脱サラヒーロー始めました

紺夜

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2.初戦

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「覚悟しろ!怪人!」

 怪人に向かってファイティングポーズをとる栄太郎。

「ふん、やっと現れたかヒーロー。お前が時間通り来ないから暴れ疲れたぞ」

「...!?」

 驚愕する栄太郎。

「お前...喋れたのか!?」

「...いや、たしかに1話ではまったくセリフがなかったけれども。遅刻してきたくせに態度がでかいやつだな。」

 いきなりメタ発言をかましてくる怪人である。

「さっきから時間だの1話だのわけのわからんことを言う怪人だ。さっさと俺が成敗してやるぜ!」

「血の気の多いやつだ。いいだろう相手してやる。我が名は怪人ツメナガー。貴様の...いや、君の名はなんという?」

いちいち発言が怪しい怪人である。

「俺の名は矢野...」

栄太郎と言いかけてハッとした。そういえば子供の頃観ていたテレビの中のヒーローは本名を隠してヒーローネームを持っていたはず。早く答えねば。早く倒して会社に行かねば。えーと、えーと...

「お、俺の名は...左遷ファイターだ!」

とっさに思いついたにしても酷いネーミングセンスである。

「左遷ファイターだと?ふざけているのか?よくそんな恥ずかしい名前を名乗れ...」

「うるせぇぇぇぇぇ!!」

見事な飛び蹴りが怪人に直撃した。

「こ、この俺がこんなふざけた名前のヒーローに負けるなんて...ぐはぁ。」

 怪人は倒された。左遷ファイターの手によって町の平和は守られたのだ。

 変身を解き高揚感に浸る栄太郎だったが、ふと腕時計を見ると時刻は午前9時30分。スマホにはたくさんの不在着信。

「や、やばい...」

慌てて会社へ向かう栄太郎。その後ろ姿を1人の男が見つめていた。

「あれが新しいヒーローか。なかなか期待できそうじゃないか。」

 いったい彼の正体とは!?そして栄太郎の遅刻は許されるのか!?

 どうなる次回!
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