陰キャの初恋愛(恋愛童貞卒業へ)

上村 春

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第4話 僕の気持ち

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 人間は、ベッドに着いてから眠りにつくまでの間に今日の出来事を思い出すことが多い。それは他にする事がないということもあるが、個人的には今日の出来事を脳にセーブするために行われている事だと思う。人間はきっと死ぬまでに良い思い出をたくさん蓄えたいと感じる。それは本能であり、宿命のように感じる。しかし、悪い思い出もたくさん脳にセーブされている。それは脳内のバグか、良い思い出に変えるチャンスを与えてくれているのか分からない。
 みんなも寝る前に今日の出来事を脳に浮かべた事があるだろう?そこに浮かぶのはきっとあの人であろう。


 時計の針は7時を指している。カーテンの隙間から太陽の光が部屋を照らしている。夜はなかなか眠りにつけなかった事を覚えている。映画1回分の時間はあっただろう。脳内で綾乃との出来事が上演されていた。こんな事は初めてであった。それほど自分にとって刺激が強かったのであろう。女は怖い。そう思った。本音は違うが。


 恋愛ソングなんて誰が聴くのだろうと、ここ2年間は思っている。CDを買って曲を流す人、作曲家が馬鹿馬鹿しく見える。あいみょんなんてまっぴらごめんだ。あんなに恋に真っ直ぐな気持ちを何処で手に入るのかよくわからない。全て異世界の話を曲に載せているようにしか感じられない。
 その原因は正直分かっている。人間は自分に関係がない事を受け入れようとしない。例えば、ドラクエでラスボスを倒している途中に、宅配便が来る。宅配便が美女を連れて来ない限り、ドラクエを中断する事は無いだろう。
 しかし、この話を読めばわかるように自分に関係がない事でも優先してしまう事がある。それは、自分に関係がないと思っている事が初めての発見だった時それを優先してしまうのだ。そしてそれが今である。恋愛ソングを聴きたいという気持ちが込み上がってくる。


 学校へ登校した時間がいつもより5分ほど早い。

「おはよー!」


「お、おはよう」


「今日は良い天気だね!おかげで髪がサラサラだよ!」


「うん、」


 
「今日さ、お弁当一緒に食べない?」


「うん」

 
 一緒に弁当を食べることに対し、緊張して授業に集中できなかった。おかげで腹痛まである。しかし苦ではないのだ。


「特技とかあるの?」


「うん、いちよう」


「え!なになに?知りたいよ!」


「魚捌ける事かな」


「えー!!すごい!かっこいいね」


「え、あ、ありがとう」


 弁当を一緒に食べて良かった事が2つある。1つ目はかっこいいと言われたこと。そして2つ目は「うん」と「そうだね」以外に会話が出来たこと。
 綾乃に言われた「かっこいい」という言葉は、千回は脳内再生されただろう。
 それと同時にTHE BLUE HEARTSの代表曲リンダリンダの一節が脳内に流れていた。「ドブネズミみたいに 美しくなりたい 写真には写らない 美しさがあるから」

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