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第四幕
金曜日 ~Bottom of the World~ ③
しおりを挟む「それじゃあ、六道君。――心の準備はいい?」
「ん? あ、ああ……」
ぎこちなく頷き、昨日と同じく、重たいリュックを背負った俺はテレフォンカードを片手に握り締める。俺と金城は、夢見館の真正面にあるたばこ屋の前に立っていた。正確に言えば、その傍らにある公衆電話の前だ。
「もう、分かっているとは思うけど、迷いの世界では六道君の助けにはなれない。何が現れても、決して、見た目に惑わされないで。それと、できるだけ冷静でいること」
「わ、分かった……」
緊張のあまり、俺は声を震わせていた。
掌にはジットリと冷や汗が滲み、早鐘のように心臓がドクドクと打ち鳴り始める。
何しろ、自分から迷いの世界に乗り込むのは初めてだ。
平然としていられるわけがない。
店番の婆さんが胡乱な眼差しで俺達を眺めていたが、事情を説明する余裕はない。
乾ききった唇を舐め――、覚悟を決めると俺はテレフォンカードを電話の差し込み口に運んだ。
そして、指先に力を込めて挿入する。
カチッと音を立てて、電話機がカードを飲み込む。
そう思った、次の瞬間だった。
ヒュオオオオオオオオオオオッ……!
目も開けていられないような、砂粒混じりの強風が商店街に吹き荒れる。
それは虚空を舞う死霊の叫びのように物悲しく、そしてけたたましかった。
パラパラと小さな砂粒が無数に舞い上がり、俺の顔に当たってくる。思わず、両腕を交差して、顔を庇う。
「……………………」
暫くの間、俺はそのままの姿勢で固まっていた。
しかし、周囲から物音が消えたことにふと気がつき、恐々と腕を下ろす。
案の定――、そこは既に商店街ではなくなっていた。
天蓋にポッカリ開いた作り物のような空。
そこに浮かぶ、殺人に使われた凶器のように赤く滲む三日月。
そして、俺を取り囲む、死人の群れのような、白く枯れ果てた木々。
俺はただ一人――、見知らぬ夜の山中に立ち尽くしていた。成功だ。取り込まれるのではなくて、こっちから意図的に迷いの世界に入り込めた……!
しかし、大喜びする気にはとてもなれなかった。
異形の月明かりの下、幾重にも蔦に絡みつかれ、その重心を大きく傾かせた廃墟然とした建物の前とあっては。
レンガ造りのその大きな建物は印象としては夢ノ宮市の街角にあるキリスト教の教会に似ている。しかし、屋根の上に掲げられているのは十字架ではない。ここ数日間、嫌と言うほど目にしてきた、あの奇怪な卵のような紋章だ。
「ここは……」
胸騒ぎを覚え、俺はその建物に向かって歩き始めた。
有刺鉄線が張り巡らされた塀をぐるりと一回りし、立派な鉄扉がある、建物の正門にたどり着く頃には俺は確信していた。
間違いない。ここは夢神教会の本部だ。
井原が母親と一緒に暮らしていたと言う、新興宗教の施設。
そして、井原が迷いの世界を顕現させる、何らかの力を授かった場所でもある。
だとすれば、ここで一体、何が行われたと言うのだろうか?
俺には皆目、検討も付かなかったが、その答えはきっとこの中に隠されている。
そして、井原千夏、本人も。
そんな想いに背中を押されるようにして、俺は鉄扉を押し開いた。
■3■
天井から等間隔に吊るされた裸電球のお陰で、建物の中は意外にも明るい。
通路を進み、礼拝堂のような広く厳粛な雰囲気の部屋に入る。
正面の祭壇に飾られた、奇怪な一つ目の卵――デュカリ・デュケスの印形を立体化したような、奇怪なオブジェが俺の目を引く。
当然のように人の気配はない。
そのかわり、赤い文字で謎めいた言葉が壁一杯に書き綴られていた。
夢こそ真、真こそ夢
賢者の石を飲み込みし者たち
夢幻のゆりかごにその身を捧げ
内なる楽園を今、産み出さん
汚辱にまみれし現世を塗りつぶさん
朝会の時にでも読み上げたのだろうか?
