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第4章
69.破壊神の信徒を試す
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エイクは自己治癒の錬生術により生命力を完全に回復させてから、慎重にアズィーダに近づいた。
アズィーダは一糸も纏わない姿でうつ伏せに倒れている。
その身体にはいくつもの深い傷が刻まれていた。だが、その強大なオドの効果で、既に流血は止まりつつあった。
エイクはアズィーダが意識を取り戻す様子がないことを確認すると、魔法の荷物袋から短い鎖でつながれた手枷を取り出して、それをアズィーダの両手にはめた。
相手は美しい女オーガだと聞いた時点で、いろいろ考えつつも、結局のところ捕らえて自分のものにしたいという欲望も懐いていてしまっていたエイクは、そのような拘束用の道具を予め用意していたのである。
手枷によって拘束すると、エイクはその手枷を持って、アズィーダの上半身を少し浮かせ、そのまま近くにあった太い木の近くまで引きずって行った。
そして、その身体を仰向けにしてから、やはり荷物袋から取り出した頑丈なロープで手枷とその木を結んだ。
そうやって動きを封じた上で、その体に回復薬を振り掛ける。
回復薬は速やかにその効果を発揮し、流血は完全に止まった。
次に気付け薬を布に浸み込ませ、アズィーダの鼻先に置く。
二呼吸したところで、アズィーダの体が振るえ、首が左右に振られた。そして、意識がもどった。
目を開いたアズィーダは、傍らにエイクが立っていることに気付き、即座に立ち上がろうとする。
だが、手枷とロープで拘束されていて立つことは出来ない。背中が少し浮いて、直ぐにまた地に着いただけだ。その衝撃で形の良い乳房が大きく揺れた。
アズィーダは、そこでようやく自身が置かれた状況を理解した。彼女はエイクを見上げて口を開いた。
「負けた、という事のようだな。大口を叩いておいて、我ながら無様なことだ」
「そうだな、余り様にならない負け方だった」
「ッ!」
アズィーダは悔しげに歯をかみ締め、地面からエイクをにらみ付けた。
そして、少し沈黙してから、エイクに告げた。
「貴様の勝ちだ。好きなように勝者の権利を行使するがいい」
(まあ、当然そうさせてもらうが、少し試してからだな)
エイクはそんな事を考えつつ言葉を返す。
「そうか。それじゃあ、お前には売春宿あたりで働いて貰うかな。そうすれば多少の金にはなる」
「なッ!? 何だと、貴様……」
アズィーダはそんな声を上げた。
「どうした? 売春婦は不満か? 俺の好きなようにしていいんじゃあないのか?」
「くッ」
エイクが笑みを見せながらそんな事を告げると、アズィーダは悔しげに声をつまらせた。
エイクは、アズィーダのムズルゲルへの信仰心がどの程度のものか確認する為にそのような事を告げたのだった。
ムズルゲルの教えによれば、男と戦い敗れた女は、己に勝った男の子を産み育てなければならないとされている。それが女の義務であると。
つまり、ムズルゲルの教義に忠実であろうとするならば、アズィーダはエイクに向かって、売春婦になどせずに、あなたの子を産ませて欲しいと懇願しなければならないのである。
しばらく悔しげな様子で沈黙していたアズィーダだったが、やがて口を開いた。
「貴様が犯せばよいだろうが」
「随分自分に自信があるんだな。男なら誰でも自分に欲情するとでも思っているのか?」
「成人してから今までに、何人もの男達が私を求めて来た。その全てを退けて来たが、私は男にとって価値がある存在のはずだ」
「そう思う男もいるかも知れないが、俺は違うな」
「……」
アズィーダはまた悔しげに沈黙した。
「どうした? 自分の処遇に希望でもあるのか。何かあるなら聞いてやってもいいぞ」
エイクがそう告げると、アズィーダは尚もしばらく沈黙してから、小さな声でどうにか返答をする。
