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第四幕
金曜日 ~Bottom of the World~ ①
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■1■
睡魔を誘うような黄昏の光の中――
周囲をぐるりとビルに囲まれた小さな公園に俺はいた。
小学校からの帰り道、いつも寄り道していたあの谷底のような公園だ。
「井原って、ホント、絵が好きだよなぁ」
ブランコに腰を降ろした姿勢のまま、俺は溜息をついた。
「それ、いつも持ち歩いているだろ? 重くて肩こったりしねーの?」
「え? 何?」
ベンチに座っていた相手――井原が少し戸惑ったような笑顔を上げる。
俺が話しかけているのを聞いていなかったらしい。
手には分厚く大きなスケッチブック。井原は一心不乱にそこに鉛筆を走らせていた。恥ずかしながら、そのモデルを務めているのはこの俺と言うわけ。
「後、ちょっとだから……」
そう言って再び、キラキラした目でスケッチに戻る井原。
苦笑しながらも、俺は内心、彼女が羨ましかった。
俺には井原のように時間を忘れて打ち込めるようなものは持っていない。
そりゃ、ゲームをしたり、漫画を読んだりするのは好きだけど、そういうことと井原が絵を描くことは何かが、上手くいえないけど、何かが大きく違っている気がする。
と、一陣のビル風が冷たく背中をさすった。
小さく身を震わせ、俺はくしゃみを噛み殺す。
そして、言った。
「なあ、井原――」
「えっ?」
「書いてもらっている最中に悪いんだけど、ちょっと休憩入れね?」
「どうして?」
「ええっと……」
俺はちょっと言いよどんだ。
そして、公園のはずれ、公衆トイレを顎で示す。
「ちょっと、自然の声が俺を呼んでいるんだ」
一瞬、キョトンとし、
「あ、うん。いいよ。行って来て」
くすっと井原は微笑んだ。
それから少し寂しそうな表情になって、こう付け加える。
「……でも、すぐに戻ってきてね」
分かった、と答えて俺はブランコを降り、もう一度、井原のほうを見て、思わず息を飲んでいた。
小さな笑みを浮かべて俺を見返す井原のすぐ背後。そこに音もなく迫るのは、手足の長い猿のような怪物だった。
顔はツルンとした茶色い卵。その身体はドロドロに腐乱し、汚泥の塊のような頭部には、ウジャウジャ蛆虫が湧いている。
俺が声をあげる暇もなかった。背後から井原を抱きすくめると、腐った猿のような怪物は跳躍した。いつの間にか、空襲を受けたかのように豪華燃え盛る街に向かって。
「まっ、待てよっ……!」
やっと俺は絶叫した。
「井原を帰せ!」
きゃはははははははははははははははははははははははははははっ……!
狂ったような、人外どもの嘲笑が俺を取り囲んだ。
そこで、俺は目を覚ました。
夢だったらしい。
自分が発した呻き声に驚かされたらしい。
「あ……?」
一瞬、俺はパニックを起こしかけ……
ブラインドに覆われた窓から差し込む、柔らかな朝の光に目を細めた。
俺が寝ているのは、見覚えのある大きなベッド。しかし、真っ白いパーテーションに囲まれた、その狭い空間は俺の部屋ではなかった。
様々な薬品や職毒液の臭い、そして微かに漂う甘ったるい糞尿の臭い……。
間違いない。ここは病院だ。それも、ほんの数日前まで、俺が入院していた夢ノ宮医院だ。
「そうか。俺、小学校で気を失って……」
救急車を呼ばれ、そのまま間ここに運び込まれたというわけだ。
……なんてこった。一週間もしないうちにまた戻って来るなんて。
「――歩? 気がついたのか?」
俺が溜息をついたとき、懐かしい声が聞こえてパーテーションが開いた。
その隙間から、顔を覗かせたのは爺ちゃんだった。ずいぶん、久しぶりに会えた気がして、一瞬、俺は涙腺が緩みかけた。
「爺ちゃん……」
「病院から電話をもらった時は、寿命が縮んだよ」
そう言って、爺ちゃんはベッドの足元にあったパイプ椅子に腰を降ろした。
苦笑した、その横顔には深い疲労の色が浮かんでいた。
「お前、なかなか目を覚ましてくれんから。その上、全身、傷だらけになっとるなんて、一体、何をしとったんだ?」
「そ、それは――」
珍しく詰問口調になる爺ちゃんに俺は言い澱んだ。気まずい沈黙がパーテーションの中に満ちる。あれこれと俺がいいわけを考えた時だった。
「……父さん」
外から、聞き覚えのある声が聞こえた。
「まかせっきりで悪かったな。後は、いいから少し休んでくれ」
そう言って中に入ってきたのは、背広姿に身を固めた大柄な男だった。その後で、不安そうな表情を浮かべた中年女性もいる。
二人は爺ちゃんの息子夫婦、六道清と光子――つまり、俺の両親だ。
今度は怪物じゃなく、本人のようだ。ある意味、怪物よりも面倒臭い。
くそ、こんな時に限って……!
普段は放任しているくせに、と俺は口元が歪むのを禁じえなかった。
爺ちゃんは悲しげに首を振りながら、病室を出て行った。
その後ろ姿を見送り、
「全く、お前はどうしようもないやつだな」
振り返った親父が自分と母さんの椅子を引き寄せながら、溜息混じりに言う。
それは、耳に蛸ができるほど聞かされたお決まりの文句だった。
これからウンザリするほど長い説教が始まりますよ、という合図だ。そう思っただけで、ガキの頃のトラウマが蘇ったのか、早くも俺は気分が悪くなった。
「おじいちゃんに面倒見てもらうようになって、少しは真面目に生活していると思っていたら、これだ。……何が面白くてお前は、トラブルばかり起こすんだ?」
「知るかよ」
親父の決め付けた物言いにムカッと来て、俺は吐き捨てた。
勿論、視線は合わせない。
「俺じゃない。トラブルが俺に近づいて来るんだ」
「屁理屈をこねるんじゃない! この馬鹿者!」
本当のことを素直に言っただけなのに、一喝されてしまう。しかも、理不尽なことに、親父のやつ、俺の頭に拳骨を落としやがった。
……このオッサン、息子が怪我人だってこと理解してないんじゃねえの?
「お前、自覚しているんだろうな? 今回、自分がどれだけ周りに――、爺さんや小学校の先生に心配かけたか」
「うっ……」
俺は返事に詰まった。確かに親父の言う通りだ。
爺ちゃんも河合先生も、何で俺が倒れたのか分からず、死ぬほど驚いたはずだ。その点に関しては、言い訳のしようもない。
しかし、俺には俺の事情ってもんがある。糞ほど厄介な事情が。
「一体、お前、何をしていたんだ? 何で、怪我なんかした?」
「…………」
「聞いているんだぞ。また、お前は親に言えないようなことをやらかしたのか?」
「ちょっと、お父さん――」
険しい声の親父の袖を引っ張ったのは、母さんだった。
「そのことも大事だけれど、他にも歩に話さないといけないことがあるでしょ?」
「あ、ああ。そうだったな……」
はっとした表情で頷く親父。訝しく思って眉をひそめる俺に向き直り、ゴホンッとわざとらしい咳払いをしてから、こう切り出してきた。
「昨日――、お前の高校の同級生だというお嬢さんから電話があってな」
「……電話?」
訝しく思い、俺は眉をひそめた。
高校の同級生で、今更、俺に連絡を取ってくるやつ。
それも女と言えば――
「……誰だよ?」
「心当たりがあるはずだぞ」
白々しく尋ねた俺を親父はジロッと睨みつける。
「結局、名前は教えてもらえなかったが……。お前、例の喧嘩は、その子を助けるためにやったんだってな」
「あ……」
自然と、俺は顔をしかめていた。
例の強姦未遂事件の被害者か。まさか、一年近くたった今頃、当の本人からばらされるとは思ってもみなかった。まあ、相手は俺に対する善意と言うか、誠意のつもりなのだろう。
それは分かる。
分かるし、感謝の念さえ覚えるが……。
「その娘さんは、お前が高校を退学したのは自分のせいだと謝っていた」
「そりゃ、違うな」
舌打ちしたいような気分で俺は言った。
「連中をぶちのめしたのは、単に俺の癪に障ったからだよ」
墓場までもって行くつもりだった話をあっさり暴かれたのは、やはり、不愉快だった。
「退学は、俺が自分でまいた種だ。別にその女が気にすることじゃない」
「だけど、歩」
じれったそうに言ったのは母さんだった。
「勿論、暴力は良くないけれど――喧嘩の原因は相手でしょう? どうして、そのことを黙っていたの? 一方的に歩だけが罰されるなんて、そんな……」
「話が大きくなって、そのお嬢さんに累が及ぶのを嫌ったんだろ」
腕組みし、呆れ返ったように親父が首を振った。
「お前の考えることと言えば、そんなところだろう。違うか?」
「…………」
しかし、俺は不機嫌に黙り込んだままだった。
正味、親父の言う通りなのだが――、何だか負けたような気がして、素直に頷くことができなかった。
刹那の沈黙の後。
「だが、まあ――、安心した」
ふう、と溜息をついた親父の口調が微かだが柔らかくなった。
「心配していたより、お前はずっとまともだ」
「えっ……」
思いがけないその言葉に俺は驚き、相手を見返す。
親父は苦笑していた。その横に立つ、母さんも。二人が笑っているのを見るのは久しぶりな気がした。
それと同時に、一気に後悔の念が押し寄せてきた。今回、俺が心配させてしまったのは、爺ちゃんと河合先生だけじゃない。
この二人も、だ。そんな当たり前のことに、今更、俺は気がついていた。
「悪かったよ、いろいろ……」
肩を落とし、俺は言った。
「その、なんて言うか、考えなしで」
「ああ、それはその通りだな」
水を得た魚のように親父が力強く頷く。
「大体、お前は頭を使わなさすぎる。それに要領も悪い。小学生でももう少し賢く立ち回るぞ? そんなことじゃ、これから将来が不安だよ。大体、お前はだな――」
スイッチを切り替えたかのように、説教に入る親父に俺は戦慄を覚えた。
説教モードに入った親父の話は長い上に、同じところをぐるぐる、ぐるぐる何度でも回るので死ぬ程苛々させられる。しかも、為にならないのは、物心つく前からずっと説教され通しだった自分の人間性を省みれば一目瞭然だ。
今度は母さんも止めてくれそうにない。
ゲッソリとして、俺が息をつきかけた時だった。
「あの、すいません――」
病室の入り口のほうから、若い女の声が聞こえた。
説教を止め、親父は立ち上がると怪訝そうな顔でパーテーションの向こう側に歩いて行った。
「……はい?」
「六道歩君の病室だと受付で聞いたんですけれど」
「ええ、まあ。……失礼ですが、どちら様?」
「六道君のフリースクールの同期生で、占い師です」
淡々と女の声が答えた。
「今回は色々とアフターケアが必要だと思いましたので。六道君、まだ正気ですか?」
「……は?」
怪訝そうな、と言うより少しムッとしている親父の声。
「今、何と仰いました?」
慌てて、俺はベッドから身体を起こしていた。
それからしばらくして――
突然現れたヘンな女、金城多恵に戸惑いながら親父と母さんは病院から去って行った。
二人とも、今日の仕事は午後から入ることにしていたらしい。自他共に認める仕事の虫である、この夫婦が午前中だけとは言え、仕事を休むのは珍しいことだった。
まあ、それはさて置き、
「なんで、ここに入院したって分かったんだ?」
溜息交じりに俺は金城に尋ねた。「ひょっとして、占い?」
いいえ、と金城は首を振った。
「あの後、すぐに小学校に電話をかけなおしたの。六道君の従姉妹だと名乗ったら、あなたが倒れたって教えてくれたわ」
一階、受付のあるロビー・ホール。
俺と金城はそこにある、待合のソファーに向き合うようにして腰を降ろしていた。
「それで、今回は何か収穫があったんでしょ?」
今回は、か。
思わず、俺はその言葉を頭の中で反芻させていた。
金城が尋ねているのは、昨日、俺が取り込まれた迷いの世界での出来事だろう。
毎日のように怪異に巻き込まれているうちに、すっかり、それが中心の生活になってしまった……。
少し、躊躇い――
「これ、あっち側から持ち帰って来たみたいだ」
そう言って、俺が手渡したのは一枚のテレフォンカードだった。
数年前、井原にプレゼントしたはずのアニメ・グッズ。
「……信じられねえよ、まったく」
カードをジッと見つめる金城に俺は低い声で言った。
「あの子が、アマリリスが虚構だったなんて。怪物どもと同じで、あっち側の存在だったなんてよ。そりゃ、確かに今思えばおかしいところは一杯あったけど……」
虚構――。
自分自身の言葉がちくりと俺の胸を刺す。
迷界のアマリリス、か。確かにそのタイトルに覚えはあった。
俺が小学生の時、結構、流行っていたスーパーヒロイン系のアニメだ。魔法の力を備えた少女が、毎週、異なる異次元世界に飛び込んで平和を取り戻すと言う冒険アクションだったと思う。
「虚構、ではないと思うわ」
「えっ……」
力なく顔を上げた俺に金城が静かに言った。
「この間は話しそびれたけれど、人間が心に抱えるのは強迫観念やマイナスな感情だけじゃない。喜びや優しさ、それに憧れの感情も同時に持っているでしょう。当たり前の話だけれど。
