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おまけ 或いは蛇足
カットシーン②
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アメリカのナイアガラの滝を何百倍も巨大にしたような大瀑布が窓の外にあった。
その水が流れ込むのは、底が霞んで見えない、巨大な亀裂……。
それを挟むようにして立つ、今、俺がいる雑居ビルもまた異様な変貌を遂げていた。
近隣にあった様々な建物――例えば立体駐車場や一戸建ての店舗、或いは同じようなテナントビル――がねじれよじれて、雑居ビルと連結し、文字通り、悪夢のような巨大建築となっていた。
――このままだとキミ、飲み込まれて消えちゃうよ
再び、金原多恵のあの忌まわしいアドバイスが脳裏に蘇ってくる。
畜生、何だって俺ばっかりがこんな目に……!?
あまりに理不尽な状況に俺は涙腺が緩みそうになった。
しかし、泣いている暇など俺にはなかった。天井から吊り下げられた、怪物どもが凄まじい勢いで俺を目指し、突進をかけてきた。
「う、うわっ……!」
俺は声を裏返して教務主任である山川さん――その首つり死体を模したマネキン人形の体当たりを間一髪かわす。
しかし、それはフェイントだった。
右足を動かすのが遅れ体勢を立て直し損ねた俺の顔に向かって、受付嬢の赤いハイヒールの爪先が飛ぶ。
ガッ……!
こめかみに走る、突き刺さるような激痛。
苦悶の呻き声を上げながら、俺は身体を後ろに反らしていた。
蹴りを打ち込まれ、激しく脳を揺さぶられたせいだろう。車酔いのような吐き気が込み上げ、足元がもつれる。
天井に灯る蛍光灯の白い光が、俺の目の中でぐるぐると回った。
意識を混濁させかけた俺の胸に、生物講師の骨ばった肩が激突した。
背中でガラスが割れる音が聞こえ――
「……!」
俺の身体は虚空へと投げ出されていた。つまり、窓の外へと。
次の瞬間、吸い込まれるような落下が始まる。
滑るようにして流れてゆく、ビルの壁面を間近に見ながら俺は思った。
できれば地面に激突する前に気を失いたいな、と。
■2■
「うっ、く…………」
しとしと降る雨音に俺は目を覚ました。
まず目に入ったのは、赤紫色に染まったウネウネと蠢くような空。
そして、天にそびえるような巨大建築物と化したビルの長い壁面だった。
俺は自分が緑色のシートに覆われた、柔らかいクッションのような物の上で大の字になっていることに気がついた。
生きてる……!
その事実に喜びよりも驚きを感じ、俺は身を起こした。
ギィイイッ、と鉄が軋む、剣呑な音がした。
一体、どんな力が作用してそうなったのだろうか。
俺が倒れていたのは、軽トラックと思しき車両の荷台の上だった。
そして、そのトラックは、まるでビルから生えた枝のように、前部――運転席部分をビルの壁面に深々とめり込ませていた。
「……信じられねぇ」
トラックの上で四つん這いになり、下を覗き込みながら俺は呻いた。
やはり、そこにはどこまでも延々と落ちてゆく、この世の果てのような断崖があった。
そして、目の前には白濁した水を吐き流し続ける巨大な滝。
傍らに落ちていた松葉杖を手繰り寄せ、俺は小さく身震いした。
それは武者震いだった、と言いたいところだが違う。
この世の物とはとても思えない、周囲の光景に俺はすっかりと怯えきっていた。
しかし、巨大な深淵の真上でグズグズしているような余裕は俺にはなかった。
矢のようにビルの壁にめり込んだ軽トラックの車体がギシギシと言う音とともに揺れ始めたのである。どうやら俺の身体を受け止めたショックでバランスが崩れたらしい。
胃を掴み潰されるような焦燥に駆られ、冷や汗をかく俺の目にボンヤリとした明かりが飛び込んできた。
俺の頭よりも少し高いところに薄汚れた窓ガラスがあった。
そこからビルの中に戻れるかも知れない。
しかし、またあの首つり死体のマネキン人形達に出くわさないとも限らない。いや、ひょっとしたらもっと別の怪物がいるかもしれない。
迷っている俺の足元で、軽トラックの車体がまたギシッと軋んだ。
ああ、分かったよ……!
