天使の毒

香坂

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今日から体育祭の練習が始まる。
って言っても、もう二週間後だけどね。
実行委員としてちゃんと考えないと。
私は図書委員と応援団にも入っている。
昼休みは図書委員で受付けの仕事。
応援団は放課後ダンスの練習だけど私には実行委員が
放課後にあるから、ダンスは実行委員が終わったあと。
一人で裏庭とかで練習しときましょうかね。
私なんか忙しいな。練習、実行委員、図書委員、応援団
何か最近体の調子も良くないみたいだから気を付けよ。

「蒼井、ここの順番さ……」
「ん?」

最近色々な仕事が忙し過ぎて咲人と香菜ぐらいしかと
話してない。さっきーと話したとしても私が日課にしてる
毎日おはようと挨拶を交わすことぐらいだけ。
まぁ日課だと思ってるのは私だけかもしれないけれど。
ちゃんと毎日おはようって手を振るとさっきーも
返してくれるんだよ?嫌々なのかもしれないけど。
嫌々じゃないといいな。私だけ嬉しいとか寂しいし。
でも忙しいのもあるからもう二日も話できてないのかも。
朝だってさっきー来るの遅いからもう皆席に着くし。
放課後だって私は応援団と実行委員だってある。
昼休みは図書委員でさっきーが図書室に来ない限りは
絶対に話せない。だからこそまたすれ違ってる。

「んじゃ、今日の五時間目体育でクラス対抗リレー頑張ろ」
「了解でーす」

今日の五時間目は目一杯さっきーを応援するの。
声が枯れるまで、疲れるほどさっきーを応援する。
もちろん他の人もめちゃくちゃ応援するよ?
けど、さっきーは特別。
私にとってのヒーローなんです。
だからクラス対抗リレーは何があっても第一走者を
走らせるつもりだった。例えさっきーが嫌がっても。
自分からやるって言ってくれたから本当に良かった。
さっきーはメインなの。アンカーではないけれど。
私にとってヒーローだから。一番になって第二走者の
人にバトンを渡す、その姿が見たいんだ。

選抜リレーも、クラスの男子を四人代表にする。
二百mを一周ずつを走る。私は実行委員という事で
スタートから反対側のテークオーバーゾーンの所に座り
白と赤の旗を持って審判をする。内側に足が出てないか。
だからさっきーが走るのを目の前で見られるのが嬉しい。
体育祭の競技順を言ってませんでしたね。

・千五百m 全学年代表男子 個人種目
・百m 全学年女子 個人種目
・二年クラス対抗リレー
・一年学年種目 大縄
・千m 全学年代表女子
・二百m 全学年代表女子 男子
-お昼休み-
・応援団
・三年クラス対抗リレー
・二年学年種目 大玉転がし
・一年クラス対抗リレー
・借り物競争 個人種目女子 男子
・三年学年種目 騎馬戦
・選抜リレー 一年
・選抜リレー 二年
・選抜リレー 三年

ざっとこんな感じです。
私開会式に台の上に立って注意事項言うんですよ。
ホントに緊張してくる。練習しておこう。
絶対青組が勝つ!去年も勝ったから絶対勝ちたい!
それで、終わったらクラスで打ち上げをしたい。

「終わったら打ち上げなぁ~」
「だよね、流石徹也。分かってる」

この話を聞いてみんなも賛成してくれた。
良かった、さっきーも来てくれるらしい。
やったね。もっと楽しみになった。
服どうしようかな?てかそんな事考えてないで
早くクラス対抗リレーとか学年種目とか……
借り物競争にも出るんだよ私ー!あと百m。
私、百m新記録目指してるので。笑わないでね?

そして五時間目。
私に事件が起きてしまった。

ピーと第一走者が走る準備をする音が鳴る。
さっきーも準備をした。
先生が音を鳴らした瞬間三人の第一走者が走り出す
念願のさっきー対大翔。
どちらが一位でも絶対におかしくない。
一組の水蓮と言う男子もサッカー部。
いわゆる、三人ともサッカー部対決となっている。
さっきー頑張って……

「さっきー頑張って!!!」
「! ん…」

サンキュとかありがとうとかもなしで
ただノールックで私に手を振っただけ。
もう、それだけでもかっこいいし惚れる。
先生がスタートの合図、音を鳴らした。
その瞬間三人が半端ないスピードで走り出す。
……あの三人速すぎでしょ…私達と次元が違くない?
と思うくらい速くて体力も凄くある。
さっきーは自分は体力ないから短距離が好きとかいうけど
周りから見れば長距離だって十分速いし、体力もある。

「さっきー!!!」
「よし、次俺」
「さっきー頑張れ!!」

私はさっきーが最後まで走り切るまで応援する。
さっきーはなんと、あの大翔を抑えて一位で来た。
……なんてかっこいいのでしょうか。
あぁ、やばい。今なら大嫌いなプールにダイブ出来るかも
なんて馬鹿な事を思ってしまう私は本当に馬鹿。
そして、さっきーが咲人にバトンパスをした。
何か二組いい感じじゃない!?一位だよ!?
三組とまだ距離は近いけどいい感じに保ってる。

「私だ……」
「侑花、ふぁいと!」

香菜が応援してくれている。
自慢じゃないが、私は体力が本当にガチ目にないので
得意なのは短距離。しかもカーブがある。
だからここは絶対に抜かさせない。
さっきーが一位で走り切ってくれたんだもん。
そのまま一位を保ちたい。じゃなきゃ……
さっきーの頑張り、皆の頑張りが無駄になるから。

「蒼井走れ!」
「りょーかい!!」

合図をされて、私は下を向き走る。
それからバトンを渡されて走った。
そして次の人に渡した。うん。走り切った。
……あれ?何か皆人数増えてない?
え、レースなんて六レースあるんですけど。え?
三レースじゃなかったっけ。何で?

「侑花?」
「……香菜」

香菜が、ふた……三人も四人もいる。
待って頭の中が追いつかない。フラフラする。
頭が重い、歩けない、疲れた、苦しい。
あ…れ?皆が逆さまに……
バタンっと音を立てて倒れたのは紛れもなく私だった。
そこで私は目を閉じた。大きな声で私の名前を呼ぶ香菜。
それに続いて疲れてるはずの君が走ってきてくれたんだ
さっきー、保健室まで運んでくれるのかしら。
えっ、待って待って!! 私重いよ!?持たないでっ!?
そんな願いは意識があるけど目を閉じている
私には叶いませんでした。
さっきーに抱きかかえられて保健室へ。
体を触られてる、なんて恥ずかしいのでしょうか。
誰かぁ~……担任の南先生に抱きかかえてもらいたかった。
それならさっきーに私が重いってバレないのに……

「……軽い」
「!」

さっきー、今何て?何て言いました!?
軽いと?軽いと言いましたよね?軽いってあの!?
この私が軽い?幻聴?さっきーの感覚麻痺してるの?
……こんな嬉しく思えたのはいつぶりでしょう。
さっきーに抱きかかえられて凄く嬉しくなった。
そのまま私は安心したのも頭が重いのもあって
気絶?なのか分からないけれど寝てしまった。
さっきーの腕の中、暖かい……
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