【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり

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初雪

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紙袋に入った正月のお飾りがガサガサと弾んでいる。
忍は神社への道を歩く。
上木家を通り過ぎて山の方に歩く。
初詣以来の昼に見る神社は小さいながらも地域に愛されているのがよくわかる。
あの日のように炎があがっていて、そこに正月飾りを焚べる。
パチパチ、ゴォーと火が爆ぜる。
曇り空に煙があがっていく。

「里中さんとこの、こっちおいで。熱いお茶飲んでいき」
「ありがとうございます」

お菓子もお食べ、とお婆さんに勧められる。
炎から少し離れた所にある長テーブルには個包装のお菓子が籠に盛ってある。
パイプ椅子がいくつか並べられていて、何人かが座ってお茶を楽しんでいた。

「あんたほんま別嬪さんやなぁ」

とニコニコする人達に囲まれて熱いお茶を啜る。
ほら、若い子は甘いもんがいいか?とチョコを渡される。
アルファベットが書いてある小さなチョコ。
甘い甘い幼い頃食べたあの味。

「しのぶちゃーん!」

ガッシュガッシュと小石の上を駆けてくる小さな友達。
ぎゅうと腰に抱きつき、膝によじ登る。

「忍君も来てたのか」
「はい、恵子さんに頼まれて」

かいちゃんもお菓子お食べ、と海斗も小さなチョコを貰う。
美味しいね、と海斗が笑うとみんなが笑う。
ニコニコとみんなで海斗を見つめる。

「海斗、帰るぞ」
「しのぶちゃんとあそぶー」
「海斗、わがまま言うな」
「あの、僕がちゃんと送っていきますよ」
「じゃあ、下までは一緒に行こう」

おばちゃんありがとな、と蒼太がお礼を言い三人でジャリジャリとその場を後にする。

「忍君、陸となにかあった?」
「・・・いえ、そのまだ上手く言葉にできなくて」
「そう。だったらそれを陸に言ってやって。なんか心配してるみたいだから」
「すみません」
「ごめんな、忍君。俺は陸が大事だから、陸がなにか悩んでるなら取り除いてやりたい」
「・・・はい。もう少し待ってください」

それじゃ、と手を挙げて去っていく蒼太の背中を見送る。
小さな手が忍の手を強く握る。

「しのぶちゃん、うみまでおさんぽしよう」
「寒くない?」
「だいじょうぶ」

手を繋いで海まで歩く。
どんよりした空と同じような色した海。
地平線はけぶって海との境界線が曖昧になっている。
寄せては返す白い波。

「しのぶちゃんはおともだちとけんかしたことある?」
「海斗くん、喧嘩しちゃったの?」
「うん。ぼくがねすなばであそぼうっていったのに、まーくんとともくんがブランコするって」
「うん」
「ブランコふたつしかないからいっしょにできないのに。ふたりでいっちゃったの」
「うん」
「それで、ぼくなかまはずれにされたの」
「そっか」
「すな、なげちゃったの」
「それは、だめだね」

コクコクと頷きながら海斗はしゃくりあげながら泣いた。
さみしかったの、と声をあげて泣く。

いつもさんにんであそんだのに、
ブランコふたつしかないのに、
かわりばんこしてくれるってゆったのに、
でもいやだったの、
さんにんいっしょがよかったの、
ぼくをすなばにおいていったのがいやだったの、
だから、だから、
すななげちゃったぁー

うわんうわんと大声で泣く海斗。
小さな体をぎゅうと抱きしめる忍の目からも涙が溢れる。

「しのぶちゃんもなくの?」
「うん。僕も、僕も、泣くよ」

二人でぎゅうぎゅう抱きしめあいながらうわんうわん泣く。
灰色の空からはチラチラと雪が降ってくる。
この冬初めての雪。
小さな紙切れのような雪が微かな風に乗って舞い降りる。
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