クロノスの子供達

ギリギリセーフ

「アーシャちゃんにはお嬢様の服は小さすぎるわね」
いくら身体が小さいとはいえ、赤ん坊の服を着ることはできない。
「バニラ様の子供の時の服があったはず……あとはそうだわ！」
マーガレットは何か思い出したらしく、脱衣場を飛び出していった。
ゴーフルは、完全に裸のまま放置されていた。
お風呂からあがってすぐに、尿意が高まっていたがマーガレットに伝えるタイミングを逃してしまった。
近くにトイレらしきものはなく、モジモジしながらその場で足踏みしてやり過ごす。
いっそ、風呂場に戻って座り込もうかと思ったがその決断もできない。
「どうしよう、漏れちゃうよぉ」
鏡に映った小さな幼児は今にも泣きそうな顔で立っていた。
「アーシャ様、お待たせしました」
マーガレットが戻ってくるが、ゴーフルはすでに身動きがとれないほど切羽詰まった状況だった。
それを見たマーガレットはすぐさまゴーフルの足の両脇に手を入れてお風呂場に駆け込んだ。
「遅くなって申し訳ありません。我慢しておられたのですね。大丈夫ですよ、ここでやってしまいましょう」
排水口にたどり着くとゴーフルは安堵して放尿した。
「ふう、間一髪でしたね」
ブルッと身体を震わせて最後の一滴が床に落ちる。
「あ、ありがとうございます。マーガレットさん」
「よく頑張りましたわ」
 マーガレットが頭を撫でて褒めてくれるとゴーフルはまんざらでもないという表情をしていた。