どうやらここの教義を書き出したものらしい。
何故か、俺はそれに強い反発を感じた。
正直、意味は全く分からない。ただ、この言葉を発したヤツが、とんでもなく独善的な性格の持ち主であることは容易に想像ができる。そして、狂ったヤツだということも。
母親についていくしかなかった井原がとても不憫だった。
よりによって、こんなところに、だ。
小さく首を振りながら俺は祭壇の横にあった、木製のドアに向かった。
ドアを開くと、もはやお馴染みになった、妖気に満ちた暗闇が俺を待ち構えていた。
溜息をつき、俺はペンライトの明かりをつける。そして、地下へと続く、底無し沼に沈んでゆくような鉄骨の階段に一歩、足を乗せる。
その途端、激しい眩暈のような感覚が俺を襲った。
いつの間にか、俺は遮る物一つない、広大な闇の空間をトボトボ歩き続けていた。
足の下からモーターの唸る耳障りな音が鳴り響き、熱く生臭い風が吹き上げてくる。
お陰でベットリと汗をかいてしまい、髪の毛や下着が肌にベットリ着いて、不快なことこの上ない。しかし、敢えて俺は足元を見ないようにしていた。
変わった設計思想なのか、それとも単に工事の費用が不足していたのか。
時折、懐中電灯の光に照らし出されるそこは通路の体をなしていない。建物の骨格を無残に剥き出しにした、鉄骨と赤錆びた金網の床が敷き詰められているだけだ。
しかも、歩く度に金網はギシギシと嫌な音を立てて軋む。
何時、踏み抜いてしまうか、と思うと気が気でない。そして、その真下には懐中電灯の光など全く届かない、暗い穴が大口を空けているのだった。
もし、あそこに落ちたら……?
いわゆる、地獄とやらが待ち構えていて、そこで永遠の責め苦を味わうことになるのだろうか?
頭を振って、俺は気の滅入る嫌な想像を追い払おうとした。
と、その時だった。
行く手を包む闇に、木の立て札のような物がボンヤリと浮かび上がった。
それには矢印が描かれ、こう書き殴られていた。
ZOO この先、少し
ZOO――
英語は苦手な俺でも、これぐらいの単語は分かる。
動物園、と言う意味だ。
しかし、こんな場所で動物園となると――
嫌な想像しか働かなかったが、他に行く当てもない。
覚悟を決め、俺は矢印が示す方向に向かって再び歩き始めた。
その動物園には、すぐに辿り着くことができた。
動物園と言っても、現実のものとはまるで違った。
ぎらぎらした有刺鉄線のフェンスが取り囲むのは、さして広くもないスペースに鉄製の鳥籠が隙間なく並べられているだけだ。
そして、俺はそこに閉じ込められているやつらに見覚えがあった。
ガラスボールのような一つ目のヤモリ。ブルブルと蠢く、黒いゼリーのような物体。子供の顔を持つ、猿と鼠を足して二で割ったような生き物。それに何だかよく分からない、グチャグチャと蠢く血塗れの肉塊。
怪物ども……。
ここ数日間、迷いの世界で遭遇した、異形の者どもがそこに集められていた。
思わず、警棒を手に俺は身構えてしまう。籠を破り、やつらが一斉に襲い掛かってきたりしたら、ひとたまりもない。
しかし、幸いにもそれは杞憂だった。
やつらは食事に夢中だった。
各鳥籠の天蓋には長いプラスチックのようなチューブが垂らされ、どこから汲み上げられてくるのか赤黒いドロドロした液体を、鳥籠の端に置かれた皿にポタポタ流しこんでいる。怪物どもがペチャペチャ舌を鳴らして舐めているそれは、まるで人間の血液のように思えた。
恐ろしく厭な物を見てしまった気がして、俺は早々にその場を立ち去ろうとした。
