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第壱拾九話
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鴉さんに連れて来られた場所は私が元々住んでいたあの村だった。だけど私が最後に見た時と比べて相当荒れている。
「あの鴉さん、何で此処に連れて来たんですか?」
「先程も言いましたが貴方にお見せしたい物があるからですよ。」
正直今すぐにでも帰りたい所ですが、帰ろうにも自分一人の力じゃ帰れない上に、暁光さんの家が何処にあるのか分からないから、結局の所やっぱり一人じゃ帰れない。
何となく村の様子が只ならぬ気配を感じて、鴉さんが私を見ていない隙にすぐに逃げ出した。
鴉さんから逃げ出したは良い物の、一体何処に行けば良いのか分からない。
「ぎょ、暁光さん。」
名前を呼んだら来てくれる様な気がしていたけれど、流石に来てはくれなかった。
「氷柱さん、何処ですか?」
「!!」
結構な距離を走ったと思ったのに、すぐ近くから鴉さんの声が聞こえた。
私は慌てて茂みに飛び込んで息を殺した。何だろう、鴉さんに見付かっちゃいけない気がする。
音を立てない様にそっとその場を移動した。
特に何も考えずに移動した先はあの村だった。
「あ、どうしよう……………」
この村には居たくないけど鴉さんの所に戻るにはちょっと……………
そんな事を考えている時だった。
「お前。」
「!!」
村の人と目が合った。
「あ…………」
村にいた人達の視線が一気に私に向いた。私はと言うとその場から動く事も出来ず、唯立ち尽くしていた。
「塵芥、何故此処に居る?」
「お前、生贄に成りそこなったのか?」
「あ、えっと……………」
怖い。
周りの人達の目が怖い。
皆が皆私に対して怒りや恨みの視線を向けて来る。私が生贄に成らなかったから、神様に食べてもらえなかったから。
「お前のせいで村がこんな事に……………」
「お前のせいだ。」
「そもそも災厄が始まったのはお前が生まれてからだった。」
「お前さえ生まれて来なければ。」
「お前さえ。」
「お前何か生まれて来なければ良かったのに。」
「!!!」
何もそこまで言わなくて良いじゃないですか。
そう言いたかったのに私はそれを言う事が出来なかった。私に出来た事はその場から逃げ出す事だった。
村の人達はすぐに私の事を追い掛けて来たけど、私はいろんな所に隠れたりして村の人達からすぐに離れる事が出来た。
茂みの中に隠れて私は膝を抱えて座っていた。
私が悪いの?
私がすぐに暁光さんの所から逃げ出さなかったから?だから村が酷い事になったの?
全部、全部私が悪いの?
「そうです、貴方が悪いんですよ。」
何時の間にか後ろに立っていた鴉さんが私にそう言って、そっと、優しく肩に手を置いた。
「あぁ何と可哀想な方。誰にもその存在を求められない、悲しい方。」
「止めてください!!」
すぐに耳を塞いだけど、鴉さんは私の手を掴んで耳から無理矢理手を離した。
「ですが安心して下さい、私は貴方を愛して差し上げますよ。」
「……………本当ですか?」
「えぇ本当です。私は貴方を愛して差し上げます。」
そう言いながら鴉さんは私の手を離して肩に手を置いた。そしてその手は少しずつ私の首に近付いて行った。
「永遠に、ね。」
首に手が触れた時、何かカチリと音がした。
その音が聞こえた直後私は自分の意識を失った。
「あの鴉さん、何で此処に連れて来たんですか?」
「先程も言いましたが貴方にお見せしたい物があるからですよ。」
正直今すぐにでも帰りたい所ですが、帰ろうにも自分一人の力じゃ帰れない上に、暁光さんの家が何処にあるのか分からないから、結局の所やっぱり一人じゃ帰れない。
何となく村の様子が只ならぬ気配を感じて、鴉さんが私を見ていない隙にすぐに逃げ出した。
鴉さんから逃げ出したは良い物の、一体何処に行けば良いのか分からない。
「ぎょ、暁光さん。」
名前を呼んだら来てくれる様な気がしていたけれど、流石に来てはくれなかった。
「氷柱さん、何処ですか?」
「!!」
結構な距離を走ったと思ったのに、すぐ近くから鴉さんの声が聞こえた。
私は慌てて茂みに飛び込んで息を殺した。何だろう、鴉さんに見付かっちゃいけない気がする。
音を立てない様にそっとその場を移動した。
特に何も考えずに移動した先はあの村だった。
「あ、どうしよう……………」
この村には居たくないけど鴉さんの所に戻るにはちょっと……………
そんな事を考えている時だった。
「お前。」
「!!」
村の人と目が合った。
「あ…………」
村にいた人達の視線が一気に私に向いた。私はと言うとその場から動く事も出来ず、唯立ち尽くしていた。
「塵芥、何故此処に居る?」
「お前、生贄に成りそこなったのか?」
「あ、えっと……………」
怖い。
周りの人達の目が怖い。
皆が皆私に対して怒りや恨みの視線を向けて来る。私が生贄に成らなかったから、神様に食べてもらえなかったから。
「お前のせいで村がこんな事に……………」
「お前のせいだ。」
「そもそも災厄が始まったのはお前が生まれてからだった。」
「お前さえ生まれて来なければ。」
「お前さえ。」
「お前何か生まれて来なければ良かったのに。」
「!!!」
何もそこまで言わなくて良いじゃないですか。
そう言いたかったのに私はそれを言う事が出来なかった。私に出来た事はその場から逃げ出す事だった。
村の人達はすぐに私の事を追い掛けて来たけど、私はいろんな所に隠れたりして村の人達からすぐに離れる事が出来た。
茂みの中に隠れて私は膝を抱えて座っていた。
私が悪いの?
私がすぐに暁光さんの所から逃げ出さなかったから?だから村が酷い事になったの?
全部、全部私が悪いの?
「そうです、貴方が悪いんですよ。」
何時の間にか後ろに立っていた鴉さんが私にそう言って、そっと、優しく肩に手を置いた。
「あぁ何と可哀想な方。誰にもその存在を求められない、悲しい方。」
「止めてください!!」
すぐに耳を塞いだけど、鴉さんは私の手を掴んで耳から無理矢理手を離した。
「ですが安心して下さい、私は貴方を愛して差し上げますよ。」
「……………本当ですか?」
「えぇ本当です。私は貴方を愛して差し上げます。」
そう言いながら鴉さんは私の手を離して肩に手を置いた。そしてその手は少しずつ私の首に近付いて行った。
「永遠に、ね。」
首に手が触れた時、何かカチリと音がした。
その音が聞こえた直後私は自分の意識を失った。
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