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壁に耳あり障子にメアリー
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・・・とんだ爆弾じゃん
執務室の扉にもたれかかるマルティナは頭を抱えそのままずるずると座り込んだ。
「おかえりなさい。マルティナ様、どうされました?」
「・・・爆弾」
「はい?」
かけられた声を見上げると心配そうに眉を寄せるシェリル。
「明日、暇?」
「授業があります」
「ですよねー」
マルティナは立ち上がりグッと腰を伸ばし、散歩行かない?とシェリルを誘った。
公爵邸は小高い丘の上にあり邸を囲む壁も柵も無かった。
背の高い木が一本、邸の傍にあるだけで邸までは町からは一本の登り道しか無い。
丘の上からは町が見下ろせ、遠くには学校や港も見えた。
見晴らしが良いということは賊の隠れる隙が無いということ。
計算されてるのね、とシェリルは感心した。
遮るものがないので風が吹くと全身に浴びたようになりとても気持ちがいい。
シェリルとマルティナは並んで邸の周りを歩く。
「元気がないように見えましたがどうされましたか?」
「ん?難しい問題があってね。どうやって解いてやろうかなって」
「・・・そうですか」
「シェリルはなんでなにもしてないって主張しなかったの?」
立ち止まってじっとシェリルの目を見るマルティナ。
「・・・横領はしました」
「第一王子の婚約者に当てられた予算を、第一王子に内緒で孤児院に回したこと?私欲じゃないからいいんじゃない?」
「・・・なんでもご存知なんですね」
「メアリーがいるからね」
「そのメアリーさんって」
「あぁ、メアリーはこの島を愛するみんなだよ」
マルティナもシェリルもお互いから目を話さず対峙していた。
シェリルは少し汗ばんでいたが、マルティナは涼しい顔でメアリーについて語った。
「本土にも隣国にもうちの島の子達はいる。そしてね、見てるの。自分の出稼ぎ先や奉公先、それに休日に出かけた市場や公園。噂を拾うこともある。奉公先が貴族や商家ならその家の醜聞なんかもね。メアリーはみんな普通に暮らしてる民よ」
うふふと笑うマルティナにシェリルは背筋がゾクリとした。
「王家の影でも筆頭公爵家の諜報員でもない、普通の人々よ。でもね、どこにでもいるの。うちの島の目はね。そして島を愛してるから情報を流すの。城にもいるわよ、侍女に下女に下男、洗濯女から掃除女や馬番、キリがないわ。でもね、不思議なのよ、彼らは存在してるのにまるで透明のように気にかけられないの」
怖いのは有象無象の目よ、とゾッとするほど低い声で言いながら口の端を釣り上げるマルティナ。
シェリルはゴクリと生唾を飲み込んだ。
帰ろうか、とシェリルはマルティナに腕をとられ部屋まで送られた。
また晩ご飯の時にね、と呆然とするシェリルを置いてマルティナは去っていった。
ばあや今日のご飯なにー?、と食堂の椅子にどっかりと腰掛け項垂れるマルティナ。
お母様に聞くとしても絶対裏に王家が絡んでる。
しかしなぜ宰相ではなく補佐なんだろう。
補佐はなんの役割を担ってるんだろうか。
補佐が動くのを待ってる暇はない。
先手は打たせない、仕掛けた方が勝つ。
で、勝つためには?
桔梗鴉と消えたシスター。
婚約破棄は偶然?些細なことだと思ってたけど、仕組まれたものだったら・・・
誰が?義妹?いや、あれは頭が悪い。
父親?義母?・・・義母か?
義母の生家は確か・・・
んー、と頭をガシガシやるマルティナ。
「お嬢様」
「・・・スティン」
「髪がボサボサです」
うるへー、とマルティナは天を仰いだ。
「ワーグナー邸から『箱』が出てまいりました」
「箱?」
「ワーグナー夫人の私室の鏡台の引き出しの二重底から。しかもその二重底全て鏡張りだったようでございます」
「・・・・・・呪いか」
「十中八九」
ゴチンとテーブルに突っ伏し、お腹すいたぁと盛大なため息をついた。
※PTA役員×2になってしまい更新が遅れました(´・ω・`)
明日からまた頑張ります( . .)"
