まれず、結果として「現在ではほとんど信仰の姿をとどめていない」ほどに衰退した。そこで脚光を浴びたのが御雪様と...。
ということは御苫様は間違いなく御雪様を嫌っていただろうな。
でも、結局あの女の行動の説明にはならないよな。...というか、あいつはそもそも誰なんだ?これと行方不明事件は本当に関係あるのか?
あ゙ー分からん。何だこれ。でもあの女と関係あるのは間違いなさそうだよな...。
...一旦休憩しよう。
...
炭酸うめえ。休憩室でソーダを買って飲んでいると、古谷が降りてきた。
「あ、古谷。大丈夫?」
「何とか... 流石に飲みすぎたな」
「確かに、昨日ストスリ何本飲んだ?」
「4本」
「絶対飲み過ぎ」
二人で話しながら上に戻ろうとした時、ふと、視界の端にあるものが映った。
「何だろ、これ」
それは受付横にぽつんと置いてある黒っぽい置物。人型だが、何かは分からない。木を彫って作った物らしい。
「ああ、それですか?それはここの女将さんが持っていた物らしいですよ。何かはよく分からないそうですけど」
受付の人が言った。
「あ、そうなんですね。ありがとうございます」
「持っていた」という言い方が少し気になったが、私は部屋に戻った。
...
部屋に戻り、早速御雪様と御苫様について調べてみる。Guugleで調べたら、民俗学の論文が出てきた。
...
御苫様信仰と御雪様信仰の対立について 黒坂 俊希
岐阜県を中心に信仰が根付いてきた土着神である御苫様と御雪様は、古くから対立的な関係にある神格として語られてきた。伝承や関連文献を検討すると、両者の間に「対立関係」が設定されている事例が数多く確認できる。例えば、御苫様は「不変」を、御雪様は「変化」をそれぞれ尊ぶ存在として描かれる点が挙げられる。また、御苫様に関しては室町時代以前の資料が現在ほとんど残されていない一方、御雪様は長期にわたり信仰が継続しており、現代においても多数の信者を有している。象徴的側面においても、御苫様は「黒」、御雪様は「白」と対照的な色彩によって表象される。
このような神格上の対立は、両者の信仰形態にも強く反映されている。とりわけ御雪様信仰においては、御苫様および御苫様信仰の担い手に対して否定的・忌避的な態度が示される傾向が強く、資料の中には侮辱的、あるいは差別的とも受け取れる表現が見られる場合もある。これに対し、御苫様信仰においては、「ままたよ」と呼ばれる語が、御雪様を遠ざけると同時に、御苫様信者同士の結束を確認する合言葉として機能している。
以上の点から、御苫様と御雪様という二つの神格、ならびにそれぞれの信仰圏の間には、単なる性格差を超えた深い断絶が存在していると考えられる。
...
御雪様信仰の広がりと御苫様との関連性について 黒坂 俊希
御雪様信仰が積極的に展開されるようになった室町時代以降、御苫様および御苫様信仰の担い手に対する差別的態度は、より顕在化していったと考えられる。各地に伝わる伝承の中には、御苫様に仕えた人物として知られる「太与」が、故郷の村を追われ、その後二度と村人の前に姿を現すことはなかった、という趣旨の語りが確認される。こうした伝承は地域によって細部に差異が見られるものの、「御苫様信仰の担い手が地域共同体から排除され、孤立していった」という共通した構図を有しており、しばしば戯画的、あるいは娯楽的に語られる傾向がある。
このような語りの蓄積に伴い、御雪様の神格的優位性が強調されるようになり、その結果として御雪様信仰が一層拡大していく契機となった可能性が指摘できる。
...
やはり、御苫様と御雪様の間柄は良い物ではなさそうだ。てゆうか後半、結構酷い話だな...。まあでも、この辺はシュウが調べてくれたっぽいし後で話聞くか。
僕は、行方不明事件の方を調べてみることにした。しかし、僕はあることに気がついた。「亜寒村 行方不明」と調べると、似たような行方不明事件が何件かヒットしたのである。
...
2023年2月9日、旅行客として亜寒村を訪れた竹田龍之助さん(当時34歳)、亜寒村の住民である、吉沢玲花さん(当時22歳)、と舞田晴彦さん(当時71歳)、牧内 広子さん(当時46歳)の安否が不明になりました。
2023年2月9日以降に上記4名らしき人物を目撃した方がいらっしゃいましたら、以下の電話番号に情報提供にご協力下さいますようお願い申し上げます。
058-■■■-■■■■
岐阜県警 生活安全課
...
こんな感じの事件が不定期に、何回か起きている。少なくとも、普通ではない。この前のブログの人、大丈夫だったんだろうか。
時刻は16時。調べ物だけでかなり時間が経ってしまった。パソコンを閉じると、ノックが聞こえた。
僕は通知音で目が覚めた。シュウから画像が3枚送られてきている。
「...御雪様?」
どうやら御雪様はこの辺りで祀られている「変化」の神らしく、この辺りで信仰されているらしい。よく見ると、説明文の「爪」の部分に丸がつけられていた。シュウがペン機能でつけたんだろう。「爪は変化の象徴」であり、御雪様に供えられる物らしい。
ということはあの女は御雪様の変化の象徴である爪を食べていた。...でもなんで?