顔から血の気が引くのを感じながら、唇を噛み締める。
ビルの中で待ち受けているのが何であれ、俺には選択肢などなかった。
松葉杖で窓を叩き壊し、転がり込むようにして俺がその部屋に侵入した。
それとほぼ同時、凄まじい音がして、足場になってくれていたトラックが壁から剥がれ落ち、きりもみしながら滝の底へと落ちていった。
壁に背をもたれさせ、その場にしゃがみ込みながら俺はゼェゼェ荒い息をつく。
俺が転がり込んだ、その狭い部屋は、何かの資料室らしい。
その部屋は長い間、人手が入らず、掃除もされていなかったらしい。
床には白い綿埃がちり積もり、壁紙はあちこちが剥がれ落ちている。
山の様に積み重ねられた段ボール箱は、グッショリ湿って形を歪めている。
黒いコードで吊り下げられた裸電球はひび割れており、その亀裂から赤味がかったフィラメントが揺れるのが見えた。
そして、それが一番肝心だったが――
俺は注意深く、天井の隅から隅まで、見回していた。
あの胸糞の悪い、首つり死体を模したマネキン人形どもを運ぶためのレールが敷かれてはいないかと思って。
幸いにも、この部屋の天井にそれらしい物はなかった。
「…………はぁ」
溜息をついて、俺は全身に張り巡らせていた緊張を解く。
その途端、ドッと重い疲労感が両肩に圧し掛かってくる。
しかし、意外なことにそれは心地良いとすら言える感覚だった。
それは生きた人間だけが感じられる感覚。つまり、俺はまだ生きている。今は自分がどこにいるのかすら、分からないけれど、それだけは確かだ……と、思う。
裸電球の頼りない明かりを見上げながら、「あーあ」と俺は伸びをしていた。
「……これから、どうなるんだろうな、俺」
我ながら嫌になるくらい、覇気のない呟き。
こんなことだから幾つになっても爺ちゃんに心配されるんだろうな、と卑屈で惨めな気分になってくる。
――あなたが見たり聞いたりする物は、どんなに変なモノでも何か意味があるはずなの。それを忘れないで
金原多恵の言葉が俺の頭の中で、また不意に蘇ってきた。
何か意味があるはず、か……。
カラカラに乾いた唇を舐め、ダラダラと俺はこれまでに出くわした変なことを思い返してみる。
出口が塞がれた地下街。
一つ目のヤモリのような怪物、タズグルに床から染み出てきた、死骸漁りのブラックリ
バー。
街頭テレビのスクリーンに描かれた、卵の様な落書き。変な女の子からの電話。変な装置で動く、首つり死体を模したマネキン人形の怪物。そして、悪夢そのもの空間に投げ出された、いつの間にか巨大な違法建築物となっていた雑居ビル。
これらが意味するのは、えーっと…………
「分かるか!」
罵声とともに俺は思考を投げ捨てていた。
とにかく、だ。とにかく、休憩して、気力と体力を回復させよう。
それから、何とかして、ここから逃げ出す方法を探そう。昨日もできたんだ、今日もきっとできるさ……。
根拠の希薄な期待を胸に俺が瞳を閉じかけた時だった。
ガサッと音を立てて、目の前に積まれてあった段ボール箱が動いた。
「…………!」
途端に眠気が雲散霧消し、全身に針金を通されたかのように俺の四肢が強張る。
ごくり、と喉が鳴った。急激に蘇った緊張感に胃がシクシク痛み始める。
ついっと俺の手が、ガムテープで塞がれた箱の蓋に伸び、それを剥がし始めていた。
「おいおい、何をやってるんだよ……?」
自分でも自分の行為が信じられず、俺は呻いた。
段ボール箱の中身は、どうせ、ろくなもんじゃない。凶暴な怪物がそこで獲物――つまり、俺だ――がやって来るのを、ジッと待って身を潜めている可能性だってある。
しかし、頭ではその危険性を理解していても、テープを剥がす俺の手は止まらなかった。
魔に魅入られる、というのはこういうことをさすのかも知れない。
そして――
「あっ……」
段ボール箱の底に横たわっていたものを見て、思わず俺は声をあげた。
そこで背中を少し丸め、スヤスヤと穏やかな寝息を立てていたのは、一人の小柄な女の子だった。
年のころは小学校の高学年から中学の一年生くらいといった感じ。
赤いスタジアムジャケットのような上着を羽織り、白い腿が露わになったデニムのショートパンツ、そしてスポーツシューズという軽快そうな出で立ち。
こじんまりとした作りの顔は歳相応に可愛らしく、頭の後ろで束ねられたポニーテールは明るいプラチナ・ブロンドだった。
「が、外人……?」
その女の子に視線を釘付けにされながら、俺は声を掠らせていた。
得体の知れない怪物だの何だのと、気持ちの悪いものを嫌と言うほど見てきたせいか、目の前の少女の愛らしく、可憐な姿に激しいギャップを覚えていた。
それと同時に、いつの間にか、異臭が臭い立つような異常な事態を事実としてそれなりに受け入れ始めている自分の心理に驚愕する。
つまり、俺の頭は確実におかしくなっているということだ……。
「――お、おい。なあ、お前」
陰鬱な想いを追い払い、寝息を立て続ける少女の頬を指先で俺は軽く突付いた。
「起きてくれよ。て言うか、何でこんな所で寝てるんだよ?」
しかし、女の子は俺の問いかけにも、口の中でムニャムニャ言うばかりでなかなか目覚めてくれない。何だか俺は、焦りのような物を感じ始めていた。
何が何でも、この子は起こさなきゃいけない。なぜか、そんな気がした、
「起きろってばッ!」
少々、乱暴かとは思ったが――
女の子のか細い肩を掴み、ガクガクと揺さぶってみる。
すると、
「んあ?」
……んあ?