私が思うに、六道君にテレフォンカードをプレゼントされた時点で彼女――、井原千夏さんにとっては、迷界のアマリリスというアニメ作品は特別なものとなった。そして、そのヒロインに井原さん自身、相当、感情移入をしたのでしょう。もしかしたら、このヒロインみたいに井原さんは活発な女の子になりたかったのかもしれない……」
そこで言葉を切り、ふっと息をついてから金城は続けた。
「六道君の前に現れたアマリリスと名乗る女の子は、アニメのイメージを借りた、井原千夏さんの人格の一部。つまり、分身みたいなものね」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ――」
またしても突拍子もない方向に話が進んでゆく。俺は頭が痛くなるのを感じながら、口を挟んだ。
「でも、それっておかしいじゃんか」
「……どうして?」
「だ、だってよ――、迷いの世界に俺を引きずりこんで酷い目にあわせているのも井原なんだろ? その一方で、俺を助けようとするなんて、そんなの」
「矛盾している? でもね、六道君。人間っておかしなものでね、一つのことを心に描く時、それと真反対のことを意識しているものなの。例え、本人に自覚はなくてもね。……いやよいやよも好きのうち、可愛さあまって憎さ百倍って言うでしょう? 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いっていうじゃない?」
いや、最後のは違うんじゃないかな?
と、突っ込みをいれる余裕は俺にはなかった。
「それじゃあ、井原は……」
声を掠れさせる俺に金城が頷く。
「六道君を迷いの世界、つまり、自分の心の闇に閉じ込めておきたいのも彼女の本心。……だけど、それを防ぎたい、自分自身から君を守りたいと言うのも彼女の偽らざる本心なのよ」
睡魔を誘うような黄昏の光の中――
周囲をぐるりとビルに囲まれた小さな公園に俺はいた。
小学校からの帰り道、いつも寄り道していたあの谷底のような公園だ。
「井原って、ホント、絵が好きだよなぁ」
ブランコに腰を降ろした姿勢のまま、俺は溜息をついた。
「それ、いつも持ち歩いているだろ? 重くて肩こったりしねーの?」
「え? 何?」
ベンチに座っていた相手――井原が少し戸惑ったような笑顔を上げる。
俺が話しかけているのを聞いていなかったらしい。
手には分厚く大きなスケッチブック。井原は一心不乱にそこに鉛筆を走らせていた。恥ずかしながら、そのモデルを務めているのはこの俺と言うわけ。
「後、ちょっとだから……」
そう言って再び、キラキラした目でスケッチに戻る井原。
苦笑しながらも、俺は内心、彼女が羨ましかった。
俺には井原のように時間を忘れて打ち込めるようなものは持っていない。
そりゃ、ゲームをしたり、漫画を読んだりするのは好きだけど、そういうことと井原が絵を描くことは何かが、上手くいえないけど、何かが大きく違っている気がする。
と、一陣のビル風が冷たく背中をさすった。
小さく身を震わせ、俺はくしゃみを噛み殺す。
そして、言った。
「なあ、井原――」
「えっ?」
「書いてもらっている最中に悪いんだけど、ちょっと休憩入れね?」
「どうして?」
「ええっと……」
俺はちょっと言いよどんだ。
そして、公園のはずれ、公衆トイレを顎で示す。
「ちょっと、自然の声が俺を呼んでいるんだ」
一瞬、キョトンとし、
「あ、うん。いいよ。行って来て」
くすっと井原は微笑んだ。
それから少し寂しそうな表情になって、こう付け加える。
「……でも、すぐに戻ってきてね」
分かった、と答えて俺はブランコを降り、もう一度、井原のほうを見て、思わず息を飲んでいた。
小さな笑みを浮かべて俺を見返す井原のすぐ背後。そこに音もなく迫るのは、手足の長い猿のような怪物だった。
顔はツルンとした茶色い卵。その身体はドロドロに腐乱し、汚泥の塊のような頭部には、ウジャウジャ蛆虫が湧いている。
俺が声をあげる暇もなかった。背後から井原を抱きすくめると、腐った猿のような怪物は跳躍した。いつの間にか、空襲を受けたかのように豪華燃え盛る街に向かって。
「まっ、待てよっ……!」
やっと俺は絶叫した。
「井原を帰せ!」
きゃはははははははははははははははははははははははははははっ……!