他の2枚も見てみる。
御苫様もこの辺りの神らしい。だが、「民を変化より隔て給ひし御苫様、その御心のありさまゆゑに、信仰は次第に人々の心より失せたり。」ってことは御苫様はあまり好まれず、結果として「現在ではほとんど信仰の姿をとどめていない」ほどに衰退した。そこで脚光を浴びたのが御雪様と...。
ということは御苫様は間違いなく御雪様を嫌っていただろうな。
でも、結局あの女の行動の説明にはならないよな。...というか、あいつはそもそも誰なんだ?これと行方不明事件は本当に関係あるのか?
あ゙ー分からん。何だこれ。でもあの女と関係あるのは間違いなさそうだよな...。
...一旦休憩しよう。
...
炭酸うめえ。休憩室でソーダを買って飲んでいると、古谷が降りてきた。
「あ、古谷。大丈夫?」
「何とか... 流石に飲みすぎたな」
「確かに、昨日ストスリ何本飲んだ?」
「4本」
「絶対飲み過ぎ」
二人で話しながら上に戻ろうとした時、ふと、視界の端にあるものが映った。
「何だろ、これ」
それは受付横にぽつんと置いてある黒っぽい置物。人型だが、何かは分からない。木を彫って作った物らしい。
「ああ、それですか?それはここの女将さんが持っていた物らしいですよ。何かはよく分からないそうですけど」
受付の人が言った。
「あ、そうなんですね。ありがとうございます」
「持っていた」という言い方が少し気になったが、私は部屋に戻った。
...
部屋に戻り、早速御雪様と御苫様について調べてみる。Guugleで調べたら、民俗学の論文が出てきた。
...
御苫様信仰と御雪様信仰の対立について 黒坂 俊希
岐阜県を中心に信仰が根付いてきた土着神である御苫様と御雪様は、古くから対立的な関係にある神格として語られてきた。伝承や関連文献を検討すると、両者の間に「対立関係」が設定されている事例が数多く確認できる。例えば、御苫様は「不変」を、御雪様は「変化」をそれぞれ尊ぶ存在として描かれる点が挙げられる。また、御苫様に関しては室町時代以前の資料が現在ほとんど残されていない一方、御雪様は長期にわたり信仰が継続しており、現代においても多数の信者を有している。象徴的側面においても、御苫様は「黒」、御雪様は「白」と対照的な色彩によって表象される。
このような神格上の対立は、両者の信仰形態にも強く反映されている。とりわけ御雪様信仰においては、御苫様および御苫様信仰の担い手に対して否定的・忌避的な態度が示される傾向が強く、資料の中には侮辱的、あるいは差別的とも受け取れる表現が見られる場合もある。これに対し、御苫様信仰においては、「ままたよ」と呼ばれる語が、御雪様を遠ざけると同時に、御苫様信者同士の結束を確認する合言葉として機能している。
以上の点から、御苫様と御雪様という二つの神格、ならびにそれぞれの信仰圏の間には、単なる性格差を超えた深い断絶が存在していると考えられる。
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御雪様信仰の広がりと御苫様との関連性について 黒坂 俊希
御雪様信仰が積極的に展開されるようになった室町時代以降、御苫様および御苫様信仰の担い手に対する差別的態度は、より顕在化していったと考えられる。各地に伝わる伝承の中には、御苫様に仕えた人物として知られる「太与」が、故郷の村を追われ、その後二度と村人の前に姿を現すことはなかった、という趣旨の語りが確認される。こうした伝承は地域によって細部に差異が見られるものの、「御苫様信仰の担い手が地域共同体から排除され、孤立していった」という共通した構図を有しており、しばしば戯画的、あるいは娯楽的に語られる傾向がある。
このような語りの蓄積に伴い、御雪様の神格的優位性が強調されるようになり、その結果として御雪様信仰が一層拡大していく契機となった可能性が指摘できる。
...
やはり、御苫様と御雪様の間柄は良い物ではなさそうだ。てゆうか後半、結構酷い話だな...。まあでも、この辺はシュウが調べてくれたっぽいし後で話聞くか。
僕は、行方不明事件の方を調べてみることにした。しかし、僕はあることに気がついた。「亜寒村 行方不明」と調べると、似たような行方不明事件が何件かヒットしたのである。
...
2023年2月9日、旅行客として亜寒村を訪れた竹田龍之助さん(当時34歳)、亜寒村の住民である、吉沢玲花さん(当時22歳)、と舞田晴彦さん(当時71歳)、牧内 広子さん(当時46歳)の安否が不明になりました。
2023年2月9日以降に上記4名らしき人物を目撃した方がいらっしゃいましたら、以下の電話番号に情報提供にご協力下さいますようお願い申し上げます。
058-■■■-■■■■
岐阜県警 生活安全課
...
こんな感じの事件が不定期に、何回か起きている。少なくとも、普通ではない。この前のブログの人、大丈夫だったんだろうか。
時刻は16時。調べ物だけでかなり時間が経ってしまった。パソコンを閉じると、ノックが聞こえた。
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