眠れる森の美女のように、眠っていた少女から発せられた、奇妙な声に俺は眉をひそめた。
なんだ、その「んあ?」と言うのは。
俺の目の前で、少女は起き上がり――
片手で目をゴシゴシとこすり、もう片方の手を大きく頭上に掲げて伸びをしていた。
「あーあ、よく寝た……」
呑気と言うよりは、場違いな台詞だった。あまりにも。
口元を拭いながら、少女は長い睫毛を瞬かせ、ひょいと俺のほうを見た。
パッチリとした大きな瞳は、透き通るようなスカイブルー。
それが俺の顔を捕らえたと思った、次の瞬間――
「あっ、歩! 良かった!」
「へっ……?」
整った少女の顔にパッと明るい笑みが広がった。
そして、豆鉄砲を食らった鳩のように、キョトンとしている俺の胸に飛び込んでくる。
少し、足元がよろめいたものの、少女の身体は鳥の羽のように柔らかく軽く、難なく受け止めることができた。
えーっと、一体、この状況は何なんだろう?
女の子を抱きかかえたまま、俺は怪訝な表情を浮かべていた。
何が何なんだか、さっぱりわからない。
そう思うのは、昨日から一体、何十回目だろう?
「ごめんね、歩。本当はこっちが先に見つけてあげればよかったのに」
困惑する俺の腕の中で、顔を見上げながら少女が言った。
「なかなか歩のいる層にジャンプできなくて……。でも、デュカリケスの印形が刻まれた場所は大体目星がついているから安心して?」
「ちょっと、ちょっと待ってくれよ――」
真剣な口調で話す少女を押し止め、俺は言った。
「そんなこと言われたって、何のことだかわかんねぇよ。まず、お前――いや、君は誰だ? なんで、俺のことを知ってるんだよ?」
「ひどいなぁ、もー」
小さく溜息をつき、少女が微かに頬を膨らませる。
「昨日、少しだけど電話でお喋りしたでしょ? 忘れちゃった?」
「あっ」
思い出した……!
正確に言うならば、気がついた、か。
確かに少女の声は、昨日、公衆電話にかけてきた人物と同じ物だった。
「じゃあ、君が――」
そこで俺は言葉に詰まる。
確か、名前を聞いたはずなのだが。
「そっ。アマリリス、だよ」
呆れたように言って、少女が俺の身体から離れた。
「一応、命の恩人なんだから名前ぐらい覚えておいて欲しかったな」
そう言って、少し恨めしそうな瞳で俺を軽く睨む。
もっともな話だったので、「すまん」と俺は頭を下げていた。
「まっ、いいわ。許したげる」
クスッと笑い、少女――アマリリスは長いポニーテールの先を揺らし、部屋のドアに向かって歩いてゆく。
「そんなことより、ここもいつまでも安全じゃないわ。行きましょ」
「……い、行くってどこに?」
慌てて松葉杖を脇に挟み、俺は彼女の後を追った。
「どうやったらここを脱出できるのか、知ってるのかよ?」
「もっちろん♪」
ドアノブに手をかけながら、得意げにアマリリスが言った。
「言ったでしょ、デュカリケスの印形がある場所は大体、目星がついてるって。あたし、ここの地図だってもっているのよ」
ほらね、と言って俺に小さな紙切れを手渡してくる。
そっと俺はそれを開いてみた。
そこに書かれていたのは、恐ろしく簡略化された建物の落書き。
その屋上と思しき部分に赤いペンで×印が入っている。そして、その横には読みにくい丸文字でこう走り書きがされていた。
ここが怪しい!
