人狼ゲーム『Selfishly -エリカの礎-』

半沢柚々

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『腸』――16日目

172.『夜の時間(4)』

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 ――――PM23:15、小桃の部屋

佐倉 小桃
「…………白百合さん、信用できそうね」

乃木坂 朔也
「≪ああ。…………よかった≫」

佐倉 小桃
「……………………」
(一昨日、道明寺くんが殺された。昨日は、八木沼さんが。
 今日は…………目黒くんをあたしたちが殺した。
 そんな状況だと言うのに…………この期に及んで、まだあたしは嫉妬心を捨てきれなかった。
 …………絶対的な信頼を寄せる二人の仲に……、白百合さんに)

乃木坂 朔也
「≪…………もしかしたら、俺は今晩、殺されるかもしれない≫」

佐倉 小桃
「…………なぜ、そう思うの?」

乃木坂 朔也
「≪単純に考えたら、占い師を名乗ってる美海かサキちゃんを襲撃すると思うんだ。
 けど、たぶん、用心棒がどちらかを守ってる可能性は高い。
 …………まあ、目黒が用心棒じゃなかったらの話だけどな。
 …………となると、今一番目障りなのは、俺なんだ。
 だから、佐倉…………≫」

佐倉 小桃
「遺言なら聞きたくないわ」

乃木坂 朔也
「≪…………遺言、になるのかな。
 …………あの返事、今しようと思ったんだ≫」

佐倉 小桃
「……………………」

乃木坂 朔也
「≪…………ごめん。俺やっぱり、美海のことが好きだ。
 …………けど俺さ、いつまでも片想いってのもどうかと思うし、…………佐倉なら、好きになれるんじゃないかって思った。本当だ。
 けど…………アキラが、あんなことになって…………。
 俺が着いてなきゃダメなんだ。
 村人として生き残って…………生き残れたら、美海をずっと支えていくつもりだ。
 …………なにもかも、全てを受け入れて……≫」

佐倉 小桃
「…………そんなこと言われたら、すがることも出来ないじゃない」

乃木坂 朔也
「≪うん…………ごめん。
 でも、佐倉の気持ちは嬉しかった。本当に≫」

佐倉 小桃
「…………ありがとう。
 …………でも、これだけ聞かせて」

乃木坂 朔也
「≪なんだ?≫」

佐倉 小桃
「あたしが…………もし、千恵梨だったら、
 …………乃木坂くんは同じことを言ったの?」

乃木坂 朔也
「≪泉沢…………? いや、ないよ。
 こう言っちゃなんだけど…………彼女のことは、すこし、苦手なんだ、俺≫」

佐倉 小桃
「…………そう。
 それだけでも救われるわ。
 …………ありがとう」

乃木坂 朔也
「≪いや…………。
 じゃ、俺そろそろ、寝るな。
 …………おやすみ、佐倉≫」

佐倉 小桃
「…………おやすみなさい、乃木坂くん。
 また、…………明日ね」

乃木坂 朔也
「≪ああ。…………生きてたら≫」

佐倉 小桃
「ええ」

乃木坂 朔也
「≪…………おやすみ≫」

佐倉 小桃
「おやすみなさい…………」
(電話が切れた…………。
 なんだろう…………あんなにショックだったのに、涙も出ない。
 …………白百合さんには敵わない。
 最初から、わかってたことよ。
 …………でも……………………)

佐倉 小桃
「……………………乃木坂くん」
(どうか。死なないで。生き残っていて。
 …………願わくば明日、彼の笑顔が見たい)

佐倉 小桃
「…………乃木坂くん」
(あたしは彼の名前を繰り返した。
 何度も、何度も)





 ――――PM23:45、岬の部屋

和歌野 岬
「…………花菜」
(明日、わたしは…………花菜を殺す。
 殺すように仕向ける)

和歌野 岬
「……花菜…………」
(彼女は悲しむでしょうね、わたしの裏切りに。
 でも、…………これ以上地獄を見せるわけにはいかない。
 どっちにしろ…………二人で生き残ることは出来ないんだから)

和歌野 岬
「花菜…………花菜…………花菜…………」
(ごめんなさい。
 …………あなたはわたしの太陽だった。
 …………大好きよ、花菜)

和歌野 岬
「……………………」
(胃が…………痛い…………)
**





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