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第1章
13.アルター指導員の講義――光の神々の教義――
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それぞれの神の教義についても簡単にご説明しましょう。
まず、光明神ハイファ様の教義から説明します。
ハイファ神は、光の下での秩序を構築することを目指し、それによって世界を安定させ発展させよ、という教義を説いています。
ハイファ様の説く光の下での秩序とは、各々が互いの能力を詳らかにし、それぞれが密接に関わりあって、能力に応じた役割を責任を持って担い、社会を形作ることを指します。
そして、役割には見返りが与えられ、より優れた能力を持ち、重要な役割を担う者にはそれに見合った分だけ見返りが増えるのが健全な社会のあり方だと説いています。
この、社会において己が担いその対価として見返りを得る役割の事を、ハイファ様は「生業」と呼んでいます。
生業に就いて社会の一員となる事、それがハイファ様が説く正しいの生き方であるわけです。
加えて、親が培った技能を子が引き継ぎ、更に発展させるのは自然の流れであるとして、世襲を好意的に捉えています。
この結果、代々権力や財力を世襲することを望む権力者等に支持されており、身分制度を肯定する神と認識される向きもあります。
しかし、ハイファ様の教えはそれほど硬直したものではありません。
ハイファ様は個人が各々の能力を高めることを推奨しており、現在の役割よりも自らの能力にあっている役割があるならば、担うべき役割を変えることも望ましいこととしています。
能力や役割に見合った見返りがあるべきだという教義も、本来は現状を改善するための動機になるからという意味の教義だと言われています。
世襲も絶対的な義務ではなく、親の仕事が子に合わないなら他の仕事に就くことも否定はされません。ハイファ様が望むのは世界の発展であって硬直ではないのです。
身分制度も、それが社会の安定や発展の役に立つならば好意的に評価しますが、特に推奨しているわけでもありません。
むしろ、相応の能力や責任等を伴わない世襲はハイファ様の忌むものです。
しかし、基本的には子は親の後を継ぐべきだとしているのも事実で、ハイファ様が寛容なこともあり、無能な者が後を継ぐ事態が多少起こっても、いちいちこれを咎めることは無く、結果権力者や王侯貴族の信者は多くなっています。
ただし、ハイファ様の寛容にも限度があります。
かつてハイファ様の名を騙り、その名の下で、奴隷制すら含む硬直的な身分制度を敷いた国がありました。
その国では比較的頻繁に現状を是正しべしというハイファ様の神託が下りましたが、改められることは無く、ついにハイファ様は心ある信徒は決起して武力により世を正すべしとの神託を下しました。
これを受け一部の信者が実際に決起、奴隷や下層身分の大反乱に発展し、その国は滅びました。
これは現在知られている限りでは、神託をきっかけに国が滅んだ唯一の例と言われています。
なお、光の神々の主神扱いされることもありますが、その様な事実は無く、ハイファ様自身がその様な事を神託で述べたことはありません。
ハイファ様を信仰する権力者がハイファ様の権威を高めようと、主神呼ばわりすることもありますが、少なくと敬虔な信者ならばその様なことは行いません。
次に戦神トゥーゲル様です。
トゥーゲル神は、例え殺し合うことになろうとも、どうしても戦わなければならない状況というものは存在する。
常にその時に備え、戦いの準備を怠らず、戦わなければならない時には命を懸けて全力で戦わねばならない。
そして必要な戦いに全力を尽くすというその態度が、世界を発展させる。という教義を説いている神です。
ただし、戦いは無制限のものではなく、戦いたくない者を無理に戦わせることは忌避すべきこととしています。しかし同時に、戦う者は優遇されるべきだともされています。
結果、戦う者として特権を享受する騎士や貴族に信者が多くなっています。
戦いの最前線に立つ兵士や傭兵も、殺人という本来忌むべき自らの行いを肯定してくれる神として信仰している者が多くいます。
物事を武力で解決することを奨励している神のように思われることもあり、実際にトゥーゲル様の名を唱えて、力で物事を思い通りにしようとする者も存在しています。
しかし、本来は、戦うべき時に戦うべき者が戦うべきだ、という考えであり、短絡的に暴力に頼ることは控えるべきだと説いている神です。
理由無き戦いも、トゥーゲル様の忌むものです。
次は地母神ファフィス様。
ファフィス神は物事を生み出したり、作り出すことこそ世界を維持発展させる根本であり、より良い生産活動を目指す事を至上の目的とすべきだ、という教義を説く神です。
特に生命活動の維持に直結する食糧生産を重視し、農業の守護者とされています。
