362 / 389
『腸』――16日目
172.『夜の時間(4)』
しおりを挟む**
――――PM23:15、小桃の部屋
佐倉 小桃
「…………白百合さん、信用できそうね」
乃木坂 朔也
「≪ああ。…………よかった≫」
佐倉 小桃
「……………………」
(一昨日、道明寺くんが殺された。昨日は、八木沼さんが。
今日は…………目黒くんをあたしたちが殺した。
そんな状況だと言うのに…………この期に及んで、まだあたしは嫉妬心を捨てきれなかった。
…………絶対的な信頼を寄せる二人の仲に……、白百合さんに)
乃木坂 朔也
「≪…………もしかしたら、俺は今晩、殺されるかもしれない≫」
佐倉 小桃
「…………なぜ、そう思うの?」
乃木坂 朔也
「≪単純に考えたら、占い師を名乗ってる美海かサキちゃんを襲撃すると思うんだ。
けど、たぶん、用心棒がどちらかを守ってる可能性は高い。
…………まあ、目黒が用心棒じゃなかったらの話だけどな。
…………となると、今一番目障りなのは、俺なんだ。
だから、佐倉…………≫」
佐倉 小桃
「遺言なら聞きたくないわ」
乃木坂 朔也
「≪…………遺言、になるのかな。
…………あの返事、今しようと思ったんだ≫」
佐倉 小桃
「……………………」
乃木坂 朔也
「≪…………ごめん。俺やっぱり、美海のことが好きだ。
…………けど俺さ、いつまでも片想いってのもどうかと思うし、…………佐倉なら、好きになれるんじゃないかって思った。本当だ。
けど…………アキラが、あんなことになって…………。
俺が着いてなきゃダメなんだ。
村人として生き残って…………生き残れたら、美海をずっと支えていくつもりだ。
…………なにもかも、全てを受け入れて……≫」
佐倉 小桃
「…………そんなこと言われたら、すがることも出来ないじゃない」
乃木坂 朔也
「≪うん…………ごめん。
でも、佐倉の気持ちは嬉しかった。本当に≫」
佐倉 小桃
「…………ありがとう。
…………でも、これだけ聞かせて」
乃木坂 朔也
「≪なんだ?≫」
佐倉 小桃
「あたしが…………もし、千恵梨だったら、
…………乃木坂くんは同じことを言ったの?」
乃木坂 朔也
「≪泉沢…………? いや、ないよ。
こう言っちゃなんだけど…………彼女のことは、すこし、苦手なんだ、俺≫」
佐倉 小桃
「…………そう。
それだけでも救われるわ。
…………ありがとう」
乃木坂 朔也
「≪いや…………。
じゃ、俺そろそろ、寝るな。
…………おやすみ、佐倉≫」
佐倉 小桃
「…………おやすみなさい、乃木坂くん。
また、…………明日ね」
乃木坂 朔也
「≪ああ。…………生きてたら≫」
佐倉 小桃
「ええ」
乃木坂 朔也
「≪…………おやすみ≫」
佐倉 小桃
「おやすみなさい…………」
(電話が切れた…………。
なんだろう…………あんなにショックだったのに、涙も出ない。
…………白百合さんには敵わない。
最初から、わかってたことよ。
…………でも……………………)
佐倉 小桃
「……………………乃木坂くん」
(どうか。死なないで。生き残っていて。
…………願わくば明日、彼の笑顔が見たい)
佐倉 小桃
「…………乃木坂くん」
(あたしは彼の名前を繰り返した。
何度も、何度も)
――――PM23:45、岬の部屋
和歌野 岬
「…………花菜」
(明日、わたしは…………花菜を殺す。
殺すように仕向ける)
和歌野 岬
「……花菜…………」
(彼女は悲しむでしょうね、わたしの裏切りに。
でも、…………これ以上地獄を見せるわけにはいかない。
どっちにしろ…………二人で生き残ることは出来ないんだから)
和歌野 岬
「花菜…………花菜…………花菜…………」
(ごめんなさい。
…………あなたはわたしの太陽だった。
…………大好きよ、花菜)
和歌野 岬
「……………………」
(胃が…………痛い…………)
**
【残り:13人】
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる