天使の毒

香坂

文字の大きさ
10 / 24

しおりを挟む

五月に入ると、テストも近づいてくる。
それと同時に五月三十日は桜岡中学校の体育祭。

例えば、百m走 二百m走 千m走 千五百m走。
借り物競争 クラス対抗リレー 選抜リレーなど
個人種目や学年ごとに違う学年種目がある。
私は、体育祭実行委員になった。
もちろん去年も体育祭実行委員になった。男子は大翔だった。
私は百mと借り物競争かな。学年種目は二年は大玉転がし。
去年も勝ったから絶対今年も勝ちたい!!
なんと、今年の実行委員は私と咲人という人です。
『榎川 咲人』(えのかわ さきと)学級委員でもあります。
いわゆる優等生男子ですね。優しくて好きですよ。

「じゃーあ、クラス対抗リレーの……」
「第一走者やってくれる人!」
「俺の言葉遮ったな?」

お前なぁ~と言いながら笑ってる咲人。
クラス対抗リレーの第一走者は本当に早い人じゃないと……
三組は絶対大翔が来るから。大翔凄い速いんだよ!?
第一走者とアンカーだけ一周走るの。一周二百mだから。
体力ある人とスピードがある人じゃないとね。
実は……さっきーは大翔と同じくらい速いんですよね。

「お願いっ!!」
「えぇ~」
「翔、やれよ」

咲人はバシバシとさっきーの二の腕を叩いている。
痛いなぁと笑うさっきー。うん仲良しだなぁと思う。
何であんなに速いの?さっきーって百m 十三秒ジャスト。
さっきーの走る姿本当にかっこいいんですよ。
動画か写真撮って他クラスの子に見せてあげたいくらい。

「んじゃあ、俺やる」
「本当!?ありがとう!!」
「……うん」 

さっきー若干顔が赤め。……うん、可愛い。
咲人が何照れてんだよ~といじっている。
さっきーは咲人にうるさいと照れながら言っている。
それから、大分決まった。
借り物競争の借り物は生徒会が決めるからなぁ~。
私決めたかった。中に好きな人とかいれてみたいのにな。
さっきーがそれになったら、どうするんだろ?
先生とか連れてっちゃいそう。もしかしたら男子とか?
嫌、それは考えたくない。ある意味……

「侑花は千mでしょ?応援するから」
「待て待て、私体力ない……」
「千m四分ジャストの人が何言ってんだかー」

それはたまたま私が最後ちょー本気で走ったら……
そのタイムになったというだけで。
本当にたまたまなんです。体力はガチ目にないんです。
次の体育で千mあったら絶対にサボるから。
実行委員が言っちゃダメかもしれないけどだって本当にね?
何でだし、自衛隊になりたい訳じゃないんだからさ。
何でそんなに走らないといけないんですか?
と女子体育の先生に聞きたいわ。宮澤先生。
何でそんなに体力を付けさせたいのか分かりません。

「まぁ、全て決まったね」
「後は放課後先生に出すだけ」
「私出すよ。部活ないし?」

サンキューと言いながら私の頭を撫でる咲人。
咲人はあの厳しいコーチがいる男子バスケ部。
少しでも遅れればコーチの怒号が体育館に響くだろう。
だから、なるべく怒られないようにしたい。
だって係で遅れた訳なんだから怒られる理由が分からない。
あのコーチは本気で怖い。殺意があるのこの人?
と聞きたくなるくらいの怒りなんです。

そして放課後。
私は教室で一人。百mの順番やクラス対抗リレーの走順を
決めていた。香菜は塾があるから先に帰らせた。
私って何て優しいんでしょうか。
けど、一人の教室って今なら何でもできる気がするのは変?
でもな……一人って何か寂しい。誰か来ないかなぁ。
大翔でも咲人でも彩香でも、あ、彩香は私の友達です。
……あーーー、凄い凄い凄い暇なんですけども。

そこに教室のドアが開いた。
おっ、誰が来たのかとワクワクしていた私。

「なんだ、蒼井か。早く帰れよー」
「……はい。坂畑先生」
「お前が帰るまで此処にいてやる」

私はこの先生が、……とても苦手だ。
前の学校では生徒に手を出したから転勤したという
そういう噂が出ている。
怖いな……早く終わらせて帰ろうかな。
でもまだ校庭にはサッカー部や野球部 テニス部 陸上部が
活動をしているし。三個隣の教室には生徒会が会議をしている
もし襲われても声を出せばいいだけだし。
坂畑先生は技術の先生だ。皆に愛想が悪い癖に話し方が
物凄くうざいと周りに言われている。

「そういえばこの前聞いたんだが」
「何ですか?」
「佐々木は、最近テストの点が落ちているんだな」

だから何?さっきーだって夜まで塾とかクラブチームとか
サッカー部だってあるんだ。空手もキックボクシングも
習っていて本当に本当に忙しい。だからメールもできない。
テストの点が落ちてるって言ってもさっきーはいつも
七十点以上は絶対に取っている。
だからさっきー自身もあまり落ちていると思ってないだろう。

「それが何か?」
「聞いたぞー、お前と親密な関係だって」
「……そんなこと無いですよ」

お前に何が分かんだよ。
私は心の中でそう思っていた。
けど年上だし、一応先生なのでそんな事は口に出せず……
否定する事しか出来なかった。
けど、次の坂畑先生の言動で私は怒りをおぼえた。

「佐々木も落ちたな、こんな蒼井みたいな奴を選ぶなんて」
「!」
「あれだな。佐々木の頭もそこまでって事だろう。目指してる高校には行けないな。佐々木の頭じゃ」

こいつ……ふざけんなよ。
私は怒りが心の中で抑えきれずに
つい口に出てしまった。

「先生」
「何だ?」

何でこんなやつに、さっきーの事を語られないと
いけないのかが理解出来ない。分からない。
さっきーは毎日毎日大変で疲れているのに
学校でも優しさや笑顔を絶やさず頑張っている。
習い事も塾もサッカーも勉強も一生懸命両立してる。
なのに、何でこんなに言われないといけないのか。

「……私の事はいくらでも悪く言って構いません」

「けど!! 一生懸命毎日大変でも頑張っている佐々木くんの事だけは、悪く言わないでください……ッ」

私初めてだ。
いくら先生にムカついていても口出しだけは
一度もした事がなかった。
年上は敬意を持てとよくお父さんに言われていたから。
なのに、口出しするなんて……やっぱり大切な人
さっきーの事悪く言われちゃ怒らないはずないよね。

「……先生に向かってその言動は何だ」
「そんなの関係ないです!佐々木君の事悪く言ったの取り消してください……!」

言った。私は言ったと思った。
けど、この人って生徒に手を出すんだよね?
じゃあ私殴られるってこと?
やばい。逃げないとこれはやばいんじゃないか。
そう思った私はすぐに帰ろうとした。

「かっ帰ります」
「……このッ」
「え?」

坂畑先生が手を挙げた。やばい殴られる。
そう思ったけど誰かが教室に入ってくる音がした。
そしてこっちに走ってきた。
え?誰?そう思った私だが……
目を閉じていたので誰が来たのかなんて分からなかった。
けど、先生は殴ろうとしたんだからその来てくれた人が
殴られた。それか止めたか。どっちかしかない。
私が目を開けたら……ある光景が広がっていた。

「さっ、さっきー!?」
「……先生?何してるんですか」

私の目の前には、先生の拳を止めている
私の大好きな人が、立っていました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...