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第6章
第173話:模擬戦
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かつてともに厳しい訓練を潜り抜けた二人の呼吸は、年月を経ても驚くほどに噛み合った。僕が足止めをし、レリルが焼く。そのあまりに完璧な連撃の前に、あれほど領地を脅かしていた魔物の群れは、文字通り「あっけなく」消滅した。
静寂が戻った戦場。魔導士たちの肩で、戦闘後の熱を帯びた空気が揺れている。
僕は杖を握る手に力を込め、隣に立つ親友の横顔を盗み見た。もうすぐ、この強大な魔力も、この不遜な気配も消えてしまう。二十四時間という期限が、あまりに短く、あまりに無慈悲に感じられて胸が締め付けられる。
「……レリル、僕は――」
名残惜しさに耐えきれず声をかけようとした僕を、レリルは鋭い視線で遮った。
「湿っぽいツラをするな。反吐が出る。……おい、ルクシオ。まだ時間は残っている。少しはマシになったのか、確かめてやる」
レリルが不敵に口角を上げ、僕に向けて掌をかざした。
「久しぶりに、手合わせでもするか」
その言葉に、僕の心臓が大きく跳ねた。
悲しみも絶望も、一瞬で吹き飛んだ。それは子供の頃から、僕たちが一番「僕たちらしく」いられた時間。言葉を尽くすよりも、魔力をぶつけ合う方が僕たちにはずっと自然だった。
「……望むところだ。魔導士長の名にかけて、君を驚かせてみせるよ!」
僕が叫ぶと同時に、模擬戦は始まった。
レリルが放つのは、容赦のない漆黒の雷撃。僕はそれを咄嗟に氷の壁で防ぎ、すぐさまカウンターの風刃を放つ。地面が爆ぜ、魔力の火花が周囲を照らす。
本気の殺し合いではない。だが、互いの魔力回路を読み合い、一瞬の隙を突き合うこの感覚。
「遅い! 読みが甘いぞルクシオ!」
「くっ……これならどうだ!」
レリルは鴉の姿で見ていた時よりも、ずっと活き活きとしていた。身体に宿る神の権能を遊びのように使いこなし、僕の魔法を軽々と受け流していく。
僕もまた、彼に届きたい一心で、持てる魔力のすべてを注ぎ込んだ。魔導士長として積み上げてきた矜持を、すべてこの一瞬にぶつける。
夕闇のストルムベルク領に、二人の笑い声と激しい魔力の衝突音が響き渡る。
それは、失われたはずの「物語」の続き。
戦うこと、高め合うこと。それこそが、僕たちの絆の形なのだと再確認するように、僕たちは夢中で魔法を繰り出し続けた。刻々と削られていく残り時間すら忘れて、僕たちはただ、親友と並び立つ喜びを全身で享受していた。
静寂が戻った戦場。魔導士たちの肩で、戦闘後の熱を帯びた空気が揺れている。
僕は杖を握る手に力を込め、隣に立つ親友の横顔を盗み見た。もうすぐ、この強大な魔力も、この不遜な気配も消えてしまう。二十四時間という期限が、あまりに短く、あまりに無慈悲に感じられて胸が締め付けられる。
「……レリル、僕は――」
名残惜しさに耐えきれず声をかけようとした僕を、レリルは鋭い視線で遮った。
「湿っぽいツラをするな。反吐が出る。……おい、ルクシオ。まだ時間は残っている。少しはマシになったのか、確かめてやる」
レリルが不敵に口角を上げ、僕に向けて掌をかざした。
「久しぶりに、手合わせでもするか」
その言葉に、僕の心臓が大きく跳ねた。
悲しみも絶望も、一瞬で吹き飛んだ。それは子供の頃から、僕たちが一番「僕たちらしく」いられた時間。言葉を尽くすよりも、魔力をぶつけ合う方が僕たちにはずっと自然だった。
「……望むところだ。魔導士長の名にかけて、君を驚かせてみせるよ!」
僕が叫ぶと同時に、模擬戦は始まった。
レリルが放つのは、容赦のない漆黒の雷撃。僕はそれを咄嗟に氷の壁で防ぎ、すぐさまカウンターの風刃を放つ。地面が爆ぜ、魔力の火花が周囲を照らす。
本気の殺し合いではない。だが、互いの魔力回路を読み合い、一瞬の隙を突き合うこの感覚。
「遅い! 読みが甘いぞルクシオ!」
「くっ……これならどうだ!」
レリルは鴉の姿で見ていた時よりも、ずっと活き活きとしていた。身体に宿る神の権能を遊びのように使いこなし、僕の魔法を軽々と受け流していく。
僕もまた、彼に届きたい一心で、持てる魔力のすべてを注ぎ込んだ。魔導士長として積み上げてきた矜持を、すべてこの一瞬にぶつける。
夕闇のストルムベルク領に、二人の笑い声と激しい魔力の衝突音が響き渡る。
それは、失われたはずの「物語」の続き。
戦うこと、高め合うこと。それこそが、僕たちの絆の形なのだと再確認するように、僕たちは夢中で魔法を繰り出し続けた。刻々と削られていく残り時間すら忘れて、僕たちはただ、親友と並び立つ喜びを全身で享受していた。
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