しかし、端っこにあった鳥籠の一つに目が止まり――
「あっ……!」
思わず俺は声をあげてしまう。その声に驚いたように顔を上げたのは、赤いスタジャンを羽織った、金髪、ポニーテールの少女だった。
「歩? どうしてここに?」
「アマリリス!」
少女の名を叫び、思わず俺は鳥籠の前に駆け寄っていた。
「お前、生き返ったのか!? 心配したんだぞ、急に居なくなるから……」
ハッとしたような顔になり、ぷいとアマリリスが顔を背ける。
俺のほうも歯切れ悪くなり、声が次第に小さくなる。
おぞましい息遣いが響く闇の中、なんとも言いようのない気まずさを俺は感じていた。
「――もう、知っているんでしょ?」
鳥籠の中で小さな膝を抱え、拗ねたようにあっちを向いたまま、アマリリスが言った。
「えっ?」
「私が人間じゃないって」
その言葉に、一瞬、俺は息が止まるような気がした。
しかし、
「あ、ああ……。昨日、気がついた」
ぎこちなく俺は頷いていた。
この子に嘘やごまかしは通じない。そんな確信があった。
「怖くないの?」
ゆっくり振り返り、格子越しに俺を見据えるアマリリスの青い瞳。
「ひょっとしたら、私が怪物と同じじゃないかって」
「もし、そうなら――」
苦笑しながらも俺は即答する。
「俺はもう、とっくに死んでいる。そうだろ?」
俺はふと、鳥籠の扉を見た。扉を閉ざしているのは錆び付いた、いかにも安物といった感じの錠前一つだった。これなら、何度か殴りつけるだけで壊せそうだ。
「ちょっと待ってな」
そう言って、俺はリュックサックから取り出した警棒を握り締め直した。
「とにかく一緒に行こう。今、そこから出してやる」
「どうして、自分から来ちゃうのかなぁ……」
錠前をガンガン殴り始めた俺にアマリリスが呆れたような溜息をつく。
「この世界にだけは絶対に来て欲しくなかったのに」
「……そりゃ、悪かったな」
殴りつけた手が痺れるのに俺は顔を歪める。
「でも、仕方がないだろ? 俺達二人が助かるには、こうでもしなきゃ……」
「二人って、千夏のことも?」
心底、驚いたように青い瞳を丸くするアマリリス。
「ねえ、歩。千夏のことも助けるつもりでいるの?」
「俺じゃ、役不足か?」
「それはどうか分からないけれど、」
アマリリスは少し微笑み、急に悲しげな顔になって長い睫毛を伏せる。
そして、今にも泣き出しそうな、小さな声でボソッと言った。
「酷い目にあったのは千夏のせいだって、歩、知っているんでしょう?」
「あ、ああ……」
これも否定できない。渋々、俺は頷くしかない。
「だったら――、歩は千夏のことを嫌いになったんじゃないの?」
静かに顔を上げ、アマリリスがまた俺に問いかける。
その青い瞳には、痛々しいまでに悲痛な感情が揺れていた。
金城の言う通り、やはり、この子は虚構なんかじゃない例え、姿形は借り物だったとしても、その存在は本物なのだ。
「正直、自分でもよく分からないんだよなぁ。そこんところ……」
悩ましい溜息をつきながら、俺は答えていた。
「何よ、それ。はっきりしないなぁ」
不服そうに唇を尖らせるアマリリス。「そんなの、歩らしくない」
「いや、迷惑だって思っている気持ちが大きいのも確かだ。この一週間、あいつの迷いの世界とやらに振り回されっぱなしだしな。それに――」
そこで言葉を切り、背後に並ぶ、他の鳥籠を俺は振り返る。
相変わらず、その中ではおぞましい姿の怪物どもがギチギチと蠢いていた。
「あんな連中が心の中に巣食っているなんて、やっぱ尋常じゃねえよって思う。けど――、だから嫌いになったかって聞かれても、そうだとは言えないんだよな」
