クラスメイトに良く当たる占い師を紹介して貰ったら、可愛い彼女が出来ました

若葉結実(わかば ゆいみ)

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第40話 思ったより濡れちゃった

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 キッチンカーで俺達は海老やイカなど様々な具材が乗ったカラフルのシーフードピザを買うと、近くのベンチに座った。ピザが入ったケースから良い匂いが漂ってきて、俺は直ぐに蓋を開ける。

「美味しそうだね」
「うん。これ、絶対に美味しいと思うよ」

 星恵ちゃんも待ち切れない様で、蓋を開けると直ぐにピザを持ち「いただきまーす」と、言って口にする。

「ん~……バジルソースが美味しいぃー」
「本当。エビもプリップリで美味しいね」
「うん! 食感、最高!」

 ──そこで会話が途切れ、あまりの美味しさに俺達はしばし黙って食べ続ける。全て食べ終わって蓋をすると、「次はどうしようか?」と星恵ちゃんに聞いてみた。

 星恵ちゃんは付いていた紙ナプキンで口を拭きながら「そうね……目についたものを適当に乗っていこうよ」

「そうだな。その前に少し休憩してから行くか」
「そうね」

 俺達は10分ほど休憩をすると、ベンチから立ち上がり、近くにあったゴミ箱にゴミを捨て、ゆっくり歩き出した──。

 ジェットコースターに……コーヒーカップと、童心に帰りながら楽しんでいく。

「星恵ちゃん、回し過ぎだよ~」と俺が言うと、星恵ちゃんは肘で俺の腕をツンツンと突きながら「光輝君だって、後半。めっちゃ回してたじゃん!」

「だって楽しかったんだもん」
「ふふ、分かる!」

「さぁ~て、次はなに乗るか~」と、辺りを見渡していると、空から冷たいものが降ってくる。

 星恵ちゃんは空を見上げ「雨かぁ……」

「ふふん!」
「なに? 自慢げにどうしたの?」

 俺はリュックを前側に持ってくると、折り畳み傘を取り出し「傘、持ってきてるんだ」

「え……」と、星恵ちゃんは声を出し、立ち止まる。

 え? わぁ、凄い! 頼りになる~とか、そんな反応を期待していただけに、思わぬ反応で戸惑ってしまう。

「あー……ありがとう!」

「あ、うん」と、俺は返事をして、傘を開くと「はい、どうぞ」と、星恵ちゃんが濡れない様に傘を傾ける。

 星恵ちゃんは腕と腕が触れるほど、俺に近づき「懐かしいね」と笑顔をみせた。

「そうだね」

 俺達は相合傘の状態で歩き始める──。

「雨降っちゃったから、どうしようか?」と俺が聞くと、星恵ちゃんは「とりあえず雨宿りできる場所で様子を見ようか?」と答える。

「そうだね。確かお土産屋の近くは屋根があったから、そこに移動しようか」
「うん」

 ──屋根の下に移動して、30分程待ってみる。だけど雨が止む気配はなかった。

「どうしようか? 御土産でも覗いてみる?」
「──光輝君」
「ん?」
「ちょっと頼みがあるんだけど……私、ロッカールームに行ってくるから、その間、キッチンカーでポップコーンを買って来てくれない?」
「え? 良いけど、俺が買いに行ったら、星恵ちゃん濡れちゃうんじゃない? 待ってても暇だから付き合うよ?」

 星恵ちゃんは両手を振ると「大丈夫、大丈夫。さぁっと行って、戻ってくるから、大して濡れないって」

「そう? なら良いけど」

 星恵ちゃんはハンドバッグを開けると、財布を取り出す。財布から千円札を取り出すと差し出してきた。

「はい、これでお願いね」
「了解」
「いってらっしゃーい」

 星恵ちゃんは元気よくそう言って、手を振りながら見送ってくれた。

 ──キッチンカーに着くと、店員さんが「いらっしゃいませ」と声を掛けてくる。雨のせいか、人は誰も並んでいなかった。

 店の中にあるメニューが書かれたボードををみると、味が塩、キャラメル、チョコと三種類あることに気付く。

 しまった……だったら何味が良いか、聞いておけば良かった。どうするか……戻る? いや、それも面倒だな。

「えっと……ポップコーンの塩、Sサイズで」
「かしこまりました」

 とりあえずSサイズにしといて、違う味が良い様だったら、また買いにくれば良いんだもんな。

 少しして俺は、店員さんからポップコーンを受け取りると、お金を支払い、星恵ちゃんの元へと戻った──。

「お帰り~」と笑顔をみせている星恵ちゃんは、何故か上着の前を手で閉める様に抑え、直ぐに戻ってきた割には、髪や体を濡らしていた。

「どうしたの?」
「どうしたって?」
「いや、随分と濡れている様に見えるから」
「あぁ……思ったより濡れちゃった。ポップコーン、ありがとう! 貸して」

 星恵ちゃんはそう言って、手を伸ばす。すると上着の前が、はだけて──赤い下着が透けて見えるッ!! 

 いや、おかしいぞ? さっきはそんな事なかったはずッ!! と、驚いて固まっていると、星恵ちゃんは俺の視線に気付いた様で、直ぐに腕で胸を隠す。

「あ~……見たな」
「あ、うん……見ちゃいました」

「もう……」と星恵ちゃんは言いながら、上着のボタンを閉めていく。

「──今日ね」
「うん」
「私もラッキーカラーが赤だったの。だから……着けて来ちゃった」
「へぇ……そうだったんだ」

 星恵ちゃんは俺に近づくと、体を密着させるように俺の腕にしがみつく。

「──こんなラッキーがあるの、私だけなんだぞ」と、星恵ちゃんは俯き加減で言ったかと思うと、顔をあげ上目づかいで俺を見つめながら「だから……浮気なんてしちゃダメだからね!」

 なるほど……そういう事か。星恵ちゃんは俺のために、トイレか何処かで着替え、ロッカールームに行って、インナーを置いて、わざと濡れて透けて見える様にしてくれたんだな。

 お化け屋敷の事といい、恥じらいがあって……本当、魅力的な彼女さんだよ、星恵ちゃんは。こんな可愛い彼女さんが居るのに「浮気なんてする訳ないだろ」

 俺が素直な気持ちを口にすると、星恵ちゃんは嬉しそうに微笑む。

「ふふ、ありがとう!」
「うん。さて……そのままじゃ風邪ひいちゃうから、御土産屋でタオル買ってくるよ」
「え、良いの? ありがとう! 待ってる」

 俺はポップコーンと傘を星恵ちゃんに預けると、御土産屋の中へと入っていった。
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