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本編
刷り込まれていた「非常識」
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死体というものを見慣れない、現代日本人には刺激が強すぎる旅となった。
稔憲は元がこちらなだけあって、魔獣もその死体も、解体も慣れている。隆文はこちらで修行するようになってから慣れた。本人曰く、「飢えるくらいなら、ゴミ漁りだろうが解体だろうがやる」ということなのだが。
とどのつまり、隆文が受けていた虐待はかなりひどかったといえる。
「取りあえず、俺のやっていることからは遠ざかって。慣れるまでは、本当にトニーからナイフの使い方、薬草採取方法のレクチャー受けて」
「で……でも」
「ぶっちゃけ言うとね、魔法のごり押しとか力業で倒されると素材がなくなる。それどころか食べる部分もなくなる。だから、時間をかけて慣れて」
吐くほどつらいなら、こっちに近づかないで欲しいというのが隆文の偽りない本心だ。
「倒すだけが勇者じゃない。人を癒すことも必要だ。あなた方はそちらに重点を置いた方がいいのでは?」
稔憲にしては珍しく、真っ当なことを提案していた。
「い……いいんですか?」
「何で?」
そこで躊躇するのが分からない。
「だって、トニーさんとテディさんは神殿関係者ですよね」
「一応はね。俺は護衛とか警護とか。つまりは戦闘要員」
「……で、でも」
どっちがどっちだが忘れてしまったが、二人揃って腑に落ちないということだ。
とするなら……と隆文はあたりをつけた。
「もしかして、あの国の神殿で『神殿関係者は不殺生だ』とかとでも言われた?」
ビンゴだ。二人揃って、こくこくと何度も頷いていた。
「それじゃ護衛できないよね? もっとも俺もトニーも破門されたわけだからどっちにしても問題ないよ。
ついでに言うなら、神殿での『捧げもの』は基本神官が揃えるからね」
「そ……そうなのですか?」
「そう。だから気にする必要ない」
そこまで言えば、二人ともほっとした顔になり、稔憲の方へと向かって行った。
「そんな理由で不殺生だったら、神殿関係者死んでるっつーの」
二人に聞こえないように思わず呟いた。
それくらいヘブンズという世界は死が隣り合わせなのである。
稔憲は元がこちらなだけあって、魔獣もその死体も、解体も慣れている。隆文はこちらで修行するようになってから慣れた。本人曰く、「飢えるくらいなら、ゴミ漁りだろうが解体だろうがやる」ということなのだが。
とどのつまり、隆文が受けていた虐待はかなりひどかったといえる。
「取りあえず、俺のやっていることからは遠ざかって。慣れるまでは、本当にトニーからナイフの使い方、薬草採取方法のレクチャー受けて」
「で……でも」
「ぶっちゃけ言うとね、魔法のごり押しとか力業で倒されると素材がなくなる。それどころか食べる部分もなくなる。だから、時間をかけて慣れて」
吐くほどつらいなら、こっちに近づかないで欲しいというのが隆文の偽りない本心だ。
「倒すだけが勇者じゃない。人を癒すことも必要だ。あなた方はそちらに重点を置いた方がいいのでは?」
稔憲にしては珍しく、真っ当なことを提案していた。
「い……いいんですか?」
「何で?」
そこで躊躇するのが分からない。
「だって、トニーさんとテディさんは神殿関係者ですよね」
「一応はね。俺は護衛とか警護とか。つまりは戦闘要員」
「……で、でも」
どっちがどっちだが忘れてしまったが、二人揃って腑に落ちないということだ。
とするなら……と隆文はあたりをつけた。
「もしかして、あの国の神殿で『神殿関係者は不殺生だ』とかとでも言われた?」
ビンゴだ。二人揃って、こくこくと何度も頷いていた。
「それじゃ護衛できないよね? もっとも俺もトニーも破門されたわけだからどっちにしても問題ないよ。
ついでに言うなら、神殿での『捧げもの』は基本神官が揃えるからね」
「そ……そうなのですか?」
「そう。だから気にする必要ない」
そこまで言えば、二人ともほっとした顔になり、稔憲の方へと向かって行った。
「そんな理由で不殺生だったら、神殿関係者死んでるっつーの」
二人に聞こえないように思わず呟いた。
それくらいヘブンズという世界は死が隣り合わせなのである。
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