「……どうして?」
「うーん」
少し考え、俺は答えた。
「多分――、アマリリスがいたからだろうな」
「えっ?」
金髪の少女の青い瞳が丸くなる。
「それ、どういうこと?」
「確かに、この迷いの世界はひどいところだけれど、怪物どもだけじゃなくアマリリスみたいな子が存在できるってことは――井原もまだ生きることに絶望しきってないってことだよな?」
「それは……」
「例えば――、こんな考え方もできる」
顔を曇らせるアマリリスの言葉を遮るように、言いながら俺は警棒を振り上げ、ガンッと錠前を殴りつける。
「三年間、あいつは一人でずっと戦ってきたんだ。自分自身の迷いの世界と。……だとしたらすげえよ。俺なんか、一週間でアップアップだ」
もう一撃、錠前を殴りつけると派手な音を立てて弾け飛んだ。
金網の隙間から奈落の底に転がり落ちてしまったが、あんな物、惜しくもない。
「まあ、好きだの嫌いだのは別にしても、――もう一回ぐらい、会って話をしたって罰は当たらないだろ?」
ペラペラ喋りながら俺は鳥籠の扉を開いた。
そして、ヨロヨロと立ち上がるアマリリスに片手を差し伸べる。
「お互い、積もる話だらけだからな」
「しょうがないなぁ、もう」
どこか呆れたような微笑を浮かべるアマリリス。
差し出した俺の手にそっと触れながら言う。
「分かった。二人のことは最後まで面倒見てあげる。……その代わり、お互いにきちんと話をつけてよね」
……子供のクセによく言うぜ。
この、マセガキめ、と苦笑いしながら俺はアマリリスを檻の中からエスコートしてやる。
その途端だった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
重々しい地鳴りのような音が闇に木霊した。
次の瞬間、悲鳴のような轟音がして、床全体が左右に激しく揺さぶられる。その衝撃で床板の金網が数枚、弾き飛ばされ、宙に舞った。
地震か?
咄嗟に俺はアマリリスを抱き寄せていた。怪物どもを閉じ込めていた、いくつもの鳥籠が横倒しになる。怒りとも恐怖ともつかない絶叫を張り上げ、おぞましいやつらがそこから這い出てくる。
「シャッフルだよ、歩……」
緊張に表情を強張らせる俺の腕の中でアマリリスが言った。
「あいつら、しばらくここで育てられた後、それぞれに相応しい世界に送り込まれるの」
「何だって?」
ますます轟音が激しくなってゆく。俺は大きな声で尋ねていた。
「それって、やっぱり井原の仕業なのか!?」
「あのね……」
しかし、アマリリスの答えを聞くことはできなかった。
一瞬、吐き気を催すような浮遊感がして俺達は足元の金網ごと、漆黒に塗りたくられた虚空に投げ出されていた。
「熱ッ……!」
小さく叫んで、俺は手首を押さえた。
そして、自分が建物の中のどこか――、あの闇の空間から一瞬にして、別の場所に移動していることに気がつく。
最早、懐中電灯など無用だった。
そこは炎に焙られ、嘗め尽くされ、凄まじい熱気を孕んだ長い廊下だった。
火事だ。
それも火の手が回ってから随分と時間が経過していそうな……。
あちこちから健在が燃え弾ける音やガラス窓の割れる音、逃げ惑う人々の悲鳴が聞こえてくる。空耳とは思えない生々しさがそこにあった。
「アマリリス!」
チロチロと赤い舌を出して威嚇する、不定形の獣のような炎からジリジリと後退りしながら俺は大声を出していた。
「どこだ!? 返事をしてくれ!」
しかし、俺に答えるものはいなかった。
ここに飛ばされる途中、はぐれてしまったのか?
