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嘘から始まる悲劇
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さきほどより明らかにプックリと膨らんだ下半身を持ち上げて、ゴーフルがベットに這い上がると同時に、強い尿意で開ける事ができなかった病室の扉が開かれた。
「ピピピピピ」
微かではあるが、電子音が聞こえる。
「ごめんなさい、遅くなってしまって」
それはヘスティアとは、別の看護師のようだった。
電子音は、彼女の手に握られた小型の機械から流れている。
「アーシャちゃんのオムツセンサーが鳴っている時に、急にナースコールが入ってしまって」
心底申し訳なさそうに、看護師が言う。
寝たふりをしようとしていたゴーフルにとっては寝耳に水だ。
「ん、あ。僕おねしょしちゃったんでしょうか?」
あくまでも、今起きたという風を装ってそう呟いてみる。
「え、あー、そうみたいね」
看護師の返答の歯切れの悪さが気になる。
「すみません、こんなに遅い時間に」
恥ずかしさを誤魔化そうとするゴーフルの口調は不安定だ。
それを見た看護師は、口許を少し緩めてクスッと笑う。
「ホントにアーシャちゃんは悪い子でちゅね、めっ!」
申し訳なさそうにしていた看護師は、空中でゴーフルのおでこに指を弾き、表情を180℃変える。
その急激な変化に、ゴーフルは嘘を見透かされたのではないかと不安になる。
「このオムツセンサーはね、とっても賢いのよ。外気の湿度と、オムツの中の湿度の変化に反応するだけじゃなくて、患者さんの心拍や血圧などもモニターに送ってくれるの」
看護師は淡々とセンサーの性能について喋る。
「アーシャちゃんに問題です。
センサーが反応した時に、私達が最初になにをすると思う?」
「え……最初に?なんだろう」
ゴーフルはこの急なクイズに戸惑う。
「正解は、部屋の様子をモニターで確認する。でした!」
「!?」
「ふふ、なんでバレてないと思ったのかなぁ。嘘をついて恥ずかしいおもらしが見つかるのを隠したかったのかな?おもらしして怒られるのが怖くてわざと寝たふりをしていたのよね」
「そ、それわ……」
「可愛いなぁ、ちっちゃな子はね。簡単にわかるような嘘をついておもらししてないって言い張るのよね」
「……」
「オムツのおしっこサインは誰がみても黄色になってるのに、僕おもらししてないよぉ~ってね」
「えーと、言おうと思ってたんです。急に看護師さんが入ってきたから……とっさに」
「へぇ、とっさにねぇ」
何を言っても、今の状況ではおもらしを誤魔化そうとしている小さな子供と一緒である。
「ふーん、あくまでも違うって言い張るのね。アーシャちゃんは、おもらししちゃった事をママに教えられない悪い子なのね」
「ち、違います」
「ん~?何が違うのかしら。私が担当している、もっと小さい幼児の子でも素直にちーでちゃった!って教えてくれるのに」
「……」
「あらら、今度はお口も効けなくなっちゃったのかしら。アーシャちゃんは、幼児じゃなくてもう乳児ね」
「違います!」
「えー、だって幼児の子でも、おしっこ出ちゃったって教えてくれるのに、アーシャちゃんはできないでしょ?だったら赤ちゃんそのものだわ」
ゴーフルは反論する言葉を失う。
「私はこの病院では小児科を担当しているの。だから、おもらしやおねしょをしたからって、それを咎めたりはしないわ。でもね、自分が悪い事をしたのに『ごめんなさい』できない悪い子にはちゃんと、お仕置きしないとね」
そういうと、看護師は演技とはいえ怒っている表情を見せた。
「ピピピピピ」
微かではあるが、電子音が聞こえる。
「ごめんなさい、遅くなってしまって」
それはヘスティアとは、別の看護師のようだった。
電子音は、彼女の手に握られた小型の機械から流れている。
「アーシャちゃんのオムツセンサーが鳴っている時に、急にナースコールが入ってしまって」
心底申し訳なさそうに、看護師が言う。
寝たふりをしようとしていたゴーフルにとっては寝耳に水だ。
「ん、あ。僕おねしょしちゃったんでしょうか?」
あくまでも、今起きたという風を装ってそう呟いてみる。
「え、あー、そうみたいね」
看護師の返答の歯切れの悪さが気になる。
「すみません、こんなに遅い時間に」
恥ずかしさを誤魔化そうとするゴーフルの口調は不安定だ。
それを見た看護師は、口許を少し緩めてクスッと笑う。
「ホントにアーシャちゃんは悪い子でちゅね、めっ!」
申し訳なさそうにしていた看護師は、空中でゴーフルのおでこに指を弾き、表情を180℃変える。
その急激な変化に、ゴーフルは嘘を見透かされたのではないかと不安になる。
「このオムツセンサーはね、とっても賢いのよ。外気の湿度と、オムツの中の湿度の変化に反応するだけじゃなくて、患者さんの心拍や血圧などもモニターに送ってくれるの」
看護師は淡々とセンサーの性能について喋る。
「アーシャちゃんに問題です。
センサーが反応した時に、私達が最初になにをすると思う?」
「え……最初に?なんだろう」
ゴーフルはこの急なクイズに戸惑う。
「正解は、部屋の様子をモニターで確認する。でした!」
「!?」
「ふふ、なんでバレてないと思ったのかなぁ。嘘をついて恥ずかしいおもらしが見つかるのを隠したかったのかな?おもらしして怒られるのが怖くてわざと寝たふりをしていたのよね」
「そ、それわ……」
「可愛いなぁ、ちっちゃな子はね。簡単にわかるような嘘をついておもらししてないって言い張るのよね」
「……」
「オムツのおしっこサインは誰がみても黄色になってるのに、僕おもらししてないよぉ~ってね」
「えーと、言おうと思ってたんです。急に看護師さんが入ってきたから……とっさに」
「へぇ、とっさにねぇ」
何を言っても、今の状況ではおもらしを誤魔化そうとしている小さな子供と一緒である。
「ふーん、あくまでも違うって言い張るのね。アーシャちゃんは、おもらししちゃった事をママに教えられない悪い子なのね」
「ち、違います」
「ん~?何が違うのかしら。私が担当している、もっと小さい幼児の子でも素直にちーでちゃった!って教えてくれるのに」
「……」
「あらら、今度はお口も効けなくなっちゃったのかしら。アーシャちゃんは、幼児じゃなくてもう乳児ね」
「違います!」
「えー、だって幼児の子でも、おしっこ出ちゃったって教えてくれるのに、アーシャちゃんはできないでしょ?だったら赤ちゃんそのものだわ」
ゴーフルは反論する言葉を失う。
「私はこの病院では小児科を担当しているの。だから、おもらしやおねしょをしたからって、それを咎めたりはしないわ。でもね、自分が悪い事をしたのに『ごめんなさい』できない悪い子にはちゃんと、お仕置きしないとね」
そういうと、看護師は演技とはいえ怒っている表情を見せた。
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