朝餉添えの贄

第参拾話

　暁光さんに酷い事をしちゃった。暁光さんは絶対に私を許さない。
　毎日そんな事を考えていた。
　周りに居る村の人達は皆災厄が終わったって喜んで、それで鴉さんの事を称えている。その声が私には少し遠くに聞こえた。

　私はずっと膝を抱えて座っていた。

「暁光さん……………」
「おや、どうかしましたか?」
「!!」

　皆の中心に居て称えられていた筈の鴉さんが、知らない内に私の前に立っていた。

「まだ心はあちらにございますか。」
「まだも何も、当たり前です。」
「そうですか、でしたら少々手荒な方法を取らせていただきましょうか。」
「え?」

　そう言って鴉さんは私に手を伸ばして来た。
　私はすぐに鴉さんの手を払うと、鴉さんは少し驚いた顔をしつつも、笑って無理矢理私の頭に手を当ててきた。

「何、するんですか?」
「貴方が悩む原因を消すんですよ。」
「え?そ、それってどう言う……………」

　質問を言い切る前に目の前でパチリと雷が鳴った気がした。
　その直後私は意識を失った。

　次に目を覚ました時、私はその殆どの記憶を失ってしまっていた。