絶望のあまり、パニックを起こしそうになる自分におれは必死で言い聞かせた。
大丈夫、あの子なら絶対に大丈夫だ――
あの子は、アマリリスは外見よりはるかにタフだ。
それは俺の希望的観測じゃない。単なる事実だ。
実際、あの子は負けていなかったじゃないか。怪物どもにも、迷いの世界にも。
「とにかく、ここから逃げ出さないと……」
口元を押さえながら、俺は少しでも火の勢いが弱い場所を探した。
このままグズグズしていたら、丸焼けになってしまう。それとも酸欠で倒れるのが先だろうか?
そんなことを考えながら、赤く眩い光に目を細めた時だった。
ガシャッ……
聞き覚えのある、金属が擦れ合うような音が灼熱地獄に響いた。
そして、逆巻く炎の向こうにゆらりと立つ巨大な人影。
「スローター……だっけ?」
厳しい鎧を身に纏った死神を見上げながら、下顎にたまった汗を俺は拭った。
「やっぱり、お前もいたんだな」
俺の言葉を肯定するかのように、鋼の重い音を軋ませ、死神が前に進み出てくる。
結局、こいつは何者なんだろう、と早鐘のように心臓が高鳴るのを感じながら俺は考える。
怪物どもの眷族であることは間違いない。
しかし、こいつは怪物を殺す怪物だ。
その刺々しく、攻撃的なデザインはひょっとしたら井原の怒りや憎しみのイメージなのかもしれない。
今なお自らを苛み続ける、過去の記憶に対する反発心の擬人化なのかも知れない。
だとしたら……
「うわっ!」
緩慢な、しかし、どこか威厳のある動きでヤツが俺に片手を伸ばしてくる。
巨体を包む血まみれの鎧は所々が焼け焦げブスブスと白い煙をあげていたが、やつは痛みを感じないのか、歯牙にもかけていない様子だった。
「ちょっと待て! 俺の話を聞け!」
後退りながら俺は叫んだ。
それに反応するかのように、死神の動きが止まる。
「お前の目的は分かっている! 井原がいるところに俺を連れて行きたいんだろ!?」
こんな怪物に言葉が通じるかどうか、正直、俺は自信がなかった。
しかし、半ば、ヤケクソになって俺は続ける。
「だったら望むところだ! 今すぐ、連れてけ! そのかわり、あの子も、アマリリスも一緒だ。今すぐ、アマリリスを……」
ここに呼べ、と言い終わらないうちに怪物の手が俺の襟首をむんずと掴んだ。
そして、まるで飼育小屋のウサギでも扱うかのように、俺の身体を宙に吊り上げ、ずしずしとどこかに歩いてゆこうとする。
「こら! 人の話、聞いてねーのか!」
死に物狂いで俺は暴れた。警棒を振り回し、やつの髑髏そのままの顔、鎧に覆われた太い腕を滅多打ちにする。
「アマリリスも一緒だ、って言ってンだろうが!」
しかし、やつには俺の攻撃など蚊に刺されたほどにも感じないらしい。
鬱陶しそうに呻き、近くにあった部屋のドアを乱暴にもぎ取る。
「お、おい! やめろって! 無茶すんな!」
抗議の声をあげて、やつの手から逃れようともがく。
しかし、それも空しい抵抗だった。
まるでゴミでも扱うかのように、俺はその部屋の中に放り投げられてしまう。真っ逆様になった俺を待っていたのは、滾るような闇を湛えた大穴。
「くそったれ! このガランドウの化け物!」
世界が逆さまになるのを感じながら、穴の縁に悠然と立つ、怪物に向かって俺は悪態をつき中指を立てていた。
「覚えてろよ、てめえ! いつか絶対、この仕返しはしてやるからな――」
捨て台詞も言い終わらないうちに、俺の身体は下へと吸い込まれる。
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