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結実ノ章
44 蛙の子はカエル
しおりを挟む出逢いは『最悪』…けれどそれは後に『最幸』へと変わった。
ただ怖かっただけのその男(ひと)の、秘めた優しさと真の強さを知り触れた時…不思議とパズルピースが嵌るかのようにストンと理解出来た。
…この人となら、何があろうと恐れる事なんてない、きっと笑い過ごせていける…と。
夫となった圭介の、愛以上の『安心感と包容力』は今も尚変わる事なく、無限にも等しい。だから妻として尊重してくれるだけではなく、時には1人の『女』としても尊重し愛してくれる圭介に、美優はいつも心から感謝している。
そんな彼女の傍らには、愛する人がくれた『宝物』である流がいつもいる。
夫によく似て若干吊り目気味。けれど同時によく笑う子なので笑みで“緩和”されるらしく、人様にも可愛がられるタイプだ。
「かあかん、なに?しょれ。」
「ロシアの『ひいじい』からのお荷物よ。…ハイ流くんっ、ひいじいがプレゼントだってっ。」
「ほわ?!…?、なに?こえ。」
「ロシアのお帽子よ。動物さんの毛で出来ているの。あったかいでしょう?ほら、シッポもあるっ。」
「おわわ!ちっぽ!ちっぽ!…かあかんっ、しゅごいね!」
「ねー♪すごいねぇ。ひいじいに『もしもし』して、ありがとうしなきゃね!ふふふ♪」
母子は顔を寄せ合うと楽しげに笑い合う。ロシアに住む美優の実祖父ミハエル・ロゼーニョ…彼の地に置いては『ロシアの闇のドン』とも呼ばれる彼との出会いも、元を辿れば夫圭介が手繰り寄せてくれたようなものだ。
…全ては、圭介と共にいたからこそなのだ。
だから彼の役に立つならば…と、何か出来る事はないかと尋ねた事があった。だが…
『ありがとな。…けどな美優、お前にンな事させるつもりはねぇ。…確かにオレが2代目を引き受けちまった時点で、多少なりと『こっちの世界』に引き込んじまってるけどな。けど基本的にオレは、お前にはいつだって笑ってて欲しい。…それだけで十分幸せだ。』
…そう言って笑ったのだった。尚もそれでも、と食い付くと
『…あのな。オレははっきり言ってお前にゃ頭上がんねぇって思ってんだぞ。歳上だからとかじゃなく…何つうか…、…その細っこい身体で何時間も痛ぇ陣痛に耐えて、流を産んでくれたんだ…頭上がるワケねぇだろ。逆にこっちが『すんません。』て感じだぜ…』
と、泣きにも近い言葉が返ってきた。さすがにちょっと笑ってしまい、笑うな!とドヤされてしまったが。
そうもしていると、玄関のドアがガチャガチャと鳴りやがてはいつものように「おーい!」と声がする。
「とうたん!」
その声を聞き、流がてけてけーっと一目散に走って行く。玄関で息子を抱き上げ、入って来た夫圭介は…僅か怪訝な表情だった。
「お帰りなさい、圭介さん。」
「おう、戻ったぜ美優。…流に聞いたが、この頭のでけぇヤツ…ジジイからだって?」
「はい、さっき届いたんです。」
「…ほぉ。ひょっとしなくても…こいつは無言の招待ってヤツじゃねぇだろうなぁ?」
「あは、は…そう思いますか?やっぱり。私も何となくそんな気がして…まだ電話してません…」
「…。ったくなぁ…ロシアなんか行ってるヒマなんかねぇんだよ、クソジジイ…」
「じじ!」
「あ、流くんっ…お父ちゃんの真似っこしないで、流くんは『ひいじい』って呼んであげて?」
「…。とうたん、なんでひいじいを『じじ』ってゆうの?」
「前にも教えたろ。ロシアのひいじいは、母ちゃんのじいちゃんなんだ。だから父ちゃんのじいちゃんでもある。だけど父ちゃんはめんどくせぇから『ジジイ』って呼んでんだ。」
「なんで。」
「…。お前…最近面倒な事を聞くようになったな。」
息子の流は、近頃何かにつけ『なんで?』、『なんで?』と聞いてくる。何に対しても興味を示し知りたいと思ってくれるのは親としては嬉しいが、答えに困ってしまう事までも尋ねられるのは困りものだ。
…現に、今の圭介は珍しく困惑したような表情を浮かべている。
「さぁ流くん。頭のお帽子脱いでご飯にしよっか。お母ちゃんにそれちょうだい。」
「やら。このまんまでいゆ。」
「お?…母ちゃんの言う事聞かねぇ悪ガキはこうだっ、こんにゃろっ。」
「きゃー!にゃはははは!」
