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番外編 本部長霧山悠斗の恋
ハイリスク出産と予期せぬ事態の応酬
しおりを挟む結婚3年目にしてやって来た霧山家の天使は、父親の戸惑いと母親の不安を他所にすくすくと成長していく。
つわりが酷く、食べられる物はゼリーやヨーグルトなどの柔らかな物や果物そして…何故かフライドポテト。おかげで霧山はすっかり某ファーストフード店の常連になってしまった。
水分はレモンを丸ごと絞った果汁しか受け付けない。この日休暇を取っていた彼は、朝から大量に買い込んだレモンを絞り…霧状となって飛び散る果汁に両目をシパシパとさせられながらもこの先頑張って産んでくれる嫁の為にとそれなりに奮起する。
「そら…出来たぞ。」
「あ…ありがとう悠斗さん…うぅ、美味しっ。」
「……。」
まんまレモンを丸ごと絞っただけのそれを美味しいと飲む嫁を横目に霧山は悶絶する。…匂いだけでも酸っぱくて耐えられないのだ。
『美優は流の時も小梅の時も、アイスを異常に食いたがった。…やっぱ人それぞれだな。』
つわりは人によりけり、症状が軽い人もいれば重く寝込んでしまう人もいる。長く続く人もいれば、あっさりと楽になる人もいる。
会長清水の妻美優は1人目はつわりが酷くしばらくを寝込んで過ごしていたが、2人目の際はあっさりと楽になり食べ物も色々な物を口にしていた。
その点ほのかはつわりが酷いのは同じものの食べ物に限りがある。…こんなんで本当に大丈夫なのかと霧山は気掛かりだった。
そんな霧山家を訪ねて来たのが、出産育児の先輩である美優だ。夫である清水から色々と話を聞き、更にはほのか本人からも相談されて心配になったらしい。
「どんなご様子ですか?ほのかさん。」
「…。朝から晩まで絞ったレモン汁ばっかり飲んでますよ。…どうぞ。」
「きりにいたん、こんちゃ。」
「っちゃ。」
「こんにちは若、お嬢。お2人も来てくれたんすか?ありがとうございます。」
「うん。ほのかねぇたんは?」
「あっちにいますよ。」
「若頭、これ…レモンす。買い占めてきましたっ。」
「…悪りぃな司。助かる。」
皆でワイワイとリビングに入って行くと、ちょうどベッドからズルズルと這い出てくるほのかの姿が見えて一同が黙り込む。…その様はまるで某ホラー映画のようで怖い。
「おい、頼むからしっかりしてくれ。皆ドン引きしてんぞ。」
「うぅ…だってぇ~…」
肉などの類を食べていないせいか身体に力がないほのかをよらせと抱えて、ソファーの上まで連れて来る。
「ほ、ほのかさん…大丈夫なんですか?」
「あいぃ~…何とか。すみません、なんかご心配をお掛けして…」
「ほのかの姐さん、やつれてるっす。初めて会った頃とかめちゃ元気そうで、ペッカーン!って感じだったすのに。」
「えっへへ…元気には元気なんですよー。大丈夫ですぅ…」
「…。キリさん、健先生は何て?さすがにコレは心配です…私より酷いですよ?」
「この間も栄養剤を点滴してもらったんですよ。実は…ウチのヤツ、ハイリスク出産になる事がわかりまして…」
それはあまりに体調が悪く、あまつさえ食べられないほのかを心配して病院に行った時にわかった。
母体がある程度の栄養を摂取出来ていないと、お腹の子供は栄養が足りず上手く成長出来ない。胎児への直接的な栄養ではなく、母体への栄養が大事なのだ。その為、点滴の間にエコーなどで成長の具合を確認していると…
「…、…?」
「……。」
「……、…あ!」
「健先生よ…『あ!』って何だよ、『あ!』って。」
「い、いやぁ~…あっははぁ…」
「笑って誤魔化すんじゃねぇ!さっさと言えやっ。」
「い、言いますからっ…首っ、締めないでぇ…っはぁっ…えっと、ほのかさんのお腹の赤ちゃん…『双子ちゃん』みたいです♪」
「っな?!…、…ふ、双子?!」
「はいっ。この様子だと…『二卵性双生児』でしょうか。そりゃ頑張って食べても栄養、取られちゃいますよねー。」
「……、…」
双子とわかった以上、食べるだけでは心許ないからと今後は定期的に栄養剤の点滴をする事が決まったのだ。大事な栄養が湯水のようになくなるのだから、やつれるのも道理である。
「ふ、双子ちゃん…なんですね。確かにまだ4、5ヵ月の割には少し大きいなと…」
「…。つわりさえ早く収まってくれれば問題ないみたいですけどね…」
「ほのかねぇたん…げんきないの?」
「ナイナイ?」
「うぅ…若様ぁ、お嬢様ぁ…今日も可愛いですぅ…」
「わ、若とお嬢に癒されてるっす…ほのかの姐さん。」
「流くん、うーちゃん。ほのかお姉ちゃんね、お具合悪いの。ヨシヨシしてあげて?」
「うん♪」
