泡沫の如く儚い平和

琴里 美海

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第壱拾弐話

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「こんにちはー、鳩いませんかー?」

 少し気だるげな声と共に顔を出して来たのは、凄く色鮮やかな服を着た男の人だった。多分口ぶりからして鳩さんと知り合い何だと思う。

「何だ、雉じゃないっすか。」
「雉?」
「あ、雀ちゃん、久しぶりー。んで鳩いる?」

 雀さんが鳩さんを指差すと、雉さんは小屋の中に入って鳩さんの横へと歩いて行った。

「あー、生きてた生きてた。」
「あの……………」

 私が声を出すと雉さんは少し驚いた様子で私を見た。

「あれ、人間の女の子居たの?」
「いたっすよ。氷柱さんっす。」
「は、初めまして。」

「どうも、雉でーす。其処の鳩と雀ちゃんと一緒に情報屋やってまーす。」

 情報屋って意外と沢山いるんだな。と、私は真っ先にそう思った。

「えっと、氷柱です。宜しくお願いします。」
「如何も御贔屓に。んで、何で鳩気絶してんの?」
「えっとっすね。」

 雀さんが先程の事を雉さんに説明してくれた。話しを聞いて雉さんは腕を組んで数回程頷いてから鳩さんを見た。

「まぁしょうがないか。」
「あの、雉さんも情報屋さんなんですよね。」
「まぁ一応はそう名乗ってる感じかな。」
「鳩さんとは知り合いなんですか?」
「一応幼馴染って感じかな?」

 鳩さんの幼馴染、と言う事は鳩さんの昔の事とかも知っていると言う事なのかな。

「一応無事っぽいからオラ帰る。」
「そうっすか。あ、聞きたい事あるんっすけど良いっすか?」
「槿花は何処にいるか分かるっすか?」

 きんか?何処にいるって聞いてるって事は、多分人で、それできっと雀さん達の知り合いだと思うけれど、やっぱり私の知らない人だ。
 雉さんは頷いた。

「大体の場所だけど、案内しようか?」
「頼むっす。あ、でも暁光が戻って来るまで待ってほしいっす。」
「ほーい。」

 暫く待っていると暁光さんが両手いっぱいに果物を持って戻って来た。

「あれ、お前確か……………」
「鳩の幼馴染の雉でーす。」

 暁光さんの様子からして、暁光さんは雉さんの事は知らないみたいだった。多分話しは聞いた事あるくらいだと思います。
 暁光さんは持っている果物を渡しにくれると、私は果物を噛んだ。甘くて美味しい。
 雀さんは暫くの間暁光さんに先程の話をすると、暁光さんは納得した様に頷いた。

「分かった、行って来い。」
「はいっす。と言う訳で雉、案内頼むっす。」
「ほーい。」
「っと、その前に。」

 暁光さんは持って来た果物の大半を二人に渡した。
 雀さんは暁光さんにお礼を言って、雉さんと一緒に小屋を出て行った。

「氷柱、ごめんな。」
「ん?」
「今こんな物しかあげられなくて。」
「大丈夫です。」

 寧ろ御飯をくれるだけで有り難いです。村にいた時は食べ物なんて殆ど貰えなかったから。
 外から突然大きな音が鳴ると、私はすぐに暁光さんの後ろに隠れた。
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