生産活動を健全に行う共同体を創ることも重視し、全ての者は平等であるべきだと説いています。この点で身分制度には否定的です。
農民を中心に物を作る者たちに信者が多く、信者の数だけならばおそらく世界最大と思われます。
また、結婚の祝福者、多産の加護者とも呼ばれます。
前にお話ししたとおり、魂は転生を繰り返していますが、この転生を主に司るのもファフィス様であるとされています。
信者の中には平等や共同体の秩序を重視する余り、現状を変えようとする動きに消極的になり、「変わり者」を排除しようとする者も存在しています。しかし本来ファフィス様はその様な狭量な存在ではありません。
商業神カガル様。
カガル神は、必要な物を必要な場所に運び、元の場所にただ存在するよりも大きな価値を生み出す。そして他の物と交換して更に価値を生み出す。このことこそ価値の創造であり、最も尊いことだと説く神です。
その様にして物資や人々が交換・交流する状態こそ世界のあるべき姿であり、世界の発展に結びつくとしています。
誰もが美しいと感じる金・銀などを価値ある物と定め、それを加工して貨幣を創出した神でもあり、全ての商業の創始者と呼ばれます。
貨幣の単位である<ガル>はカガル様の名に由来します。
他者を手助けすることに対して対価を得る、他者を楽しませることによって対価を得る、という考えを創った神でもあるとされており、そういった職の全てを司っています。
また契約を重視し契約の守護者ともされます。
契約は平等なものでなければならないとして、身分制度に否定的な態度をとっています。
信者の中には、誤って何よりもお金が大事だと思ってしまったり、お金さえあれば何でも出来るなどと考えてしまったり、いき過ぎた享楽に溺れてしまう者も存在していますな。
誰しもが注意しなければならない誤りだといえるでしょう。
賢神イスマイム様。
イスマイム神は、いかなる事を成すにしても、最大限の知識を得て知恵をしぼることで最大限の効果を得られる。故に知識と知恵を重視することが世界のために最も重要であると説く神です。
ひらめきや奇想天外な発想も重視しています。
一見役に立たないと思われるものでも、安易に切り捨てず、活用法を検討すべきとも説いています。
研究者や学問を志す者に信者が多く、魔術師の信者も少なくありません。
信者の中には、研究するだけで満足してしまう者や、研究に没頭する余り社会との関わりを閉ざしてしまう者、他者の迷惑を考えない者などが現れてしまうことがあります。
いわゆる変人と呼ばれるような信者も多くなる傾向がありますな。
まず、光明神ハイファ様の教義から説明します。
ハイファ神は、光の下での秩序を構築することを目指し、それによって世界を安定させ発展させよ、という教義を説いています。
ハイファ様の説く光の下での秩序とは、各々が互いの能力を詳らかにし、それぞれが密接に関わりあって、能力に応じた役割を責任を持って担い、社会を形作ることを指します。
そして、役割には見返りが与えられ、より優れた能力を持ち、重要な役割を担う者にはそれに見合った分だけ見返りが増えるのが健全な社会のあり方だと説いています。
この、社会において己が担いその対価として見返りを得る役割の事を、ハイファ様は「生業」と呼んでいます。
生業に就いて社会の一員となる事、それがハイファ様が説く正しいの生き方であるわけです。
加えて、親が培った技能を子が引き継ぎ、更に発展させるのは自然の流れであるとして、世襲を好意的に捉えています。
この結果、代々権力や財力を世襲することを望む権力者等に支持されており、身分制度を肯定する神と認識される向きもあります。
しかし、ハイファ様の教えはそれほど硬直したものではありません。
ハイファ様は個人が各々の能力を高めることを推奨しており、現在の役割よりも自らの能力にあっている役割があるならば、担うべき役割を変えることも望ましいこととしています。
能力や役割に見合った見返りがあるべきだという教義も、本来は現状を改善するための動機になるからという意味の教義だと言われています。
世襲も絶対的な義務ではなく、親の仕事が子に合わないなら他の仕事に就くことも否定はされません。ハイファ様が望むのは世界の発展であって硬直ではないのです。
身分制度も、それが社会の安定や発展の役に立つならば好意的に評価しますが、特に推奨しているわけでもありません。
むしろ、相応の能力や責任等を伴わない世襲はハイファ様の忌むものです。
しかし、基本的には子は親の後を継ぐべきだとしているのも事実で、ハイファ様が寛容なこともあり、無能な者が後を継ぐ事態が多少起こっても、いちいちこれを咎めることは無く、結果権力者や王侯貴族の信者は多くなっています。
ただし、ハイファ様の寛容にも限度があります。
かつてハイファ様の名を騙り、その名の下で、奴隷制すら含む硬直的な身分制度を敷いた国がありました。