母の言葉に元気に頷き、流と小梅2人はソファーの上によじ登ってほのかの頭のてっぺんをヨシヨシと撫でる。そんな可愛い事をされてしまってはひとたまりもない。
「えぅ~…若様もお嬢様も優しいぃ…私の癒しですぅ…」
「ほのかねぇたん、『かあかん』になゆの。赤たんココ?」
「はいぃ…ココにいますよー。おっきくなったら一緒に遊んで下さいねぇ…」
「ん!りゅうのおとおと!」
「え、若っ…お母ちゃんが産んだんじゃないんすから『弟』じゃないすよ。」
「…。しょうなの?なんで?ちゅかしゃ!」
「うぇ?!…あっと…うぅ~んと…」
「ぷはは!いんじゃねぇか?血の繋がりなくたって、こうなりゃ『兄弟』みてぇなもんだ。…特に俺ら極道の世界ではそうなんだからよ。」
「…そうっすよね!あはは♪」
戯けて笑った司につられて皆も一緒になって笑う。すると美優が感慨深いとばかりに口を開いた。
「…こういう風に笑い合えるって、本当に幸せな事だと思います。しかも良い事が連鎖してくれて…」
「他にも良い事が?…まさかの3人目ですか。」
「いえいえ、私達ではなく南雲先生の所です。…あれ、ご存知じゃなかったですか?」
「…。そう、なんですか。言われれば確かに近頃…」
「はい…志穂さんもつわりでお仕事が辛いらしくて。寝込む程ではないそうですけど、医療の場は何かと力が要りますからね。安定期に入るまでお休みするそうです。」
「…姐さん。ウチと南雲先生んとこ…どっちが早いんですか。」
「え?」
「…産まれるの。」
「えっと、確かほのかさんの方が早いのではないかと。志穂さんの妊娠がわかったのはついこの間みたいですから。」
「どっちにしても、若頭のトコと南雲先生んトコ…同い年の同級生なんすねー。」
「…まぁ、な。」
そう言う霧山の目が遠くなる。両家共に似た時期に子作りに励んでいたのかと思うとちょっとばかり複雑なのだ。
方やのほのかはいえば、ヨシヨシしてくれた流と小梅のおかげで僅か元気になったらしく…更なる癒しを求めて2人にギューギューとしがみついている。
とにかく只でさえ頼りに出来るような家族や兄弟が互いにいない霧山夫婦にとって、経験者である清水夫婦や何もわからないながらにも気に掛けてくれる会の面々の存在はとても大きい。
入籍の際にかりそめの『父母』となった元会長の笛木とみずきも、時間を見つけてはほのかを訪ねて元気付けたり話を聞いたりなどしてくれる。
その甲斐あってか彼女のつわりもやっと落ち着き、逆にモリモリと食べるようになった嫁を冷ややかに見ている内にあっという間の臨月に突入。今にもパン!と張ち切れそうなお腹を抱えるほのかは、寝返りすらままならず自分で靴下を履く事すら出来ない。
なので霧山が全てに手を貸す。立ち上がる時は手を引き、寝返りする時はゴロリと転がし、靴下を履く時は足元に跪いて履かせる。
「…。ゴメンなさい…悠斗さん。」
「あ?何だ…急にしおらしい事言って。今更気にすんな。」
「でも。この間までつわりで心配させていたのに、収まってお腹大きくなったらなったでこんな事まで…」
「だから、気にすんなっての。…まぁ多少は『老人介護みてぇだな。』とは思うけども。」
「んふふ♪悠斗さんがお年寄りのお世話する姿っ…レアだねぇ~♪」
「…あのな、極道に世話されたって嬉しかねぇだろ。それどころかビビっちまってジジババ共があの世行きになるって。」
ほのかの場合、双子出産=ハイリスクとなる為に大事を取って前もって『管理入院』する事となる。お腹の子供らの成長具合と来たる週数での出産がやはり望ましい。
だが…何はなくともとにかく無事にという2人の願いを他所に、予期せぬ事態が起きた。
…予定していた管理入院を前に『破水』したのだ。
夜中だったその時、冷たさを感じて目を覚ましたほのかは、よもや漏らしたのかと青くなった。けれど違うとわかってホッとしたのも束の間、再び青くなって慌てて霧山を揺する。
「悠斗さん…悠斗さんっ。」
「…ん、なした?寝返りしてぇんなら…」
「ち、違う…違うのっ。…破水したかも。」
「ッ、おいっ!早く言えやっ。」
「だってっ…わかんないんだもんっ…違うかもしれないし…」
「…。まさかと思うけど…『俺』のせいか?」
「へ?」
「いや…寝る直前まで…お前に手出ししてたから、よ…」
破水したのは自分から仕掛けてイチャコラしていたせいなのでは…と、霧山は珍しくゴニョゴニョと口籠もった。その様が可愛いのと面白くてぷ!と噴き出す。
「まさかっ。それはない…」
「つうか!ンな事言ってる場合じゃねぇ!ど、どうする…と、とにかく電話だっ。…って!何で会長に掛けようとしてんだよ俺!!」
「…はわー…」
