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第3章~肉薄~

謎の人物の謎の責任

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「なぁなぁ、お前好きな人だれだよ?いるんだろ?教えろよ!」
「・・・。ぼ、僕は・・・。」
「なんだよ、誰にも言わないから教えろよ!」
「ほ、本当に誰にも言わない?」
「うん!いわねーよ。で、誰なの?」
「う、うん。僕、実は・・・。佐伯くんのことが好きなんだ。」
「は?」
「いや、そういうのいいから。好きな女子が誰か教えろよ。」
「うぅ、だから・・・。」
「誰?誰?」
「だ、だ、だから!!ぼ、僕が好きなのは佐伯くん!君だよ!!」
「は?どういうこと?」
「佐伯くんのことが、と、友達としてじゃなくて恋愛感情の好きなんだ!」
「マジで言ってんの?」
「う、うん・・・。」
「うえぇぇ!お前、男のくせに男が好きとか気持ち悪りぃな!ばーか!2度と俺に近づくな!」
「・・・。」
「何、黙り込んでんだよ!」
「うぅ、佐伯くん酷いよ・・・。」

目の前が光り輝き目を細める。徐々に慣れていき目を開けるとそこには何者かわからない何かのシルエットだけが
認識できる。そのシルエットが呟く。
「あなたはどんな困難にも負けず乗り越えられるでしょう。しかし、20XX年●月●日、あなたは死にます。」――――――いつものようにここで目が覚める。

今日は快晴、カーテンの隙間からこぼれる眩い光で佐伯は目を覚ます。
今日はなぜだかいつもより鮮明に記憶に残っている夢を見ていた。
「小学4年生のときの出来事を夢で見るなんて。懐かしいな。あいつ今何してるんだろう。」佐伯は独り言を呟きながら支度を始める。両手を伸ばしゆっくり伸びをする。ベッドから出て顔を洗い、次に歯を磨く。
時間が経つにつれて顔つきに真剣さが増していく。今日から遂に謎の生物との決戦が始まるのだ。
佐伯は最後に腕時計を身に着け家を出る。集合場所には既に倉敷がいた。「おはよう倉敷。」
「おぉ、佐伯。おはよう。」角田はまだ来ていないようだ。「俺の能力ってなんか不思議だよな。」
佐伯は突然雑談を始める。「能力なんて身に付いてる時点で全員不思議だろ。」「いや、そうじゃなくてさ、透明人間って本来は不自由の塊じゃん。」「まあ、確かに実際透明人間になれた場合、目は見えないし身に着けてるものや食べたものが宙に浮いてるように見えるから、全く役に立たないらしいな。」「うん、でも俺には都合のいい部分だけが能力として身に付いた。そう考えるとなんか不思議だなぁって思ってさ。」佐伯がなぜ今こんな話しをしてきたかは倉敷にはわからなかったが、角田が来るまでは雑談して時間を潰すのも悪くない。
「いや、桂城大ってすごいんだなと思ってさ、誰もが憧れるような透明人間になる能力が、『実は不自由でした』
じゃなくて、理想の能力を開発したってことだろ?」
ピクッ!佐伯と倉敷の近くで何かが反応したが、2人はそれに気づいていない。
「まぁそうだな。彼は世間が否定的な意見ばかり持つような研究をたくさんしていたが、天才科学者であることは紛れもない事実だからな。」倉敷はこんな日だからこそ普段通りな感じがして寧ろ心地いいものだと感じ佐伯の雑談にのっかっていた。と思っていたら、角田がやってきた。「おー、2人とも来てるな。お待たせ。」
3人揃ったところでそれぞれ挨拶を済ませ、全員真剣な眼差しへと変わり3人揃って1点を見つめる。謎生物がやってきてから唯一建設された巨大な塔。これは調べるまでもない、彼らのアジトだろう。
そこで素早く決着させたいのが3人の理想だ。「よっしゃ!行くか!!」佐伯が啖呵を切る。「おう。」佐伯の言葉に倉敷と角田2人同時に返事をする。「そこの3人組さん、ちょっとおじさんと話をしてもらえるかな?」
気合もいれてこれからという時に出鼻を挫かれる。3人は声がした方向を振り返る。
こういう時はだいたい謎の生物が邪魔をしてくるものだ。と思っていたが、そこに居たのは白髪交じりのメガネを
かけた小太りの40代くらいのおじさんだった。他に姿は見当たらない。このおじさんが声をかけてきたのだろう。
「なんでしょうか。」倉敷が返事を返す。「いやぁ、3人揃って何かを決意した目をしていたからこれから何かをするんだなぁ~と思って、気になって声をかけちゃっただけなんだ。よかったら教えてくれるかい?」なかなか鋭い
おじさんに3人の体がピクリと反応する。「ははは、図星のようだね。」おじさんがどんどん迫ってくる。
「大丈夫、君たちの邪魔になるようなことはしないよ。」この言葉に佐伯は(既に邪魔されたようなもんだよ。)と
心の中で呟く。「ただ、今となっては私が償いをするべきだろうからね。」おじさんはそう謎の言葉を残すと、
その後にエールを送って居なくなってしまった。「なんなだったんだあのおじさんは。」角田は辺りを見渡しながら言う。「さぁ、わからないけど、たぶん俺たちの目的に勘付いてるなあのおじさん。」
「人間でよかったよ。あれが謎の生物だったらいきなりバトル勃発だよな。」佐伯は焦りから出てきた額の汗を
拭う。「そうだな。最初はどれだけ隠密行動できるかが肝心だからな。」倉敷はどこか一点を見つめて佐伯の言葉に反応する。「決戦といっても、まだまだ調査するところからだもんな。」角田が自分で考えてるというよりは、
作戦会議で聞いた言葉を口にしているだけだったことに、佐伯は少しニヤつく。
「あぁ、今までは安全な範囲だけの調査だったが、今日からは謎の生物といつでも衝突する可能性がある直接的な
調査になる。そしてそれを素に今のアバウトな作戦から綿密な作戦に切り替えて最小限の戦闘で勝つんだ。」倉敷のこの言葉に佐伯と角田は無言で頷く。そもそもでいうと、残りの出会えなかった1人は能力がわからないが、
わかっている4人の中で角田以外はバチバチの戦闘向きの能力でもない。
それ故、戦うことはなるべく避けていきたいのだ。

「そんじゃ、気を取り直して行くか。」佐伯は辺りを見渡し、今度は少し控えめな声で
言った。倉敷と角田は頷き3人が遂に謎の生物のアジトに向かって歩き出した。
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