彼女の理想に近づく為に、僕は何度でも繰返す

トン之助

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第14話 彼女の返事

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 藤宮さんと交換日記をする事になった翌日。
 朝の教室で僕の机の前に座った藤宮さんが声をかけてきた。


「……読んだ」
「どうだった?」

「……死ぬかと思った」
「素敵すぎて?」

「……恥ずかしくて」
「あははは!」

「なんで笑った?」

 藤宮さんは頬を赤くしながら僕の胸ぐらを掴んで顔を近づける。

「かわいい、キレイ、好き!」
「声に出てるぞ」


 僕の言葉に再度顔を赤くする藤宮さん、そしてシュバッと手を離す。

「だって、あの日記帳に書いた事はほんの1部なんだよ?  なんならあのノート1冊使っても藤宮さんの魅力には足りないね」

 僕はやれやれと言った具合に首を振る。それを見て藤宮さんは頭を抱えている。

「はぁ……どうしてこんなヤツ……」

 小さな独り言は日記帳に吸い込まれていった。そしてその日記帳を僕に渡してきた。

「……書いたぞ」
「ありがとう藤宮さん!  見ていい?」

「……おう」

 藤宮さんの許可を得て僕は日記帳のページをドキドキしながらめくる。

 するとそこには……

『今度の土曜日……店に唐揚げ食べに行く』

 短い文章だがなんとも藤宮さんらしい内容が書かれていた。僕は藤宮さんの方を向き笑顔で応える。

「うん!  愛をこめて作るね!」

 そんな僕の顔を見て藤宮さんはそっぽを向きながら返事をする。

「お、おう。美味いの頼むぞ」

 そして授業が進みお昼休み前最後の授業。担任の園田先生が入ってくる。

「あ~頭いてぇ……」

 相変わらずの酔っ払いぶりにクラス中はため息をつく。

「先生、しっかりしてくださいよ!  美人が台無しです」

 僕の声に先生が顔をあげる。

「何が狙いだ?」

 その声には長年の刑事のような鋭さがあった。僕はそれに臆する事無く告げる。

「今度のテスト100点にしてください!」
「馬鹿者、寝言は寝て言え!」

 あれっ?  藤宮さんが乗り移ったかのような言葉だった。一瞬ドキッとした。その言葉にクラスメイトは。

「そっかぁもうすぐかぁ」
「あぁ……台風来ないかな」
「まだ早いだろう」
「私はバッチリよ」
「お願い~教えて~」

 等など阿鼻叫喚の嵐である。

「まぁわかってるとは思うが、今度高校生活初めてのテストだ。まぁ、気楽に頑張れ。ちなみに赤点は30点以下だ」

「げぇぇ」
「厳しぃ~」

 勉強できない組の発言が木霊する。

 そんな僕は余裕しゃくしゃくだ! まぁ楽しみにしててよ!

 そして昼休みになり学食に僕と藤宮さんで行く。最近の恒例行事で僕の楽しみの一つだ。最近では藤宮さんに声をかけてくる男連中はいないと聞く。

 なんでも、モテ川先輩を盛大に振った噂が流れている。それにこんな噂も……

「藤宮さんの隣には変態がいつも張り付いている」
「アイツは藤宮さんのストーカー」
「なんでもバイト先にも押しかけてるそうだ」
「それに何度もめげずにアタックをしている」

「やべぇやつだ……」
「やべぇやつだ……」

 まぁ事実とは1部異なるけど、藤宮さんに寄り付く男が減ったのなら問題なし。

 そんな藤宮さんの今日のメニューはこんな感じ。

『五目焼きそば大盛り、ごま塩おにぎり・銀ジャケおにぎり・だし巻き卵焼き・鯖の味噌煮・フルーツタルト・苺のムースケーキ』

 うんいつも通りだ。


「あぁ藤宮さん!」
「んぁ……んぐ、どうした?」

「卵焼きなら僕のをあげたのに~」

 いつも僕は卵焼きを藤宮さんに渡そうとするが断られる。

 なんでかって?

「いや、いらねぇよ。だってお前のおかず……」

 藤宮さんは僕の弁当を見て悲しそうな顔をする。

「それだけじゃん……」

 そういう事である。

「藤宮さんには食べて欲しいんだけどなぁ」

「はいはい今度な!」

 彼女は鯖の味噌煮を半切れくれた。

「ありがとう藤宮さん!」

 いつもはこの1品で終わりだが今日は違った。

「フルーツタルト……半分やるよ」

 なんとデザートまで付いてきた!
 これは交換日記の成果かな!

 そんな事を考えながら藤宮さんとの楽しい一時が終わっていく。

 交換日記を開始して、僕のおかずは2つに増えた。

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