狂ったような、人外どもの嘲笑が俺を取り囲んだ。
そこで、俺は目を覚ました。
夢だったらしい。
自分が発した呻き声に驚かされたらしい。
「あ……?」
一瞬、俺はパニックを起こしかけ……
ブラインドに覆われた窓から差し込む、柔らかな朝の光に目を細めた。
俺が寝ているのは、見覚えのある大きなベッド。しかし、真っ白いパーテーションに囲まれた、その狭い空間は俺の部屋ではなかった。
様々な薬品や職毒液の臭い、そして微かに漂う甘ったるい糞尿の臭い……。
間違いない。ここは病院だ。それも、ほんの数日前まで、俺が入院していた夢ノ宮医院だ。
「そうか。俺、小学校で気を失って……」
救急車を呼ばれ、そのまま間ここに運び込まれたというわけだ。
……なんてこった。一週間もしないうちにまた戻って来るなんて。
「――歩? 気がついたのか?」
俺が溜息をついたとき、懐かしい声が聞こえてパーテーションが開いた。
その隙間から、顔を覗かせたのは爺ちゃんだった。ずいぶん、久しぶりに会えた気がして、一瞬、俺は涙腺が緩みかけた。
「爺ちゃん……」
「病院から電話をもらった時は、寿命が縮んだよ」
そう言って、爺ちゃんはベッドの足元にあったパイプ椅子に腰を降ろした。
苦笑した、その横顔には深い疲労の色が浮かんでいた。
「お前、なかなか目を覚ましてくれんから。その上、全身、傷だらけになっとるなんて、一体、何をしとったんだ?」
「そ、それは――」
珍しく詰問口調になる爺ちゃんに俺は言い澱んだ。気まずい沈黙がパーテーションの中に満ちる。あれこれと俺がいいわけを考えた時だった。
「……父さん」
外から、聞き覚えのある声が聞こえた。
「まかせっきりで悪かったな。後は、いいから少し休んでくれ」
そう言って中に入ってきたのは、背広姿に身を固めた大柄な男だった。その後で、不安そうな表情を浮かべた中年女性もいる。
二人は爺ちゃんの息子夫婦、六道清と光子――つまり、俺の両親だ。
今度は怪物じゃなく、本人のようだ。ある意味、怪物よりも面倒臭い。
くそ、こんな時に限って……!
普段は放任しているくせに、と俺は口元が歪むのを禁じえなかった。
爺ちゃんは悲しげに首を振りながら、病室を出て行った。
その後ろ姿を見送り、
「全く、お前はどうしようもないやつだな」
振り返った親父が自分と母さんの椅子を引き寄せながら、溜息混じりに言う。
それは、耳に蛸ができるほど聞かされたお決まりの文句だった。
これからウンザリするほど長い説教が始まりますよ、という合図だ。そう思っただけで、ガキの頃のトラウマが蘇ったのか、早くも俺は気分が悪くなった。
「おじいちゃんに面倒見てもらうようになって、少しは真面目に生活していると思っていたら、これだ。……何が面白くてお前は、トラブルばかり起こすんだ?」
「知るかよ」
親父の決め付けた物言いにムカッと来て、俺は吐き捨てた。
勿論、視線は合わせない。
「俺じゃない。トラブルが俺に近づいて来るんだ」
「屁理屈をこねるんじゃない! この馬鹿者!」
本当のことを素直に言っただけなのに、一喝されてしまう。しかも、理不尽なことに、親父のやつ、俺の頭に拳骨を落としやがった。
……このオッサン、息子が怪我人だってこと理解してないんじゃねえの?