執務室の扉にもたれかかるマルティナは頭を抱えそのままずるずると座り込んだ。
「おかえりなさい。マルティナ様、どうされました?」
「・・・爆弾」
「はい?」
かけられた声を見上げると心配そうに眉を寄せるシェリル。
「明日、暇?」
「授業があります」
「ですよねー」
マルティナは立ち上がりグッと腰を伸ばし、散歩行かない?とシェリルを誘った。
公爵邸は小高い丘の上にあり邸を囲む壁も柵も無かった。
背の高い木が一本、邸の傍にあるだけで邸までは町からは一本の登り道しか無い。
丘の上からは町が見下ろせ、遠くには学校や港も見えた。
見晴らしが良いということは賊の隠れる隙が無いということ。
計算されてるのね、とシェリルは感心した。
遮るものがないので風が吹くと全身に浴びたようになりとても気持ちがいい。
シェリルとマルティナは並んで邸の周りを歩く。
「元気がないように見えましたがどうされましたか?」
「ん?難しい問題があってね。どうやって解いてやろうかなって」
「・・・そうですか」
「シェリルはなんでなにもしてないって主張しなかったの?」
立ち止まってじっとシェリルの目を見るマルティナ。
「・・・横領はしました」
「第一王子の婚約者に当てられた予算を、第一王子に内緒で孤児院に回したこと?私欲じゃないからいいんじゃない?」
「・・・なんでもご存知なんですね」
「メアリーがいるからね」
「そのメアリーさんって」
「あぁ、メアリーはこの島を愛するみんなだよ」
マルティナもシェリルもお互いから目を話さず対峙していた。
シェリルは少し汗ばんでいたが、マルティナは涼しい顔でメアリーについて語った。
「本土にも隣国にもうちの島の子達はいる。そしてね、見てるの。自分の出稼ぎ先や奉公先、それに休日に出かけた市場や公園。噂を拾うこともある。奉公先が貴族や商家ならその家の醜聞なんかもね。メアリーはみんな普通に暮らしてる民よ」
うふふと笑うマルティナにシェリルは背筋がゾクリとした。
「王家の影でも筆頭公爵家の諜報員でもない、普通の人々よ。でもね、どこにでもいるの。うちの島の目はね。そして島を愛してるから情報を流すの。城にもいるわよ、侍女に下女に下男、洗濯女から掃除女や馬番、キリがないわ。でもね、不思議なのよ、彼らは存在してるのにまるで透明のように気にかけられないの」
怖いのは有象無象の目よ、とゾッとするほど低い声で言いながら口の端を釣り上げるマルティナ。
シェリルはゴクリと生唾を飲み込んだ。
帰ろうか、とシェリルはマルティナに腕をとられ部屋まで送られた。
また晩ご飯の時にね、と呆然とするシェリルを置いてマルティナは去っていった。
ばあや今日のご飯なにー?、と食堂の椅子にどっかりと腰掛け項垂れるマルティナ。
お母様に聞くとしても絶対裏に王家が絡んでる。
しかしなぜ宰相ではなく補佐なんだろう。
補佐はなんの役割を担ってるんだろうか。
補佐が動くのを待ってる暇はない。
先手は打たせない、仕掛けた方が勝つ。
で、勝つためには?
桔梗鴉と消えたシスター。
婚約破棄は偶然?些細なことだと思ってたけど、仕組まれたものだったら・・・
誰が?義妹?いや、あれは頭が悪い。
父親?義母?・・・義母か?
義母の生家は確か・・・
んー、と頭をガシガシやるマルティナ。
「お嬢様」
「・・・スティン」
「髪がボサボサです」
うるへー、とマルティナは天を仰いだ。
「ワーグナー邸から『箱』が出てまいりました」
「箱?」
「ワーグナー夫人の私室の鏡台の引き出しの二重底から。しかもその二重底全て鏡張りだったようでございます」
「・・・・・・呪いか」
「十中八九」
ゴチンとテーブルに突っ伏し、お腹すいたぁと盛大なため息をついた。
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