「だ、抱いてくれ」
「ん? 何か言ったか?」
「抱いてくれ」
アズィーダは、ついにはっきりとそう口にした。しかし、エイクは更に難癖を付けた。
「それが人にものを頼む態度なのか?」
「……私を、抱いてください。
私を抱いて、私に、あなたの子供を産ませて、ください」
アズィーダは絞り出すようにそう告げると、奥歯を噛み締め、屈辱感に堪える。
その言葉を聞き、ようやくエイクは満足気な笑みをみせた。
(こうまで口にするなら、相当信仰に忠実だと見ていいだろう。
つまり、俺の子を孕むまでは、信仰に基づいて俺に忠実に尽くす事が期待できる。本当に都合がいい。まあ、信仰心をなくす事もあるだろうから将来まで絶対とはいえないが)
エイクはそのような判断を下した。
エイクがアズィーダを嬲るような台詞を吐いたのは、このことを確かめたいと思ったからだった。
ちなみに、長命であるオーガという種族の妊娠率は非常に低い。確率的には10年以上そのような関係を続けても、孕まない可能性の方が高い。
順当に行けば、かなりの長期間に渡ってエイクはアズィーダを隷属させる事が出来るはずなのである。
エイクは返答を口にした。
「そこまで言うなら仕方がない。希望をかなえてやろう。
だが、俺はこんな所で女を抱く趣味はない。希望に応えてやるのはまた後で、だな」
エイクのこの台詞は嘘である。
エイクは過去にジュディア・ラフラナンに対して実際に行ったように、打ち倒した女をその場で犯すような蛮行をむしろ好んでいた。
エイクが、今はそのような事を行わない事にしたのは、フィントリッド達に自分の行動を監視されている可能性が高かったからだ。
さすがのエイクも、人に見られているかもしれない状況でそんな事をするほど厚顔無恥ではない。
「俺の住処に連れて返ってから、たっぷり可愛がってやる。期待しているんだな」
エイクは更にそう言葉を続けた。
その視線は、アズィーダの魅力的な裸身を嘗め回すように動いた。
今まで、一応は隠そうとしていた欲望も顕にしている。
アズィーダもそのことに気付き、ほとんど本能的に身を竦めてしまっている。そして、恨めしげに口を開いた。
「貴様、私をからかったな。最初から犯す気だったのだろう」
「だったとしても、関係ないことだ。
俺は気に食わなければ、お前の希望を無視する事も出来る。どちらにしても、お前が信仰を守るためには、俺の機嫌をとり何でも言う事を聞く必要がある」
エイクはアズィーダの顔に視線を戻すとそう告げた。
「分かっている。今から貴様は私の主だ。そして、貴様の子を産み育てるのが私の務め。その為に誠実にお前に仕えよう」
アズィーダはそう返す。
(女ムズルゲル信者というのは、強い男にとって何とも好都合な存在だな。というか、そうなる事を見込んでのムズルゲルの教義なんだろう。
もしもムズルゲル信仰が主流になっている地域でもあったなら、全ての女をこんな風に考えるように洗脳したりするんだろうな。
まあ、どっちにしろ、今の俺にとって有利に働くなら結構な事だ。ぜいぜい利用させてもらおう)
エイクはそのように考え、早速命令を口にした。
「それじゃあ、とりあえず答えてもらうぞ。さっき竜に変じたのはどういう術なんだ」
エイクはその未知の術について、大いに気になっていた。
「あれは、錬生術の奥義に至り、更に特定の修練に基づいて鍛え上げた者だけが習得できる、秘奥とも言うべきものだ。
私達はそのまま竜化術と呼んでいる」
「お前の他にも使える者がいるんだな?」
「ああ、私の故郷には後6人いる」
「故郷というのはどこのことだ」
「ここから南西方向にずっと行った大陸最果ての半島。私達がスティグラントと呼んでいる地だ」
その回答はフィントリッドの推測と合致するものである。
エイクは更に質問を続けた。
「そこでは、竜化術というのがずっと引き継がれていたという事か」