たどり着くのは大変そう☆
でも、頑張るぞー! (おー)
「なぁ、これって、もしかして……」
「うん、あたしが書いたの」
自然と表情が硬くなる俺の手から、地図を取り戻し、アマリリスは続けた。
「だからね、歩は心配しないで。今回も、絶対、元の場所に還してあげるから」
出来るだけ物音を立てないよう、注意を払いながら俺とアマリリスは資料室と思しき部屋を後にした。
薄ら寒くなるような、ほの暗い廊下……。
チック症の瞬きのように、天井の蛍光灯がチカチカ神経質に点滅している。
廊下の両端には、それぞれ重そうな防火扉がボンヤリと照らし出されており、今、俺達がいる場所から血の気が引くほど遠い場所にあるような気がした。
いや、気がした、ではない。実際に遠いのだ。
その証拠に、さして幅があるわけでもない通路を挟む、左右の白い壁には、重々しい鉄製のドアが等間隔に何百と並んでいた。
「ええっと、それじゃあ……」
自分で書いたらしい、落書きのような地図を見ながら、アマリリスは近くのドアに向かっていった。
「まずは、あいつらを動かしている装置を止めてしまいましょう。でないと、屋上のデュカリケスの印形にたどり着けないし」
「あいつら?」
ハッとして俺はアマリリスの背中に近づいていった。
「あいつらって、首つり死体みたいなマネキン人形のことか?」
「うん、そう。……あたしはチーク・ホロウって呼んでいるけどね」
答えるアマリリスの可愛らしい鼻の頭に微かに皺が寄った。
「あいつらって気持ち悪いし、陰険だし、凶暴だし……大ッ嫌いなの」
なるほど、と俺は頷いていた。
まあ、確かにあいつらを目にして「好きだ」と言う人間は少ないだろうな。
襲ってくるのだからなおさらだ。
やはり思った通り、あいつらは何らかの装置で動かされているのだ。そう言えば、教務室でやつらに襲われる直前、それらしい機械音を聞いたように思う。
そんなことを俺が考えている間に――
キィ、と軋んだ音を立ててアマリリスがドアを開いた。
ドアの隙間から、ブツブツとざらついた音質の音楽が低く流れてくる。
それは喫茶店なんかでよくかけられている、ジャズだった。
「……?」
興味をそそられ、俺はアマリリスの頭越しにその部屋を覗き込む。
そこは、先程の資料室よりも狭い、畳張りの部屋だった。
その真ん中にポツンと置かれた一台の卓袱台。そして卓袱台の上には、今時、珍しいレコードプレイヤーが置かれていた。誰もいないのにターンテーブルが回りっぱなしになっている。
「なぁ、ここって、」
誰かの部屋なのか、と話しかけようとして――俺は口を閉ざした。
傍らに立つアマリリスの様子がおかしい。
音楽に聞き入っているのか、身動ぎもせず、部屋を凝視している。
思い出したくないもの、認めたくないものを突きつけられた人間のように彼女の青い瞳は苦しげに揺れていた。
「おい、ちょっと……」
不安になり、俺はアマリリスのか細い肩に手を触れていた。
「大丈夫か? この部屋がどうかしたのかよ?」
「えっ、……あ、ううん」
驚いたように振り返り、再び可愛らしい笑顔を浮かべて頷くアマリリス。
「何でもないの。ここは違ったみたい」
てへっ、と小さく舌を出し、アマリリスはドアを閉める。
そして、その隣のドアへと向かいながら俺に言った。
「悪いけど、歩はそっち側のドアを調べてくれる? 非常階段があるはずなの」
「お、おう」
ぎこちなく頷き、俺はアマリリスの反対側――通路の右側へと移動した。
そして、たちの悪い冗談のようにズラッと横に並ぶ、重々しい鉄の扉の一群を溜息混じりに眺める。
これ、全部、調べるとしたら何時間、いや、何日かかるだろうか……?
そんなことを考えながら――
「なぁ、少し、聞いていいか?」躊躇いがちに俺は声をかけていた。
「んー? なぁに?」
立ち並ぶドアを文字通り、片っ端から開け閉めしながら、背中越しに気のないアマリリスの返事を聞く。
「アマリリスってさ、どこか外国の人だよな? ……日本語、すげぇ流暢だけど」
「えー、あたしは生粋の日本人だよぅ? なんで、そう思うの?」
質問を質問で返され、俺は口ごもった。しかし、このままでは会話が終了してしまうと思い、「それじゃあ――」と俺は質問を強引に変えた。
「アマリリスってここで起きることにずいぶん、詳しいよな? どれくらい、ここに居るんだ? やっぱり、俺みたいに引きずり込まれて……」
「ずーっと、だよ」
「えっ」
何気なく返された言葉に驚いて俺は振り返った。
「あれ? 言わなかったっけ?」
ドアノブに手をかけたまま、振り返ったアマリリスは悪戯っ子のような微笑を浮かべていた。
その水が流れ込むのは、底が霞んで見えない、巨大な亀裂……。
それを挟むようにして立つ、今、俺がいる雑居ビルもまた異様な変貌を遂げていた。
近隣にあった様々な建物――例えば立体駐車場や一戸建ての店舗、或いは同じようなテナントビル――がねじれよじれて、雑居ビルと連結し、文字通り、悪夢のような巨大建築となっていた。
――このままだとキミ、飲み込まれて消えちゃうよ
再び、金原多恵のあの忌まわしいアドバイスが脳裏に蘇ってくる。
畜生、何だって俺ばっかりがこんな目に……!?
