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ナワバリ
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一方的に殴り殺すことだけしか頭になかった俺は、クアリクの銃やナイフをどうにかすることを忘れていた。
胸ぐらに掴みかかれるような至近距離で、敵が撃たない訳がない。銃弾で左腹を撃ち抜かれた瞬間に冷静になるなんて、とんだ大馬鹿が居たもんだ。
「ちくしょ……ぉ」
掴んでいた胸ぐらからズルリと手が離れて、崩れ落ちた俺は味わったことの無い痛みを抑える様に、傷に手を当てがる。
「大丈夫。しっかり傷口を押さえてれば、お頭さん達が来るまでは生きていられますよ。」
「はぁ、はぁ、てめぇが、殺人狂ってのは、本当だったんだ、なぁ」
「なに?」
「そうやって、殺る奴の目も見ねーでガンガン、こ、殺して来たんだろうが、よ、」
この言葉を発した時、クアリクは初めて俺を睨みつけた気がした。
「あなたには、関係の無いことです。」
「……!!」
ーー俺はこの後7発程全身に蹴りを入れられ、気絶寸前のところであたま宛の伝言を伝えられ、クアリクは視界から消えていった。
動けなくなった。力が入らない。ただ頭の中で、クアリクが口にした言葉が何度も繰り返される。
「最初からあなたは、ただの伝言役として生かすつもりでした。口が使えればいい訳ですから、両手足切り落としたって良かったんですよ。」
視線の合わない半笑いが、ここぞとばかりに恐怖心を駆り立てる。
「人は簡単に死なないけれど、死ぬ時はあっけないものですよ? ……あなたのお友達みたいに。」
もう何かを言い返す体力が残っていなかった。
「あなた達の目は、なんだか気分が悪くなる。」
目をつむったまま、俺は悔しくて情けなくて、悲しくて涙が溢れた。
胸ぐらに掴みかかれるような至近距離で、敵が撃たない訳がない。銃弾で左腹を撃ち抜かれた瞬間に冷静になるなんて、とんだ大馬鹿が居たもんだ。
「ちくしょ……ぉ」
掴んでいた胸ぐらからズルリと手が離れて、崩れ落ちた俺は味わったことの無い痛みを抑える様に、傷に手を当てがる。
「大丈夫。しっかり傷口を押さえてれば、お頭さん達が来るまでは生きていられますよ。」
「はぁ、はぁ、てめぇが、殺人狂ってのは、本当だったんだ、なぁ」
「なに?」
「そうやって、殺る奴の目も見ねーでガンガン、こ、殺して来たんだろうが、よ、」
この言葉を発した時、クアリクは初めて俺を睨みつけた気がした。
「あなたには、関係の無いことです。」
「……!!」
ーー俺はこの後7発程全身に蹴りを入れられ、気絶寸前のところであたま宛の伝言を伝えられ、クアリクは視界から消えていった。
動けなくなった。力が入らない。ただ頭の中で、クアリクが口にした言葉が何度も繰り返される。
「最初からあなたは、ただの伝言役として生かすつもりでした。口が使えればいい訳ですから、両手足切り落としたって良かったんですよ。」
視線の合わない半笑いが、ここぞとばかりに恐怖心を駆り立てる。
「人は簡単に死なないけれど、死ぬ時はあっけないものですよ? ……あなたのお友達みたいに。」
もう何かを言い返す体力が残っていなかった。
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目をつむったまま、俺は悔しくて情けなくて、悲しくて涙が溢れた。
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