クロノスの子供達

絃屋さん　　

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再会

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ゴーフルは走った。
温かい幸福な場所を離れて、冷たい所へ。
「ここが研究所？」
目的の場所は、一見すると宗教的な建造物に見えた。
木造ながら、格調の高い趣き感じられた。
外門の錠は開いており、ゴーフルの非力な力でもなんとか入る事ができた。
「働いていた場所とは、ずいぶん違うでしょう」
そこに立っていたのは元同僚のシラーだった。
「シラー？なんでここに？」
「あの事故のせいで、研究所は閉鎖になった。俺とアルフレッドはここに左遷になったんだ」
「そうなんだ……でもさ、シラーはなんで僕がゴーフルだって分かったの？」
「あぁ、そんな事か……君が事故にあった時最初に助け出したのは俺なんだ」
「そっか、驚いただろう。こんな身体になって」
「あぁ、俺には都合が良かったよ」
「？」
「そうだ、ゴーフル。このクロノス研究所の由来を知っているか？」
「いや、アイルランドの研究所については極秘扱いだったから」
「ここはな、戦時中に不老不死の薬を研究していた場所なんだ」
「不老不死？」
「あぁ、実際は錬金術や怪しげな古代の文献を根拠にしたオカルトの類いで、成果はあがらず閉鎖された」
以前のシラーは、少しおどおどした印象の冴えない男だった。
「それと、今の研究に何の関係が？」
「ゴーフル、君の身体は時間の不可逆性を見事に超越した。素晴らしい結果だったよ」
「若返り現象じたいは、以前から事故はあったんじゃないのか？」
「もちろん、そういう論文はある。だが、意図的に操作する事が出来なかった」
「まさか……お前」
「あの事故は我々、クロノス機関が故意に実行したのだ」
「狂ってるな……ひとつ間違えば街ごと時流嵐に巻き込まれて消滅するかもしれないんだぞ」
「あぁ、そうならないように俺が内部で動いていた」
「そうか……それで僕にそれを話したってことは」
「あぁ、残念ながら社会的には死んでるあなたにはもう一度死んでもらいます」
「待ってくれ、僕の事はいい。マリッサはどうなった？」
「あなたの妹は、記憶を改竄されただけでアルフレッドと一緒に仲良く暮らしているよ」
「そっか、なら良かった」
マリッサが無事だと聞いて、ゴーフルは力を弛めた。

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