その国では比較的頻繁に現状を是正しべしというハイファ様の神託が下りましたが、改められることは無く、ついにハイファ様は心ある信徒は決起して武力により世を正すべしとの神託を下しました。
これを受け一部の信者が実際に決起、奴隷や下層身分の大反乱に発展し、その国は滅びました。
これは現在知られている限りでは、神託をきっかけに国が滅んだ唯一の例と言われています。
なお、光の神々の主神扱いされることもありますが、その様な事実は無く、ハイファ様自身がその様な事を神託で述べたことはありません。
ハイファ様を信仰する権力者がハイファ様の権威を高めようと、主神呼ばわりすることもありますが、少なくと敬虔な信者ならばその様なことは行いません。
次に戦神トゥーゲル様です。
トゥーゲル神は、例え殺し合うことになろうとも、どうしても戦わなければならない状況というものは存在する。
常にその時に備え、戦いの準備を怠らず、戦わなければならない時には命を懸けて全力で戦わねばならない。
そして必要な戦いに全力を尽くすというその態度が、世界を発展させる。という教義を説いている神です。
ただし、戦いは無制限のものではなく、戦いたくない者を無理に戦わせることは忌避すべきこととしています。しかし同時に、戦う者は優遇されるべきだともされています。
結果、戦う者として特権を享受する騎士や貴族に信者が多くなっています。
戦いの最前線に立つ兵士や傭兵も、殺人という本来忌むべき自らの行いを肯定してくれる神として信仰している者が多くいます。
物事を武力で解決することを奨励している神のように思われることもあり、実際にトゥーゲル様の名を唱えて、力で物事を思い通りにしようとする者も存在しています。
しかし、本来は、戦うべき時に戦うべき者が戦うべきだ、という考えであり、短絡的に暴力に頼ることは控えるべきだと説いている神です。
理由無き戦いも、トゥーゲル様の忌むものです。
次は地母神ファフィス様。
ファフィス神は物事を生み出したり、作り出すことこそ世界を維持発展させる根本であり、より良い生産活動を目指す事を至上の目的とすべきだ、という教義を説く神です。
特に生命活動の維持に直結する食糧生産を重視し、農業の守護者とされています。
生産活動を健全に行う共同体を創ることも重視し、全ての者は平等であるべきだと説いています。この点で身分制度には否定的です。
農民を中心に物を作る者たちに信者が多く、信者の数だけならばおそらく世界最大と思われます。
また、結婚の祝福者、多産の加護者とも呼ばれます。
前にお話ししたとおり、魂は転生を繰り返していますが、この転生を主に司るのもファフィス様であるとされています。
信者の中には平等や共同体の秩序を重視する余り、現状を変えようとする動きに消極的になり、「変わり者」を排除しようとする者も存在しています。しかし本来ファフィス様はその様な狭量な存在ではありません。
商業神カガル様。
カガル神は、必要な物を必要な場所に運び、元の場所にただ存在するよりも大きな価値を生み出す。そして他の物と交換して更に価値を生み出す。このことこそ価値の創造であり、最も尊いことだと説く神です。
その様にして物資や人々が交換・交流する状態こそ世界のあるべき姿であり、世界の発展に結びつくとしています。
誰もが美しいと感じる金・銀などを価値ある物と定め、それを加工して貨幣を創出した神でもあり、全ての商業の創始者と呼ばれます。
貨幣の単位である<ガル>はカガル様の名に由来します。
他者を手助けすることに対して対価を得る、他者を楽しませることによって対価を得る、という考えを創った神でもあるとされており、そういった職の全てを司っています。
また契約を重視し契約の守護者ともされます。
契約は平等なものでなければならないとして、身分制度に否定的な態度をとっています。
信者の中には、誤って何よりもお金が大事だと思ってしまったり、お金さえあれば何でも出来るなどと考えてしまったり、いき過ぎた享楽に溺れてしまう者も存在していますな。
誰しもが注意しなければならない誤りだといえるでしょう。
賢神イスマイム様。
イスマイム神は、いかなる事を成すにしても、最大限の知識を得て知恵をしぼることで最大限の効果を得られる。故に知識と知恵を重視することが世界のために最も重要であると説く神です。
ひらめきや奇想天外な発想も重視しています。
一見役に立たないと思われるものでも、安易に切り捨てず、活用法を検討すべきとも説いています。
研究者や学問を志す者に信者が多く、魔術師の信者も少なくありません。
信者の中には、研究するだけで満足してしまう者や、研究に没頭する余り社会との関わりを閉ざしてしまう者、他者の迷惑を考えない者などが現れてしまうことがあります。
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