あまりに理不尽な状況に俺は涙腺が緩みそうになった。
しかし、泣いている暇など俺にはなかった。天井から吊り下げられた、怪物どもが凄まじい勢いで俺を目指し、突進をかけてきた。
「う、うわっ……!」
俺は声を裏返して教務主任である山川さん――その首つり死体を模したマネキン人形の体当たりを間一髪かわす。
しかし、それはフェイントだった。
右足を動かすのが遅れ体勢を立て直し損ねた俺の顔に向かって、受付嬢の赤いハイヒールの爪先が飛ぶ。
ガッ……!
こめかみに走る、突き刺さるような激痛。
苦悶の呻き声を上げながら、俺は身体を後ろに反らしていた。
蹴りを打ち込まれ、激しく脳を揺さぶられたせいだろう。車酔いのような吐き気が込み上げ、足元がもつれる。
天井に灯る蛍光灯の白い光が、俺の目の中でぐるぐると回った。
意識を混濁させかけた俺の胸に、生物講師の骨ばった肩が激突した。
背中でガラスが割れる音が聞こえ――
「……!」
俺の身体は虚空へと投げ出されていた。つまり、窓の外へと。
次の瞬間、吸い込まれるような落下が始まる。
滑るようにして流れてゆく、ビルの壁面を間近に見ながら俺は思った。
できれば地面に激突する前に気を失いたいな、と。
■2■
「うっ、く…………」
しとしと降る雨音に俺は目を覚ました。
まず目に入ったのは、赤紫色に染まったウネウネと蠢くような空。
そして、天にそびえるような巨大建築物と化したビルの長い壁面だった。
俺は自分が緑色のシートに覆われた、柔らかいクッションのような物の上で大の字になっていることに気がついた。
生きてる……!
その事実に喜びよりも驚きを感じ、俺は身を起こした。
ギィイイッ、と鉄が軋む、剣呑な音がした。
一体、どんな力が作用してそうなったのだろうか。
俺が倒れていたのは、軽トラックと思しき車両の荷台の上だった。
そして、そのトラックは、まるでビルから生えた枝のように、前部――運転席部分をビルの壁面に深々とめり込ませていた。
「……信じられねぇ」
トラックの上で四つん這いになり、下を覗き込みながら俺は呻いた。
やはり、そこにはどこまでも延々と落ちてゆく、この世の果てのような断崖があった。
そして、目の前には白濁した水を吐き流し続ける巨大な滝。
傍らに落ちていた松葉杖を手繰り寄せ、俺は小さく身震いした。
それは武者震いだった、と言いたいところだが違う。
この世の物とはとても思えない、周囲の光景に俺はすっかりと怯えきっていた。
しかし、巨大な深淵の真上でグズグズしているような余裕は俺にはなかった。
矢のようにビルの壁にめり込んだ軽トラックの車体がギシギシと言う音とともに揺れ始めたのである。どうやら俺の身体を受け止めたショックでバランスが崩れたらしい。
胃を掴み潰されるような焦燥に駆られ、冷や汗をかく俺の目にボンヤリとした明かりが飛び込んできた。
俺の頭よりも少し高いところに薄汚れた窓ガラスがあった。
そこからビルの中に戻れるかも知れない。
しかし、またあの首つり死体のマネキン人形達に出くわさないとも限らない。いや、ひょっとしたらもっと別の怪物がいるかもしれない。
迷っている俺の足元で、軽トラックの車体がまたギシッと軋んだ。
ああ、分かったよ……!