お仕置きと称して始まったのは『こちょこちょ』だ。落ちないようにちゃんと支えながらも、こちょこちょとくすぐるその両手は容赦ない。息子も息子で逆さまにされているというのに、それは楽しげに笑い転げている。
…こんな姿に、美優は心温まりほっこりと笑った。
清水家には圭介が『会長』という事を抜きにしても、何くれと人が集まる。
この日は理由はないものの集まろうとなり、舎弟の3人はもちろんの事…実に様々な顔触れが揃った。
「あかりねえたんっ、だっこちてっ。」
「うんいいよぉ~。流ちゃんおいで♪」
床に座っていたあかりに“てけてけ”と近寄ってぎゅっと抱きつく様の何と可愛らしい事か。
「やーん♪流ちゃんかーわーいーいっ。清水さんっ、あかりにちょうだい♪」
「何言ってんだコラ。美優が死ぬ思いで産んだ倅を簡単においそれとやれるかっ。」
その『ちょうだい』発言を聞き逃さなかったのは、隣にいた司だ。きゅぴん!と反応するや、ドン!と床に手を突いて言い放つ。
「おし!あかりっ…作るか!」
「やぁだ司ったら!何言ってんのよ~!!もうっ。」
司にしては渾身のひと言だが、照れてしまったあかりは赤ら顔でバシ!と叩き…「あぶし!」と発して伸されてしまった。
「…。何やってんだ…てめぇら。」
そうもしていると、ピンポン♪とドアチャイムが鳴り、新たな来訪者を知らせる。
「こんばんは、お邪魔します。」
やって来たのは笛木とみずき、そして真次の3人。そして流はあかりの抱っこに満足したのか、来たばかりのみずきの側に来て見上げる。
「みじゅきママっ、だっこ!」
「あらあら流ちゃん。やぐもパパじゃなくていいの?」
「ママがいい。」
「ふふふ♪じゃあいらっしゃい。」
みずきは流を抱き上げ、勧められたソファーへと座ると小さな頭をナデナデする。
「……。」
「…清水、何か言いたげだな。」
「いや…何でもねぇす。」
やもしてると再びの来訪者。最後に現れたのは…
「悪りぃ!もうちょい早く出るつもりだったんだけど、健が捕まらなくてさぁ~。」
「病院は大丈夫なのか?瞬。」
「はいっ。健に丸投げしてきたんで心置きなく飲めます!」
「コラコラ、仮にも院長だろが。丸投げすんなや。」
やって来た南雲夫妻を見て流が動く。ソファーに座った志穂に近寄るとこれまでと同様に見上げる。
「ちほママっ、だっこ!」
「あら流ちゃん…みずきママに抱っこしてもらってたのに、いいの?」
「ん!」
元気に頷く流を抱き上げ、志穂が膝の上に乗せるとぎゅっと抱きつく。…それを見て、父圭介は溜息を吐く。
「やっぱりそうだった…」
「そういや若…『女の人』にしか抱っこ!ってせがまねぇすね…」
「あっははは!流は女好きかっ。…クククッ、父親に似てっ…」
「天性の『タラシ』ねぇ…ふふふ♪」
「るせぇ!オレは『女好き』でも『タラシ』でもねぇ!ッ、タ…タラ、シ…」
「……。圭介さんはモテますものね。…いったいどれだけの女の人が泣いたんでしょう…」
ジト目の嫁美優に見つめられ、挙げ句の果てにはヒヤリと『冷たい笑み』を浮かべられ…圭介に泣きが入る。
「…。タラシじゃねぇってっ…、…昔の女『共』は向こうから近寄ってきてたんだ!オレがっ!自分から!手出ししたのはお前だけだ!」
「………。」
「……。」
「……ふふ♪何年経ってもラブラブねぇ、しーくん♪」
「圭介…今めちゃくちゃ恥ずかしいだろ、お前。」
「…。…別に。」
「さぁて、照れてる親父はほっとくとして…流!コレ土産だっ。」
「あ!『むぎむぎ』!」
くっくっと笑った南雲が取り出したのは『麦チョコ』。チョコならば何でもござれの流はそれを見て、手を出して受け取る。
「ありあと、しゅんおじたん!」
「おう!…ってどこ持ってくんだ?」
ぺこりと頭を下げた流は、それを抱えると何故か司にそれを渡す。
「ちゅかしゃ!“むぎむぎ”あけて?ぽん!ってやって?」
「へ?!い、今すか?若。」
流の言う『ぽん!』の意味がわからず、大人達は一様に首を傾げる。それがわかるのは、次の瞬間だった。
「じゃあいくっすよ?…せーのっ!」
狙った音と違い『パン!』となったのはご愛嬌。麦チョコの袋のど真ん中を持ち、中の空気を利用して破裂させ開けるという寸法なのだが…
「………。」
見ていた一同は一斉に黙り込む。見事に失敗してしまった司は、麦チョコを盛大に辺りにばら撒き飛ばしてしまったのだ。
「あー!りゅうのむぎむぎー!」
もったいないというかのように、流は小さな手でせっせと麦チョコの粒を拾い始める。そして黙っていられず、舎弟達とあかりまでもが拾い出した。