「いや、ずっと引き継がれていたというのは正確ではない。この術は比較的最近、20年ほど前に実現したばかりのものだ」
エイクは訝しげに顔をしかめながら「詳しく説明してくれ」と告げた。
アズィーダは一糸も纏わない姿でうつ伏せに倒れている。
その身体にはいくつもの深い傷が刻まれていた。だが、その強大なオドの効果で、既に流血は止まりつつあった。
エイクはアズィーダが意識を取り戻す様子がないことを確認すると、魔法の荷物袋から短い鎖でつながれた手枷を取り出して、それをアズィーダの両手にはめた。
相手は美しい女オーガだと聞いた時点で、いろいろ考えつつも、結局のところ捕らえて自分のものにしたいという欲望も懐いていてしまっていたエイクは、そのような拘束用の道具を予め用意していたのである。
手枷によって拘束すると、エイクはその手枷を持って、アズィーダの上半身を少し浮かせ、そのまま近くにあった太い木の近くまで引きずって行った。
そして、その身体を仰向けにしてから、やはり荷物袋から取り出した頑丈なロープで手枷とその木を結んだ。
そうやって動きを封じた上で、その体に回復薬を振り掛ける。
回復薬は速やかにその効果を発揮し、流血は完全に止まった。
次に気付け薬を布に浸み込ませ、アズィーダの鼻先に置く。
二呼吸したところで、アズィーダの体が振るえ、首が左右に振られた。そして、意識がもどった。
目を開いたアズィーダは、傍らにエイクが立っていることに気付き、即座に立ち上がろうとする。
だが、手枷とロープで拘束されていて立つことは出来ない。背中が少し浮いて、直ぐにまた地に着いただけだ。その衝撃で形の良い乳房が大きく揺れた。
アズィーダは、そこでようやく自身が置かれた状況を理解した。彼女はエイクを見上げて口を開いた。
「負けた、という事のようだな。大口を叩いておいて、我ながら無様なことだ」
「そうだな、余り様にならない負け方だった」
「ッ!」
アズィーダは悔しげに歯をかみ締め、地面からエイクをにらみ付けた。
そして、少し沈黙してから、エイクに告げた。
「貴様の勝ちだ。好きなように勝者の権利を行使するがいい」
(まあ、当然そうさせてもらうが、少し試してからだな)
エイクはそんな事を考えつつ言葉を返す。
「そうか。それじゃあ、お前には売春宿あたりで働いて貰うかな。そうすれば多少の金にはなる」
「なッ!? 何だと、貴様……」
アズィーダはそんな声を上げた。
「どうした? 売春婦は不満か? 俺の好きなようにしていいんじゃあないのか?」
「くッ」
エイクが笑みを見せながらそんな事を告げると、アズィーダは悔しげに声をつまらせた。
エイクは、アズィーダのムズルゲルへの信仰心がどの程度のものか確認する為にそのような事を告げたのだった。
ムズルゲルの教えによれば、男と戦い敗れた女は、己に勝った男の子を産み育てなければならないとされている。それが女の義務であると。
つまり、ムズルゲルの教義に忠実であろうとするならば、アズィーダはエイクに向かって、売春婦になどせずに、あなたの子を産ませて欲しいと懇願しなければならないのである。
しばらく悔しげな様子で沈黙していたアズィーダだったが、やがて口を開いた。
「貴様が犯せばよいだろうが」
「随分自分に自信があるんだな。男なら誰でも自分に欲情するとでも思っているのか?」
「成人してから今までに、何人もの男達が私を求めて来た。その全てを退けて来たが、私は男にとって価値がある存在のはずだ」
「そう思う男もいるかも知れないが、俺は違うな」
「……」
アズィーダはまた悔しげに沈黙した。
「どうした? 自分の処遇に希望でもあるのか。何かあるなら聞いてやってもいいぞ」
エイクがそう告げると、アズィーダは尚もしばらく沈黙してから、小さな声でどうにか返答をする。
「だ、抱いてくれ」
「ん? 何か言ったか?」
「抱いてくれ」
アズィーダは、ついにはっきりとそう口にした。しかし、エイクは更に難癖を付けた。