顔から血の気が引くのを感じながら、唇を噛み締める。
ビルの中で待ち受けているのが何であれ、俺には選択肢などなかった。
松葉杖で窓を叩き壊し、転がり込むようにして俺がその部屋に侵入した。
それとほぼ同時、凄まじい音がして、足場になってくれていたトラックが壁から剥がれ落ち、きりもみしながら滝の底へと落ちていった。
壁に背をもたれさせ、その場にしゃがみ込みながら俺はゼェゼェ荒い息をつく。
俺が転がり込んだ、その狭い部屋は、何かの資料室らしい。
その部屋は長い間、人手が入らず、掃除もされていなかったらしい。
床には白い綿埃がちり積もり、壁紙はあちこちが剥がれ落ちている。
山の様に積み重ねられた段ボール箱は、グッショリ湿って形を歪めている。
黒いコードで吊り下げられた裸電球はひび割れており、その亀裂から赤味がかったフィラメントが揺れるのが見えた。
そして、それが一番肝心だったが――
俺は注意深く、天井の隅から隅まで、見回していた。
あの胸糞の悪い、首つり死体を模したマネキン人形どもを運ぶためのレールが敷かれてはいないかと思って。
幸いにも、この部屋の天井にそれらしい物はなかった。
「…………はぁ」
溜息をついて、俺は全身に張り巡らせていた緊張を解く。
その途端、ドッと重い疲労感が両肩に圧し掛かってくる。
しかし、意外なことにそれは心地良いとすら言える感覚だった。
それは生きた人間だけが感じられる感覚。つまり、俺はまだ生きている。今は自分がどこにいるのかすら、分からないけれど、それだけは確かだ……と、思う。
裸電球の頼りない明かりを見上げながら、「あーあ」と俺は伸びをしていた。
「……これから、どうなるんだろうな、俺」
我ながら嫌になるくらい、覇気のない呟き。
こんなことだから幾つになっても爺ちゃんに心配されるんだろうな、と卑屈で惨めな気分になってくる。
――あなたが見たり聞いたりする物は、どんなに変なモノでも何か意味があるはずなの。それを忘れないで
金原多恵の言葉が俺の頭の中で、また不意に蘇ってきた。
何か意味があるはず、か……。
カラカラに乾いた唇を舐め、ダラダラと俺はこれまでに出くわした変なことを思い返してみる。
出口が塞がれた地下街。
一つ目のヤモリのような怪物、タズグルに床から染み出てきた、死骸漁りのブラックリ
バー。
街頭テレビのスクリーンに描かれた、卵の様な落書き。変な女の子からの電話。変な装置で動く、首つり死体を模したマネキン人形の怪物。そして、悪夢そのもの空間に投げ出された、いつの間にか巨大な違法建築物となっていた雑居ビル。
これらが意味するのは、えーっと…………
「分かるか!」
罵声とともに俺は思考を投げ捨てていた。
とにかく、だ。とにかく、休憩して、気力と体力を回復させよう。
それから、何とかして、ここから逃げ出す方法を探そう。昨日もできたんだ、今日もきっとできるさ……。
根拠の希薄な期待を胸に俺が瞳を閉じかけた時だった。
ガサッと音を立てて、目の前に積まれてあった段ボール箱が動いた。
「…………!」
途端に眠気が雲散霧消し、全身に針金を通されたかのように俺の四肢が強張る。
ごくり、と喉が鳴った。急激に蘇った緊張感に胃がシクシク痛み始める。
ついっと俺の手が、ガムテープで塞がれた箱の蓋に伸び、それを剥がし始めていた。
「おいおい、何をやってるんだよ……?」
自分でも自分の行為が信じられず、俺は呻いた。
段ボール箱の中身は、どうせ、ろくなもんじゃない。凶暴な怪物がそこで獲物――つまり、俺だ――がやって来るのを、ジッと待って身を潜めている可能性だってある。
しかし、頭ではその危険性を理解していても、テープを剥がす俺の手は止まらなかった。
魔に魅入られる、というのはこういうことをさすのかも知れない。
そして――
「あっ……」
段ボール箱の底に横たわっていたものを見て、思わず俺は声をあげた。
そこで背中を少し丸め、スヤスヤと穏やかな寝息を立てていたのは、一人の小柄な女の子だった。
年のころは小学校の高学年から中学の一年生くらいといった感じ。
赤いスタジアムジャケットのような上着を羽織り、白い腿が露わになったデニムのショートパンツ、そしてスポーツシューズという軽快そうな出で立ち。
こじんまりとした作りの顔は歳相応に可愛らしく、頭の後ろで束ねられたポニーテールは明るいプラチナ・ブロンドだった。
「が、外人……?」
その女の子に視線を釘付けにされながら、俺は声を掠らせていた。
得体の知れない怪物だの何だのと、気持ちの悪いものを嫌と言うほど見てきたせいか、目の前の少女の愛らしく、可憐な姿に激しいギャップを覚えていた。
それと同時に、いつの間にか、異臭が臭い立つような異常な事態を事実としてそれなりに受け入れ始めている自分の心理に驚愕する。
つまり、俺の頭は確実におかしくなっているということだ……。
「――お、おい。なあ、お前」
陰鬱な想いを追い払い、寝息を立て続ける少女の頬を指先で俺は軽く突付いた。
「起きてくれよ。て言うか、何でこんな所で寝てるんだよ?」
しかし、女の子は俺の問いかけにも、口の中でムニャムニャ言うばかりでなかなか目覚めてくれない。何だか俺は、焦りのような物を感じ始めていた。
何が何でも、この子は起こさなきゃいけない。なぜか、そんな気がした、
「起きろってばッ!」
少々、乱暴かとは思ったが――
女の子のか細い肩を掴み、ガクガクと揺さぶってみる。
すると、
「んあ?」
……んあ?
