天使の毒

香坂

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蒼井 侑花

読みは、あおいゆうか
どちらも名前みたいという印象をよく
人に持たれる女の子。

中学生になったばかり。
知らない事も多い。勉強は得意。運動も。
けど体力が本当にない。

性格はバカで面白くて天然とよく言われる。
自分ではそういうのはよく分からない。

よく分からないせいなのか。
7月。この前付き合っていた彼氏と別れた。

付き合ったきっかけとは?
友達が“勝手に”私の好きな人を呼んで
私の前に立たせた。言い方悪いな……立ってもらった

急かされて告白した。
言っては悪いがあんまり好きではなかった。
付き合ってみて気づくこともあると思う。
気が合わない、性格が合わない。色々あった。

探せば探すほどあったのかもしれない。
探すのすら面倒くさかった。

そして9月。
夏休みも終わり席替えもした。正直どうでもいい。
私は皆と仲いい方だと思う。自意識過剰かもしれないけどフレンドリーで人気もあると思う。

隣になったのは、男子だ。

けれどその男子はシャイなのかどうなのか
あんまり話した事のない男の子。

『佐々木 翔』  

それが、これから大好きになる人との出逢いだった。
昔はこんなに好きになるなんて思ってないだろう。
君がすべて。とはまさにこの事だろう。



「…えっと、よろしくね」
「……あ、俺?」

はい?貴方以外にいるわけがないでしょうが。
私はそう思った。絶対この人面倒くさいだろう。
隣の席なんだから俺しかないでしょうが。
佐々木くんは驚きながら私を見ていた。
何でそんなに驚くのかがものすごく不思議すぎる。

「そうだよ」
「うん、よろしく」

え?まさかのこれでこの会話は終わりなの?
私は心底つまらない人だなと本当に思った。
こんな人と隣になるなんて付いてないな……
もっと盛り上がれる人が良かったなぁ。

「これってこう?」
「……え?」

授業中。いきなり口を開いたと思ったら
私に聞いてきた?だよね?疑問形だし。
私は答えようとした。

「あっ、だよね」
「……は?」

待って。まさかの独り言なの?
……まじか。私やばい人と隣なんじゃないの?
それとも……見えたりする人なのか?

「私に聞いたんじゃないの?」
「…え?俺?何?」

おい、まじか。
まさか今思ったんだけど。……天然?
これは何も加工されていないやつなのか。
いや、そうじゃないな……
それにまた俺?と聞いてきた。自分しかいないだろう
隣の席って自覚はないのだろうか。

「今の独り言?」
「あっ、ごめん」

いきなり謝られても困るんだけども……
まぁ話せるっちゃ話せる人だとは思うけど……
天然か確認したいな。
私は佐々木くんに消しゴムを借りようとした。
机に出してある。左側。私は左側の席。
だからすぐ取れるけど借りないとと思った。

「消しゴム貸してくれない?」
「いいよ。……あれ?」

待って、まさか本当に天然なの?
消しゴムそこにあるよね?
佐々木くんは筆箱の中や机の下を探し始めた。
何か、一生懸命探してて可愛い。
けれど可哀想なので私は言った。

「これじゃないの?」
「……あーあったよ」

あーって何なの。面倒くさそうにして。
やっとあったよみたいなオーラを出さないで。
でも、分かったことが1つある。
『佐々木くんはめちゃくちゃ天然』
これは絶対そう。私は確信した。いや……ただのバカ?
でも天然バカというものもある訳だから。

「ありがとう。見えなかったの?」
「うーん……良くあるんだよね」

良くあるのね。物凄く天然じゃないの。
なんか、佐々木くんが可愛いく見えてきた。
私の目は今佐々木くんに奪われている。
でも、好きにはならないと思う。
盛り上がれる人が好きだから。

「可愛い天然だね」
「ありがとう」

何かすごい笑顔で感謝をされた。
え?褒められてると思ってる?まぁ褒めてないわけ
ではないのだけど……嬉しかったのか?
佐々木くんは不思議だ。天然ですごい不思議。

「佐々木くん」
「うん、何?」

佐々木くんって呼べばいいのか。
呼ばれても返事しない理由が分かった。

「名前呼ばないと返事しないの?」
「自分が呼ばれてなかったら恥ずかしいし……」

天然だけど、ちゃんと考えてたりしてる。
そういうところはいいのかもしれない。
そういえば私の友達に佐々木くんの事好きな子
確か、いた気がするなぁ……

「恥ずかしがるんだね」
「そりゃあ…人間だし」

正論を私に突きつけてきた。
ですよね。人間ですものね。
でも私は好きな人にしか照れない。
それはちょっと自慢できる。
人前は恥ずかしいけれど。

「あっ、蒼井さん。指されてるよ」
「は、はい!?」

考えことをしていたところで
私は先生に呼ばれていたらしい。
それを佐々木くんが教えてくれた。
……結構周りとか見てるんだ。
観察力とかあるのかな?

「……蒼井さん、四十二だよ」
「! 四十二です」

そうですね。と先生の声が響いた。
佐々木くんが教えてくれたおかげだ。
自分のせいとか思ってたりするのかな。

「蒼井でいいよ」
「うん、分かった」

……佐々木くんと仲良くなりたい。
最初はやばい人とか言っていたのに、何を今更
と一番思っているのは私なんですよねそれ。
周りを見ていて優しくて天然。可愛い。
それって物凄く可愛いと思うのは私だけ?

「佐々木くんって長いよね」
「良く言われるよそれ」

でしょー。と言いながら笑っている佐々木くん。
私も侑花と言う名前でゆーちゃんと女子に呼ばれてる。
翔。……かけるん?嫌ないな。絶対有り得ない。
佐々木だから、ささっきー?……さっきー!?
いいよね?良くないか?私センスあると思う。
自意識過剰なのかもしれないが。

「さっきーって呼ぶ」
「ゆるキャラみたいだね」

可愛い、ありがとう。と
笑いながら言ってくれるさっきー。
仲良くなりたい。また席替えするのは一ヶ月後。
それまでたくさん仲良くなりたいなぁ。
そう思ったのはいつぶりだろうか。

「改めてよろしくね、さっきー」
「うん」

私は満面の笑でさっきーを見た。
さっきーは不思議そうに私を見ながら頷いた。
これから毎日学校が楽しみだ。
私は心の底からそう思った。
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