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第壱拾壱話
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山小屋って意外と沢山あるんだな。と、私はそんな事を考えながら、草履を脱いで中に入った。
小屋に入ってすぐに雀さんはお布団の様な物を引っ張り出し、暁光さんはその上に鳩さんを寝かせた。
暁光さんも雀さんも腰を降ろすと、私は暁光さんの近くに座った。
「疲れたな。」
「疲れたっすね。」
「あ、あの。」
私が声を掛けると二人とも私を見た。
「鳩さんは、あの時一体如何したんですか?」
明らかに何時もと違う様子だった。それに私の事を攻撃していたって言われても、普段の面倒見の良い鳩さんからは想像が出来なかった。
暁光さんと雀さんはお互いの顔を見合わせてから頷いて私を見た。
「あのな氷柱、鳩は人間が嫌いなんだよ。」
「え?」
だとしたら鳩さんは普段嫌々私と一緒にいたって、そう言う事なんですか。そう思っていると雀さんが首を横に振った。
「暁光、其処だけ言ったら氷柱さんが勘違いするっす。」
「あー、そうだな。何つーか、鳩は人間っつっても大人が嫌いなんだよ。小さな子供は平気。特にお前はちょっと特別みたいだな。」
「特別?」
「あぁ。」
暁光さんは近くで寝ている鳩さんの頭を撫でた。
「昔、俺が鳩を拾った時は、そりゃもう荒れてたからな。」
昔、それがどれくらい前の事かは分からないけれど、きっと何年も前だって事は暁光さん達が人間じゃないって事からすぐに分かる。そしてその時に、一体何があったのか、それを聞いてもきっと暁光さんも雀さんも教えてくれないと思う。
そう言う事は本人に聞いた方が良い。
雀さんの過去を暁光さんに聞いた時にも、私はそう言われたから。
「にしても今西南の方はどうなってんだろうな。」
えっと確かそっちの方から戦が始まったんだっけ。それに鳩さんがお仕事をしているのもそっちの方だった気が。
「ま、細かい事は飯食ってからだな。」
「御飯っすか?」
「俺も氷柱もまだ食ってないんだよ。お前は?」
「いやぁ、それがあっしもまだなんっすよ。」
雀さんがそう言うと暁光さんは笑ってから立ち上がった。
「それじゃ、何か食い物取ってくっから、お前等は待ってろよ。特に雀、お前氷柱に何かあったら焼き鳥にするからな。」
「止めてくださいっす!!!」
そんな会話をしてから暁光さんは山小屋を出て行った。
残された私は鳩さんを見た。まだ起きる気配は無い。
「氷柱さん、大丈夫っすか?」
「え?」
「こう言う事って大人は勿論、子供は本当に駄目っすから、もしかしたら不安じゃないかと思ったっす。」
雀さん、心配してくれてたんだ。
確かに怖い。戦は人が死ぬものだって聞いた事があるから。自分もそうだけど、もしも雀さんや鳩さんが死んじゃったらって考えると、それだけで怖くなる。だけど…………
「暁光さんが居てくれるから、大丈夫です。」
「そうっすか。暁光愛されてるっすね。」
「あ、愛なんてそんな!!」
「照れてるっすねー。」
茶化さないでくださいよ。
そんな事を考えている内に外で大きな音が聞こえた。雀さんはすぐに私を後ろに隠すと、ジッと扉の方を見た。
「氷柱さん、大丈夫っす、あっしが守るっすから。」
私は頷いて雀さんの手を握った。小さいけれど温かい手。私は自然と安心出来た。
扉が開くと私は大きく息を飲んだ。
小屋に入ってすぐに雀さんはお布団の様な物を引っ張り出し、暁光さんはその上に鳩さんを寝かせた。
暁光さんも雀さんも腰を降ろすと、私は暁光さんの近くに座った。
「疲れたな。」
「疲れたっすね。」
「あ、あの。」
私が声を掛けると二人とも私を見た。
「鳩さんは、あの時一体如何したんですか?」
明らかに何時もと違う様子だった。それに私の事を攻撃していたって言われても、普段の面倒見の良い鳩さんからは想像が出来なかった。
暁光さんと雀さんはお互いの顔を見合わせてから頷いて私を見た。
「あのな氷柱、鳩は人間が嫌いなんだよ。」
「え?」
だとしたら鳩さんは普段嫌々私と一緒にいたって、そう言う事なんですか。そう思っていると雀さんが首を横に振った。
「暁光、其処だけ言ったら氷柱さんが勘違いするっす。」
「あー、そうだな。何つーか、鳩は人間っつっても大人が嫌いなんだよ。小さな子供は平気。特にお前はちょっと特別みたいだな。」
「特別?」
「あぁ。」
暁光さんは近くで寝ている鳩さんの頭を撫でた。
「昔、俺が鳩を拾った時は、そりゃもう荒れてたからな。」
昔、それがどれくらい前の事かは分からないけれど、きっと何年も前だって事は暁光さん達が人間じゃないって事からすぐに分かる。そしてその時に、一体何があったのか、それを聞いてもきっと暁光さんも雀さんも教えてくれないと思う。
そう言う事は本人に聞いた方が良い。
雀さんの過去を暁光さんに聞いた時にも、私はそう言われたから。
「にしても今西南の方はどうなってんだろうな。」
えっと確かそっちの方から戦が始まったんだっけ。それに鳩さんがお仕事をしているのもそっちの方だった気が。
「ま、細かい事は飯食ってからだな。」
「御飯っすか?」
「俺も氷柱もまだ食ってないんだよ。お前は?」
「いやぁ、それがあっしもまだなんっすよ。」
雀さんがそう言うと暁光さんは笑ってから立ち上がった。
「それじゃ、何か食い物取ってくっから、お前等は待ってろよ。特に雀、お前氷柱に何かあったら焼き鳥にするからな。」
「止めてくださいっす!!!」
そんな会話をしてから暁光さんは山小屋を出て行った。
残された私は鳩さんを見た。まだ起きる気配は無い。
「氷柱さん、大丈夫っすか?」
「え?」
「こう言う事って大人は勿論、子供は本当に駄目っすから、もしかしたら不安じゃないかと思ったっす。」
雀さん、心配してくれてたんだ。
確かに怖い。戦は人が死ぬものだって聞いた事があるから。自分もそうだけど、もしも雀さんや鳩さんが死んじゃったらって考えると、それだけで怖くなる。だけど…………
「暁光さんが居てくれるから、大丈夫です。」
「そうっすか。暁光愛されてるっすね。」
「あ、愛なんてそんな!!」
「照れてるっすねー。」
茶化さないでくださいよ。
そんな事を考えている内に外で大きな音が聞こえた。雀さんはすぐに私を後ろに隠すと、ジッと扉の方を見た。
「氷柱さん、大丈夫っす、あっしが守るっすから。」
私は頷いて雀さんの手を握った。小さいけれど温かい手。私は自然と安心出来た。
扉が開くと私は大きく息を飲んだ。
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