眠れる森の美女のように、眠っていた少女から発せられた、奇妙な声に俺は眉をひそめた。
なんだ、その「んあ?」と言うのは。
俺の目の前で、少女は起き上がり――
片手で目をゴシゴシとこすり、もう片方の手を大きく頭上に掲げて伸びをしていた。
「あーあ、よく寝た……」
呑気と言うよりは、場違いな台詞だった。あまりにも。
口元を拭いながら、少女は長い睫毛を瞬かせ、ひょいと俺のほうを見た。
パッチリとした大きな瞳は、透き通るようなスカイブルー。
それが俺の顔を捕らえたと思った、次の瞬間――
「あっ、歩! 良かった!」
「へっ……?」
整った少女の顔にパッと明るい笑みが広がった。
そして、豆鉄砲を食らった鳩のように、キョトンとしている俺の胸に飛び込んでくる。
少し、足元がよろめいたものの、少女の身体は鳥の羽のように柔らかく軽く、難なく受け止めることができた。
えーっと、一体、この状況は何なんだろう?
女の子を抱きかかえたまま、俺は怪訝な表情を浮かべていた。
何が何なんだか、さっぱりわからない。
そう思うのは、昨日から一体、何十回目だろう?
「ごめんね、歩。本当はこっちが先に見つけてあげればよかったのに」
困惑する俺の腕の中で、顔を見上げながら少女が言った。
「なかなか歩のいる層にジャンプできなくて……。でも、デュカリケスの印形が刻まれた場所は大体目星がついているから安心して?」
「ちょっと、ちょっと待ってくれよ――」
真剣な口調で話す少女を押し止め、俺は言った。
「そんなこと言われたって、何のことだかわかんねぇよ。まず、お前――いや、君は誰だ? なんで、俺のことを知ってるんだよ?」
「ひどいなぁ、もー」
小さく溜息をつき、少女が微かに頬を膨らませる。
「昨日、少しだけど電話でお喋りしたでしょ? 忘れちゃった?」
「あっ」
思い出した……!
正確に言うならば、気がついた、か。
確かに少女の声は、昨日、公衆電話にかけてきた人物と同じ物だった。
「じゃあ、君が――」
そこで俺は言葉に詰まる。
確か、名前を聞いたはずなのだが。
「そっ。アマリリス、だよ」
呆れたように言って、少女が俺の身体から離れた。
「一応、命の恩人なんだから名前ぐらい覚えておいて欲しかったな」
そう言って、少し恨めしそうな瞳で俺を軽く睨む。
もっともな話だったので、「すまん」と俺は頭を下げていた。
「まっ、いいわ。許したげる」
クスッと笑い、少女――アマリリスは長いポニーテールの先を揺らし、部屋のドアに向かって歩いてゆく。
「そんなことより、ここもいつまでも安全じゃないわ。行きましょ」
「……い、行くってどこに?」
慌てて松葉杖を脇に挟み、俺は彼女の後を追った。
「どうやったらここを脱出できるのか、知ってるのかよ?」
「もっちろん♪」
ドアノブに手をかけながら、得意げにアマリリスが言った。
「言ったでしょ、デュカリケスの印形がある場所は大体、目星がついてるって。あたし、ここの地図だってもっているのよ」
ほらね、と言って俺に小さな紙切れを手渡してくる。
そっと俺はそれを開いてみた。
そこに書かれていたのは、恐ろしく簡略化された建物の落書き。
その屋上と思しき部分に赤いペンで×印が入っている。そして、その横には読みにくい丸文字でこう走り書きがされていた。
ここが怪しい!