「お前、自覚しているんだろうな? 今回、自分がどれだけ周りに――、爺さんや小学校の先生に心配かけたか」
「うっ……」
俺は返事に詰まった。確かに親父の言う通りだ。
爺ちゃんも河合先生も、何で俺が倒れたのか分からず、死ぬほど驚いたはずだ。その点に関しては、言い訳のしようもない。
しかし、俺には俺の事情ってもんがある。糞ほど厄介な事情が。
「一体、お前、何をしていたんだ? 何で、怪我なんかした?」
「…………」
「聞いているんだぞ。また、お前は親に言えないようなことをやらかしたのか?」
「ちょっと、お父さん――」
険しい声の親父の袖を引っ張ったのは、母さんだった。
「そのことも大事だけれど、他にも歩に話さないといけないことがあるでしょ?」
「あ、ああ。そうだったな……」
はっとした表情で頷く親父。訝しく思って眉をひそめる俺に向き直り、ゴホンッとわざとらしい咳払いをしてから、こう切り出してきた。
「昨日――、お前の高校の同級生だというお嬢さんから電話があってな」
「……電話?」
訝しく思い、俺は眉をひそめた。
高校の同級生で、今更、俺に連絡を取ってくるやつ。
それも女と言えば――
「……誰だよ?」
「心当たりがあるはずだぞ」
白々しく尋ねた俺を親父はジロッと睨みつける。
「結局、名前は教えてもらえなかったが……。お前、例の喧嘩は、その子を助けるためにやったんだってな」
「あ……」
自然と、俺は顔をしかめていた。
例の強姦未遂事件の被害者か。まさか、一年近くたった今頃、当の本人からばらされるとは思ってもみなかった。まあ、相手は俺に対する善意と言うか、誠意のつもりなのだろう。
それは分かる。
分かるし、感謝の念さえ覚えるが……。
「その娘さんは、お前が高校を退学したのは自分のせいだと謝っていた」
「そりゃ、違うな」
舌打ちしたいような気分で俺は言った。
「連中をぶちのめしたのは、単に俺の癪に障ったからだよ」
墓場までもって行くつもりだった話をあっさり暴かれたのは、やはり、不愉快だった。
「退学は、俺が自分でまいた種だ。別にその女が気にすることじゃない」
「だけど、歩」
じれったそうに言ったのは母さんだった。
「勿論、暴力は良くないけれど――喧嘩の原因は相手でしょう? どうして、そのことを黙っていたの? 一方的に歩だけが罰されるなんて、そんな……」
「話が大きくなって、そのお嬢さんに累が及ぶのを嫌ったんだろ」
腕組みし、呆れ返ったように親父が首を振った。
「お前の考えることと言えば、そんなところだろう。違うか?」
「…………」
しかし、俺は不機嫌に黙り込んだままだった。
正味、親父の言う通りなのだが――、何だか負けたような気がして、素直に頷くことができなかった。
刹那の沈黙の後。
「だが、まあ――、安心した」
ふう、と溜息をついた親父の口調が微かだが柔らかくなった。
「心配していたより、お前はずっとまともだ」
「えっ……」
思いがけないその言葉に俺は驚き、相手を見返す。
親父は苦笑していた。その横に立つ、母さんも。二人が笑っているのを見るのは久しぶりな気がした。
それと同時に、一気に後悔の念が押し寄せてきた。今回、俺が心配させてしまったのは、爺ちゃんと河合先生だけじゃない。
この二人も、だ。そんな当たり前のことに、今更、俺は気がついていた。
「悪かったよ、いろいろ……」
肩を落とし、俺は言った。
「その、なんて言うか、考えなしで」
「ああ、それはその通りだな」
水を得た魚のように親父が力強く頷く。
「大体、お前は頭を使わなさすぎる。それに要領も悪い。小学生でももう少し賢く立ち回るぞ? そんなことじゃ、これから将来が不安だよ。大体、お前はだな――」
スイッチを切り替えたかのように、説教に入る親父に俺は戦慄を覚えた。
説教モードに入った親父の話は長い上に、同じところをぐるぐる、ぐるぐる何度でも回るので死ぬ程苛々させられる。しかも、為にならないのは、物心つく前からずっと説教され通しだった自分の人間性を省みれば一目瞭然だ。
今度は母さんも止めてくれそうにない。
ゲッソリとして、俺が息をつきかけた時だった。
「あの、すいません――」
病室の入り口のほうから、若い女の声が聞こえた。
説教を止め、親父は立ち上がると怪訝そうな顔でパーテーションの向こう側に歩いて行った。
「……はい?」
「六道歩君の病室だと受付で聞いたんですけれど」
「ええ、まあ。……失礼ですが、どちら様?」
「六道君のフリースクールの同期生で、占い師です」
淡々と女の声が答えた。
「今回は色々とアフターケアが必要だと思いましたので。六道君、まだ正気ですか?」