「やっちまったぜ…おっかしいなぁ、この前は上手くいったのにぃ。」
「「あれはスナック菓子だったからだ!」」
「とうたん…」
「…。ゴミ箱だ。母ちゃんが綺麗に掃除してくれてはいるけどな、拾い食いは行儀悪りぃ。」
拾った麦チョコ達を両手に乗せて、食べていいかと懇願した流だが…父に容赦なくダメ出しされ、泣く泣くと差し出されたゴミ箱へと放った。
「…ふぇ…りゅうの“むぎむぎ”…ちゅくなくなった…」
「ポン!をやれって言ったのはお前だろ。瞬おじちゃんがせっかく流に買って来てくれたんだぞ?コレに懲りたら食い物粗末にすんな。…わかったな?」
「…あい…」
残った麦チョコをひしと抱きしめて、父の膝の上に座る流はションボリと肩を落とす。…こういう時はやっぱり『親』が良いらしい。
「さぁ皆さん、出来ました!召し上がって下さいっ。」
皆の楽しむ姿を見ながら数多の料理を仕上げた美優のその言葉を合図に、それぞれがいそいそと動き出す。男性陣は酒を手に互いに注ぎ合い…女性3人は美優の料理に目を輝かせた。
「流は何のジュースがいいんだ?…みかん、りんご…ぶどうもあるぞ?」
「みかん!」
「よーし。じゃあ瞬『パパ』が入れてやるからなっ。」
「…。まだ拘っているのか、瞬…」
「当たり前じゃないすかっ。何で八雲さんだけ『パパ』呼びなんすか…ズルいですよぉ。」
「何なんだよ…女々しい奴め。」
「るせぇっ。とにかく絶対俺は流に『パパ』と呼ばせてみせるっ。」
「流はオレの息子だ!だいたいなぁ…人の子に呼ばせるくらいなら、てめぇの『自前』を作りやがれ!」
「それぞれ夫婦には『色々』あるんだっ。打出の小槌みてぇに籍入れた途端にポン!とデキたてめぇと一緒くたにすんなっ。」
「…んだと?南雲ぉ…、いつまで経ってもデキねぇのは、てめぇの男としての甲斐性がねぇだけだろが!打ちが足りねぇんだ、打ちが!!」
「ハッ!お前に『男の甲斐性』を語られたくねぇってんだよ!」
“パパと呼ばせる”という会話から、何故か逸れてしまい…今やどうでもいい事でギャーギャーと言い争う圭介と南雲。見慣れた光景とはいえさすがに皆に呆れが湧く。
「やれやれ…いったい何の話なんだか。…流、こんな『大人』にはなったらダメだぞ。」
「そうよ?流ちゃん。お耳塞いで『ナイナイ』しましょうね。」
典型的に悪い例なのだから、と笛木とみずきが流に教える。だが当の流はすぐ側に座っているので丸聞こえ…既に『遅い』。
母美優が手で巻いてくれた手巻き寿司をもぐもぐっと食べ切った3歳は、隣でヒートアップしている父の袖をグイグイと引っ張った。
「とうたん。」
「あ?…何だ?流。」
「あかたんって、どうやっておうちにくゆの。ぴんぽん、おしゅ?」
『………。』
大人一同、だんまりである。赤ちゃんが玄関のドアチャイムを押してやって来たら…ちょっと怖い。
「あ、あらあら…流ちゃん、どうしてそんな事聞くの?」
「とうたんとしゅんおじたん、あかたんのおはなししてゆから…ちがうの?」
「…。それ見ろ…今の流は大人の会話をちゃんと聞いているんだ。2人共、責任持って答えろよ。」
「とうたん!どうやってくゆの?」
「う、う~ん…瞬おじちゃんに聞いてみろっ。おっちゃんは白衣着て『医者』やってっからなっ。」
「おい!俺に振って逃げる気かっ。」
「しゅんおじたん!」
「…。その前に流…『パパ』って呼んでみ?」
「ちょっと!それは卑怯よ瞬くんっ。」
「わ、わかったわかった…悪かったよ。んー、そうだなぁ…赤ちゃんはまだ流より小ちゃくて歩けないから、ピンポンは出来ない。」
「…しょうなの?」
「そうなんだ。歩けない赤ちゃんはな、コウノトリっていう鳥さんが連れて来てくれる。」
「…とりしゃん?てって、ないのに?どうやって?」
「そ、そりゃあ…こう、赤ちゃんを何かに入れてな、それ咥えてバッサバッサと…」
「…ぷくくくっ…」
「笑うな圭介っ…、で、でもなっ、鳥さんは決まった所にしか連れて来てくれない。父ちゃんと母ちゃんが仲良しなお家だけなんだなぁ~。鳥さんは超忙しいんだっ。」
「…。りゅうのおうちにも…くゆ?とりしゃん。」
「へ?!」
「…流?」
話の流れから、突如と予想外の事を言い出した流。…さすがは『予測不能男』の血を引く息子である。
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