たどり着くのは大変そう☆
でも、頑張るぞー! (おー)
「なぁ、これって、もしかして……」
「うん、あたしが書いたの」
自然と表情が硬くなる俺の手から、地図を取り戻し、アマリリスは続けた。
「だからね、歩は心配しないで。今回も、絶対、元の場所に還してあげるから」
出来るだけ物音を立てないよう、注意を払いながら俺とアマリリスは資料室と思しき部屋を後にした。
薄ら寒くなるような、ほの暗い廊下……。
チック症の瞬きのように、天井の蛍光灯がチカチカ神経質に点滅している。
廊下の両端には、それぞれ重そうな防火扉がボンヤリと照らし出されており、今、俺達がいる場所から血の気が引くほど遠い場所にあるような気がした。
いや、気がした、ではない。実際に遠いのだ。
その証拠に、さして幅があるわけでもない通路を挟む、左右の白い壁には、重々しい鉄製のドアが等間隔に何百と並んでいた。
「ええっと、それじゃあ……」
自分で書いたらしい、落書きのような地図を見ながら、アマリリスは近くのドアに向かっていった。
「まずは、あいつらを動かしている装置を止めてしまいましょう。でないと、屋上のデュカリケスの印形にたどり着けないし」
「あいつら?」
ハッとして俺はアマリリスの背中に近づいていった。
「あいつらって、首つり死体みたいなマネキン人形のことか?」
「うん、そう。……あたしはチーク・ホロウって呼んでいるけどね」
答えるアマリリスの可愛らしい鼻の頭に微かに皺が寄った。
「あいつらって気持ち悪いし、陰険だし、凶暴だし……大ッ嫌いなの」
なるほど、と俺は頷いていた。
まあ、確かにあいつらを目にして「好きだ」と言う人間は少ないだろうな。
襲ってくるのだからなおさらだ。
やはり思った通り、あいつらは何らかの装置で動かされているのだ。そう言えば、教務室でやつらに襲われる直前、それらしい機械音を聞いたように思う。
そんなことを俺が考えている間に――
キィ、と軋んだ音を立ててアマリリスがドアを開いた。
ドアの隙間から、ブツブツとざらついた音質の音楽が低く流れてくる。
それは喫茶店なんかでよくかけられている、ジャズだった。
「……?」
興味をそそられ、俺はアマリリスの頭越しにその部屋を覗き込む。
そこは、先程の資料室よりも狭い、畳張りの部屋だった。
その真ん中にポツンと置かれた一台の卓袱台。そして卓袱台の上には、今時、珍しいレコードプレイヤーが置かれていた。誰もいないのにターンテーブルが回りっぱなしになっている。
「なぁ、ここって、」
誰かの部屋なのか、と話しかけようとして――俺は口を閉ざした。
傍らに立つアマリリスの様子がおかしい。
音楽に聞き入っているのか、身動ぎもせず、部屋を凝視している。
思い出したくないもの、認めたくないものを突きつけられた人間のように彼女の青い瞳は苦しげに揺れていた。
「おい、ちょっと……」
不安になり、俺はアマリリスのか細い肩に手を触れていた。
「大丈夫か? この部屋がどうかしたのかよ?」
「えっ、……あ、ううん」
驚いたように振り返り、再び可愛らしい笑顔を浮かべて頷くアマリリス。
「何でもないの。ここは違ったみたい」
てへっ、と小さく舌を出し、アマリリスはドアを閉める。
そして、その隣のドアへと向かいながら俺に言った。
「悪いけど、歩はそっち側のドアを調べてくれる? 非常階段があるはずなの」
「お、おう」
ぎこちなく頷き、俺はアマリリスの反対側――通路の右側へと移動した。
そして、たちの悪い冗談のようにズラッと横に並ぶ、重々しい鉄の扉の一群を溜息混じりに眺める。
これ、全部、調べるとしたら何時間、いや、何日かかるだろうか……?
そんなことを考えながら――
「なぁ、少し、聞いていいか?」躊躇いがちに俺は声をかけていた。
「んー? なぁに?」
立ち並ぶドアを文字通り、片っ端から開け閉めしながら、背中越しに気のないアマリリスの返事を聞く。
「アマリリスってさ、どこか外国の人だよな? ……日本語、すげぇ流暢だけど」
「えー、あたしは生粋の日本人だよぅ? なんで、そう思うの?」
質問を質問で返され、俺は口ごもった。しかし、このままでは会話が終了してしまうと思い、「それじゃあ――」と俺は質問を強引に変えた。
「アマリリスってここで起きることにずいぶん、詳しいよな? どれくらい、ここに居るんだ? やっぱり、俺みたいに引きずり込まれて……」
「ずーっと、だよ」
「えっ」
何気なく返された言葉に驚いて俺は振り返った。
「あれ? 言わなかったっけ?」
ドアノブに手をかけたまま、振り返ったアマリリスは悪戯っ子のような微笑を浮かべていた。
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