霧山はガバ!と跳ね起きるとすぐ側にあるスマホを引っ掴む。だが起き抜けな上に慌てているせいか操作が上手く出来ず…つい掛け慣れてしまっている会長清水の番号に触れてしまった。あわやの所で切り、再度試みるも…
「…なんか、見づれぇ…」
「わっ、悠斗さん!眼鏡!眼鏡してないっ!」
ド近眼の人間には必至アイテムであるはずの眼鏡を掛け忘れていて、ほのかがアワアワとなりながら掛けさせてあげる。…まるでコントのようだが現実だ。
そんなこんなでようやく健と連絡がつき、すぐに病院へと言われ行動を起こす。『もし不安なら救急車で搬送されちゃって下さいっ。』と言われはしたのだが…そんな公共的なモノを極道が使えるかと跳ね退けてしまった。
…健としては、逆に救急車で来てくれた方が何かと安心だったのだが。
かくして真夜中の国道を走り屋や族もビビるだろう速度で突っ走り、荷物すら持たぬままに数十分と掛からず到着した。
「ほのかさんっ、大丈夫ですか?!陣痛はまだ起きてないですねっ?」
「は、はい…」
「…良かった。ひとまず病室の用意が出来てますからそちらへ。こんな時間ですけど、ちょっとだけ診せて下さいね。」
車椅子にほのかを乗せ院内に入って行くと、入口の中側では院長の南雲が2人を迎えた。
「やぁやぁ、こんな夜中に破水しちゃうなんて…どうやら早くお腹から出たいみたいだねー?双子ちゃんっ。」
「南雲先生…」
「あはは♪汗かいてんじゃんっ、霧山くん!それって冷や汗なの?…そんな焦ったんだ。」
「…。そりゃ焦るでしょ…夜中に叩き起こされて『破水したかも。』とかいきなり言われりゃ…」
「まぁね。しかも男にゃ全くわからないと来たモンだ。…男って、使えない生きモンだねー。」
「…全くですよ。…つうか、姐さんから聞きました…おめでとうございます。」
「あっはは♪ありがとね。ウチももう2カ月もすれば産まれるんだよね…今から慌てる準備しとかなきゃ。」
「…。先生…準備しなくたって十分慌てられますから。マジでビビりますよ。」
そんな話をしている内に病室に着き、内診やらエコーやらと診察が始まり、霧山は当然のように廊下へと追い出されてしまった。
「むぅ…さっきのは破水で間違いはないみたいですね。ただ…完全に破水しきってないので、もう1度破水すると思います。」
「……。」
「双胎妊娠のよくある特徴だな。単胎妊娠と違ってきちんと破水しきれないんだ。…健、双子ちゃんの“タイプ”は?」
「二卵性のMDです。1つの胎盤を兄弟で共有してはいるものの、自分達のテリトリーである卵膜は別々が良い…そんな感じでしょうか。」
「…MD、か。つう事は…」
「はい…どちらかが破水した状況で、片方だけがまだ破水出来ないんだろうと。でもほのかさんは時期に予定日なので、まだ未破水な方もすぐになるかと想定してます。…まぁ、すぐにしてくれないと大変なんですけど。」
「…。健先生…何が『大変』なんだよ…」
「ご説明したかちょっと覚えてませんけど、破水して出た物は『羊水』なんです。お腹の赤ちゃんにとって羊水はとても大切な物で…それに包まれていない状況の双子ちゃんの1人は『無防備』なんですよ。…出来れば明日の午後までには破水してくれないと、1人は危険な状況となってしまいます…」
「ッ、馬鹿やろ!!呑気に構えてる場合じゃねぇだろが!」
「まままっ、落ち着いて霧山くんっ。…それを回避する為に、ウチの優秀な産科医が頑張るから!」
「…僕としては、明日の午後までにもう1度破水が起こらなかった場合は『帝王切開』も止む無しと考えます。…ほのかさんはまだ20歳と若いので、そういう傷を出来れば作りたくないんですが…」
一難去ってまた一難。待望の妊娠を果たしたほのかは、つわりの苦しみからやっとの思いで抜け出して後は一時の産みの苦しみさえ乗り切ればという所まで来たというのに。
『双子』とわかった時、彼女はすごく嬉しかった…あの時喪ってしまった子も一緒に還って来てくれたんだと。
だからこそあの辛いつわりにも耐えられたのだ。弱音を吐く事もなく『大丈夫。』と笑えた。
今度またこの子達に何かあったら…そう考えただけで、言葉にならない不安が涙になって伝う。
「…っ、やだ…やだよっ…っ、2人に会いたいっ…」
「…、…ほのか…」
「今度こそちゃんと産んであげるって決めたのっ…っ、悠斗さんにもたくさん抱っこして欲しい…っ、いっぱい…っ…」
「…わかってる。大丈夫だ…大丈夫、だから…」
誰もいなくなった真夜中…いつもなら産まれたらどんな楽しい事をしようかと話す2人だが、この日ばかりは悲観に暮れ…霧山は自らの父親としての無能さを感じるのだった。
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