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第6話 バスケ部のエース
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音楽室の裏手には体育館がある。部活が終わり、カーテンをそっと開け、体育館の方へ目をやる。開いている扉の中にユニフォームを着たバスケ部員が行き交っている。その中に遼太郎の姿もあった。
そういえば、遼太郎が部活している姿をちゃんと見たことないな。
私は体育館の扉まで近づき、中をそっと見やる。掛け声をかけながら男子部員が行き交う。
遼太郎は背番号7番だ。家では見ない真剣な表情、パワフルな動き、気迫のある掛け声、筋肉質な身体。
また私の知らない一面を見た。
すると遼太郎がダンクシュートを決めた。その時、「きゃー」と体育館の中から女子の歓声が聞こえた。私は気になり、おずおずと体育館の中へ踏み込んだ。そこに女子2人が遼太郎に釘付けになっていた。
「須藤先輩やばい!」
「超かっこいい~」
さっきの歓声はこの2人のようだ。学生服を着ているから、見学しているファンかもしれない。
遼太郎が人気があるのはルックスと明るい性格だけではない。バスケ部内でもエース的な存在だと麻樹緒に聞いたことがある。スモールフォワードというチームでは高い能力を持った選手でないと務まらないポジションだと。今年の関東大会の予選は逃したけど、得点はほぼ、遼太郎の活躍によるものだったと聞いた。そんな兄の活躍を聞くと、あまりスポーツに興味のない私も覗いてみたくなった。
ピーッと笛が鳴り、部員が練習をやめ散らばる。休憩らしい。
遼太郎が汗を滴らせながら歩いてくると目の前にタオルが差し出された。ジャージを着た女子が手渡している。
あ!遼太郎とチャリ通した時に声をかけてきた人だ。私を”彼女”と言った人。
遼太郎とその人は笑顔で何か話している。まるで気心知れているような。
「ねぇ、マネージャーの堤さんて須藤先輩とできてるの?」
ファンらしき女子が隣の女子に小さな声で話しかけた。
「わかんないけど、仲良さそうだよね~」
視線は2人へ向けられている。そっか、マネージャーなんだ。少しホッとしてしまった。
すると、遼太郎と目が合った。去ろうと思ったけど、この前の顔を背けたことを思い出した。去ったらまた傷つけちゃうかな。
「凛那、見に来てくれたの?」
ニコニコしながら近づいてきた。
「う、うん」
隣の女子2人とマネージャーの堤先輩の視線を感じる。
「俺は嬉しいぞ!」
頭をなでなでされる。
私、誤解されちゃうじゃん。
「あ~この前、一緒に登校してた妹さんね」
堤先輩が言った。
そう妹です!やましい関係ではありません。
「妹…だな」
遼太郎のつまった言い方が不自然だった。
また知らない遼太郎を知ってしまった。汗を輝かせながらアグレッシブな動きでチームを引っ張る遼太郎を不覚にもカッコいいと思ってしまう私がいた。
そういえば、遼太郎が部活している姿をちゃんと見たことないな。
私は体育館の扉まで近づき、中をそっと見やる。掛け声をかけながら男子部員が行き交う。
遼太郎は背番号7番だ。家では見ない真剣な表情、パワフルな動き、気迫のある掛け声、筋肉質な身体。
また私の知らない一面を見た。
すると遼太郎がダンクシュートを決めた。その時、「きゃー」と体育館の中から女子の歓声が聞こえた。私は気になり、おずおずと体育館の中へ踏み込んだ。そこに女子2人が遼太郎に釘付けになっていた。
「須藤先輩やばい!」
「超かっこいい~」
さっきの歓声はこの2人のようだ。学生服を着ているから、見学しているファンかもしれない。
遼太郎が人気があるのはルックスと明るい性格だけではない。バスケ部内でもエース的な存在だと麻樹緒に聞いたことがある。スモールフォワードというチームでは高い能力を持った選手でないと務まらないポジションだと。今年の関東大会の予選は逃したけど、得点はほぼ、遼太郎の活躍によるものだったと聞いた。そんな兄の活躍を聞くと、あまりスポーツに興味のない私も覗いてみたくなった。
ピーッと笛が鳴り、部員が練習をやめ散らばる。休憩らしい。
遼太郎が汗を滴らせながら歩いてくると目の前にタオルが差し出された。ジャージを着た女子が手渡している。
あ!遼太郎とチャリ通した時に声をかけてきた人だ。私を”彼女”と言った人。
遼太郎とその人は笑顔で何か話している。まるで気心知れているような。
「ねぇ、マネージャーの堤さんて須藤先輩とできてるの?」
ファンらしき女子が隣の女子に小さな声で話しかけた。
「わかんないけど、仲良さそうだよね~」
視線は2人へ向けられている。そっか、マネージャーなんだ。少しホッとしてしまった。
すると、遼太郎と目が合った。去ろうと思ったけど、この前の顔を背けたことを思い出した。去ったらまた傷つけちゃうかな。
「凛那、見に来てくれたの?」
ニコニコしながら近づいてきた。
「う、うん」
隣の女子2人とマネージャーの堤先輩の視線を感じる。
「俺は嬉しいぞ!」
頭をなでなでされる。
私、誤解されちゃうじゃん。
「あ~この前、一緒に登校してた妹さんね」
堤先輩が言った。
そう妹です!やましい関係ではありません。
「妹…だな」
遼太郎のつまった言い方が不自然だった。
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