「それが人にものを頼む態度なのか?」
「……私を、抱いてください。
私を抱いて、私に、あなたの子供を産ませて、ください」
アズィーダは絞り出すようにそう告げると、奥歯を噛み締め、屈辱感に堪える。
その言葉を聞き、ようやくエイクは満足気な笑みをみせた。
(こうまで口にするなら、相当信仰に忠実だと見ていいだろう。
つまり、俺の子を孕むまでは、信仰に基づいて俺に忠実に尽くす事が期待できる。本当に都合がいい。まあ、信仰心をなくす事もあるだろうから将来まで絶対とはいえないが)
エイクはそのような判断を下した。
エイクがアズィーダを嬲るような台詞を吐いたのは、このことを確かめたいと思ったからだった。
ちなみに、長命であるオーガという種族の妊娠率は非常に低い。確率的には10年以上そのような関係を続けても、孕まない可能性の方が高い。
順当に行けば、かなりの長期間に渡ってエイクはアズィーダを隷属させる事が出来るはずなのである。
エイクは返答を口にした。
「そこまで言うなら仕方がない。希望をかなえてやろう。
だが、俺はこんな所で女を抱く趣味はない。希望に応えてやるのはまた後で、だな」
エイクのこの台詞は嘘である。
エイクは過去にジュディア・ラフラナンに対して実際に行ったように、打ち倒した女をその場で犯すような蛮行をむしろ好んでいた。
エイクが、今はそのような事を行わない事にしたのは、フィントリッド達に自分の行動を監視されている可能性が高かったからだ。
さすがのエイクも、人に見られているかもしれない状況でそんな事をするほど厚顔無恥ではない。
「俺の住処に連れて返ってから、たっぷり可愛がってやる。期待しているんだな」
エイクは更にそう言葉を続けた。
その視線は、アズィーダの魅力的な裸身を嘗め回すように動いた。
今まで、一応は隠そうとしていた欲望も顕にしている。
アズィーダもそのことに気付き、ほとんど本能的に身を竦めてしまっている。そして、恨めしげに口を開いた。
「貴様、私をからかったな。最初から犯す気だったのだろう」
「だったとしても、関係ないことだ。
俺は気に食わなければ、お前の希望を無視する事も出来る。どちらにしても、お前が信仰を守るためには、俺の機嫌をとり何でも言う事を聞く必要がある」
エイクはアズィーダの顔に視線を戻すとそう告げた。
「分かっている。今から貴様は私の主だ。そして、貴様の子を産み育てるのが私の務め。その為に誠実にお前に仕えよう」
アズィーダはそう返す。
(女ムズルゲル信者というのは、強い男にとって何とも好都合な存在だな。というか、そうなる事を見込んでのムズルゲルの教義なんだろう。
もしもムズルゲル信仰が主流になっている地域でもあったなら、全ての女をこんな風に考えるように洗脳したりするんだろうな。
まあ、どっちにしろ、今の俺にとって有利に働くなら結構な事だ。ぜいぜい利用させてもらおう)
エイクはそのように考え、早速命令を口にした。
「それじゃあ、とりあえず答えてもらうぞ。さっき竜に変じたのはどういう術なんだ」
エイクはその未知の術について、大いに気になっていた。
「あれは、錬生術の奥義に至り、更に特定の修練に基づいて鍛え上げた者だけが習得できる、秘奥とも言うべきものだ。
私達はそのまま竜化術と呼んでいる」
「お前の他にも使える者がいるんだな?」
「ああ、私の故郷には後6人いる」
「故郷というのはどこのことだ」
「ここから南西方向にずっと行った大陸最果ての半島。私達がスティグラントと呼んでいる地だ」
その回答はフィントリッドの推測と合致するものである。
エイクは更に質問を続けた。
「そこでは、竜化術というのがずっと引き継がれていたという事か」
「いや、ずっと引き継がれていたというのは正確ではない。この術は比較的最近、20年ほど前に実現したばかりのものだ」
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