「……は?」
怪訝そうな、と言うより少しムッとしている親父の声。
「今、何と仰いました?」
慌てて、俺はベッドから身体を起こしていた。
それからしばらくして――
突然現れたヘンな女、金城多恵に戸惑いながら親父と母さんは病院から去って行った。
二人とも、今日の仕事は午後から入ることにしていたらしい。自他共に認める仕事の虫である、この夫婦が午前中だけとは言え、仕事を休むのは珍しいことだった。
まあ、それはさて置き、
「なんで、ここに入院したって分かったんだ?」
溜息交じりに俺は金城に尋ねた。「ひょっとして、占い?」
いいえ、と金城は首を振った。
「あの後、すぐに小学校に電話をかけなおしたの。六道君の従姉妹だと名乗ったら、あなたが倒れたって教えてくれたわ」
一階、受付のあるロビー・ホール。
俺と金城はそこにある、待合のソファーに向き合うようにして腰を降ろしていた。
「それで、今回は何か収穫があったんでしょ?」
今回は、か。
思わず、俺はその言葉を頭の中で反芻させていた。
金城が尋ねているのは、昨日、俺が取り込まれた迷いの世界での出来事だろう。
毎日のように怪異に巻き込まれているうちに、すっかり、それが中心の生活になってしまった……。
少し、躊躇い――
「これ、あっち側から持ち帰って来たみたいだ」
そう言って、俺が手渡したのは一枚のテレフォンカードだった。
数年前、井原にプレゼントしたはずのアニメ・グッズ。
「……信じられねえよ、まったく」
カードをジッと見つめる金城に俺は低い声で言った。
「あの子が、アマリリスが虚構だったなんて。怪物どもと同じで、あっち側の存在だったなんてよ。そりゃ、確かに今思えばおかしいところは一杯あったけど……」
虚構――。
自分自身の言葉がちくりと俺の胸を刺す。
迷界のアマリリス、か。確かにそのタイトルに覚えはあった。
俺が小学生の時、結構、流行っていたスーパーヒロイン系のアニメだ。魔法の力を備えた少女が、毎週、異なる異次元世界に飛び込んで平和を取り戻すと言う冒険アクションだったと思う。
「虚構、ではないと思うわ」
「えっ……」
力なく顔を上げた俺に金城が静かに言った。
「この間は話しそびれたけれど、人間が心に抱えるのは強迫観念やマイナスな感情だけじゃない。喜びや優しさ、それに憧れの感情も同時に持っているでしょう。当たり前の話だけれど。
私が思うに、六道君にテレフォンカードをプレゼントされた時点で彼女――、井原千夏さんにとっては、迷界のアマリリスというアニメ作品は特別なものとなった。そして、そのヒロインに井原さん自身、相当、感情移入をしたのでしょう。もしかしたら、このヒロインみたいに井原さんは活発な女の子になりたかったのかもしれない……」
そこで言葉を切り、ふっと息をついてから金城は続けた。
「六道君の前に現れたアマリリスと名乗る女の子は、アニメのイメージを借りた、井原千夏さんの人格の一部。つまり、分身みたいなものね」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ――」
またしても突拍子もない方向に話が進んでゆく。俺は頭が痛くなるのを感じながら、口を挟んだ。
「でも、それっておかしいじゃんか」
「……どうして?」
「だ、だってよ――、迷いの世界に俺を引きずりこんで酷い目にあわせているのも井原なんだろ? その一方で、俺を助けようとするなんて、そんなの」
「矛盾している? でもね、六道君。人間っておかしなものでね、一つのことを心に描く時、それと真反対のことを意識しているものなの。例え、本人に自覚はなくてもね。……いやよいやよも好きのうち、可愛さあまって憎さ百倍って言うでしょう? 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いっていうじゃない?」
いや、最後のは違うんじゃないかな?
と、突っ込みをいれる余裕は俺にはなかった。
「それじゃあ、井原は……」
声を掠れさせる俺に金城が頷く。
「六道君を迷いの世界、つまり、自分の心の闇に閉じ込めておきたいのも彼女の本心。……だけど、それを防ぎたい、自分自身から君を守りたいと言うのも彼女の偽らざる本心なのよ」
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激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
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