【完結】生贄娘と呪われ神の契約婚

乙原ゆん

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五十二.生贄娘、白麗の診察を見る

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 朝餉の席で、紫水は真っ先に白麗に尋ねる。

「眠れたか?」
「あぁ。久しぶりに心地よく眠れたと思う」
「よかった。なら、後で今後の分を調合しておこう」
「頼む。手間をかけるな」
「いや。眷属達も滅多に堕ち神の呪いを見ることはないから勉強になっている。これくらいはお安いご用だ」
「そうだった。今朝も診察があるんだったな」

 元気をなくす白麗に、紫水は呟く。

「堕ち神を倒す以外に、呪いを解く手段が見つかればいいのだが」

 香世も砥青も、頷くのだった。


 その翌日のことだった。
 朝餉の後、香世が紫水の授業を受けているところで、紫水の眷属が申し訳なさそうにやってきた。

「どうしたのだ」
「申し訳ありません、紫水様。我々では手に負えない患者が来まして」
「なんと」

 腰を上げかけた紫水がはっとしたように香世を見る。

「どうぞ、構わず行かれてください」
「助かる。また後で時間を調整しよう」

 そう言い残し、紫水は眷属と共に慌ただしく部屋を出て行く。
 香世も手に着く範囲の片付けと戸締まりをして、作業場を後にした。


 この時間、いつも紫水の授業を受けているため、やることがない。
 部屋に帰ろうか、と考えて香世は白麗の様子を見に行くことにした。
 この時間は眷属達から診察を受けているはずだ。

「こちらだったわよね」

 廊下を進むと、人の声が聞こえてくる。

「白麗様、では次は、こちらの紙を噛んでしばらくそのままでお願いします」
「なんだこの紙は?」
「唾液に含まれる瘴気を関知して色が変わります」
「なるほどな」
「ということでお願いします」
「むぐぅっ⁉」

 取り込み中のようで、静かに扉を開けて中を覗く。
 たすき掛けをして腕を出した眷属達に、白麗が囲まれている。
 珍しく白麗は狼の姿で、口で札のような紙を咥えていた。
 音を立てないように覗いたはずなのに、目敏く見つかってしまい、部屋の中へと招かれる。

「奥方様!」
「どうなさいましたか?」
「さぁさぁ、どうぞ中へ」
「香世!」

 ペッと咥えていた紙を吐き出して、白麗が駆け寄ってくる。

「あー……」
「まぁ、ギリギリ色は出てるな」
「白麗様、検査の途中では……あちらは、よかったのですか?」

 聞こえてくるやりとりに白麗を見ると、白麗は堂々と頷く。

「構わぬ。今日はもう、かなり付き合っているからな。それにそろそろ昼餉の時間だ。少し早いが、向かおう」

 本当にいいのだろうかと思うが、眷属達も苦笑しながら頷いていた。
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